前節の開幕戦、因縁のライバル早大を相手にまさかの大敗を喫した慶大。ホーム開幕戦となった今節は、日テレ・メニーナをホーム・下田グラウンドに迎えた。ポゼッションサッカーを志向する両者の対決となったが、13分に不用意なミスから、71分にはディフェンス陣の連携ミスから失点。87分にCKからオウンゴールを誘い1点を返すも、89分にPKを献上。これを沈められて勝負あり。終始、ポゼッションで上回られた慶大は、開幕から2連敗という厳しい船出となった。
第24回関東女子サッカーリーグ 前期第2節 vs日テレ・メニーナ
2018/04/22(日)15:00KO @慶應義塾下田グラウンド
【スコア】
慶應義塾大学1-3日テレ・メニーナ
【得点者】
0-1 13分 岩﨑心南(日テレ・メニーナ)
0-2 71分 伊藤彩羅(日テレ・メニーナ)
1-2 87分 オウンゴール(慶應義塾大学)
1-3 89分 菅野奏音(日テレ・メニーナ)
◇慶大出場選手
GK中島菜々子(総4・十文字) |
DF足立智佳(環2・大阪桐蔭) →83分 庄司夏穂(総3・聖和学園) |
DF加藤楓琳(総3・常盤木学園) |
DF熊谷明奈(総2・十文字) |
DF奥本くるみ(環3・浦和レッズレディースユース) |
MF佐藤幸恵(総2・十文字) |
MF小川愛(総2・神村学園)→62分 平田朋(環1・日ノ本学園) |
MF工藤真子(総3・日テレ・メニーナ) |
MF松木里緒(環3・常盤木学園) |
FW山本華乃(理2・山手学院)→68分 志鎌奈津美(環4・常盤木学園) |
FW鈴木紗理(総2・十文字) |
開幕戦、そして早慶戦となった前節は大量失点で完敗を喫した慶大。伊藤監督は、長らくチームの中盤を支えてきたキャプテンの中島菜々子(総4・十文字)をGKとして起用。加えて、佐藤幸恵(総2・十文字)を1列前に配置、足立智佳(環2・大阪桐蔭)を左サイドバックで起用するなど、開幕戦とは異なる布陣でホーム開幕戦に臨んだ。
ポゼッションサッカーを志向する両者の対決は、試合を通じて後方からのビルドアップの局面での攻防が続く展開となる。そんな中、慶大は立て続けに左サイドの裏を取られ、相手の攻勢に押され始めた13分、この試合で初めてゴールを守るGK中島の不用意なミスからボールを奪われ失点。先制点を許してしまう。その後は、相手の効果的な縦パスや両サイドの裏のスペースを使う攻撃にさらされるも、「体を投げ出してでも止める」と加藤楓琳(総3・常盤木学園)が語ったように、身を挺(てい)した守備で追加点を許さない。なかなかチャンスを作れなかった慶大は、38分に奥本くるみ(環3・浦和レッズレディースユース)が右サイドから中に切り込んで精度の高いクロスを上げるも、これは惜しくも小川に合わず。45分にはカウンターで山本華乃(理2・山手学院)が決定機を迎えるも、狙いすましたシュートはゴール左に逸れ、前半を0-1で折り返す。
後半開始からは、互いにチャンスが生まれない展開が続く。慶大は、62分に平田朋(環1・日ノ本学園)、68分に志鎌奈津美(環4・常盤木学園)を投入。前線からのプレスを強めていく。しかし、71分にディフェンス陣の連携ミスからボールを失うと、最後は強烈な弾丸ミドルシュートを叩き込まれ、点差を2点に広げられてしまう。攻勢に出ざるを得なくなった慶大は、志鎌の相手ディフェンスラインの裏を狙う動きなどでチャンスを作り、徐々に相手ゴールに迫っていく。すると87分、CKからオウンゴールを誘って1点を返すことに成功。だが、同点への機運が高まった矢先の89分に痛恨のPKを献上すると、これを沈められて勝負あり。このまま1-3で敗れ、ホーム開幕戦を白星で飾ることはできなかった。
大胆な布陣変更で臨んだ今節であったが、「淡々と勇気をもってビルドアップしていくのがうちの今の課題」と伊藤監督が語ったように、ビルドアップの場面でプレッシャーをかわせるか否か、そこの差が出た試合だったように思える。また、試合後に監督が繰り返し強調した、「失点後や敗戦後でもポジティブなオーラを持ち続けること」も今のチームに足りないところかもしれない。だがしかし、開幕二戦目の段階でこの2つの課題が明らかになったことを大きな収穫と捉えることも可能なのだ。思えば、去年もリーグ序盤に苦しんだが、一つ一つ課題を克服していくことで、最後には1部昇格を果たしているのである。若き荒鷲が“勇気”と“ポジティブなオーラ”を纏(まと)った時、慶大の逆襲が始まるのではないだろうか。
