【フィギュアスケート】魅せた主将の意地 栁澤が最初で最後の優勝! 東日本学生選手権①

 

Cクラス女子で優勝した栁澤(左)と棟尾(右) 二人合わせて団体優勝!

Cクラス女子で優勝した栁澤(左)と棟尾(右) 二人合わせて団体優勝!

 

10月18〜19日、東大和スケートセンターにて第8回東日本学生フィギュアスケート選手権大会(東インカレ)が行われている。来年1月に開催される、第87回日本学生氷上競技選手権大会(インカレ)の代表選考会でもある今大会は、選手たちにとって重要な大会だ。18日にはB・Cクラスの競技が行われ、慶大からは5名が出場。個人競技でありながらもチーム一丸となって“インカレ出場”を目指す仲間どうし、全力で応援する選手たちの姿が印象的な一日であった。

 

Cクラス男子

・富田雄登(商2) 37.36点 準優勝

 

Cクラス女子

・栁澤薫(総4) 38.99点 優勝

・棟尾観月(文1) 32.03点 8位入賞

 

Bクラス女子

・奥山未季子(環3) 49.86点 9位

・鈴木伶奈(環3) 43.53点 17位

 

日々成長していく富田

日々成長していく富田

 Cクラス男子の富田雄登(商2)が慶大の先陣を切った。約半年前から練習に取り組んでいるプログラムの仕上がりを、インカレに向けてここで確認したいところ。曲が始まると、ジャンプを両足で着氷したり、スピンでバランスを崩したりなどのミスがいくつか出てしまう。「全体的にエレメンツが入らなかった」と振り返ったが、客席の手拍子も力にして、柔らかな表情でステップを刻む場面も見られた。終わってみると、結果は6月に行われた関カレと同様の準優勝。慶大から出場したCクラス男子の選手は富田のみであったが、一人の力で団体2位にも輝いた。この結果に「正直ちょっと驚いている」。インカレというさらなる大舞台では、今大会の経験を胸に、自身も納得の演技で結果を残してほしい。

 

 

 

一昨年、昨年の東インカレはともに3位

一昨年、昨年の東インカレはともに3位

 Cクラス女子に登場した栁澤薫(総4)が、この日大きな輝きを放つ。「主将として結果を残さなきゃ」。10月5日のシーガルカップではミスが続き7位に終わったことで、演技後半に入れていた3連続ジャンプを冒頭に入れ変えるなどの工夫をして今大会に臨んだ。リラックスした表情で、ジャンプ、スピン、ステップなどを次々とこなしていき、『タイタニック』の世界観を表現。まとまりのある演技を見せ笑顔でフィニッシュすると、リンクサイドで見守っていた他の選手たちからも大歓声を浴びた。結果は見事優勝。4年生の栁澤にとって、自身最後の東インカレを初優勝で飾ったことは、大きな喜びとなったであろう。シーガルカップでの悔しさをバネに栄冠を手にした栁澤のあきらめない姿勢は、後輩たちの目にもしっかりと焼きついたに違いない。

 

 

拍手をもらったスパイラル

拍手をもらったスパイラル

 同じくCクラス女子に棟尾観月(文1)が出場。手先にまで気持ちを込め、優雅に舞う。6月の関カレでは両足で着氷することの多かったジャンプも、今大会では一つずつ丁寧に跳んでいたように見受けられた。とりわけ演技後半、ちょうど部員たちの目の前で2回転ループを決めると、大きな拍手と歓声をもらう。「周りの声援が本当に嬉しかった」という棟尾は弾けるような笑顔を見せ、その後の3連続ジャンプ、アクセルジャンプも決めていった。途切れることのない華麗な演技であったが、最後の技であるレイバックスピンで転倒してしまって苦笑い。結果は、東インカレ初出場ながらも8位入賞となった。健闘した棟尾と栁澤の成績を合わせ、慶大はCクラス女子団体で優勝に。インカレでもCクラス女子二人の活躍に期待だ。

 

 

 

 

