【ラグビー】高校日本代表経験者ウイングが慶明戦で魅せる個性 〜小野澤謙真×白井瑛人〜 対談後編/慶明戦100戦目記念 「明大スポーツ」新聞部コラボ企画

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 高校日本代表で過去にチームメイトだった小野澤謙真(環2・静岡聖光学院)と白井瑛人(明大、商2・桐蔭学園)。11月2日、ラグビーの聖地・秩父宮ラグビー場で行われる慶明戦100戦目試合を前に、外側からチームを前に押し上げる慶明WTB対談が実現。共闘した当時のエピソードから、大学入学後の奮闘まで。2人の全てに迫った。(取材は10月15日)

 *今回は「明大スポーツ」新聞部とのコラボ企画となっております。前編は明大スポーツ新聞部のWEBサイトに掲載されていますので、併せてご覧ください!

前編はこちらから!→https://meisupo.net/special/44704/

ーーお二人とも1年時から活躍されていますが、刺激を受ける部分はありますか。

小野澤(小):僕は夏合宿の筑波対明治の試合で、瑛人がハイパントをキャッチして抜けるシーンがあるんですけど、ちょうど夏合宿の時に、慶應のバックスリーも個人のスキルとしてハイパントをすごい練習しようって言われていて、その瑛人のプレーが、ちょうどいいプレーだったので、僕らも刺激を受けて練習したなっていうのがあります。

白井(白):自分のプレーと謙真のプレーを比べた時に、足の速さが全く違くて、僕がめちゃくちゃ遅くて。WTBは(トライを)取り切らなきゃいけないポジションだと思ってるので。そこに関して謙真はFBでもWTBでも、しっかり取り切る力があると試合を見ていて思ったので、自分には全然足りないところだし、やっぱ謙真から学ぶランコースも多くて、そこは今でも参考にしています。

 

ーー今季を振り返って印象に残っている試合を教えてください。

:対抗戦入ってからこの3試合やってきたんですけど、全部印象に残っています。どれも結構しんどい戦い方をしているイメージで、1回戦で筑波に負けてしまったことは自分の中で悔しかったですし、今のところ2試合連続でイエローカードを出して、序盤で結構苦しい思いをしているのが今の明治大学のラグビーです。そこに関しては、やっぱりチームの中で私生活とか練習の内容の質を全部もう1段階、2段階上げていかないと、全国大会優勝には遠いと思うので、ここからまだまだ成長しなければならないなっていう振り返りとともに、これからの試合も気を引き締めてやっていきたいなっていう風に思っています。

:僕も対抗戦3試合を振り返って、1試合目(青学大戦)は割と自分たちのやりたいプランで試合ができたんですけど、2試合目の筑波との試合で自分たちのプランがうまくはまってすごい前半いい形で折り返したんですけど、(後半は)相手にやりたいことをやらせてもらえない時間っていうのが長くあって、そこを修正しようって形で、この間の3試合目(立大戦)で自分たちのラグビーで出せた試合だと思ってるので、ここからもう1試合しっかり積み上げて、明治大学さんの時に一番いい試合ができるように頑張りたいなと思います。

ーーお互いのチームの印象を教えてください。

:僕は明治の印象は、セブンスユースでお世話になった先輩たちがたくさんいて、本当に個人スキルの全体の平均値がすごい高くて。慶應は大学から始める初心者の選手とかもいるので、それに比べても常にハイレベルでいい練習してるんだろうなっていう印象があります。この間、Bチーム同士の試合の時も、すごくスキルが高くて、コンバージョンのところも端からほとんど決めていて。僕はキッカーとしてすごい刺激を受けました。

:慶應さんはやっぱり泥臭いプレーと、目の前のことをしっかりやる印象です。当たった後もしっかり1歩ずつ貪欲に進むなど、そういった意思の強さであったり、筑波戦の前半の最後はトライセーブで終わったと思うんですけど、前半最後になってもしっかり守り切れる慶應さんの泥臭く、意思の強いプレーを見習いたいと思います。

 

ーーお互いの大学で負けてないと思うポイントを教えてください。

:さっき瑛人が言っていたように、僕らは泥臭いプレーだったり、常に走り続けるところで負けてはいけないなと思っています。明治の選手はFWも大きいし、BKもパワフルで、そういった中で比較的小さい慶應の選手がずっと1人1役じゃなくて2役も3役もやって、たくさん走って勝つというところは負けちゃいけないので、そこで勝負したいなと思います。

