【ラクロス(男子)】”貪欲に”追い求めた勝利 4年生悔し涙の引退

11月14日(土)に行われたFINALでまさかの敗戦を喫し、関東準優勝という結果に終わった慶大。屈辱を味わっただけでなく、勝ち続けること難しさを思い知らされた。あれから2週間。無念の引退に涙を飲んだ4年生・栗田主将、居塚副将、上田選手、田中大選手、繁益選手、そしてリベンジに燃える3年生・仁熊選手に胸中の思いを語って頂いた。

 

「12月までみんなとプレーがしたかった」

DF栗田智仁主将(慶應義塾高・環4)

 (最後の一戦が終わってしまった今の気持ちは)ぽっかりと自分の中のなにかが抜けてしまった、そんな感じが今の自分に1番当てはまると思います。試合終了の笛が聞こえてから、たくさんの想いが出てきました。もう慶應のユニフォームを着ることができない、慶應の看板を背負ってフィールドに立つことができないのが悲しさ、12月までみんなとプレーがしたかった、ケガしている同期をフィールドに立たせてあげたかった、先輩達、OBの方々、これまで関わってきた人達に感謝の気持ちと日本一の報告をしたかった、あげたら切りがないくらいあります。  (FINALの試合を振り返って) 自分達で流れを崩して、弱さが露呈した試合でした。1Qの最後にパスミスをして失点してしまったことから始まり、流れに乗ることができず、相手が点を取りたい時に素直に取らせてしまっていました。苦しい時間帯というのはどのスポーツ、どの試合にもあると思います。その時間帯にこそチームの底力はでると思うのですが、今回のFINALでは今年の慶應ラクロスの若さがでてしまい、それを取っ払えるだけの4年生の力がありませんでした。

"黄金世代"引退後、大きなプレッシャーをはねのけてチームを牽引した栗田主将

“黄金世代”引退後、大きなプレッシャーをはねのけてチームを牽引した栗田主将

 (今季1番印象に残っている試合は) FINAL4の早稲田戦が1番印象に残っています。5月の早慶戦では9-11で負けた相手であり、全員がFINAL4までずっと意識してきました。自分達の考えた戦術がうまくフィットし、相手のやりたいことをやらせないまま上手く試合の流れを掴めていたので、勝利したときは本当に嬉しかったです。(4年間を振り返って) 4年間本当に多くの経験をしてきました。1年生の時は試合に出れませんでしたが、先輩達が全日本選手権まで勝ち進んでいく姿を見て、これが慶應ラクロスだと改めて思わされました。圧倒的に強い個人の力を見せつけて、勝利を掴みとり、本気で憧れる先輩方ばかりでした。2年生では初めて公式戦に出れたのですが、リーグ戦で敗退してしまい、自分を使ってくれた先輩方になにも貢献することができず、自分の力の無さを悔やみました。3年生、高校から一緒だった先輩達もいて、頼れる先輩方ばかりでした。学生選手権で優勝し、日本一を取れると思っていたのですが、社会人に敗れて2位。この代でできた経験が今年大きく影響していると思います。4年生、立場がこれまでと大きく変わり、チームを引っ張っていかなければいけなくなり、特に主将をやらせてもらい、多くの経験をすることができました。慶應ラクロスはたくさんの応援から成り立っている組織であり、これまで関わってきた先輩方、両親へ結果で恩返しする。これが今年の僕の中の1番の原動力でした。4年間振り返ると言いきれないくらい、出会いがあり、多くの経験ができました。これから先の人生でなにがあっても大学4年間には超えられないと断言できます。本当に宝物です。  (一緒に戦ってきた4年生の同期へメッセージを) 4年間多くの苦難を一緒に乗り越えてきた同期。主将という立場をやらせてくれて本当にありがとう。頼りない主将で、みんなに迷惑をかけたと思います。プレイヤーの道をやめて、コーチやトレーナー、スタッフになってくれた、フィールドに立てない同期達の気持ちも背負って頑張ることができた。みんながいなかったら自分はどれだけ脆かったろうか、みんながどれだけ心強かったか。1年間チームとしてまとめられたのも、みんな1人1人が日本一を本気で目指してたからです。これからは各々違うフィールドに立つけど、この4年間を糧に頑張ろう。きっとみんなならなんでもできる。おじさんになっても集まって馬鹿な事をして、楽しもう。 (後輩たちに伝えたいことは)  あれこれ伝えたいことはありますが、特にこれというと、自分達を信じること。これが1番大事だと思います。試合前や本番では不安になることもたくさんある。でもそういうときこそ、自分を信じる、仲間を信じられるかが大事。自分を信じるために、仲間に信じてもらえるために最大限の努力をすることですね。

