天皇陛下と愛子内親王殿下がご観戦され、32年ぶりの天覧試合として大きな注目を集めた慶早戦。慶大応援席では試合前から大きな盛り上がりを見せ、優勝の瞬間を後押ししようと熱い声援が送り続けられた。しかし、あと1アウトで歓喜をつかむはずだった一戦は、最終回に暗転。慶大は痛恨の逆転サヨナラ負けを喫し、優勝決定は翌日へ持ち越しとなった。
5月31日(日)慶應義塾大学⚫️4ー5⚪️早稲田大学
〜試合概要〜
初回、2死満塁の場面で林純司(環3・報徳学園)が押し出し四球を選び、先制点を獲得。先発として登板した広池浩成(経4・慶應)は2回裏に本塁打を浴び、同点に追いつかれる。すると3回表、藤田一波(環1・智辯和歌山)のリーグ戦初安打で勝ち越しに成功したが、4回に再び同点に戻されるというシーソーゲームの展開に。6回表、1死二、三塁の場面で今津慶介(総4・旭川東)が一ゴロを放つと、その間に丸田湊斗(法3・慶應)の好走塁もあり2点を追加。7回からは鈴木佳門(経2・慶應)がマウンドへ。霜結太(国教2・マクレーン)に二日連続の本塁打を被弾し1点を追加されるも、その後はコントロール抜群の投球で2回を4奪三振。1点リードで迎えた最終回、前日先発の渡辺和大(商4・高松商業)がマウンドに上がるが、ワセダ打線に安打を重ねられ、逆転サヨナラ負けを喫した。優勝のゆくえは翌日以降の試合の結果を待つこととなった。
前日の試合で8―1と快勝した慶大。この日勝利すれば、2023年秋季リーグ以来となるリーグ優勝が決まる一戦。また、天皇陛下と愛子内親王殿下がご観戦され、32年ぶりとなる天覧試合としても大きな注目を集めた。
應援指導部による試合前企画ではファンファーレの紹介が行われた。2020年以降に制作された歴代ファンファーレが披露され、2023年に誕生した『ファンファーレ翠』や、まだ記憶にも新しい2025年の『ファンファーレ彩』などが神宮に響いた。『ファンファーレ翠』は今季、8回の攻撃開始時にも演奏されており、応援席を彩る楽曲として親しまれている。

さらに、次世代チャンスパターンメドレーも披露された。普段はメイン台に立つ機会の少ない2年生を中心とした下級生が応援指揮を担当。力強いリードで応援席を盛り上げ、優勝のかかる大一番を前に、会場の熱気を一層高めた。

この日は天覧試合に伴う警備体制のため、普段は陣中見舞いとして相手校の応援席へ赴いて球場内4箇所で同時に演奏する『早慶讃歌』を、自校の応援席で演奏するという異例の対応が取られた。早慶戦ならではの伝統行事が通常とは異なる形で行われた。
試合前から応援席の熱気は最高潮に達していた。1回表の塾生注目では、メイン台に立った部員が「今日皆さんがここに集まってくれた理由を私は知っている。優勝の景色を見るためだ」と呼びかけ、「この優勝の景色に立ち会えるのは2023年秋以来の65試合ぶりである」とスタンドを鼓舞。優勝への期待を一気に高めた。

その初回、2番・小原大和が左安打で出塁すると、続く今津慶介も内野安打を放ち、1死一、二塁とする。さらに一宮知樹(経2・八千代松陰)が一、二塁間を破る鋭い打球で好機を広げ、1死満塁。ここで林純司が四球を選び、押し出しで貴重な先制点を奪った。応援席では早くも大音量の『若き血』が鳴り響いた。

5回表の塾生注目では、「早稲田大学と聞いて何を想像されるでしょうか。私はエンジ色の稲を想像した。なので今日早稲田を食べるためにお赤飯を食べたいと思う」とユーモアを交えながら、「意外と粘り気が強いぞ。この粘り気が強い早稲田を倒すために『Blue Sky KEIO』行くぞ」と呼びかけ、応援席をさらに盛り上げた。

試合は終盤までもつれる展開となる。9回表、1死二塁の好機で横地広太が放った打球は二塁手が捕球し、一塁へ送球。判定はセーフとなった。際どい判定に早大・小宮山監督がビデオ検証を要求すると、スタンドは一瞬静寂に包まれる。検証の結果、判定は覆りアウトに。それでも慶大応援席は『ファンファーレ勝鬨』に続き、坪井代表の塾生注目から『ダッシュケイオウ』を展開。2死三塁と好機は続いたが、八木が放った左中間への大飛球は寺尾の好捕に阻まれ、追加点を奪うことはできなかった。

1点リードで迎えた最終回。優勝をかけたマウンドには、今季の慶大を支えてきた渡辺和大が上がった。応援席は総立ちとなり、エースに大声援を送る。しかし、先頭の代打・井櫻に二塁打を許すと、続く霜にも安打を浴びる。さらに代打・髙橋の犠飛で同点とされると、その後も四球で走者を背負い、2死一、三塁から德丸に中前適時打を許した。あと1アウトからの痛恨の逆転サヨナラ負け。優勝は翌日に持ち越しとなった。

試合後、神宮球場には『早稲田大学校歌』が響き渡った。歓喜に沸く早大応援席とは対照的に、慶大応援席には悔しさがにじんだ。それでもエール交換では互いに健闘を称え合い、天皇陛下と愛子内親王殿下もその様子をご覧になった後、球場を後にされた。
目前まで迫った優勝は、この日はつかめなかった。しかし、応援席が最後まで送り続けた声援は、確かに選手たちを支えていた。悲願達成へ。慶大は翌日の一戦に全てを懸ける。
(取材、記事:小野寺叶翔 取材:塩田隆貴、吾妻志穂、根本佳奈、山口和紀、神谷直樹、野田誉志樹、髙木謙)

