【ラグビー】タックルとキック処理のミスが響き完敗 Jr.選手権・明大戦

 

1対1で敗れ、慶大に苦しい展開が続いた

今季Jr.選手権2連勝中で好調の慶大。この日の試合は明大をホーム下田グラウンドに迎え入れて行われた。昨年の対戦では、慶大は0−45零封を喫している。それだけに今年は借りを返したいところであった。しかし今年は慶大にタックルやキック処理のミスが目立ち、1対1の勝負での弱さも出てしまう。結局明大のアタックに圧倒されると試合のテンポを握られて12−64で大敗。今年も雪辱を晴らすことが出来なかった。

10/9(土)13:00K.O@下田グラウンド

関東大学Jr.選手権カテゴリー1対明大戦 

得点
慶大 チーム 明大
前半 後半 VS 前半 後半
1 1 T 6 4
1 0 G 3 4
0 1 PG 0 0
0 0 DG 0 0
7 5 小計 36 28
12 合計 64
【得点者】(慶大のみ)

T=前9分木原、後1分位田

G=高田

出場選手
ポジション 名前(学部学年) 交代選手
1.PR 小田 基貴(商3)  
2.HO 渡辺 祐吉(経3)  
3.PR 平野 遊馬(環3)  
4.LO 佐藤 大朗(総3)  
5.LO 遠藤 洋介(環3) →後18分18. 南 善晴(環4)
6.FL 濱田 大輝(総2) →後0分19.茂木 俊和(理3)
7.FL 宮内 亮佑(総4)  
8.NO8 木原 健裕(総1)  
9.SH 宮澤 尚人(法1) →後16分20.郡司 洸太(法4)
10.SO 高田 英(経3) →後34分21.柴田 浩平(政2)
11.WTB 下川 桂嗣(商1)  
12.CTB 川原 健太朗(環1)  
13.CTB 柴田 クマール サンディープ(総4) →後25分22.岩淵 功太郎(法4)
14.WTB 位田 陸(法2)  
15.FB 武藤 拓也(総2)  
 

明大選手にタックルされながらも突破する柴田ク

 試合開始早々、慶大に暗雲が立ちこめた。慶大は試合開始早々にオフサイドを犯すと明大に慶大陣内でのラインアウトという好機を与えてしまう。すると明大は得意とするモールで押し込んできて、慶大はあっさりと1本目のトライを許してしまった。だが、9分には慶大が負けじと試合を動かす。敵陣でマイボールスクラムのチャンスを得てそこからフェーズを重ねると、CTB川原(環1)が相手選手を引きずりながらビッグゲイン。最後はNO8木原(総1)につないで右中間にトライを挙げた。SO高田(経3)のゴールも成功し、慶大は7−5と逆転に成功する。しかし、この後には苦しい展開が待っていた。15分に自陣で相手ボールラインアウトから展開され、慶大選手陣はタックルミスをし、明大に再逆転のトライを奪われる。ここからは悪い流ればかりが続く。慶大がペナルティを連発し、それによって相手にうまくエリアマネジメントをされ、自陣でのディフェンスに釘付けに。相手ボールでボールを回され、重さと速さに対応しきれずに立て続けに失点してしまった。前半終了までこの流れを変えることは出来ず、結局6トライを許して7−36で折り返した。

後半早々にトライを挙げた位田

 大量ビハインドで迎えた後半。慶大は「トライを取りにいこう」(川原)と開始直後から果敢にアタックを仕掛ける。すると1分、相手のディフェンスがノーマークだった右サイドを突いたWTB位田(法2)が抜け出して颯爽とトライを挙げる。このトライの後も、慶大はマイボールを継続しアタックを展開。後半序盤は明大という「大きい相手ばかり」(FL宮内ゲームキャプテン・総4)に対しても、スクラムでプレッシャーをかけるなど、セットプレーの良さも見られた。このまま反撃が続くかと思われたものの、15分ペナルティでチャンスを逸してからは再び明大ペースに。相手SOの巧みなキックを織り交ぜながらのアタックにより敵陣に入れず、自陣でディフェンスする時間が続く。さらに「チームとしても最悪だった」(FB武藤・総2)と生命線であるタックルも不調。簡単に相手に抜かれて前に出られてしまうシーンが相次いだ。22分には慶大がキックのキャッチミスをしたこぼれた球を取られ、そのままトライを決められるというこの試合を象徴するような場面も見られた。こうして慶大は前半同様完全に劣勢に立ち防戦一方に。マイボールを得ても、Bks陣が局面を打開することはできず、ノーサイド。12-64で悔しいJr.選手権初黒星を喫した。