:僕は入学した理由の一つでもある選手の層っていうところは、やっぱ一応慶應大学さんには勝っているかなという風に思っていて。高校代表の人数であったり、U-20の人数であったり、そこに関しては明治は結構多い方だと思います。Bチームでもすごい選手が出てくるんだなっていうふうに高校の頃から思っていたので、その選手の層は明治の自信になってるかなという風に思います。

 

ーーお互いのチームに関して聞きたいことはありますか。

:慶應大学ってラグビーとか関係なくて、普通に頭がいい大学じゃないですか。そこに関して、ラグビーのセットプレーとか、自分たちの形みたいなのを、試合の前からしっかり分析して、これやろうって決めてるのか聞いてみたいです。

:アナリストで加藤聖郷くん(環3・桐蔭学園)がいるんですけど、女子代表に行ったりとか、そちらでも分析の方でも活躍してて、その分析班がまず(情報を)持ってきてくれます。そこにプラスアルファ、自分たちで考えることが大事なので、ミーティングを積み重ねて、極力相手がこうだから自分たちはこういう強みを出そう、あんまり相手に左右もされたくないので、分析をしながら自分たちのどの強みをぶつけるかを喋ったりはします。
じゃあ逆に(明大は)たくさんスキルフルな選手がいるし、僕らからすればみんなキャプテンできるような存在の選手が多いと思うんですけど、試合やる時には自分たちは今日こういう風に攻めていこうとか、話し合いはどのぐらいやるのかなっていう。ある程度決まっている明治のラグビーがあるのか、相手によって変えたりするのかは気になります。

:自分たちが基本的に軸としているのは、自分たちのプレーに集中しようというか、自分たち軸で考えようって。相手がどうこうじゃなくて、自分たちの強みをしっかり出していこうっていう。強みを出すためにはどういう攻め方をしたらいいのかっていう風には考えてて。でも、ミーティングに関してはみんなシャイで、実は話さなかったりするのは多いですね。基本的にはやっぱSOとかSHが基本的に話してるっていう感じです。

 

ーーそれぞれの大学で仲のいい選手はいますか。

:僕は結構いるんですけど、中でもセブンスユース(アカデミー)の時代から哲将は仲良くて。僕が本当にセブンスの時はマジで緊張してて、その時に哲将がすごく話しかけてくれて、そこから合宿を積み重ねていくごとにどんどん仲良くなって、今でも明治と試合があると哲将と毎回喋るんですけど、そういう感じで仲良くなりました。

:僕は慶應に知り合い多くて。諸田章彦は、小学校では違うチームだったんすけど、仲良くなったのは小学校からで、中学校で一緒のチームになって、高校も一緒でした。大学で分かれてしまったんですけど、高校の時に一緒に12、13番でCTBを一緒にやっていました。まさか優勝まで一緒のセンターっていう風には思い描いてなかったので、すごくうれしい思い出ですし、絆の深さはあると思います。

 

ーー仲のいい選手とのエピソードがあれば教えてください。

:哲将が一番面白かったのが、(高校日本代表イタリア遠征時に)ベネチアに最後行ったんですけど、その時に何か踊りをするっていうノリがあって。観光名所で哲将が毎回決まった踊りをして、それを最後自分で動画にしてみんなに送ってたんですけど、それがもうめちゃくちゃ面白くて(笑)。撮ってる時は音もないし、他の観光客の人もいる前で踊ってて、それがすごい面白かったです。瑛人覚えてるかな。

:覚えてる。

:BKの何人かにシェアしてて、めちゃくちゃ面白かったです。

 

ーー慶明戦は伝統ある試合ですが、他の試合と違いを感じる部分はありますか。

:慶應対明治は慶應が負け越してる部分はあると思うんですけど、昔から伝統とは言われていて、先輩たちが、僕も含めすごく緊張している印象がある試合です。本当に体格もでかい選手を相手に自分たちがやってきたことが出せるのか。去年もその緊張から試合の入りとかで一気に乗られてしまう部分があったので、今年の試合こそは入りで自分たちのラグビーをするっていうのを意識したいな。慶應対明治はそういう印象があるんで、あまり気負いすぎずに、チームもいい雰囲気で臨めたらいいかなと思います。