 

 

「慶應ラクロス部に入って良かった」

MF居塚大岳副将(慶應義塾高・政4)

(最後の一戦が終わってしまった今の気持ちは)ここで負けたか、という感じですね。十分に対策をして勝つ自信もあったので、悔しいです。 (FINALの試合を振り返って)大事な試合で力を出し切れないチームの弱さがでてしまったと思います。 (今季1番印象に残っている試合は)どれも変わらないですね。

グラウンドでもミーティングでも、チームの原動力であり続けた居塚副将

グラウンドでもミーティングでも、チームの原動力であり続けた居塚副将

 (4年間を振り返って)悔しいことも嬉しいことも経験した充実した時間でした。慶應ラクロスに入って良かったと思います。 (一緒に戦ってきた4年生の同期へメッセージを)勝てなくてごめん。4年間お疲れ様。 (後輩たちに伝えたいことは)悔しい気持ちがあるのなら、それを忘れないでほしい。応援してます。

 

 

 

 

すべて自分の糧になった」

G上田裕基選手(慶應義塾高・政4)

(最後の一戦が終わってしまった今の気持ちは)まだ気持ちの整理がついてない所もありますが、もう試合、練習することがないのか、という気持ちです。(FINALの試合を振り返って)相手に流れを持っていかれて、それを取り返すことができませんでした。序盤から拮抗した厳しい試合で、そこで勝ちきれなかったのはとても悔しかったです。 (今季1番印象に残っている試合は)前回の早稲田戦です。今年の5月に負けていたので、勝つために長い間準備を積み重ねていました。その分印象に強く残っています。

最後の瞬間までゴールを守り切った上田選手

最後の瞬間までゴールを守り切った上田選手

 (4年間を振り返って)とても充実した4年間でした。毎年チームのカラーが異なり、自分の立場も少しずつ変わりました。楽しいこと苦しいことありましたが、すべて自分の糧になったと思っています。  (一緒に戦ってきた4年生の同期へメッセージを)4年間、また塾高時代からの同期は7年間お世話になりました。部活動以外の私生活でも個性的な同期に恵まれて、4年間すごい楽しかった。今までありがとう、お疲れ様。これからもよろしくお願いします。 (後輩たちに伝えたいことは)1年間は過ぎるのが本当に早いです。あと、怪我に気を付けて下さい。

 

 

 

 

 

 

「勝利に貪欲な集団からたくさんのことを学んだ」

MF田中大善選手(慶應義塾高・経4)

(最後の一戦が終わってしまった今の気持ちは)試合終了の瞬間は何も考えが浮かばず、負けを実感することはありませんでしたが、数日経ってようやく、引退してしまったんだという事実を受け入れ始めました。結果を残す事ができず、試合に出れなかった部員、スタッフの人達、今年と去年の同期、OBの方々、そしてHCの橋本さんに今はただただ申し訳ない気持ちです。(FINALの試合を振り返って) 関東決勝や雨という慣れない環境なのか、チーム全体でどこか落ち着かない雰囲気があり、試合を通して流れを掴みきれなかったことが敗因だと思います。しかし日体もある意味日体らしからぬ良いチームで、単純に相手の実力の方が上だったかなという認識です。 (今季1番印象に残っている試合は)FINAL4 早稲田戦 です。早稲田との一戦はいつも最高の試合の1つです。

