【野球】佐藤の好投と岩見弾で明大に連勝! 明大②

10月8日(日)東京六大学秋季リーグ戦 明大2回戦

落ち着いた表情でストライクをとる佐藤

昨日、明大1回戦の延長戦を制した慶大。続く2回戦ではリーグ戦初先発の佐藤宏樹(環1)が好投し、試合を作る。一方で、注目のスラッガー・岩見雅紀(総4)は5回に5試合連続となる今季6号のホームランを放った。序盤からペースをつかんだ慶大は、ここまで全カード勝ち越してきた明大から貴重な勝ち点を奪った。

 

明大

慶大

×

2

明大:水野、石毛、●高橋、入江、齊藤―橋本、清水風

慶大:○佐藤、髙橋亮―郡司

 

慶大:岩見6号ソロ(5回)

◆慶大出場選手

 

ポジション

選手名(学部学年・出身高校)

[9]

天野康大(環4・智辯和歌山)

 

H9

中村健人(環2・中京大中京)

[5]

瀬尾翼(理4・早稲田佐賀)

[8]

柳町達(商2・慶應義塾)

[7]

岩見雅紀(総4・比叡山)

 

杉本京平(理2・中央中等教育)

[3]

清水翔太(総4・桐蔭学園)

[4]

倉田直幸(法4・浜松西)

[2]

郡司裕也(環2・仙台育英)

[6]

照屋塁(環4・沖縄尚学)

[1]

佐藤宏樹(環1・大館鳳鳴)

 

H

宮田皓(商2・慶應義塾)

 

髙橋亮吾(総2・慶應湘南藤沢)

 

倉田は幾多の好守でピンチを救った

初回、2死二塁の場面で史上初の5試合連続ホームランの記録がかかった岩見に打席が回る。場内アナウンスで岩見の名が呼ばれた瞬間、球場全体がざわつき、観客が岩見に熱視線をおくる。注目の初打席はまさかのデッドボール。それでも、チャンスは2死一塁、二塁へと広がる。しかし、続く清水翔太(総4)は凡退し、慶大はこの回の攻撃を無得点に終える。

3回には1死一塁の場面で再び岩見が打席に立つ。打者有利なカウントで迎えた4球目。明大の先発・水野から放たれたボールはまたも岩見に当たり、2打席連続デッドボールという結果になってしまった。1死一塁、二塁となるが、後続が凡退し、せっかくのチャンスを慶大は、またも物にすることができなかった。先制点を奪いたい打線は再び4回にチャンスを作る。先頭の郡司裕也(環2)と照屋塁(環4)が連続ヒットで出塁し、無死一塁、二塁とする。続くピッチャーの佐藤と代打の中村健人(環2)が凡退し2死となるも、瀬尾翼(理4)のデッドボールで満塁となった。しかし、後続の柳町達(商2)はショートゴロに打ち取られる。

先制のホームランを放った岩見

試合が動いたのは5回。岩見が先頭バッターとして第3打席を迎える。最初の2球はボール球を見極める。続く3球目をフルスイングするもファール。直後の4球目。甘く入ったボールを捉え、打球は大きなアーチを描いた。そのままレフトスタンドに吸い込まれ、記念すべき東京六大学野球史上初の5試合連続ホームランとなった。球場全体が大きな拍手でホームに戻ってくる岩見を迎える。

直後の6回にも、先頭の照屋がセンター前ヒットで出塁すると、2死二塁の場面で瀬尾がタイムリーツーベースで追加点を奪い、2対0とリードを広げる。この2点は今日の投手陣にとって十分な点差であった。

照屋は自身初の猛打賞を記録した

リーグ戦初先発の佐藤は岩見に劣らない存在感をみせた。140㌔台中盤のストレートと大きく落ちる変化球を使い分け、打者を翻弄した。8回まで明大打線を2安打1失点に抑え、三振の数は12まで伸びた。1年生とは思えない申し分ないピッチングを披露した佐藤。圧巻だったのが三者連続三振を取った3回と5回。3回、先頭バッターをこん身のストレートで空振りの三振を取ると、今度はピッチャーの生命線である外角低めに決まり、見逃し三振を奪う。3人目のバッターを変化球で空振り三振に討ち取り、その回を締めた。5回は3回と打って変わって落差のある縦のスライダーを決め球とし、三振を奪った。

倉田の好送球で最後のアウトをもぎ取った瀬尾

佐藤のあとにマウンドを譲り受けたのが髙橋亮吾(総2)。先頭バッターにヒットを許すと、直後にランナーを得点圏に進めてしまう。2死二塁の場面で迎えた明大5番・越智の打球はバウンドしながらセンター方向へ。照屋のグラブが1歩届かず同点打と思われたのも束の間、ボールは安定した守備が自慢の倉田直幸(法4)のグラブの中に収まった。すかさず、サードの瀬尾に送球すると飛び出していたランナーは塁に戻ることができずにタッチアウト。試合終了。1点のリードを守り抜いた慶大は、暫定1位の明大から連勝で勝ち点を奪った。