:去年の慶明戦に出て、観客の多さに驚きました。そこで慶應の方とか明治のご年配の方に、WTBなので、秩父宮(ラグビー場)は観客と近くて、軽い愚痴とか言われても聞けるぐらいのレベルで『白井行けよ』みたいな(笑)。その日はやっぱ気合入ってるなみたいな感じで聞いてたんですけど、ご年配の方だったので、明治としてのプライドとか、今までの伝統っていうのをすごい感じましたし、去年は試合の入りは良かったかもしれないですけど、試合通してだとそこまでいい試合はできていないと思うので、今年は厳しい試合が連続してますけど、立て直してしっかりと慶應さんに挑んでいきたいなっていう風に思います。

ーー慶明戦でそれぞれのチームで注目してほしい選手を教えてください。

:慶應で注目してほしい選手は同期の井吹勇吾(環2・桐蔭学園)です。明治はスクラムが強くて、そこで押されてしまうとなかなか厳しい部分もあるんですけど、彼は僕が出会った中で一番体が強くて、特にスクラムがめちゃくちゃ強いので、その部分でチームを引っ張っていってほしいなっていう期待があります。彼はスクラムだけじゃなくていろんなプレーもうまいんですけど、特にスクラムを見てほしいなと思います。

:僕は3年生の伊藤龍之介(明大、商3・国学院栃木)を注目選手にしてほしいです。圧倒的な司令塔っていう印象と、チームの雰囲気も上げてくれる。彼がいないと逆にチームに静かな印象を与えるぐらい、彼の存在はチームにとって大きいです。プレーでは見えてないところでも発言力は高いですし、プレーでもチームを安定させてくれる司令塔として注目してほしいなという風に思っています。

 

ーー相手チームで注意したい選手を教えてください

:注意したい選手は瑛人でお願いします。今年の売りとしてディフェンスの粘り強さっていうのはあると思っていて、彼は(トライを)取り切る力がすごいので、トライを取り切らせないっていうのが1つあって。慶應はディフェンスを伝統的にやってる部分もあるので、瑛人にトライを取らせないで、良い流れに乗って試合に勝てるよう頑張りたいです。

:僕は3人いて、1人目は謙真です。圧倒的なフィニッシャーなので、そこに関してはトライを取られないようにマークしていきたいです。2人目は井吹勇吾で、スクラムもそうですし、コンタクトのスキルが非常に高いです。3人目が廣瀬宇一朗(環2・桐蔭学園)っていう、(井吹と)もう一人のPRなんですけど、彼は努力家で高校の時から見てましたし、泥臭い臭いプレーとコンタクトも体も強い印象もあるので、スクラムも警戒していきたいです。PRと圧倒的なフィニッシャーである謙真をマークしていきたいなっていう風に思ってます。

 

ーー慶明戦でどんなプレーを見せたいですか。

:僕はランを見てほしいです。WTBとしてトライを取り切るところであったり、狭いスペースで前に出るところは自分の中でも譲れないし、試合に勝つためにも瑛人に負けちゃダメだと思うので、そこでしっかり勝って、チームにもいい雰囲気もたらせられるように頑張ります。

:ハイボールって言いたいところなんですけど、僕はハードワークを最近掲げていて、WTBでもずっと外にいるウイングだけじゃなくて、ライン参加とかアタックで順目に回ったり、オプションになるところを自分は最近意識してるので、WTBがそんなとこにいるんだっていうプレーを見せていきたいですね。

 

ーー慶明戦に向けて意気込みをお願いします。

:僕らはまず慶應の強みである前に出るディフェンスと、今年はBK陣が豊富なので、アタックでもどんどんアグレッシブに仕掛けるところを1年間やってきた。そこで明治を上回って、慶明戦に勝てるように全員で全力で挑みたいと思います。

:明治のラグビーとして、前に出るガツガツしたプレーはもちろんそうなんですけど、縦だけじゃなくてしっかり横にも振るラグビーであったり、直球だけの勝負じゃなくて、スマートに変化球も入れたラグビーを心がけて、チームが優位に戦えるようには明治として挑んでいきたいです。

 

貴重なお話をありがとうございました!

(取材:島森沙奈美、晴山赳生〔明大スポーツ新聞部〕)




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