春の歓喜を力に、目指すはリーグ戦連覇、そして日本一。東京六大学野球春季リーグ戦で完全優勝を果たし、全日本大学野球選手権大会でも準優勝を収めた慶大。その戦いをスタンドから支えた應援指導部も、集大成となる秋へ歩みを進めてきた。坪井代表と久保副代表が、春の激闘や優勝の瞬間、パレードで得た喜びを振り返るとともに、春秋連覇への覚悟を語った。
坪井:僕自身が慶應義塾高校の野球部の出身で、高校時代の同期が大学でも野球を続けていて、彼らも4年生として最後の春季リーグ戦を迎えていました。彼らからラストシーズンに懸ける思いや、冬にたくさん練習を積んできたことも聞いていたので、その気持ちに応えたいという思いがありました。「スタンドのことは任せてほしい」と本人たちにも伝えながら、その責任感を持って臨みました。
久保:掲げていた目標としては、「初心忘るべからず」という言葉を掲げていました。具体的には、応援そのものを楽しむことを目標にしていました。もちろん、応援を楽しんだ先に結果がついてきたらいいなとは思っていたんですけど、一番大事にしていたのは、1年生の時に応援席で応援指導をした時の気持ちを忘れないことでした。4年生になって役割を任される立場になっても、みんなで応援を楽しめたらいいなと思って臨んでいました。実際に全日本選手権まで楽しんで応援することができたので、そういう意味では、目標は達成できたんじゃないかなと思います。

久保:春季リーグで一番印象に残っているのは、慶東戦の1回戦です。試合の途中まで僅差で勝っていた中、8回に「塾生注目」をやらせてもらい、そこから一気に得点が入って、そのまま勝利することができました。応援は必ずしも結果に結びつくものではありません。それでも、自分たちの気持ちが少しでも選手に伝わり、それが結果につながれば嬉しいという思いで日々応援しています。あの試合では、「塾生注目」をきっかけに応援席が大きく盛り上がり、その後、野球部の選手たちが得点につなげてくれました。
応援席の盛り上がりが選手に伝わり、それが得点へとつながっていく。自分にとって、それが応援の中で一番熱い瞬間で、その一連の流れを最も強く感じられたのが、慶東戦1回戦の8回以降でした。
坪井:慶明戦の3回戦です。1勝1敗で迎えた試合で、普段なら天王山と言われるカードが、もう2カード目で来てしまい、本当にこの試合の勝敗でリーグ戦の流れが大きく変わるなと思っていました。2回に吉開がツーランホームランを打って、4対2になったんですけど、そのホームランがすごく印象に残っています。高校時代にも、レフトスタンドのポール際に低い弾道で入る吉開のホームランを見たことがあって、その軌道とすごく重なりました。その時も最後の大会で執念を見せるような一打だったんですけど、今回も慶明戦という大事な試合で同じような一発を打ってくれて、「この試合はいけるな」と個人的に感じました。
そこからさらに得点を重ねて、最後は鈴木佳門がしっかり締めてくれました。点差は8点くらいありましたが、最後まで気を抜くことなく試合を締めくくってくれて、慶應の強さをすごく感じました。一つひとつの場面が本当に熱くて、「今年は優勝してくれるな」と確信した瞬間でした。

久保:2回戦は圧倒的に早稲田ムードだったと思うんですけど、1回戦はしっかり自分たちが勝っていましたし、3回戦では、それまで内野と外野に分かれていた人員が全員内野に集結して、春季リーグ戦と同じように、みんなで同じ応援席から応援できるというところを大事にしようと、野球サブ(応援担当)や応援企画責任者とも話し合って気持ちを切り替えることができました。
だから、3回戦はもう怖いものなしだなと思っていましたし、朝からみんなで団結して応援できる雰囲気があったので、本当に楽しかったです。
坪井:春季リーグでは月曜日の試合はずっと勝っていて、明治戦も法政戦も勝っていました。相手は手強かったですけど、「月曜日は絶対に勝つ」という気持ちがありました。確かに日曜日は早稲田ムードになってしまって、少し飲み込まれたような雰囲気もありました。でも、野球部がここまで積み上げてきたものやチームの強さを知っていたので、「野球部は絶対に切り替えて、自信を持って試合に臨んでくれる」という確信が自分の中にもありました。だからこそ、応援もそれに応えないといけないと思っていました。自分たちの方が早稲田よりも応援席に人が入るという自信もあったので、月曜日は初回から絶対に慶應の雰囲気と流れをつくっていこうという気持ちで切り替えて臨みました。
久保:ほっとした、というのが一番大きかったです。春季リーグを通してずっと勝ち点を積み上げてきて、最後も「あとここを守り切れば優勝」という場面だったので、ここまで積み上げてきたからこそ、絶対に勝ち切りたいという思いがありました。
優勝パレードや優勝祝賀会の準備を野球部の皆さんや関係者の方々、そして部内の優勝準備委員会のメンバーが進めてくれていたので、「絶対にここで勝たせなきゃいけない」というプレッシャーも感じていました。そういう中で勝つことができたので、本当にほっとしました。