(記事:柴田航太郎 写真:岩見拓哉、桑原大樹、加藤夏奈)
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以下、試合後コメント
伊藤洋平監督
――試合を振り返って
前節の負けとは違う負け方だと思います。リスクを冒してチャレンジした結果での敗戦だったので次回に生かせそうな敗戦かなとは思います。
――ゴールキーパーに中島選手を起用した経緯は
(インカレ)ベスト4に行くということを掲げている中でそれを想像した結果、ちょっと今のままでは難しいと判断し、チームとして決断しました。
――その評価は
前半は素晴らしかったと思いますし、失点に直結してしまったんですけど、あれはキーパーのミスというよりフィールドプレイヤーとしてのミスというか。まだまだ、実際2,3日なんですけど、これからの目星はつきました。
――中盤でパスコースを探すシーンが目立ち、前への推進力に欠けた印象だった
まず、全体のミーティングで前に急ぐなという話をしました。この気候で90分間という試合を考えると、前に急ぐというよりも後ろで相手を走らせるという、それは全体としての指示を出しました。
――68分に志鎌選手を投入してから流れが良くなったのでは
後半20分で点差がそのままだったり、更に開いてた場合は前からいくという話をハーフタイムにしていたので、あの交代によって皆に気づいてもらえたらなっていうことでした。
――平田選手が前節に引き続き今節も出場しましたが
賢い選手なので、高校とは戦術が違うと思うんですけど、そこにすごくスムーズに溶け込んで自分の色を出せている。学年とかは気にしてないです。
――開幕2連敗ということでオフが短かったことなどが影響しているか
オフがどう影響しているのかは分からないですけど。まあ、勝ったり負けたりするし必然的に失点も増えてくると思うんですよ、1部だから。そこでどれだけ前向きにポジティブに、ポジティブなオーラを出しながら取り組んでいけるかっていうのがすごく大事だと思うんですけど、そこがやっぱ今のチームに足りてなくて、あっちは前からきたところで淡々と外しますし、自分達はそこでいってもしょうがないよって感じたと思いますし、うちは前からいったら蹴ってくれるし、やっぱ楽な相手だと思うんですよね。だからそこのポジティブなオーラを出しながら淡々と勇気をもってビルドアップしていくのがうちの今の課題。
――次節に向けて
何度も言うように、負けた後や失点の後の振舞いこそがチームの器だったりをはかると思うので、そここそポジティブにやっていきたいなと思います。
加藤楓琳(総3・常盤木学園)
――今日の試合を振り返って
キーパーを変えてから初めての試合で、ビルドアップをして自分たちが持っていれば、もっと支配出来ていれば失点する展開にはならなかったかと思います。
――今日の試合に向けて1週間どのような準備をしてきたか
本当に色んなことが変わったんですけど、キーパーもそうですし、周りの選手の意識という部分でも変わっていって、私自身も最後絶対に渡さないという所、体を投げ出してでも止めるという所であったりとか、そういう基本の所からやり直した1週間でした。
――監督から言われていたことは
ほとんどがビルドアップのことなんですけど、しっかりディフェンスとキーパー中心でプレーを立てて行くという所と、私が相手フォワードを外すという所を主に言われています。
――今日、個人的に良かった点
本当に基本なんですけど、絶対に渡さないっていう所とか、何が何でも止めるということは、熱くありながらも冷静に判断するという所は自分でも評価できるかなと思います。
――次節に向けて
もっとキーパーとの連携も含めて改善して、自分たちで支配できるような試合を作っていきたいと思います。