―開幕までもうまもなくですが、現在の心境は
4月入ったくらいにチームの方向性みたいなものが、もっと見えてくる気がするね。まだメンバーを選定している段階でもあるし、そんなにまだ焦っている感じはないです。緊張はないといえばないし、あるといえばあるかな。でもそれはどの仕事においてもあるからね。適度な緊張感と期待感が介在しているという感じです。
―慶大の監督に就任してから4か月ほど経ちましたが、選手たちとのコミュニケーションはどの程度深まりましたか
どうだろう、それは選手がどう感じ取っているかだね。僕は僕のスタイルでやっているけど、まだある程度様子を見ているというか、あまり押し付けてもいけないし、じっくり見ている段階っていうのが正しいかな。試合で実戦が入ってきた中で、選手がどういう動きをしているのかとか、投手だったらどういうピッチングを見せてくれるのかとか、そういう確認作業をしているところですね。
―12月やキャンプ前にオープン戦を積極的に開催しましたね
ただ練習だけでの判断だけだと・・・という部分があったのでね。実戦に勝る練習はないと思っている部分も当然あるし、練習の種類として取り入れたという感じかな。ただ単に上手くなる練習と、応用としてやる実戦形式の練習と両方できたのは良かったし、初めて見るチームなのでいろいろ可能性を見てってところです。
―キャンプではどのような点を重点的に取り組ませましたか
野手は基本的にバットを振る数、投手は投げる数を追求しました。野手は毎日1000スイングを目標にしました。それはいちいちやったかやらなかったかチェックはしなかったけれども、投手の投球数はしっかり確認してやりました。もう少し投げてほしいなっていう投手もいたけれども、ある程度経験がある投手はそれなりには数は投げていたかなという気がしますね。あとはチームプレーの確立の面ですね。まぁキャンプでやることは数を打つ、投げる、チームプレーの確認。これが柱ですね。
―練習に関して、選手への介入はどのくらい行うものなのでしょうか
練習以外の部分で特に強制していることはないです。練習後にジムへ行っている選手もいるし、そのあたりは自由にさせています。ただ場所も時間も、全体でやることは限られているので、全体練習のメニューに関しては全部見ています。
―キャンプの中であえてMVPをあげるとすると誰になりますか
みんな頑張っていたから、みんなって言いたいけどね。あえて名前を出すとするなら投手なら加嶋(商4)がかなり意欲的に投げ込みをしていた印象があるね。彼は去年けがもあって悔しい思いもあっただろうからね。野手でも谷田(商4)なんかはやっぱりちゃんとやっていましたね。それからこっちが強制的にやらせていたのは、岩見(総2)だけども、まぁまだまだだね。
―オープン戦でも岩見選手は積極的に起用されていますね
まぁ経験を積ませようというところでね。僕の勝手な事情で横尾(総4)や谷田や山本(泰寛=環4)などといった、ここまでチームを支えてきた選手が今年卒業を迎えるので、来年以降考えた時に、穴埋めをしていく選手を見つけなきゃいけないっていうところでね。主力の彼らが残っている時期から彼らのいいところをぜひ学んでほしいですね。岩見もそうだけど、天野(環2)や濱田(経3)を積極的に使っているのはそういう事情もあります。
―3月18日には大学日本代表戦が組み込まれましたが、どういった経緯で開催されたのでしょう
もともとJX-ENEOSさんとうちがオープン戦を組んでいたところに、全日本がオープン戦の相手が見つからないということで、2チームが了承してくれたらやろうか、という理由からです。
―慶大サイドとしても勝利を収めました
いい投手やいい打者と対戦できるというメリットはあったし、アピールできた選手もいたし、いい経験になったと思いますよ。
―打線も調子がいいように思いますが、オーダーも頭に浮かんでいますか
基本の1・3・4・5番打者といった軸となるようなところは決まっていますね。投手陣も登録するのは5人くらいかな、というのはあります。
―大久保監督は現役時捕手でしたが、捕手陣の評価というのはいかがですか
