【バスケ】オーバータイムの末に惜敗。10位フィニッシュで大会を終える vs神大

 

権田離脱の影響を感じさせない、力強いプレーを披露した黒木。

権田離脱の影響を感じさせない、力強いプレーを披露した黒木。

 

長かった大会も、この日で最終日を迎えた。9位の座をかけて争ったのは神大。昨季もリーグ戦で鎬を削り合った強敵だ。来月に控える早慶戦に向けて勢いを付ける為にも、勝ちを目指した慶大。4日連続の激戦となったこの試合はオーバータイムにまでもつれ込んだが、僅かに届かずに悔しい敗北を喫することに。本大会を10位で終え、ライバルとの大一番である早慶戦に備えることとなった。

2013/05/10(土) @明治学院大学白金キャンパス
第62回 関東大学バスケットボール選手権大会 vs神大
  1Q 2Q 3Q 4Q OT 合計
慶大 14 17 28 18 11 88
神大 20 14 19 24 13 90
◆慶大スターティングメンバー◆
  選手名(#背番号・学部・学年・出身校)
PG #19 福元直人(環2・福大大濠高)
SG #4 蛯名涼(法4・洛南高)
SF #10 矢嶋瞭(総4・福大大濠高)
PF #23 黒木亮(環2・延岡学園高)
C #7 本橋祐典(環4・佼成学園高)

エースとして、最上級生としての責任感を感じさせるプレーを見せた矢嶋。早慶戦でも、彼の活躍には注目が集まる。

エースとして、最上級生としての責任感を感じさせるプレーを見せた矢嶋。早慶戦でも、彼の活躍には注目が集まる。

同じ2部リーグ所属の神大と相対した慶大。前日の国士館大戦で課題として挙がったゲームの入りを改善し、試合を優位に進めたいところだったが、立ち上がりは神大ペースの展開となる。慶大は、負傷の権田隆人(政3・慶應高)に変わってスタメンに名を連ねた黒木が奮闘。ミドルシュートやゴール下で得点し、チームを引っ張るが、神大のテンポ良いオフェンスを止められず。得点を取った直後のディフェンスで失点するなど、この日も入りで苦戦する。このまま行きたい慶大だったが、神大のシュートが外れ出し、そのリバウンドを確実に拾えるようになると、試合は徐々にイーブンに。福元のカットインや矢嶋のブレイクなどで立て続けに8点を重ね、14-11とリードを奪う。だが、そこから簡単なミスが目立ち始めると、自分達でリズムを崩し4分間の間無得点に。逆にターンオーバーから神大に速攻を出され、14-20と6点のビハインドを背負う。矢嶋のジャンプシュートで幕を開けた2Qも、イージーミスが目立つ展開に。自らでオフェンスの機会を手放してしまう、厳しい状況を迎える。ディフェンスでも、突破力のある1対1と的確な合わせのプレーを持ち合わせる神大に手こずり、フリーでシュートを打たれる場面が増えてしまう。それでも、1Qに引き続き神大のシュート精度が低い間に反撃。大元孝文(環2・洛南高)の3ポイントや黒木のカットインなど、2年生が奮起し苦しい時間帯を繋ぐと、矢嶋も3ポイントを決めて追撃。31-34と、3点差に詰め寄って前半を終える。

