初戦の筑波大戦に勝利した慶大。第2戦の相手である成蹊大は、今季3年ぶりに昇格してきた。勝つことが大学選手権出場の絶対条件。地力で勝る慶大は試合開始1分にCTB今成がノーホイッスルトライを早々に決め、その後も終始成蹊大を圧倒。終わってみれば13トライ。失点もわずか7点。85ー7で力の差を見せつける結果となった。
関東大学対抗戦 vs 成蹊大 2016/10/2(日)11:30K.O.
@秩父宮ラグビー場
得点 | ||||
慶大 |
| 成蹊大 | ||
前半 | 後半 |
| 前半 | 後半 |
8 | 5 | T | 0 | 1 |
5 | 5 | G | 0 | 1 |
0 | 0 | PG | 0 | 0 |
0 | 0 | DG | 0 | 0 |
50 | 35 | 小計 | 0 | 7 |
85 | 合計 | 7 |
得点者(慶大のみ)
T=今成、中鉢3、堀越2、佐藤、豊田祥、松岡、山中、川合2、金澤
G=古田9、青井
ポジション | 先発メンバー | 交代選手 |
1.PR | 細田隼都(商3・慶應) | → 後半0分 渡邊悠貴(経2・慶應) |
2.HO | 松岡大介(環4・小倉) | → 後半20分 中本慶太郎(経2・慶應) |
3.PR | 角田匠輝(法4・慶應) | →後半33分 吉田雄大(総3・秋田) |
4.LO | 辻雄康(文2・慶應) | →前半5分 山中侃(商2・慶應) |
5.LO | 佐藤大樹(総3・桐蔭学園) | →後半11分 川合秀和(総1・國學院久我山) |
6.FL | 松村凜太郎(商3・慶應) |
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7.FL | 豊田祥平(総4・ 國學院久我山) |
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8.No.8 | 鈴木達哉(環4・茗渓学園) |
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9.SH | 中鉢敦(経4・慶應) | →後半32分 江嵜真悟(商2・小倉) |
10.SO | 古田京(医2・慶應) | →後半25分 青井郁也(商3・慶應) |
11.WTB | 清水祐輔(環4・明和) | |
12.CTB | 堀越貴晴(総3・茗渓学園) |
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13.CTB | 今成哲(経3・城北) | →後半18分 木口俊亮(経4・仙台第三) |
14.WTB | 高野慎也(商3・慶應) |
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15.FB | 金澤徹(商3・慶應) |
|
怒涛のトライラッシュは前半開始わずか1分のCTB今成のトライから始まり、5分にはCTB堀越、13分にはLO佐藤と続いた。さらに3つのトライ後、圧巻だったのは27分。CTB堀越が成蹊大のハイパンをキャッチし、途中出場の山中にパス。山中は素早い判断でフィールド中央を駆け上がり、ビックゲイン。そこからさらにSH中鉢へパス。わずか3人で一気のカウンター。敵陣を切り裂き、秩父宮に黒黄の稲妻を走らせた。さらに34分、SH中鉢が再びトライ。成蹊大にアタックのチャンスを与えず、前半を終え、50ー0と圧倒した。
後半も終始慶大ペース。山中、川合秀和(総1)といった途中交代で出場した選手が期待に応え、続々とトライを奪っていく。しかし、成蹊大も反撃に出る。28分慶大のオフサイドによるラインアウトからモールを組まれ、トライを奪った。だが37分にはスクラムでコラプシングを繰り返し、成蹊大のFWにシンビンの判定が出る。数的有利に立った慶大だが、6分のロスタイムを迎えた中で守りの時間が続く。「最後の最後でフィットネスがきつくなってしまった」(CTB堀越)。何度も5mラインまでボールを運ばれるが慶大も厚いディフェンスで対応し、最後はSO青井が蹴り出してノーサイド。終わってみれば、前半8トライ、後半5トライの計13トライの猛攻で85得点。85ー7で完勝した。