蓋を開けてみれば「完敗という印象」(宮内)というように、結局相手に10トライを許し、5倍以上のスコアの差が開いてしまったこの一戦。慶大は明大のハイパントや相手Bksのラインを広く使ったアタック、バックスリーのスピードに翻弄され、「自分たちのラグビーが全然できない」(PR・平野・環3)ままだった。相手のキックとキック処理に対応できずに敵陣に攻め込む機会をあまり得られなかったことや、慶大の代名詞ともいえる、ローファストタックルができずにタックルミスを重ねたこともあり、ペースを握られたことが、惨敗という結果につながってしまった。しかし、「スコアほどの力の差はなかった」(田中監督)というように、ミスに次ぐミス、というものが防げていれば、このような結果に終わらなかった。また同日同会場行われたCチーム戦とDチーム戦ではいずれも明大に勝利しており、慶大蹴球部全体としてみると、決して希望と勢いを失ってなどいない。今日出た「タックルの成功率を良くすること」(武藤)と敵陣でアタックする機会を増やすこと、という課題を修正していけば、まだまだ強くなる。

次のJr.選手権の相手は早大。永遠の宿敵であり、セカンドフェーズに出場するためにも負けられない相手だ。Jr.選手権でのライバルとの対戦は11月13日。課題修正にかけられる時間は十分にある。次戦こそ再び「伝統の低いタックル」を体現する慶大が、そして「慶大ラグビー」が、見られるはずだ。

【ケイスポ的MOM】大敗の中でも孤軍奮闘のルーキー 川原

中軸として活躍する川原。対抗戦デビューも期待される

 終始苦しい展開が続いたこの一戦で輝いていたのは、名門・小倉高出身1年生CTBの川原健太朗(環1)だ。1年生ながらJr.選手権にこれまで3戦全戦にフル出場中で、すでに主力としての風格が漂っている。

Bksが1対1で止められるシーンが目立ったこの試合でも、明大選手と比べて遜色ない体格を生かした突破でチャンスを生み続けた。前半には相手選手を引きずりながらビッグゲインしてトライにつながる活躍。後半に劣勢に立ちチームが受け身になっていても「どんどん前に行こうと思って仕掛けていった」と果敢に前へ出た。さらには敗戦が濃厚となりチームが沈む中、大声で周囲を鼓舞。劣勢の中でも折れないハートの強さを見せた。

「全部のグレードにおいて慶應に貢献できるようなプレーができればいい」という献身的な姿勢とプレースタイルの持ち主に今後も期待が懸かる。

By Akane Takahashi

 