坪井:本当にとてつもなく嬉しかったです。ほっとした気持ちもあったんですけど、それ以上に感情が爆発するくらい嬉しかったです。僕は9回裏、メイン台に立っていて、そこからベンチが見えるのですが、最後の守備では、ベンチの盛り上がりや選手たちの表情も近くで見ることができて、「絶対に大丈夫だな」という自信もありました。
そして勝った瞬間に後ろから紙テープが飛んできて、ベンチの選手たちが一斉にマウンドへ駆け寄っていく姿が見えて、本当に感情が爆発しそうになりました。本当は飛び跳ねて喜びたかったんですけど、そこは少し気持ちを抑えて、早稲田の選手たちも応援部も本当に全力で戦っていましたし、彼らへの敬意を忘れずに締めくくりたいという思いがありました。

坪井:1年生の時と違うなと思った点は、大きく2つありました。1つ目は開催方法です。1年生の時はコロナ禍だったこともあって、東京タワーから三田キャンパスまでのパレードを試合とは別日に開催していました。でも今回は、本当にさまざまな方々のご尽力があって、当日に神宮球場から三田キャンパスまで歩くことができました。コロナ以降ずっとできていなかったことだったので、本当にありがたかったです。それと同時に、優勝パレードは多くの方々の協力や、裏方の皆さんの地道な仕事があって初めて成り立つものなんだということも強く感じました。1年生の時はそこまで分かっていなかったんですけど、4年生になっていろいろな話を聞く中で、その大変さを知ることができたので、感謝の気持ちがすごく大きくなりました。2つ目は、自分自身が4年生として最後の春季リーグ戦を迎えていたことです。4年間、野球部と一緒に積み上げてきたものがあったので、その野球部と一緒に優勝パレードを歩けたことが、本当に嬉しかったです。
久保:結構な距離があるので、疲れていたら歩き切れるかなとも思っていたんですけど、それ以上に優勝の喜びの方が大きかったんだなと思いました。自分でもびっくりするくらいアドレナリンが出ていて、最後まで本当にあっという間でした。
坪井:今年の春は、コロナ禍以降の応援席を見ても、一番多くの方に応援席へ足を運んでいただけたシーズンだったと思います。毎試合のように慶應の流れや雰囲気をつくることができましたし、今回はいろいろな企画もリーグ戦の中で実施させていただきました。最近では初めての試みも多かったのですが、そうした企画も一緒に楽しみながら応援していただけたことが、本当に嬉しかったです。また、野球部の選手たちとも連絡を取る中で、「スタンドの声がしっかり届いていて、本当に力になっていた」という話をたくさん聞いていました。だからこそ、応援席に来てくださった皆さまのおかげで、春季リーグ優勝をつかみ取ることができたと思っています。
この感謝の気持ちをさらにパワーアップさせて、秋のリーグ戦では、より良い応援を皆さんにお届けしたいと思っています。ぜひ秋も応援席に足を運んでいただいて、一緒に春秋連覇を目指していけたら嬉しいです。
久保:私たちはあくまでも應援指導部であって、応援団ではありません。応援席に来てくださる皆さんがいて初めて、自分たちの理想とする応援をつくることができると思っています。だからこそ、本当に感謝しています。塾生動員企画責任者を中心に、飽きさせない応援席づくりや、さらに応援席の熱量を高められるような企画も考えています。ぜひ秋も応援席へお越しいただいて、一緒に熱い応援をつくっていただけたら嬉しいです。
ーありがとうございました!
(取材:小野寺叶翔、小林由奈)