アップテンポで、観る者を楽しませる『シカゴ』

アップテンポで、観る者を楽しませる『シカゴ』

 Bクラス女子には、まず鈴木伶奈(環3)が登場。演技前、部員一人ひとりと握手を交わし、力をもらって演技に臨む。『シカゴ』の音楽が鳴り始まると同時に、これまで以上に指先にまで気を遣い、色っぽい雰囲気を作り出していく。6月の関カレとはジャンプ構成を変えて、全体的にスピードに乗った演技を披露。だが、「いつもどおりきれいなジャンプが跳べなかった」と反省点を口にした。結果は37名中17位。一昨年は5位、昨年は4位という結果と比べると、本人にとって決して満足のいく結果ではなかったかも知れない。滑るのは今季が最後という『シカゴ』のプログラム。ラストの『シカゴ』に向けて、次の大会である交流戦(11月3日)で、ますます磨きあがった演技が見られることに期待したい。

 

 

 

身体全体を使って舞う奥山

身体全体を使って舞う奥山

 18日、慶大のトリを飾ったのは奥山未季子(環3)。ブルーの衣装を身にまとい、新プログラム『レ・ミゼラブル』に挑んだ。ドラマチックな音楽に合わせて堂々と披露するスケーティング。後半、2回転ジャンプで2度の転倒はあったが、いつにも増して終始笑顔を絶やさず滑っていたのは、奥山本人も「引退のときに使いたいとずっと思って」いたお気に入りの音楽ゆえだろうか。結果は9位。37名という出場者最多であるBクラス女子において、上位に食い込んだ。「空気感を作れるような選手になっていきたい」。奥山らしい世界観を、多くの人に愛されている名曲『レ・ミゼラブル』に吹き込み、完成形へと導かれる日が待ち遠しい。

 

(文:窪山裕美子、写真:須佐奈月)

 

 

富田雄登(商2)

富田は個人・団体ともに準優勝

富田は個人・団体ともに準優勝

(今日の演技を振り返って)全体的にエレメンツが入らなかったのが非常に残念です。普段の練習よりも失敗した部分があったので、さらに練習しなきゃいけないな、と改めて実感しました。(関カレの演技と比較して)全体的にスケーティングの技術としては向上しているかな、と自分としても思いました。だけど、エレメンツの一つ一つをもっと丁寧に、プログラム中でしっかりと確実に決められるようにしないと、ボロボロな演技になってしまうと思いました。(ステップでの優しい表情が印象的だったが、心がけたことは)まずはしっかり滑るということです。合宿中に部員全員でビデオで反省会をしたんですけど、そのときにいろいろな部員から言われたことを一つ一つ意識しました。例えば目線を上げることを注意しました。(その合宿では特にどのような練習を)氷上の時間はやっぱり限られているので、陸上の時間をしっかり使って、タイムトライアルで持久力をつけたり、筋トレをしっかりしたり、演技につながるようなトレーニングをしました。(2位という結果については)正直ちょっと驚いています。あまりエレメンツが入っていないプログラムになってしまったんですけど、スケーティングでもしかしたら補えたのかな、と思いました。(今後の抱負を)インカレまでまだちょっとありますが、そこまでに今回ミスしてしまったところを中心に、全体的にミスを一つでも減らせるように、そして確実に決められるように頑張りたいと思います。

 

栁澤薫(総4)

KEIOを背負って臨む公式戦もインカレが最後

KEIOを背負って臨む公式戦もインカレが最後

(個人・団体ともに優勝おめでとうございます。今のお気持ちは)素直に嬉しいし安心しました。主将として結果を残さなきゃという部分もあったので、棟尾の貢献もあって優勝することができて、非常に嬉しかったです。(シーガルカップから構成を変更した点について)シーガルカップは本当にいいところが一つもなくて、あの後落ち込んで、自信も失ってしまいました。この2週間で試合に向けてどう立て直していくのかをすごく考えました。構成を変えたのは、後半に確実にダブルジャンプを入れて、GOEを狙って、確実に点を稼ぐことを目標にしたからです。また、シーガルカップではフライングシットとコレオシークエンスでキックアウトがあったんですけど、その反省を生かして、まずはしっかり点を取るところは取るというように練習しました。(自身最後の東インカレで初優勝を成し遂げた感想は)唯一優勝したことがないのが東インカレとインカレで、やっぱり優勝したいなという気持ちはありました。だけど、優勝を狙うというよりは結果は後でついてくるものだと思って、自分のやるべきことを一つ一つやろうと思って今日は臨みました。(インカレに向けて意気込みを)インカレは本当に公式戦では最後の試合になります。自分が本当に納得できる演技、観ている人に感謝を伝えられる演技をインカレの舞台でできればいいなと思っています。

