「自信を持って打席に入れた」（藤本知）
「いい場面でヒットを打てた」（竹内惇）
―昨春はお二人にとってどんなシーズンでしたか
竹内 個人的にもチーム的にも、出来すぎたっていうシーズンでした。オープン戦とかは勝ったり負けたりで、自信というのはあまりなかったんですけど、リーグ戦が始まって１試合１試合するごとにどんどん自信になっていって、それで優勝に繋がったと思います。
藤本 監督が不在のなか自分たちで考えてやるっていうことが、やっぱり試合に出たと思うので、そこらへんが自信になって、楽な試合はなかったですけど、まあ粘り強くできたかなと思います。
最上級生野手・竹内惇（左）＆藤本知
―いつから優勝というのを意識していましたか
竹内 立教戦前くらいかな
藤本 明治に勝って…
竹内 早くね？
藤本 明治に勝って、あるかなって思ったんですけど…
竹内 俺は立教戦の前で、ちょっと優勝…
藤本 でも優勝は始まる前から意識してましたよ
竹内 そりゃ目指すってことではやっぱり
藤本 江藤さんが戻ってきて、竹内さんが入院されてて、やっぱり優勝しなきゃいけないなっていう気持ちはいつもより強かったので、意識していました。
竹内 個人的には立教戦前で優勝意識して
藤本 まあそんぐらいだよな
竹内 で、１回負けて、意識しないように
藤本 はははは
竹内 それで１回引き締めて、やりました。それが優勝に繋がったんだと思います。
―優勝を実感したときはいつですか
藤本 優勝したときは夢みたいな感じで、実感なかったんですけど、何日か経ってから、優勝したんだなって。
竹内 俺は優勝したときからすごい優勝した気分だった
藤本 マジで？
竹内 いや加藤（政２）が最後三振取って、そのときの歓声っていうのがもう人生でぶっちぎりのナンバーワンで
藤本 パレードやってるときとかは思いましたけど、試合終わってすぐは思わなかったです、僕は。でも惇は？
竹内 三振取った瞬間に、優勝した！って感じ。
―ご自身の活躍でも優勝に大きく貢献されましたが
藤本 自分のためにやったことが結果としてチームのためになればいいなと思ってたんで、それができてよかったですね。
竹内 成績っていうのはあんまり気にしてないんですけど、いい場面でヒットを打てたなっていう感じは春のシーズンはありました。
―竹内選手はMVPにも選出されましたが
竹内 まあ本当に、みなさんから票をいただいて、すごく嬉しく思います。
藤本 (笑)
―最終学年ということもあり、今年の春のシーズンを迎えるにあたって、今までと違った意識はありましたか
藤本 やっぱり今までは先輩がいたので、なんとなく、ついていくって感じだったんですけど、僕らが一番上になったんで、そういうわけにもいかないので、意識は変わりましたね。引っ張っていかなきゃいけないっていう意識にはなったと思います。
竹内 僕は、そんなに変えてないですね。本当に自由にやらせてもらっていて。杉山(コーチ・商４)とか、キャプテンの旭（商４）とか、副キャプテンの藤井（環４）とかが本当に一生懸命…
藤本 俺は？
竹内 藤本とかも、まとめてくれているので、本当に気楽にやらせてもらってます。
―特に今年の慶大は「打のチーム」を掲げていましたが、お二人のバッティングにかける意識はどうでしたか
藤本 キャンプ中もほとんどの練習がバッティングだったので、自信を持って打席に入れたのと、やっぱりクリーンアップ打たせてもらってるので、僕らが打ったら絶対チームは勝つと思っているんで、そういう意識ですね。
竹内 僕は６番なんで、別に打てなくてもいいかなっていうそれぐらいの意識で。
藤本 でも僕の後にこいつがいるんで、僕がアウトになってもまだ大丈夫だっていう気持ちは持たせてもらっていました。
―竹内選手は初めてレギュラーとして臨んだシーズンで、あれほどの活躍をする自信はありましたか
竹内 最初はちょっと緊張してたんですけど、東大戦でヒット１本打ってから気楽になって、それでどんどんヒットを積み重ねていけたんで、自信になりました。
―藤本選手は、竹内選手の活躍を見ていてどう思いましたか