追い上げの立役者となった大元。勢いに乗った彼のプレーは、止めることは困難だ。

追い上げの立役者となった大元。勢いに乗った彼のプレーは、止めることは困難だ。

逆転を狙う慶大は3Qを矢嶋の連続ミドルシュートで始めると、ここから一気に波に乗って行く。その立役者となったのは大元。今大会を通じて納得の行くパフォーマンスを披露出来なかった若きスコアラーが、溜まった鬱憤を晴らすハツラツとしたプレーを見せた。速攻からバスケットカウントとなるレイアップを決めて逆転すると、カットインやフリースロー、味方へのアシストでオフェンスを牽引して見せる。その後、ルーズボールやリバウンドなど、球際で強さを見せ始めた慶大は、神大から多くのファウルを引き出すことに成功。このQだけで14本のフリースローを試投する機会を得るが、確率は8/14と6割を下回ってしまい、相手を突き放すことが出来ない。本橋や黒木らインサイド陣がリバウンドからのセカンドチャンスを確実に決め、点差こそ保つも、臨んだ試合展開にはならず。59-53と6点リードで4Qへ。その4Qは、時計が動き始めた瞬間から激しい展開となって行く。真木達(環2・國學院久我山高)、矢嶋のミドルシュートに加え、蛯名のスティールから矢嶋のレイアップが決まり、3連続得点を記録。更には、豪快にオフェンスリバウンドをもぎ取った蛯名がそのままセカンドチャンスを決めると、慶大ベンチも盛り上がりを見せる。しかし、ここから神大の猛追を受けることに。エースを中心に高い確率でシュートを決めて行くと、残り59秒を切ったところでアウトサイドシュートを決められ逆転。その後フリースローを1本決められ、残り20秒で2点のビハインドと、窮地に追い込まれてしまう。同点に追い付きたい慶大は、タイムアウト明けのプレーで大元がカットインからミドルポスト付近に侵入し、タフショット。これがネットをくぐり、77-77と同点に追い付く。続く神大のラストプレーもしのぎ、白熱の試合はオーバータイムへと突入することとなる。

迎えたオーバータイムも、一進一退の攻防に。矢嶋、本橋ら4年生が中心となって得点を重ねて行く慶大に対し、神大は外角のシュートを軸に得点して行く。だが、1点のリードを許したまま3分を経過したところで、蛯名が5つ目のファウル。チームを支えていた主将の退場で、慶大に暗雲が立ち込める。直後のプレーで大元が相手エースの退場を誘発したが、それでも神大の勢いは衰えない。試合を通してフリースローが入っていなかった慶大は、このQもフリースローを決められず、ジリ貧に追い込まれて行く。軌道修正を図りたい慶大はタイムアウトを取って仕切り直そうとするも、抱えたビハインドをはね返すことが出来ず。指揮官も語った通り、最後は「大事な所でフリースローが外れて相手はそれを決めた」(佐々木HC)差が大きく響き、88-90。あと1歩及ばず、試合終了の時を迎えることとなってしまった。

佐々木HCが今季から導入したディフェンスも、徐々に形となってきている。

佐々木HCが今季から導入したディフェンスも、徐々に形となってきている。

春の1つ目の山場であるトーナメントの結果は10位。強豪東海大に敗北を喫したものの、その後回った9~16位決定戦では大東大・国士館大といった強豪校達を見事打ち砕き、大会を通じて結果を残して見せた。不振にあえいだ京王電鉄杯とは打って変わって数々の接戦に粘り勝ち、強い慶大復活の可能性を感じさせてくれた1週間だったと言えよう。春から課題として取り組んで来たディフェンスでも、「少し実りそうだった」と佐々木HCが語った通り、完成系の一端を覗き込むことが出来た。その戦いぶりを見れば、「確実にチームは前進している」(黒木)と言い切ることが出来る、手応えを感じられる大会となった筈だ。だが、この日の試合のように、決めるべきシュートを落としたり簡単なミスを犯すことにより、自らの手で流れを手放してしまう場面が幾つか見られたことも事実。また、早慶戦前の大会で「ケガ人を出してしまった」(佐々木HC)ことは、チームにとっては大きな痛手だ。この先に控えるのは、春シーズン最大の関門である早慶戦。生涯のライバルである早大との、プライドを賭けたワンマッチだ。気合は十分。結果も手応えも得た。あとは、2年間負けて」(矢嶋)いる早慶戦で勝利し、歓喜の時を迎えるだけだ。

(記事: 大地一輝)