佐藤の好投は今日の勝利に大きく貢献しただろう。そんな佐藤もまだ1年生。今後の成長に期待が募る。また、岩見の活躍も忘れてはいけない。彼の放つ1本は“慶大を勝利に導く”という言葉を確実に表している。この勝利をきっかけに勢いに乗った慶大が“優勝”の二文字を手にする日は遠くないだろう。

文:萬代 理人

This is YOUR day!!伝説に生きる男/初先発で圧巻の三振ショー岩見雅紀&佐藤宏樹

豪快なフルスイングをする岩見(左)と快投を見せた佐藤(右)

リリーフ左腕として多くの試合で慶大の危機を救ってきた佐藤は初先発でも物怖じしない。「そんなに緊張はしなかった」と笑顔で語るルーキーの強心臓っぷりが垣間見えた。夏にフォームを改造し、さらなる高みを目指した佐藤の努力は確実に実っている。最速147㌔の自慢の直球はもちろん、変化球の質も着実に物になってきた。我々に圧倒的な存在感を見せつけた期待のルーキーはチームを勝利に導く。

また、今日の試合で忘れてならないのが、慶大のエルドレッド・岩見だ。この日放ったホームランは通算20本目。歴代3位の岡田彰布(元早大)の記録に並んだ。また、春は5本、秋は6本目、と年間11本もリーグタイ記録に並んだ。岩見の記録はまだ終わらない。法大2回戦から5試合連続で放ったのだ。記憶に新しい横尾俊建(現・日本ハム)の4試合連続の記録を塗り替えた。偉大なる高橋由伸(現・読売巨人軍監督)の通算最多本塁打記録まであと3つ。慶大の生ける伝説が秋の神宮を沸かせる。

記事:千綿 加華

◆打撃成績

  

[9]

天野

三ゴロ

二ゴロ

       

中村

 

  

中飛

 

二ゴロ

 

逃三振

 

[4]

瀬尾

中安

 

死球

死球

 

左中2①

 

二飛

 

[8]

柳町

空三振

 

投犠打

二ゴロ

 

四球

   

[7]

岩見

死球

 

死球

 

左本①

三ゴロ

   

杉本

    

 

    

[3]

清水翔

一ゴロ

 

二ゴロ

 

二ゴロ

 

空三振

  

[4]

倉田

 

中安

三邪飛

 

二ゴロ

 

空三振

  

[2]

郡司

 

逃三振

 

中2

遊飛

 

逃三振

  

[6]

照屋

 

右安

 

死球

 

中安

 

中安

 

[1]

佐藤

 

投安

 

空三振

 

捕犠打

   

H

宮田

       

三犠打

 

髙橋亮

         

 

◆投手成績

 

打者

球数

安打

三振

四死球

失点

自責

佐藤

28

109

12

 

高橋亮

13

 

 

◆監督・選手コメント

大久保秀昭監督

(どのように今日の試合に臨んだか)昨日の勝ちをなんとか続けないと勝ちの意味がないので勝つつもりで今日の試合を臨みました(今日の試合を振り返って)先発に抜擢した1年の佐藤はこっちが思っている以上に最高のピッチングをしてくれました。今日は本当に佐藤に尽きます(明大に対して2連勝しました)今走っている明大に負けると優勝が厳しくなります。とりあえず首の皮が一枚つながったという状況です。明大は本当にいいチームなのでそこに食らいついて負けないぞというつもりでやってきました。それがこの試合で一番いい形であらわれたと思います(春のときに、明大の逢沢選手を抑えないと勝てないとおっしゃっていましたが、逢沢選手を抑えたことが大きかったですか)逢沢と渡辺という左の軸をねじ伏せたのが勝利につながったと思います(佐藤投手のピッチングについて)期待以上の働きをしてくれて、安心して見ることができました(今日は岩見選手の一発だけでなく、照屋選手と瀬尾選手も結果を出しました)そこがつながってくるとうちの打線は結構脅威になりますね。瀬尾は出塁率を稼いでくれているのでその中でいいところで打ってくれました。あと、岩見はホームラン率が高いですけど、彼の一発に頼っているチーム状況にしているわけでもないです(岩見選手が5試合連続となるホームランを打ちましたが)立派ですね。六大学のあれだけホームランを打った選手が少ない中、そこに名を連ねるのはよかったです。ただ、本人もそう言っているが、勝ちにつながるかがすべてですね(次回の立教戦に向けて)今回のように負けられないです。チームの雰囲気はいいと思うのであきらめずに食らいついていきたいです。これだけの人が応援してくれる中、応援するかいがあったと思わせるような試合をしていきたいです。