昨年優勝や、優勝争いを経験しているという事実があるし、よくやっていると思いますよ。小笠原(環4)なんかも、もともと捕手じゃなくて大学からやっている選手ですからね。須藤(環3)もポテンシャルは高いので鍛えがいはあるなという見方をしているけれども、今日なんかのゲーム(26日vs亜大)はバッテリーミスもあったし、まだ引き締めるところを全面的に出してほしいなと思います。
―横尾選手のキャプテンとしての働きぶりをどのように評価していますか
どちらかと言ったら言葉で引っ張るというよりもプレーで引っ張っていくタイプなのかなと見てて思うんですけど、試合の中で発揮するキャプテンシーには長けていると思いますね。選手に対するアドバイスとかね。
―横尾選手といえば今季からセカンドのポジションに挑戦していますが
本人にも言ってるけれど、固定という訳ではなくて、チームの事情でサードをやる場合もあるし、ツーポジションというところでは無難にこなしているかなと。JAPANではファーストをやる可能性もあるし、絶対セカンドしかやりません、って訳ではないですね。
―そういったコンバートなども積極的に行いたいと思っていますか
いや、適材適所で、とは思ってますよ。ちょっとでも勝つ確率を上げていくにはどうしたらいいか、今年のチームにとってのベストを模索して、勝てばそれが正しいんでしょうし、結果として優勝出来なかったら、また考えなきゃならない、という感じですね。
―オーダーを組む上で最も重要視されていることは
基本4番だよねやっぱり。4番とエースがしっかり機能すれば…とは思いますね。
―他大について、特に注目しているチームや選手はいますか
特に…っていうのは無いけど、どこのチームも優勝する可能性と、東大に喰われる可能性を持ち合わせてるのかなとは思ってます。当然慶應義塾も優勝に近いところにいるけど、ちょっと噛み合わせが悪ければ5位もあるよ、というのが今の六大学の現状じゃないですか。戦力的にいえば明治がここ何年かスカウティングの部分も含めて優れてるのかな、という気もしますけどね。
―監督の目指しているチーム像といったものはありますか
やってる選手たちはもちろん、応援してくれる人が見ててワクワクするような野球をしたいとは思いますけどね。
―ここは他大とは違う、といった慶應らしい野球とはどのようなものでしょうか
慶應らしい野球はね、ミラクルが起こりやすいチーム、っていうイメージかな(笑)。能力以上の何かが作用する選手が出てくる環境にある野球は、伝統的にそうなのかなと感じますけどね。
―今季のスローガンについて、込められている意味や意図は
限界を超えて伝説となれっていうことなんですけど、限界を超えるっていうのは当然練習の時も試合の時にも言えて、自分でここまでしか出来ない、という風に決めるのではなくて、そこを乗り越えて欲しいという意図があって。伝説となれ、っていうのはやっぱり連覇なのか連続優勝なのかそういうイメージかな。Look at me , Look at us っていうのは俺を常に見てよ、慶應の野球を見てよ、っていう姿勢を全面にエネルギーとして発することが出来るチームであり選手であれってことなんだけど… これ伝わるかな?笑 その辺は賢いみなさんならわかってくれると思いますけど。
―具体的に発案したのはどなたですか
僕です。
―改めて今季の目標をお願いします
春秋優勝、大学日本一ですね。
―それを達成するためにカギとなるポイントは
カギとなるポイント…。あったら教えてよ(笑)。 やっぱりピッチャーが頑張るっていうのが大前提ですよね。投壊してしまうと、もういくら打ってもカバー出来るのは限度があるので。攻撃的野球には常にちゃんとしたバッテリーがあるっていうのを分からないといけないですよね。
―ファンの皆様に一言お願いします
六大学は歴史がありますので、その中で慶應の野球部でやれてる喜びを十分に感じて、感謝して、それをプレーで表現して皆様に感動を伝えられる、というか慶應の野球から勇気だったり元気だったりを届けられたらなと思っています。
―お忙しい中、ありがとうございました!
取材:荒川智史、小沢光市
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