コメント

田中監督

(今日の試合を振り返って)ジュニア選手権をここまで2連勝してきて、相手は身体の大きな明大ということで、慶應の真価が問われる一戦でした。この前の対抗戦の筑波戦で敗れてしまって、あのときの一つの課題であった、陣地を取っていくということができなかった。エリアをしっかり取っていきましょうということと、明大の10番のハイパントがすごくいいので、その守備をしっかりしましょうということを意識しました。あとペナルティをしないということですね、ペナルティをしてしまうと、一気に自陣に食い込まれてしまうので。この3つを重点的な課題として臨んだのですが、テンポがつかみきれませんでした。というのは、中盤で反則を繰り返してしまったこと、それによってキックでテリトリーをとられてラインアウトからモールでアタックされてしまう。それよってペースをつかめずに失点を重ねてしまうということはありました。正直に言って、力の差はあまり感じませんでしたが、結局ボテボテに空回りして、タックルミスにつながったと思います。結局自陣に釘付けになってそこからスコアをとられてしまいました。それに、連続で失点してしまうと、どうしても切れてしまうということになったと思います。スコアほどの力の差はなかったと思います。ただやはり、慶應が一番大切にしなくちゃいけないローファーストタックルができなかったというのは一つの敗因だと思います。その敗因の中でまた挙げられるのは、ポジショニングをするのが少し遅かったというのはあるのではと思います。でも、ああいう試合になってしまうと、相手はどんどん勢いに乗ってしまうので、このあとビデオを観て修正改善をしていきたいと思っています。今日はこういう形で負けてしまいましたが、Jr.選手権はまだこれから、4戦目がいよいよ早大、最後が関東学院大、と続くので、その2戦で勝利をおさめて決勝トーナメントになんとか駒を進めていきたいな、と思います。Jr.選手権とは別に、今日はCチームDチームの試合がありました。前回の帝京大学との試合の時はこのC、Dチームが大敗をしてしまいました。あのときはJr.チームが感動的な勝利をおさめたんですが、C、Dチームは負けてしまい、それ以降彼らは本当に厳しい、コンタクトの練習を繰り返してきていました。本当に厳しいもので、「明大に勝つ」ということを目標にしてやってきて、今日C、Dチームが勝利できて、特にCチームは最後に21点差をひっくり返す逆転をしてくれたのは慶大のラグビーの光をまたひとつ灯してくれたな、と思いました。それからやはり努力は裏切らない、信念を持ってやれば必ずその努力は報われる、ということを彼らは体現してくれたと思います。それはグレードの下のチームの試合ではあったのですが、上のグレードのチームにも勢いを与えてくれた勝利だったと思います。Jr.選手権も敗れた試合ではありましたが、多くの収穫のあった試合だと思うので、これからまた上を向き、一戦一戦頑張っていきたいと思うので、応援よろしくお願いします。

FL宮内ゲームキャプテン

(試合前に意識していたことは)相手が大きい選手ばかりであると同時に、相手チームが僕たちの自陣で戦うことを得意としていたので、なるべく自陣で勝負していくことを意識していました。(振り返って)いつもなら止めていなければいけないところを止めきれず、点を取られて完敗という印象です。Fwd戦は)モールでとられたところもありましたし、前半は力でゲインされることが多くみられたので、たくさん反省するべきことがあったと思います。(後半の序盤は慶大がペースを握っているようだったが)後半の最初に慶大がトライをとれたことで、すごく良い流れになるはずだったんですけれども、そういうチャンスをつかみきれませんでした。日頃の練習が足りてなかったのかな、と思います。(具体的に足りなかった部分は)基本的なところかと思います。1対1で相手に勝つ、というところができていなかっったかと思います。(今日見つけた自身の課題は)もっとチームがピンチの時に、チームを引っ張ったり助けたりできるプレーができるようになりたい、とざっくりとした言い方ではありますが、そう感じました。(今後に向けて)足りないところがいろいろあるというのがこの試合でよくわかりました。足りないところを埋めていくのもそうですし、もっと自分の持っているいいところものばしてとにかく練習していこうと思っています。

PR平野

(今日の試合を振り返って)自分たちのラグビーが全然できない試合でした。僕たちが一番やらなきゃいけないことは、ローファーストタックルですが、それができなかったのが敗因かなと思います。(試合前に意識していたこと)ノーペナルティでいこうということです。やっぱり、ペナルティを犯してしまうと、モールとかで自陣に釘付けになってしまうので。でも序盤からペナルティが多かったので、良くなかったと思います。(Fwd戦を振り返って)前半はスクラムが良かったんですけど、後半はかなり受けてしまいました。この相手に勝てないと、他の相手にも勝てないと思うので。後半は相手のメンバーがかなり代わってきたのもあるのですが、かなり相手にトライを取られてしまって、みんなの気持ちがかなり落ちてしまったのが理由に挙げられると思います。(今日みつかった課題)一人一人のタックルをもっと修正していかなくてはいけないと思います。あと、もっとアタックの時間を増やせたかなと思います。(次戦に向けて)僕はスクラムの安定を求められて起用されているので、そのへんをしっかりしたいと思います。