藤本 そうですね(笑)、いい刺激をもらえたというか、同じ学年で、高校からも一緒にやってるんで、僕も頑張らなきゃいけないなって刺激になりました。
燦然と輝く背番号『１』藤本知
―藤本選手も、春は自身最高の成績を残されましたが、その要因は何だと思いますか
藤本 いろいろ考えすぎないっていうか、試合が始まったら、自分を信じて、っていう気持ちが強くなったので、そういうところですね。気持ちの面で強くなったと思います。
―今年の春はかなり減量して臨まれていましたが、その意図は
藤本 ちょっと体が重かったんで、無駄な体力を使っちゃうことが多くて、試合終盤になるとバテてたので、体絞ろうと思って、だいぶ頑張りました。
―その成果はどのように現れましたか
藤本 キレも出ましたし、試合の終盤になっても集中できるっていうのと、あと、早慶戦で、このコンビで、エンドランで僕が一塁から帰るっていう、あれはもう見ていただいたとおりです。
竹内 あれ速かったね
藤本 こいつがファールばっかり粘るんで、ちょっとイライラしてたんですけど
竹内 ふふふふ
藤本 あと２球ぐらい粘られていたらたぶんダメだったんですけど(笑)、ちゃんと決めてくれたんで、ホームに帰れました。
―お二人は高校の頃からチームメイトですが、お互いの第一印象は覚えていますか
竹内 初めて会ったときは、ほんとに一言で、怖いなって感じで
藤本 それさあ、違うでしょ(笑)。もっといいこと言ってよ
竹内 違う違う、第一印象第一印象。
藤本 ああ
竹内 でもほんとに、仲間思いで、練習熱心で、チームで一番バット振ってるんで、ほんとに尊敬していて、刺激をもらってます。
―対して藤本選手は
藤本 初めて会ったときは…
竹内 いいよ何でも
藤本 ぶっちゃけ、「大丈夫か？」っていう(笑)。野球になると人が変わって、ちゃんと後輩を引っ張ってっいたり、声出したりしてくれるんで、野球のときは頼りになります。野球のときは。普段は、「大丈夫か」って(笑)。「ほんとにこいつが？」みたいな感じなんですけど、野球になるとほんとにすごいと思います。そこを尊敬してます。
―仲のよさそうなお二人ですが、一緒にどこかに行ったりはしますか
竹内 最近は二人で、ハマトラ(日吉のラーメン店)行ったな
藤本 二人でハマトラ行きました
竹内 ふふふふ
―お互いの長所は何だと思いますか
竹内 それは、バッティングですね。あの早慶戦の第２戦の、０－４から打った２ランとか、あれがあったからこそ逆転できたと思うし、そういう一発が頼もしいです。
藤本 守備と、ヒットも長打も両方打てるっていう怖さがあるバッターだと思うんで、そういうところが長所だと思います。あとまあ、いい意味でのんびりしているところが、いいと思います。見習いたいです。
―お互いの春のベストプレーは何でしょう
竹内 それは、あれでしょ。早慶戦１戦目の、あのダイビングキャッチですよね。
―見ていてどうでしたか
竹内 いやもう抜けたと思ったので、中継に急いで入ろうと思って一生懸命走ってたんですけど、「と、取った」って(笑)。
藤本 (笑)
竹内 ほんとに信じられなかったです。あれ取ってくれたんで勝てたと思うので。
―藤本選手はご自身であのプレーを振り返って
藤本 まああれが、体を絞った成果ですよね。
竹内 はははは
藤本 プレーに出てると思います。
―竹内選手の印象に残るプレーは
藤本 やっぱりあの、有原（航平・早大）から打ったホームランですね。僕、２塁ランナーだったんですけど、なんとなく打ちそうだなって思ってたら、ほんとに打ったんで、やっぱり「やってくれる男」だなって思いました。
―あの打席振り返って
竹内 あんまり覚えてないんですけど、とにかく見逃し三振はしないように、振りにいってダメだったらダメでしょうがないっていう感じだったんで、それがいい形で、ああやって打てたんで、ほんとに嬉しく思います。
「しっかり打点稼いでピッチャーを楽にする」（藤本知）
「チームが優勝することだけ考えている」（竹内惇）
―では春のシーズンを終えて、夏の間にキャンプなどで重点的に取り組んだことは何ですか
竹内 僕はもっとバットスイングをして、スイングスピードを上げるっていうのを意識しました。普段よりも重いバットを振って、速いボールに振り負けないっていうことを意識して過ごしました。