 

照屋塁主将(環4)

(今日の試合を振り返って)ピッチャーがいい投球をしてくれました。1点差という試合を勝てたことは本当に良かったです。(自身初の3安打を放ちました)調子自体はいつもと変わらないです。センターから右という意識で常に立っています。今日はたまたまです。(年間で明治に4連勝という結果は)去年やられた明治なので、その明治に相手に無敗で勝ち切れたというのは自信にしていきたいと思います。(次の試合に向けて)またこの1週間立教戦に向けて練習して、連勝するつもりでやっていきたいなと思います。

 

岩見雅紀(総4

(新記録となる5試合連続本塁打です。今の気持ちは)すごく嬉しいです。(好調の要因は)間の取り方が良くなりました。(立大戦に向けて)勝ち点を取って優勝につながるように頑張ります。

 

倉田直幸(法4)

(今日の試合を振り返って)今日、昨日ととてもしんどい試合でした。(第1打席の前に監督から声をかけられていたが)自分のバッティングの良い所と悪い所を指摘してもらって、思いっきり行けたので良かったです。(最終回には素晴らしいプレーが飛び出しました)振り返ってみると、今日の試合ではなくて、今までの練習が、みんなの手伝いがあったからこそ、こういうプレーができたのだと思います。(立教戦に向けて一言)次に繋がったというだけなので、今後も気を抜かずやっていきたいです。

 

郡司裕也(環2)

(今日の試合を振り返って)今日は監督が思い切って佐藤を先発にしたと思うのですが、本当によく踏ん張ってくれました。(今カード2連勝で勝ち点を獲得しました)1敗もできないという中、チーム全員で一体感を持って戦えているから、このような結果になったのだと思います。(配球面に関しては)配球というよりも、例えば手を広げて大きく構えたりするなど、いかに佐藤に気持ちよく投げさせてあげることができるかということをずっと考えていました。(髙橋亮投手に関しては)先頭打者を出してしまいましたが、彼はいつでも落ち着いているので、最後はなんとか抑えてくれました。(打撃では4回に二塁打を放ちましたが)最近は1試合につき1本ずつぐらいしか打てていないのですが、これからどんどん調子を上げていきたいと思います。(次の立大戦に向けて)がけっぷちに立たされていることには変わりがないので、明大戦と同じような入り方で初回から戦っていきたいと思います。

 

佐藤宏樹(環1)

(今日の試合を振り返って)予定していたよりも、後ろのピッチャーに負担をかけずに、目の前のイニングをしっかり抑えることができて良かったです。(今までやって来たことが)結果として出て来てくれて本当に良かったです。(今日はリーグ戦初先発でした)あんまり緊張はしなかったです。今日の朝、出発前くらいに(先発を)宣告されて、その時が一番緊張しました(笑)目の前のバッターを抑えることだけ考えました。「短いイニングでもしっかり投げてくれればいい」と言われていたので気楽に、郡司さんを信じて、バッターのことは見ずに投げました。(先発またはリリーフどちらが投げやすいか)僕は先発の方が投げやすいですね。先発だと徐々に上げていけるのに対して、中継ぎだと初めから100%の力を出して投げないといけないので難しいです。(今の率直な感想は)感想というより、優勝に首の皮一枚繋げることができました。4年生の野球人生をここで終わらせないようにという思いでした。「次の回次の回をしっかり抑えろ」と仲間から言われて、自分でもしっかりそれができたので良かったです。(ご自身のピッチングを振り返って)今日は序盤から変化球でもストライクが取れていたので、真っ直ぐもそれなりのところで取れていたので的を絞らせないように配球できたかなと思います。(今日は後半にかけて変化球が増えました)そうですね。真っ直ぐ主体でいって後半は変化球というリードを汲み取って投げていました。(相手バッターが)変化球に全く合っていなかったので思い切り投げました。(主に投げていた変化球は)三振を取れたのはほとんど縦のスライダーです。(強敵明治から連勝できました)ピッチャーが要所要所を抑えることができたし、先頭バッターを出さなかったのが勝ちにつながったと思います。(優勝が見えてくる結果になりました)なんとかつながったという感じなので、ここで満足せずに残りも4連勝して優勝を決めたいです。(大学生活初の打席もありました)(ヒットは)打った感じではなかったんですけど、ヒットよりもバント決められたのが良かったです。バッティングは好きですけど、打てないので投げる方が好きです(笑)(最後に立大戦に向けて一言)今日は先発でしたが、次はいつ投げるかまだ分からないので、与えられた役割をしっかりと全うしてチームの勝利に貢献できたらと思います。

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