SO高田

(今日の試合を振り返って)Fwdの劣勢は予想していたんですけど、陣地の取り合いのところで結構取られていて、そこが敗因だったのかなと思います。(どんなゲームメイクを意識したか)とりあえず敵陣に行くことを考えていて、ハーフウェイくらいでもキックして陣地を取ろうと思っていたんですけど、結構蹴り返されていて、自陣に釘付けのところが多かったですね。(今日のキックの調子は)調子自体は普通だったんですけど、相手がそれ以上に蹴れていてため陣地を取れていなかった。すぐに戦術を変えればよかったんですけど、変えられなくて結構点数を取られてしまった。(相手チームの印象は)Fwdが繋いで前進してくるのが多くて、そこでバックスリーも結構足が速くて、ゲインされていたなという感じです。(今後に向けて課題点は)小さいチームが大きいチームに勝ちにいくには、低いタックルと、一人で倒せないときにサポートをもっと速くする必要があるので、そこをしっかり練習していけば大丈夫だと思います。

CTB川原

(試合を振り返って)全体的にタックルに入れなかったこと、走れなかったことが敗因です。(タックルはフォーカスしていたか)慶應は昔から「伝統のタックル」と言うようにフォーカスしていましたが、今日は下に入れず上に入ってしまって、相手に走られて前に出られたりしてしまいました。(Bks陣が相手にゲインを許すシーンも多かったが)いつもに比べて相手のラインが広くて、ターゲットが定まりませんでした。自分自身も何度かタックルをミスしてしまいました。(アタックを振り返って)相手が前に出てこなかったので、その分自分が前に出られたと思います。今日は後半に入るとき5トライ差だったので、トライを取りにいこうと話していました。ディフェンスよりも、どんどん前に行こうと思って、仕掛けていきました。(チームとしての課題は)FwdとBksの統一感をもっと出すことだと思います。今日は組織として機能していなくて、FwdとBksではなくチームとして連帯感を持って動いていくこと。慶應の速いテンポに持ち込んでいけば、もっとやれたと思います。(試合前のプランは)明治がFwd勝負で来ると思ったので、キックを蹴って敵陣に入っていこうと話していました。ですが、相手のキック処理やキッカーが上手くて、敵陣にいけませんでした。そこでペースを崩してしまったと思います。(慶大のキック処理は)前半は敵陣にいこうと話していたんですが、後半はランで仕掛けていくように指示があったので、僕はCTBなんですが下がって何とかしようと切り替えていきました。ですが、明治の接点にやられてしまってターンオーバーを連発してしまいました。(ブレイクダウンについて)前回、帝京とやった時はプレッシャーを感じなかったんですけど、明治はボールの真上に仕掛けてきて、そこでターンオーバーをされてしまいました。(今後の抱負を)自分は一般で慶應に居させてもらっている身なので、どのチームでも最高のプレーをしたいです。全部のグレードにおいて慶應に貢献できるようなプレーができればいいですね。ジュニア選手権でも対抗戦でも出たいと思いますし、出るのならば勝って慶應の優勝に貢献したいと思います。

FB武藤

(試合を振り返って)慶応のプランでエリアをとって敵陣で勝負したいっていうのがあったんですけど、相手の10番がロングキッカーでエリア負けしたのと、普段は抜かれないようなところでインサイドブレイクして、自分たちのラグビーができなかったです。(明大への対策)相手のフォワードが重くて大きいことが分かっていたので、プレッシャーを受けずに、走らせて疲れさせたいっていうのがあったんですけど、自分たちがごてごてにまわってゲインされたりでもよおした策がうまくいかなかったです。(キック処理についての出来)長いキックに対しては問題なかったけれども、ハイパントに関して、僕たちの背の低い方のウイングが狙われていたのは気づいていました。相手のハイパントに関してみんなでカバーしようと心がけていましたが、相手のリアクションが早くてトライにつながれて、普段の練習からそういうことを気にしてやっていかなければならないのかなと思いました。(タックルについての出来)個人としてもチームとしても最悪でした。抜かれないところでインサイドブレイクされたり、抜かれないようなところで抜かれたり、一人目が外されて、相手の速い強いランナーに裏でほうられていっていうのが何度もあったので、今後改善していかなければいけないと思いました。(今後の課題)タックルの成功率が良くなかったので良くすることと、敵陣にはいってとりきるところを確実にとっていかないといけないというところです。(早慶戦に向けて)負けられない相手なので、今日の負けから多くのことを学んでいい機会になったと思うのでもう一度自分たちのラグビーを詰め直して絶対勝ちたいと思います。

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