藤本 僕もまあ一緒ですね。しっかりフォームを固めることと、もう一段階スイングスピードを上げるっていうのを意識してやっていました。
勝負強さが光る竹内惇
―現在オープン戦などをやっていて、その成果が現れている感触はありますか
藤本 ないっす。
竹内 はははは
藤本 ぶっちゃけ(笑)。
竹内 まあ、オープン戦で、そんなにヒットは打ってないんですけど、１試合に１本程度は打てていて、それもまあいい形で打ててるんで、成果はちょっと出ているかなという感じですね。
―この夏はお二人とも六大学野球オールスター戦に出場されましたが、他の大学の選手と交流はありましたか
藤本 ホテルの部屋が違うチームの人と一緒で、それが岡部（通織・立大）で、中学から知っているので僕は別にあれなんですけど。普段敵同士ですけど、ああやって試合が出来て、高いレベルで色んな技術とかを見れましたし、良かったです、そういう意味では。
竹内 僕は、人見知りなんで、あんまりしゃべらなかったです。
藤本 交流しなかったらしいです。
竹内 相部屋の石田（健大・法大）投手とちょっとしゃべったくらいです。
藤本 結構お前しゃべってたやん
竹内 しゃべったけど、特別はそんななかったです。
―オールスター戦のときに、石田投手が竹内選手のバッティングフォームのマネをしてるのを見たのですが
竹内 え？
―ベンチのすぐ横で試合を見ていたんですけど、合間に他の法政の選手と二人で、目の前でやってて、多分あれは竹内選手のフォームだと思います
竹内 …嬉しい。
―いよいよ秋はラストシーズンとなりますが、今のお気持ちはどうですか
竹内 まあ春のシーズンとそんなに変わりはないんですけど、とにかく、連覇するということを目標にしてやってるんで。春秋連覇っていうのは慶應であんまり最近ないと思うんで、それを監督不在の中でやるということがもし達成できたとしたら、相当後に残ることだと思うので、それを達成したいと思います。
藤本 調子がよくても悪くても、今自分ができることだけを考えて、しっかり戦っていきたいです。
―春秋連覇を達成するために、ご自身の役割は何だと考えていますか
藤本 打つことですね。しっかり打点稼いで、ピッチャーを楽にしてあげるっていう。守備はまあ、できることをするっていう、それだけです。
竹内 守備はほんと、チームに迷惑かけない程度に頑張って
藤本 ほんとそれだよね(笑)
竹内 それで打撃はまあ、１試合に１本くらい打てれば、あとはクリーンアップがなんとかしてくれるんで
藤本 一日一善で頑張ります。僕そういうの思ってやってるんですよ。一日一善で、いいところで一本っていう。そうだよな？
竹内 そうだね。
共同で色紙を書いていただき…
―お互いに期待するプレーはありますか
藤本 豪快なバッティングと華麗な守備に期待してます、僕は。
竹内 とにかくホームランを、何本も見たいですね、藤本君の。
―個人の具体的な数字等の目標はありますか
藤本 数字とかはあんまりこだわってないんで。ほんとにもう、チームが勝てればいいですし、最後なんで、楽しめればそれだけで十分です。
竹内 ４年になるとほんとにもう数字とか関係なくて、チームが優勝することだけ考えているので、優勝することですね。
―最後に応援する方々へメッセージをお願いします
藤本 応援してくれる方々がいてくれたからこそやっぱり春優勝できたと思うので、パレードとかして、喜んでくれる顔を見て本当に僕ら嬉しかったので、もう一度できるように頑張るので、応援よろしくお願いしますと伝えたいです。
竹内 早慶戦のあの盛り上がりっていうのは、優勝がかかってないとありえなかったことなので、早慶戦であのくらい盛り上がれるように、優勝かけて、最高の早慶戦にしたいですね。
藤本 それ以外は？早慶戦だけ？それ以外もじゃね？
竹内 …そうですね、とにかく、頑張ります。
藤本 はははは
―お忙しい中、ありがとうございました！
（取材 堀越ゆかり 脇田直樹）
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