佐々木HC

学生には言ったんですが、大事な所でフリースローが外れて相手はそれを決めたので、その差ですかね。(3Qで差を広げられなかった原因は)フリースローと、オフェンスでガードが、人に対しての要求が多過ぎましたね。クロススクリーンだったりハイローだったりツーメンゲームだったり、やることは決まってる訳なんで、そのシチュエーションの中でシステマチックに出来なきゃいけないのに、出来てないです。もしそういう人がいたら、ボールを持ってる人がそれが出来る様に、動いたりスクリーンをかけたり、そういうことをやったらって言うんですが、動くだけで止まっちゃうんですよね。(その中で、大元選手が動き回ってチームを活性化させていたが)悪くは無いんだけど、大元の悪いところは、オフェンスでもディフェンスでも、スイッチが遅いんですよね。だからオフェンスでは、ボールから目が切れてしまったり、迎えに行かないことがあるので。2番3番の選手なんで、常にボールに対してプレーが出来ないと、アイツの役目はただシュートを投げるだけでは駄目ですね。(神大と戦って、ディフェンスでの収穫は)スキップパスに対して、もう少しプレーをしなきゃいけないですね。スキップパスを簡単に通されてるから、そこがディフェンスとしては、やろうとしていることが出来てないです。(今大会を振り返って収穫は)病人やケガ人を出してしまったので、僕に言わせるとゼロですね。ディフェンスでも、最後のゲームであれだけスキップパスを出されてはいけないです。少し実りそうだっただけに、残念です。(黒木選手がそのケガ人の穴を埋めたが)今日フルタイムで使ったのは、とにかくリバウンドを頑張らせないと、早稲田の大きい1年生と繋ぎで出てる選手が中々いいですし、二ノ宮も木村もいるので、4番5番が相当頑張らないといけないです。ガードの部分では、向こうの方がちょっと上ですが、そうは言っても差が出る程のものではないので。インサイドが頑張らないといけないです。そういう意味では、今日は黒木を意図的に使いました。あのフリースローを落としちゃったのはいただけないですが。結局ウチの選手達のウィークポイントは、自分のいいところを持続出来ないんですよね。プレー中に何か考えちゃうんだと思います。賢いんだったら、それを乗り越えないといけないです。(早慶戦に向けて)ただで負ける訳には行かないので、少し頑張らせようと思っています。今日みたいな試合はやらせませんよ。

[F] 矢嶋瞭(総4・福大大濠高)

今日は負けるゲームではなかったので、すごく悔しいです。ただそれだけです。(復帰後間もない公式戦だったが)このようなトーナメントでチームの一員としてプレーで貢献することができ、自分の役割というものを少しは果たせたかなと思います。(シュートを積極的に狙っていたが)自分の役割が点を取ることであり、本当はもっと中、外からやらなければいけないんですが、外ばかりになってしまっているところが今自分の悪いところですが、やはり打って得点を取るというのが自分の役割なので、そういうことを踏まえてシュートをけっこう打っていたというのはあると思います。(復帰前後の感触の変化は)大きくはないと思いますが、復帰する前と比べたら体力が足りなく、先生にも途中交代させてもらっている状態なので、40分間出る体力を早慶戦やリーグ戦に向けてつけていきたいと思います。(早慶戦に向けて)ここ2年間負けていて、本当に最後の早慶戦なので、やっぱり勝利して終わりたいなと思っています。

[C] 黒木亮(環2・延岡学園高)

権田さんが負傷してしまって、その代わりということで今日はスタートだったんですけど、試合前とかはリバウンドやディフェンスをしっかりやろうと決めて試合に臨みました。いいところは良かったんですけど、セカンドファールをもらってもフリースローを決めきれてなかったことが敗因となったと思います。(相手の印象について)神大は1人1人役割分担ができていて、うちと似た部分もあると思います。(10位で終わったことについて)1部校の大東に勝てたことが大きいかなと思います。あそこで勝ちきれなかったら去年のシーズンと全く同じでした。確実にチームは前進していると思いますし、去年負けていた相手に勝てたことがチームのレベルアップになっていると思います。(早慶戦に向けて)今日の試合であったら僕はフリースローを練習しなければいけないと思います。このあともちゃんと打って練習します。決めきれるシュートはあったと思うので、これで満足はしちゃいけないし、詰められる部分は詰めないといけないです。チームとしても勝負どころのディフェンスだったりとか、早稲田をイメージしてこれからの練習に取り組んでいかないといけないと思います。

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