【野球】薄氷を踏む勝利で首位浮上 東大①

10月6日(日) 慶大-東大 1回戦

唯一の打点をあげた横尾

唯一の打点をあげた横尾

前のカードで苦手の法大相手に勝ち点をもぎ取り、勢いに乗る慶大。今やチームの柱に成長しつつある加藤(政1)が、この日も力投を見せ6回途中を無失点に抑えた。それに応えたい打線は、3回に横尾(総2)の適時打で先制したものの、その後は好機を逃す場面が目立ち、結局得点はこの1点のみ。しかし、加藤の後を受けた白村(商4)も気迫の投球で東大の反撃を封じ、初戦を完封勝利で飾った。この結果、慶大が首位に浮上した。

 

 

 

慶大

東大

 

慶大:○加藤、白村-小笠原

東大:●白砂、出田-笠原

 

慶大出場選手

 

ポジション

選手名(学部学年・出身高校)

[7]

渡邊暁(商4・慶應)

 

H7

荒川(商4・慶應)

[6]

山本泰(環2・慶應)

[3]

松本大(環4・桐光学園)

[8]

谷田(商2・慶應)

[5]

横尾(総2・日大三)

[9]

齋藤(商1・慶應)

 

H

植田(商4・慶應)

 

R

近藤(環3・國學院久我山)

 

藤本知(環3・慶應)

[2]

小笠原(環2・智弁和歌山)

[1]

加藤(政1・慶應)

 

白村(商4・慶應)

[4]

牧野(商4・千葉東)

 

先発の軸として2勝目をあげた加藤

先発の軸として2勝目をあげた加藤

開幕カードの立大に続き、強敵・法大からも勝ち点を奪取し、視界に「優勝」の2文字をはっきりと捉え始めた慶大。5季ぶりの悲願達成に向けここでの取りこぼしは絶対に許されない。そんな中、慶大の先発マウンドを託されたのは、今季先発で抜群の安定感を誇る1年生右腕・加藤(政1)だった。

 

1回表の慶大の攻撃は、立ち上がり制球の定まらない東大の先発白砂から山本泰(環2)が四球を選んで出塁すると、ここまで打率4割と好調を維持している松本大(環4)がエンドランを成功させ一死一、三塁と先制のチャンスを作る。ここで今季から4番に座り大車輪の活躍を見せている谷田(商2)を迎えたが、白砂にタイミングを外されサードフライに倒れる。続く横尾(総2)も打ち取られ、先制機を逃した。

 

その裏のマウンドに登った加藤だったが、法大戦の疲れもあったのか「調子自体はそんなに良くなかった」と言うように150キロを超える豪速球は鳴りを潜め、西木のバントヒットと4番笠原の痛烈なライト前ヒットでこちらも一、三塁のピンチを迎える。しかし、成長著しい右腕はここでギアチェンジ。この日最速145キロの直球で有井を三振に切って取り、初回のピンチを脱した。

 

慶大は続く2回表にも、法大戦で勝負強さを発揮した齋藤(商1)が白砂の直球を完璧にとらえたセンターへの二塁打と、相手の牽制ミス、フォアボール

先発起用に応え、結果を残す齋藤(右)

先発起用に応え、結果を残す齋藤(右)

で一死一、三塁の好機を演出する。しかし、初回に引き続き叩きつけたり、なんとか外野まで運んで犠牲フライで1点をという姿勢の見られない打撃内容で、後続が連続三振を喫し無得点に終わった。

 

重苦しい雰囲気が流れ始めた神宮の空気を一掃したのは、やはり主砲のバットだった。3回表、二死から前の打席チャンスで凡退した谷田が左中間を深々と破る二塁打を放ち、今季試合を決める一打を何度も放っている横尾に先制のお膳立て。ここで横尾が期待に応える強烈なあたりのセンター前ヒットを放ち二走谷田が生還。主軸が慶大に先制点をもたらした。

 

加藤は本調子とはいかないが、変化球主体の配球に切り替えた小笠原(環2)にうまくリードされ、ピンチでは力のこもったストレートで押し切り東大打線を封じていた。だが、3回裏に引き続き4回裏も先頭打者を四球で出してしまい、盗塁などで二死二塁の局面を迎える。そして7番阿加多の放った打球は三遊間を抜けレフト前へ。慶大サイドが同点を覚悟したその瞬間、4回表に代打で登場し、そのままレフトの守備に就いていた荒川(商4)が猛然とチャージ。レーザービームがキャッチャー小笠原の構えたところに吸い込まれるストライク返球で本塁タッチアウト。ビッグプレーが飛び出し同点を阻止した。

 