 

棟尾観月(文1)

 

演技前、エールを受ける棟尾

演技前、エールを受ける棟尾

(今日の演技を振り返って)調子がいい中で臨んだ試合だったので、何とかダブルは降りようと決意していたんですけど、最初のトーループが決まらなかったのが悔しかったです。また、スピンが練習不足だったかなと思います。(最終滑走だったが)本当は6分間練習が終わってからすぐ滑りたい質で、間が空いて滑るのは苦手だったんですけど、意外と集中できました。皆の声援も大きかったので、嬉しかったです。(後半になるにつれて勢いが増していったようにも見えたが)周りの声援が本当に嬉しくて、跳ぼう!と思いました。(関カレ後はどのような練習を)関カレではジャンプが跳なかったので、基本的にジャンプの練習を中心にしました。今まで跳なかったジャンプを確実に跳べるように練習してきました。(初出場の東インカレの印象は)ジャンプは今までは緊張して跳べなかった分、回転不足でも降りられて成長したなとは思ったんですけど、他のところでミスが結構あったので結果としては悔しいです。(今後の抱負を)ジャンプをもっと確実に跳べるようにして、細かいミスを本番でしないように、普段の練習から気を付けていきたいと思います。

 

鈴木伶奈(環3)

ここからストレートラインステップで魅せていく

ここからストレートラインステップで魅せていく

(今日の演技を振り返って)自分の中ではあんまり良くなかったと思いました。いつも跳べているジャンプが、形が崩れてしまったところとか、普段は堂々と飛べるのに、力が入りすぎていつもどおりきれいなジャンプが跳べなかったですね。(今大会へはどのような意気込みで臨みましたか)『シカゴ』を滑るのも今年のインカレで最後なので、とにかく笑顔でかつセクシーさを取り入れて、魅せようという意気込みで滑りました。(これまでどのような練習をされてきましたか)夏に毎年体調を崩していて、今年も崩しちゃったんですけど、なんとか東インカレに間に合わせるように、うまく体調と相談しながら練習できたのかなと思います。(これから改善していきたい点は)ステップとかは笑顔で滑れるようになったので、それにプラスしてジャンプとスピンで会場を盛り上げられるようにしたいです。(今後に向けて)今日出たメンバー全員で北海道のインカレに出場できたらいいなと思います。

 

 

奥山未季子(環3)

笑顔でフィニッシュ

笑顔でフィニッシュ

(新プログラムについて)この曲は引退のときに使いたいとずっと思っていて、あと2シーズンあるんですけど、滑り込んで最後に引退のときにいい形で終われるようにするために、この時期に変えました。(今大会への意気込みは)夏は体調崩してしまったり、怪我も多かったりして、なかなか練習が十分にできなかったので、とにかくインカレに通過することだけを目標に練習したんですけど、やっぱり不十分だったなと思います。(重点的に練習してきたところは)就活とかインターンと並行しながら練習してきたので、十分に集中してできなかったんですけど、この曲も作るのも手を込めて作ったので、そこの部分ですかね。(笑顔が見られましたが、今日の演技を振り返って)公式練習のときからジャンプの感覚がいいとか悪いとかなくて、未知の状態だったので、とにかく滑りを重点的に見せようと思いました。(今後に向けて)インカレと国体が大きな大会になってくるので、それに向けて練習していこうと思います。また、顔の表情だったり、空気感を作れるような選手になっていきたいと思います。

 

 


      

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