【野球】秋季開幕前特集 Keep On GOING! ②瀬戸西純

秋春連覇を達成し、全日本大学野球選手権でもベスト4まで駒を進めた慶大野球部。慶大史上2度目の3連覇をかけた秋のシーズンに向けて、注目選手に話を伺った。あと一歩に迫った日本一へ、陸の王者の進化は止まらない。

日本一に向けて成長を続ける

―一つのアウトの重みを感じた―

秋季開幕前特集・第2回にお話を伺うのは瀬戸西純(政2・慶應義塾)だ。今春からショートのレギュラーに定着すると、一度もポジションを譲ることなく守り抜いた。既に六大学トップレベルの華麗な守備を誇る守備職人・瀬戸西に春に掴んだ自信と秋への抱負を伺った。

――春季リーグをチームとして振り返って

内野のレギュラーがごっそり抜けて守備の面でかなり不安がありました。でも、練習をして挑んで、出来過ぎと言えば出来過ぎかもしれないですけど、その練習が報われたリーグだったかなと思います。

 

――どういった点で充実さを感じましたか

守備ですかね。個人としても守備で使ってもらっていたので、ノーエラーを目標にやってきました。飛び込んでの一つのエラーだけだったので、守備の面ではしっかりとできたと思います。

 

――入れ替わった内野陣の連携などはリーグ戦を通していかがでしたか

オープン戦の時期はミスが多かったですが、そこで課題を出してリーグ戦に臨めました。ミスが無かったわけではないですけど、最小限に抑えられたのではないかなと思います。

 

――春季リーグに優勝を成し遂げられた理由はどのように捉えていますか

投手陣が頑張ってくれたのが一番大きいかなと思います。六大学のチームを2点以内に抑えるのは簡単なことではないので、出る投手が最少失点で繋いでいけたのがリーグ優勝につながったのかなと思います。

 

――チームの雰囲気などはどう感じていますか

4年生が素晴らしい代で、下級生の自分でもやりやすい雰囲気を作ってくださって、チーム全体の雰囲気もすごく良かったです。

 

――個人として振り返るといかがですか

良かったのは守備です。ですが、エラーがつかない細かな面でのエラーが自分では少し気になっています。例えばけん制のミスだったり、キャッチャーからの返球のカバーだったりをちゃんとしてればというのがありました。打撃面では、オープン戦に比べたら良くて周りからもよくやったよとか言われました。でも、まだ他のレギュラーメンバーに比べると成績も全然なので、これからもっと成長していきたいと思います。

 

――立大3回戦では逆転適時打を放ちました

なぜか自分にチャンスで回ってくることが多くて、そこで自分がチャンスをつぶしたりとかしていました。なので「ここでなんとか打ってやろう」という気持ちと、サポートメンバーとかもデータとかを取ってくれたりとかしていたので恩返しじゃないですけど、「ここで打たなかったら男じゃない」と思いながら打席に立ちました。たまたまいい所に落ちてくれて、素直に嬉しかったです。

 

――完全優勝がかかった早慶戦では勝ち点を落としてしまいました

単純に早稲田のピッチャーから全然点を取れなかったという感じです。チームの士気とかやる気とかはあったと思いますが、流れを掴み切れなくて、早稲田のピッチャーに実力を見せつけられたなという早慶戦でした。

 

―もっとレベルを上げないと―

 

インタビューに答える瀬戸西

――リーグ戦を通して好守が目立ちましたが、ご自身の中でベストプレーなどはありますか

自分がさばいたのは結構覚えているタイプで、三つあるんですけど(笑)。1個はファールゾーンのフライをダイビングキャッチしたプレー(立大1回戦)で、一歩目とか跳ぶタイミングとかを上手く計れたのが良かったです。2つ目が明大戦(1回戦)で渡辺佳明さん(政経4・横浜)の三遊間へのヒット性の当たりを、ポジショニングが上手くいって捕れたプレーです。もう1つも明大戦(1回戦)で、越智さん(達矢=経営4・丹原)のバウンドの打球が飛んできて、一発で放していいスローイングがいったので、春季リーグの中ではあの送球がすごくいいイメージで残っています。明大戦の時は、監督などからも「明治の打線だったら、ショートにかなり打球が行くから、お前のプレーで流れを持ってこい」というふうに言われていました。その言葉もあって気持ちも入りましたし、結果にも出て貢献できたかなと思います。

 

――全試合ショートでスタメンでしたが得たものなどはありますか

リーグの終盤にはいい意味で落ち着いて守れたと思います。逆に改善点と言いますか感じたことは、疲労のたまり方です。疲労のたまり方が結構大きくて、特に僅差の試合をした日だと4試合くらいしたんじゃないかというくらい疲労がたまっていて、リーグ戦ってこんなに神経使ってやってるんだなと感じました。1年の時も疲れはしていましたが、出るのと見ているのとでは全く違うなと気づかされました。

 

――1年次と比較して変わった部分や成長した部分は

一球に対する気持ちというか、一つのアウトに対する重みを林助監督からずっと言われていました。取れるアウトを取らないとそれで点を取られるとか、そういったことを春は肌で感じることができました。それを通して、練習での一球に対する取り組み方も変わったかなと思います。

 

