7月7日(土)、第17回早慶女子サッカー定期戦が開催される。今季、慶大ソッカー部女子はチーム目標に「早慶戦勝利」を掲げている中で、史上“初”の早慶定期戦勝利を目指している。そして定期戦を控えた今、大舞台に挑む選手、監督にその意気込みと思いを聞いた。
早慶定期戦まであと5日となった今回は、早慶定期戦特集第1弾として慶大の若き指揮官、伊藤洋平監督の単独インタビューをお届けする。伊藤監督にとって2度目となる早慶定期戦。昨年は0-1と、絶対女王・早稲田を相手に大健闘したもののあと一歩届かなかった。リベンジに燃える今年、伊藤監督はいま、どのようなことを考えているのか――。
【取材日:6月20日】
――まずは関東リーグ前期を振り返っていただけますか
開幕の早慶戦から始まり、まああの大敗で我々も大きな決断をしましたし軌道修正を加えながら、ただ一歩一歩本当に前に進んできた前期だったかなと思います。
右肩上がりに成長している
――監督就任2年目ということで、昨季と変わった点はありますか
ベースとなるサッカーは同じなんですけれども、やっぱりメンバーが異なりますし新しい1年生も入って来て、それに加えてやっぱり1部っていう舞台で少しリスクを考えながらとか、あとはより強固なディフェンスラインを突破するためにどうすればいいかというところに、昨年との違いがあると思います。
――しっかりと基礎を作るという作業の中、第6、7節で勝ち点4を得ました
それがまさしく右肩上がりに成長している証だと思います。
――前期を終えて現在7位、6位のジェフ千葉とは勝ち点4差という結果ですが、率直な感想は
終わってしまったことなのでしょうがないですが、勝たなきゃいけない試合もいくつかあったと思いますし、ただその負けがあったから今の自分たちがあると思います。
――右肩上がりの中、特に手応えを得た試合はありますか
東洋大(2△2)の試合と神奈川大(0●1)との試合ですかね。
――東洋大とのお話しがありましたが、「インカレベスト4」という目標を考慮しても、更には同じポゼッションサッカー対決ということでも注目されました。ここで善戦出来たことは、前期の締めくくりとして自信になったのではないですか
大学サッカーの中でも東洋さんは本当に素晴らしいサッカーをしていて、ポゼッションサッカーの代名詞みたいなところがあったんですけども、その相手に対して我々が更に質の高いビルドアップ、ポゼッションをできたことがやっぱり自信になりました。
――このチームはビルドアップの精度が1つ鍵となると思いますが、そこの部分の成長をどう見ていますか
うーん…難しいなこの質問は。まあ本当のことを言えば、GKからのロングキックという武器があることでよりショートパスが生きるようになったりするので、そこが非常に大きいと思います。
――第4節からは志鎌奈津美(環4・常盤木学園)選手が務めています
一番重要なポジションで、一番賢く、一番上手くなきゃいけないポジションなので、本当にチームの中心になってくるような選手というのを僕は求めています。
――関東学園大戦(2○1)後には、選手から「ビルドアップに加えて展開力」と言った言葉もありましたが、そこのところについて詳しく聞かせてください
ビルドアップの先にあるのが前進という過程なんですけど、その前進なくフィニッシュに行こうという傾向があったので前進のところを課題として練習したんですけど、まあその課題が展開力だったので、ショートパスを主体としながらどうやって逆サイドまでもっていくか、逆サイドまで持っていった時に数的優位を保つにはどうすればよいかというところを結構密に練習しました。
――伊藤監督が理想とするフィニッシュはどのような形でしょうか
右で始まったら左を経由して最後は中で決めるというように、できればペナルティエリア内までショートパスで入っていって崩すのが理想です。
ボールを持ってゲームを支配した上で泥臭く美しく勝ちます
――ここからは早慶定期戦についてお聞きします。改めて早大を相手にして、このチームの良い点と悪い点を教えてください
まず良い点は、歴史を変えようというみんなの気概が普段以上の力を発揮してくれるというところと、(悪い点は)やっぱりその負け癖が付いているというか、また負けるんじゃないかとか、もし負けるとしたら自分が戦犯になりたくないとか、そういった考えがよぎった時に逆に早慶戦は悪い方向に行ってしまうと思っています。
――昨年とは異なり、今年はリーグ戦で早大と対戦してから迎える定期戦となります
まあ関東リーグで定期戦の前に一回試合(後期第1節:0●4)があるので、それによってもまた変わってくるとは思うんですけど、あの時(前期第1節:1●9)から成長しているという実感がみんなにもあると思いますし、とにかくさっきも申し上げたように、勝つことだけを信じて負けた時の責任だとかそういうのを僕らが全部背負うので、選手には戦って欲しいなと思います。
――心理的な面が大きなウェイトを占めるということですか
そうですね。良い方にも悪い方にも転ぶ、それが早慶戦かなと思います。
――打倒早稲田に向けて何か策などは考えていますか
別に隠すつもりも秘策もないんですけども、ボールを持ってゲームを支配した上で泥臭く美しく勝ちます。
――カギを握る選手を敢えて挙げるとすれば誰になりますか
敢えてですね…結局全員なんですよね、敢えて…難しいんですよね、本当に全員なんですよね結局。その出てる人、出てない人全員なんです。
――選手達”全員”に期待することは何ですか
普段通りやって欲しいなっていうのが一番で、そのプレッシャーすら楽しめるような、そういう雰囲気作りをロッカールームだったりアップから準備していって欲しいなと思います。
――楽しむということがまず大事だということですか
そうですね。
――それでは最後に、悲願の定期戦初勝利に向け、ファンの方々に力強いメッセージをお願いします!
僕も中学から慶應にいましたし、また両親が早稲田なので、そういう過程で育ってきて、まあ早稲田に対しての敵対心ももちろんですが、リスペクトもしていて、良いところも分かっています。その上で、敵対心というのを持ってますし、本当にいよいよ勝つ時が来たかなと思っているので、自信はもちろんあります。だから、本当に色々な支えのもとで開催できている定期戦なので、是非その歴史が変わる瞬間というか、まあ試合の中でも構図が変わってくると思うので、早稲田と慶應の時代の潮目というか、それを直接目に焼き付けていただきたいなと思っています。
――ありがとうございました!
(取材:柴田航太郎 写真:高橋春乃)