試合では常に先陣を切っていた田中大選手

試合では常に先陣を切っていた田中大選手

(4年間を振り返って)高校時代のラクロスとは違い、大学では常に「勝って当たり前」のプレッシャーがつきまとい、ラクロスを楽しめない時期も少しはありました。しかしこうした勝利に貪欲な集団から学ぶことは大変多く、ラクロスのみならず人間的にも成長させてもらったと感じています。また、4年間応援してくれた両親や周りの方々に大変感謝しています。  (一緒に戦ってきた4年生の同期へメッセージを)プレイヤーとして日本一の力になれず大変申し訳なく思うのと同時に、5年目の自分を同期として受け入れてくれてとても感謝しています。この代でラクロスができて本当に良かったです。1年間ありがとうございました。(後輩たちに向けて)生意気な後輩ぞろいですが、フィールドでは頼もしい存在でした。 来年日本一になるためのサポートはできる限り尽くしたいと思っているので、是非頑張って下さい。

 

「僕達が果たせなかった夢を抱えていって欲しい」

AT繁益弘明選手(慶應義塾高・理4)

(最後の一戦が終わってしまった今の気持ちは) あっけなすぎて、情けないし申し訳ないです。(FINALの試合を振り返って) もっと上手くできたと思います。(今季1番印象に残っている試合は) FINAL4の早稲田戦です。

背番号10に誇りを持ちプレーした繁益選手

背番号10に誇りを持ちプレーした繁益選手

(4年間を振り返って)とにかくあっという間でしたし、もっと早く自分のプレースタイルを確立したかったと思います。 後輩に何も残せませんでした。 (一緒に戦ってきた4年生の同期へメッセージを)こんなに使えない自分を幹部に入れてくれてありがとうございました。口先ばかりの僕の意見を聞き入れてくれて本当に嬉しかったです。本当にありがとうございました。 (後輩たちに伝えたいこと)慶應の10番はこんなものじゃないはずです。現役プレイヤーとして10番というプレーを仕切れませんでした。この10番のユニフォームを、1番高いところに連れて行ってもらいたいです。僕達が果たせなかった夢を、背負うのではなく抱えていって欲しいです。

 

 

「こんなところで負けるとは」

AT仁熊健太選手(慶應NY学院・商3)

 (最後の一戦が終わってしまった今の気持ちは)正直、こんなところで負けるとは思っていませんでした。去年あと一歩で日本一に届かなかった先輩達の無念を晴らせなかったこと、4年生が最後に笑って引退できなかったこと。とても悔しいし、申し訳ない気持ちでいっぱいです。 (FINALの試合を振り返って)慶應のDFはしっかり守りきれていたと思います。ただOFがなかなか攻めきれずに終始日体ペースで試合が進んでしまいました。そこが1番の敗因だと考えています。 (試合では最後2得点を挙げたが)完全に遅すぎましたね。早い段階で点を取れていたらもっと良い試合になっていたのかなと思います。

次世代のラクロス部のエース・仁熊選手

次世代のラクロス部のエース・仁熊選手

 (今季1番印象に残っている試合は)1番印象に残っているのは開幕戦です。自分にとって初めてのリーグ戦でとても緊張していました。また試合も接戦の末、負けという結果に終わってしまいました。これで慶應は後がなくなりましたが、その状況が慶應を強くしてくれたと思います。負けはしましたが、今年の慶應にとって非常に意味のある試合であったことは間違いありません。  (4年生との最後の試合が終わってしまったが)自分は大学入学前から練習に参加させてもらっていて、今の4年生とは同期という扱いでこの4年間ラクロスをしてきました。そんな苦楽を共にした同期が先に引退してしまうのはとても寂しいです。  (一緒に戦ってきた4年生へメッセージを)まず、自分を信頼して試合に出してくれた幹部陣にすごく感謝しています。最後の試合の負けてる場面でも、「お前の好きなプレーをしろ!」と言ってくれて、それが最後の2点にもつながりました。 また、自分に想いを託してベンチやスタンドから力の限り応援してくれたみんなにもすごく感謝しています。 とにかく4年生には本当にお世話になりました!4年間ありがとう! (今季の経験を踏まえて後輩たちに伝えたいことは)伝えたいことが多すぎて言いきれないので、来年1年間一緒にプレーする中で伝えていけたらなと思います。

 

(取材:河合美紀)

 

これにて2015年男子ラクロスチーム”GREED”の取材はすべて終了となります。栗田主将をはじめお忙しい中でも笑顔で取材に応じてくださった選手、マネージャーの皆様にこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。来年度も慶應スポーツ新聞会ラクロス班を宜しくお願い致します。

 

 

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