――大学選手権ではベスト4まで勝ち上がりました

全然満足はできてないです。最後の試合も逆転打になったヒットがショートとレフトの間に落ちる打球でしたが、あの時に一歩目をミスしてしまって、記録上はヒットでしたけどショートのエラーだと思っています。あのワンプレーで試合が決まってしまって悔いが残っています。自分の実力も足りてないんだなというのを思い知らされた大会でした。

 

――日本一に足りなかった部分は何だと感じていますか

個々の力かなと思います。特に2年の嶋田(翔=環2・樹徳)と僕がもっとレベルを上げないとダメだなと思いました。個々の力があってのチームの結束力だったりだと思うので、その実力差で東北福祉大にはホームランを3本打たれて、やっぱり個々の力かなと思いますね。

 

――東北福祉大の個々の強さはやはり感じましたか

そうですね。一人ひとりのバットのスイングだったり、打球音だったりが違ったので、やはり差があるなと感じました。

 

――個人として、打撃面などではいかがでしたか

打てないなりに粘れたかなとは思います。四球も取れていますし、ヒットも打てました。リーグ戦を通して成長できて、その部分をしっかり出せたのは良かったと思います。

 

――この夏に重点的に取り組んだことは

打撃面では、根本的に考え方が違って、その考え方を他の選手に教えてもらいました。バットの軌道について、意識して練習に取り組むようになりました。守備は特別取り組んだことは無くて、冬からやり続けていることの精度を上げるようと淡々とやっていました。

 

――現時点で取り組みの成果はいかがですか

打撃は試合でもかなりいい打球を打てるようになってきているので、このままレベルを上げていければと思っています。守備だとオープン戦で1回送球のエラーをしてしまったんですけど、それ以降はしょうもないエラーはしていないので、しっかり守備もできていると思います。

 

――打撃面で考え方を教わったという選手は誰なのでしょう

河合さん(大樹=総4・関西学院)と渡部遼人(環1・桐光学園)です。夏のキャンプの夜のスイングで一緒にやって教えてもらいました。有意義なキャンプを過ごさせてもらいましたね(笑)。

 

―うらやましいなと思いました―

 

この秋も華麗な守備から目が離せない

――先日はオールスターもありました

他大学の人とは結構しゃべりました。同じ2年で出た法大の高田(孝一=法2・平塚学園)と同じ部屋で結構しゃべりました。立大の中川颯(コミ2・桐光学園)はもともと知り合いでしたけど、三井(健右=コミ2・大阪桐蔭)とかとも仲良くなれました。上級生も仲良く話してくださって、楽しいオールスターでした。

 

――高いレベルで試合をして得たものはありましたか

実力が足りていないという現実を突き付けられたので、まだまだダメだなという気持ちを得て帰ってくることができました。

 

――夏の甲子園で母校の慶應義塾高が出場しましたが、ご覧になっていましたか

見ていました。横浜スタジアムにも応援に行って、「烈火」を歌わせてもらいました(笑)。すごいですよね、甲子園出れて。

 

――見ていて印象に残った試合などはありますか

東海大相模戦で9回に生井が腕をつって、そこから渡部淳一に代わった試合はよく覚えてますね。あの場面で出ていく緊張とかも想像できましたし、そこでしっかりと抑える気持ちの強さとかもすごいなと思いましたね。

 

――母校が甲子園に出ているのをどういった気持ちで見ていましたか

うらやましいなと思いましたね。あとは、素直にかっこいいなと思いました。

 

――来年は甲子園出場メンバーが多く入ってくると思われますが

下山と宮尾がすごいというのは高校の時から知っていて、けどそれは今更焦ることでもなくて、分かっていたことなので、後輩にポジションを奪われないようにしていきたいです。

 

――現時点でチームと個人の状態はいかがですか

個人としては打球も徐々に良くなってきていて、打席でも守備でも余裕が出てきて、春よりも落ち着いてできてきているかなと思います。チームとしては、今「O5」といって5点以上取るのを目標にしていて、それもかなりの確率で達成できています。練習の雰囲気なども良くて、4年生や3年生を中心にやってくださっているので、いい方向に向いているなと思います。

 

――秋季リーグで注目してほしい部分は

ダイビングキャッチです。

 

――ノーエラーが一つの目標だということですが、他に数値的な目標などはありますか

春の打率が2割だったので、秋は2割5分を目標にやりたいです。あとは、出塁率4割ですね。

 

――3連覇がかかるシーズンになりますが、プレッシャーなどはありますか

プレッシャーとかはないですね。今連覇しているとは言っても、実力はやはり下だと思うので、僕の中では挑戦者だと思っています。

 

――最後に秋季リーグに向けて意気込みを

春季リーグは優勝しましたが、完全優勝を逃してしまったので、秋はどんな形でもいいので勝ち点5を取って完全優勝をできるように頑張ります!

 

――ありがとうございました!

この取材は8月29日におこないました。

(取材・重川航太朗)

♠瀬戸西 純(せとにし・じゅん)

慶應義塾高を経て、法学部政治学科2年。内野手。春季公式戦全16試合で失策わずか1つという安定感だけでなく「攻める」を掲げた華麗な守備で流れを作る。1㍍77、77㌔、右投両打

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