第75回関東大学女子バスケットボールリーグ戦4戦目を迎えた慶大。小川佳凛(商1・長崎西)の先制点を皮切りに、中山璃音(文4・湘南)や網野梨加(環4・Irvine High)らが着実に得点を重ねる。網野が攻守に渡って躍動し、勢いを維持。後半も粘り強いディフェンスで上武大に流れを渡さず、最終スコア84―65でリーグ戦4連勝を飾った。
1Q 2Q 3Q 4Q 合計
慶大 26 18 18 22 84
上武大 15 18 18 14 65
◆慶大スターティングメンバー◆
F #4 中山璃音(文4・湘南)
C #5 網野梨加(環4・Irvine High)
F #7 河村さくら(文4・松陽)
G #10 岡部愛(薬3・仙台二)
GF #20 小川佳凛(商1・長崎西)
第1Q開始5秒、期待の新入生・小川佳凛(商1・長崎西)が果敢な切り込みでフリースローを獲得し、先制点をあげる。そこから網野梨加(環4・Irvine High)のインサイド、中山璃音(文4・湘南)のスリーポイントシュートなど、多彩な攻撃でリードを築く慶大。中盤にはリバウンドやパスカットを許し、上武大にじわじわと詰め寄られる展開もあったが、タイムアウトを挟んで冷静に立て直し、再び流れを引き寄せる。河村さくら(文4・松陽)のドライブを網野がフォローしてリングに押し込み、岡部愛(薬3・仙台二)のスリーポイントシュートが外れた場面では中山がすかさずリバウンドから得点に繋げるなど、各選手の連携で主導権を握り返した。終了間際には中山がこの日2本目となるスリーポイントを沈め、26−15と上々の滑り出しを見せた。

先制点をあげ存在感を放った新入生の小川
続く第2Q、固まった試合を動かしたのが網野の粘り強いプレーだった。立ち上がりには自ら得点を奪うだけでなく、立て続けに相手のシュートをブロック。さらに、鋭い読みと長いリーチでパスをカットすると、そのままドリブルでコートを駆け抜け、速攻からレイアップを沈めるなど、攻守での連続アクションがチーム全体に勢いをもたらす。その後も、網野がサイドラインぎりぎりでこぼれ球をつなぎ得点に結びつけるなど、ボールへの執着心が光った慶大。河村も豪快なドライブでファウルを誘発しフリースローで加点した。さらに、残り1分、中山が難しい体勢から背面シュートを決めてベンチを沸かせ、最後には再び網野がゴール下で押し込んで2Qを締めくくった。個々の粘りと集中力で主導権を渡すことなく、前半を44−33でで終えた。

攻守で活躍した網野
10点リードで折り返した慶大。しかし、第3Q序盤は立て続けに失点するなど、我慢の時間が続く。流れを変えたのは、野呂優子コーチもこの日のMVPに挙げた網野だ。開始3分にゴール下からチーム後半最初のゴールをあげると、続けてバスケットカウントを奪いフロースローも決める。さらに中央で自らカットしレイアップを沈め、約1分で7得点をあげてみせた。その後は両チーム点を取り合う展開となり、62―51で第3Qを終えた。

ハイタッチを交わす網野と河村
第4Q最初のゴールを決めたのはまたしても網野。岡部もスリーポイントで続き、序盤の主導権を握る。開始3分には網野が外したシュートを河村がリバウンドからミドルシュートを決めるなど、着実に加点。しかし中盤はシュートがなかなか決まらず、リバウンドも相手に奪われる場面が多く重苦しい展開に。それでも、堅いディフェンスで相手には得点を許さず、73―60となったところで慶大のタイムアウト。するとタイムアウト明け、中山がスリーポイントを決める。さらに河村はゴール下から背面シュートを入れるなど、再び慶大に流れが傾く。最後まで攻撃の手を緩めることなく84―65で試合終了。リーグ戦4連勝となった。

終始攻撃を引っ張った河村
1次リーグも残り2試合となった慶大は9月27日に明星大、28日に東洋大と対戦予定。東洋大は昨年2部から降格した強敵だが、なんとか勝利を収め順位決定戦に向け弾みをつけたい。
▼以下、試合後インタビュー
野呂優子ヘッドコーチ
――今日の試合に点数をつけるなら
100点と言いたいのですが、もうちょっとできたかなと思うので、「80点」。良かったところは相手に流れが傾きかけた時に、自分たちのディフェンスができたこと。逆に、オフェンスの時に簡単な凡ミスが続いて得点に繋がらなかった。それが繋がれば、今日のような苦しい展開ではなく、相手と30点、40点ともっと点差が開いて自分たちのペースで試合を運べたというのが反省点です。
――今日のMVPは
それはもう、5番・網野梨加(環4・Irvine High)です。彼女は40分ある中の20分程度試合に出てもらえれば良いかなという計算だったのですが、今日は本当に集中して頑張って35分以上出たのかな。それで自分の役割、リバウンドなりゴール下のシュートなり、ディフェンスの要になる役割をきちんとできたので、それはすごく良かったなと思います。今までに携わった中で1番最高のプレーだったと思います。
――次の試合に向けて(9月27日:vs明星大、9月28日:vs東洋大)
来週は2連戦でどちらも落とせない試合。明星大は侮れないチームですし、東洋大は2部から来た3部Aブロックの中で1番強い相手。しかしそこを倒さないと、入替戦や順位決定戦で戦うチームには勝てないと思うので、来週が1番の山場になると思います。慶應らしいプレーができたらなと思います。
#5 網野梨加(環4・Irvine High)
ーー今日の試合を振り返って
最初に小川佳凛(商1・長崎西)がシュートに行ってくれて、その入りの部分で「今日は勝てるな」という感覚がありました。試合前はすごく緊張していましたが、笑顔を保ちながら、良い雰囲気で最初から最後まで慶應の流れで試合ができたと思います。
コーチの方からも言っていただいたのですが、本当に「我慢ができた試合」だったなと感じています。ずっとうちに流れはあったと思うんですけど、シュートが入らない時間帯でもディフェンスをしっかり頑張って、粘れたことが勝利につながったのかなと思います。
ーー長い時間コートに立ち続け、序盤から身長を活かしたシュートやブロックなど存在感がありました。試合中に意識していたことは
今日は1対1の場面で「いけるな」という手応えがありました。シュートも序盤から入っていたので、自分のインサイドやコーナーからのドライブに相手があまり対応できていないと感じて、うまくいっていることは継続しようと意識していました。
ーーコーチが「今までで1番最高のプレー」と評価していました。ご自身ではその要因をどう分析されていますか
やはり気持ちの部分が大きいと思います。これが最後のリーグ戦なので、出し切ろうという思いが強くありましたし、もう失うものはないという覚悟で全力でプレーできたことが良かったのかなと思います。
ーー次の試合に向けて
土日の連戦で、日曜日の東洋大は格上の相手ですが、今日得た自信をそのまま次にもつなげて、また褒めていただけるように、しっかり頑張りたいと思います。
(記事、写真:本橋未奈望、大泉洋渡)