バックの好守備にも助けられていた加藤は6回に死球と犠打で一死二塁の場面を迎えたところで、先日プロ志望届を提出したエース白村(商4)にバトンタッチ。加藤は5回3分の1を被安打4、6奪三振無失点という投球内容だった。しかし後を受けた白村は代わり端をレフト前に弾き返され一死一、三塁とこの試合最大のピンチで対するは5番有井。その初球スクイズを仕掛けられるもこれはファール。さらに4球目、東大は1塁走者を動かしてきたが、ここは小笠原が冷静だった。三塁走者がディレードスチールで本塁突入を狙っていることを察知しサードへ送球。挟殺プレーに持ち込みタッチアウトで二死三塁と局面は変わり、白村が有井から三振を奪って6回裏も0点に抑えた。

 

捕手をかわし生還する谷田

捕手をかわし生還する谷田

ピンチの後にチャンスあり、7回表には谷田、横尾が120球を超え限界を迎えていた東大先発白砂から連続四球を選び無死一、二塁とする。ところが、6回表に続いてまたもバントでランナーを進めることができず、後続も倒れ無得点に終わってしまう。

 

なんとか追加点を奪って投手陣を楽にしたいところだったが、9回表は松本大がこの日2本目のヒットを放つも谷田の打席で三振ゲッツー。結局1点差のまま最終回を迎えることとなったが、今日の白村には1点あれば十分だった。二死からヒットを許したものの「最終回は狙っていた」という三者三振で締め、カード初戦を完封で飾った。加藤は今季2勝目を挙げ、現時点で慶大はリーグ首位に浮上した。

 

 

1-0でなんとか勝利を手にすることはできたが、この試合は薄氷を踏む勝利だった。横尾の先制打は見事なものであったが、その他ヒットや9つあったフォアボールで毎回のように作った得点機はことごとく逸し、14残塁を喫した。自分が今打たなくてもどこかで点が入るだろう、1点あればピッチャーがなんとかしてくれるだろうという気持ちが打席で見え隠れしていたように思えてならない。執念で1点をつかみ取る、チャンスはすべてモノにするという姿勢が無ければ明日以降勝利の女神に見放されてしまう。山本泰やクリーンアップの3人をはじめ打撃状態の良い選手が多いだけに、今日はどこかもどかしい試合に映った。それに対し守りではピンチの場面での粘り強さが光った。白村、加藤の二本柱がチームをしっかり支えている。また、ノーエラーというのはピッチャーにとって心強いに違いない。好調な打撃陣、安定感を増す投手陣。優勝に向けてのラストピースはこの試合で欠けていた1点を必死になって奪い取りに行く気持ち、泥臭さではないだろうか。そのラストピースがはまったとき、優勝をぐっと手繰り寄せることができる。まずは明日の試合快勝することを期待したい。「慶應の逆襲」は、まだ道半ばである。

(記事 菅谷 滉)

 

選手のコメント

 

堀野 真主将(理4)

(今日を振り返って)なかなか思うように試合が動かなかったのは反省点ですけど、とりあえず勝てたので良かったです。(今日の試合も残塁が目立ったが)やはりここ一番でヒットが出なくて。監督も試合後におっしゃっていて。大事な場面で一本打つっていうのが足りないですね。(何か監督から指示などはありましたか)締まりがないから取るべきところで取れないという激を飛ばされたんで。明日の試合はもっとワンチャンスをものにしようというこれまでの僕らの戦い方をできるようにしていきたいです。(東大投手・白砂の攻略法などは)ストライク先行でいきたいというのは相手のバッテリーも思っていたと思いますし、前の試合見ているとランナーが出てから崩れていくことが多かったのでとりあえずランナーを出してからいろいろやっていこうとは思っていました。(明日に向けて)とりあえず勝つことは目標ですけど、もっと締め戦いをして、見ているお客さんに安心して見てもらえるように勝ちたいと思います。

 

白村 明弘(商4)

 (プロ志望届を提出したことについて)プロ志望届を提出してプロに進むことを表明したということで、自分的にも身が引き締まっていますし、しっかりとした姿を見せないといけないなと思うので緩いピッチングはできないので、まあでも今日抑えられたことは良かったと思います。(今日もピンチの場面での救援登板となったが)ピンチで出て行くこと自体そんなに負担にはならなくて、加藤があれだけ頑張っていたので何とか加藤の勝ち星を残してあげたいなと思ってしっかりと投げました。(その加藤投手に2勝目が付いた)勝ち星が付くことで、あいつが自信を深めていいピッチャーになってくれたらなと思います。(9回は3奪三振で試合を締めた)今日はちょっと流れが悪い試合だったので、最後は全部三振を狙って慶應にいい流れを引き寄せて明日の試合に臨みたいと思っていたので、良かったです。(明日に向けて)明日ももしかしたら今日みたいな展開になるかも分からないですけど、しっかり入りから皆気持ちを引き締めていって、今後に繋がるような展開にしたいと思います。

 

松本 大希(環4)

 (今日の試合を振り返って)終始、東大のペースで試合が進んでいて。法政戦をなんとか粘り強く勝ち点を取ることができて、そこでちょっとホッとしているというか、チームに隙があったんじゃないかと思います。(本日も複数安打で、開幕からの連続安打記録が続いている。好調の要因は)準備をしっかりとするということと、一打席一打席を集中するということをずっと続けてきて、それが今結果的に良い方向に向いているんじゃないかなと思います。(初回はしっかり右に打ってヒットエンドランを成功させた)あそこはできるだけ引っ張りたいなと思っていて、それが結果的にうまく体が残ってくれていい打球が打てたと思います。(チームとしてはなかなか得点できない苦しい展開に。原因は)監督も言っていたんですが、みんなが「東大戦なので、誰かが打つだろう」というような気持ちになっていたんではないかと思います。しっかりチャンスで、チャンスでなくても、打席に入った選手が「自分が何とかするんだ」という強い気持ちをしっかり持って打席に入れてなかったんじゃないかなと思います。(明日の試合への意気込み)僕たちは春5位ということで、もう一回僕たちは強いチームじゃないんだということを全員で再認識して、チーム一丸となって泥臭く東大にぶつかって、結果的にしっかり勝ち点が取れればいいなと思います。

 

荒川 健生(商4)

(今日の試合を振り返って)内容はともかく、勝てたので良かったです。(今秋季初打席でしたが)久しぶりのベンチ入りで緊張していたんですけど、まぁ結果は出ませんでしたが、守備でも1個いいプレーが出たので何とか最低限の役割は出来たかなと思います。(その守備ですが、非常に重要なプレーになりました)無我夢中で前に行って、アウトになったのであそこで0点に抑えることが出来たのは大きかったと思います。明日以降の意気込みをお願いします)今日1-0でギリギリの勝利だったので、明日もしっかり締まって試合に入れると思うので、明日はいつもの通りで勝ちたいと思います

 

 

谷田  成吾(商2)

(今日の試合を振り返って)こっちもたくさんミスしましたし、個人的にも打席の中でミスが何回もあったので、そういうのが溜まるとこういう厳しい試合になってしまうのかなと思います。(あわやホームランかという打球があったが)打った後に「あー、惜しかったなー」と考えてしまったので、そういうのがいけなかったなと反省しています。(東大ピッチャーの印象)コーナーをしっかり投げて、要所要所を抑えられていたので、次はチャンスのところで打てるように、しっかりやりたいと思います。(明日に向けて)こういう試合をすると後々響いてきてしまうで、明日はしっかり良い勝ち方をしたいと思います。

 

 

山本 泰寛(環2)

 

(試合を振り返って)点が取れず流れが悪かったんですが、投手がしっかり粘ってくれたので良かったです。ほっとしています。(火曜日までの法大戦の影響はあったか)間隔が短く調整が上手くできなかった部分があるので、今日また練習して明日を迎えたいです。(東大投手陣の印象)他大学に比べて球速が落ちますが、それをしっかり捉えなければいけないので明日からしっかり集中して勝ちたいと思います。(安打を放ったり四球を選ぶ場面もあったが)今日はあまり調子が良くありませんでしたが、その中でしっかり自分の役割を果たせたので良かったと思います。(明日に向けて)明日もどんどん初回から攻めて、自分の役割をしっかり果たしたいと思います。

 

 

加藤  拓也(政1)

(今日の試合を振り返って)調子自体はそんなに良くなかったんですが、試合に勝つことができて良かったと思います。(ロースコアの試合だったが)味方が点を取ってくれるまで辛抱強く投げることだけ考えていました。今日は結果的に1対0という形になったんですけど、ピッチャーが0点に抑えていけば負けることはないので、それを続けていきたいと思います。(先発登板が多いが疲れは)自分の中ではそんなに疲れは感じてないんですけど、微妙に投球フォームのバランスが悪くなってきているので、そこは修正したいです。(負けられない東大戦でのプレッシャーは)1試合1試合自分ができることをやっていくということを考えているので、プレッシャーは感じずに投げています。(次の試合へ向けて)これから全部落とせない試合が続くので自分ができることを1試合1試合やって勝ちたいと思います。

 

齋藤 大輝(商1)

(今日の試合を振り返って)1点差という苦しい試合だったんですけど、とにかく勝てたのでよかったです。(今日も二塁打を放つなど、状態はいいですね)そうですね、今いい感じで打てているので、これを少しでも維持できるように頑張っていきたいと思います。(前回の法大戦からの間隔が短かったり、試合が1日流れたりとしている中で、コンディションはどうか)試合が流れているのは3回目ということで、慣れているので、まあそんな間隔が短くてもしっかり準備できているので、その点では大丈夫だろうと思います。(明日へ向けて意気込みをお願いします)明日はもっとしっかりとした試合をして、もっと楽に勝てるように頑張っていきたいと思います。

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