慶大がこの試合で意識したこと、それは「ブレイクダウンで圧倒すること」。選手は皆、達成できたと振り返った。しかし、試合後、選手たちは皆が結果に満足した訳ではなかった。成蹊大に許した1つのトライ。それが選手たちには許せないことだった。鈴木達哉主将(環4)は「完封出来る試合でミスを犯してしまったことが課題」と振り返る。最後の最後で与えることの多い失点。格下相手の試合でわずかに失点したとしても勝敗には影響ない。しかし、今季から大学選手権の枠は「4」。1つ減った。その中で、慶大のラストの集中力が切れ、フィットネスが苦しくなったとき、他の強豪校は見逃さず一気に畳み掛けてくるだろう。まだまだ油断の出来ない勝負が続く。そう考えたとき、このミスは、選手たちの明確な課題となる。
次戦は日体大戦。日吉の下田グラウンドで行われる。大学選手権出場に向け、負けられる試合は1つもない。ブレイクダウンで圧倒し、ノーサイドの瞬間まで高い集中力を出し続ける。この2つの目標を達成し完全勝利をあげ、大学選手権出場にまた一歩近づきたい。
【ケイスポ的MOM】小柄な若きトライゲッター FL川合秀和
自らの強みを「オフェンス」と語ったのは川合秀和。23名のメンバーで唯一の1年生。成蹊大戦は対抗戦のデビュー戦だった。「最初は緊張していましたが、チームの雰囲気や先輩方のアドバイスなどを聞くうちにだんだんと落ち着いてきた」。結果は2トライと大活躍。しかし、「慶大らしいタックルが全く出来なかった」と反省の言葉。常に完璧を自分に求める。慶大蹴球部期待の星の今後のさらなる成長と活躍に期待だ。
(記事・高橋廉太朗)
HC/選手コメント
金沢篤HC
(今日の試合を振り返って)今日はブレイクダウンのところでしっかり相手を打ち負かすようにフォーカスしてやってきたので、実際に試合を通じてプレッシャーをかけられたと思います。(7点失点した原因は)まず成蹊大が良いところにキックを蹴ってそこにさらにタックルをしてきたという点と、そのあとのモールディフェンスのところで(慶大が)自分たちの思っているディフェンスが出来なかったというのがあります。(一方で昨日のJr.選手権では完封勝利をしました)そうですね。昨日のジュニア選手権については内容もすごく良かったと思います。秩父宮のグラウンドの雰囲気を知るということは経験の上で大事だと思ったので、今日も昨日出ていた選手を使っていきました。(佐藤選手や清水選手が復帰しリーダーが揃いました)今まではいつも一人か二人しかいなかったのが4人になって、彼らが自分たちの中で様々な問題を解決しながら試合を進めていると感じています。(次戦の日体戦での目標は)ブレイクダウンのところで日体大にプレッシャーをかけたいと思っています。
No8鈴木達哉主将(環4)
(今日の試合を振り返って)今日の試合ではブレイクダウンで圧倒することにフォーカスを置いていました。序盤からプレッシャーを掛けることが出来てこちらのペースで試合を進められたので、その点では良かったと思います。唯一反省するとしたら、モールでトライを取られてしまって、完封出来る試合でミスを犯してしまったことが課題だと思っています。(ご自身のプレーを振り返ると)HCからは「前に出ることを意識しろ」と言われていて、そこは出来たと思います。チームを引っ張るという点では、もっと出来ることがあったと思います。(成蹊大の印象は)僕達と一緒で小柄な選手が多いチームだと思ったのですが、ディフェンスで前に出てプレッシャーを掛けてきて、とても良いチームだと思いました。(対抗戦2試合を終えて、チームの仕上がりは)毎試合課題を立てて臨むのですが、各個人が課題に向かって解決しようと取り組むことが出来ていて、チームとしては成長していると思います。(次戦以降に向けて)今日もまたミーティングをして、課題が出ると思いますが、それを一つずつ乗り越えていって、大学日本一になれるように頑張っていきたいです。
FL豊田祥平副将(総4)
(今日の試合を振り返って)ブレイクダウンで圧倒することにフォーカスを置いていました。そのブレイクダウンで、相手を乗り切ってターンオーバーに成功する機会も多かったので、自分達のアタック、ディフェンスは出来たと思います。(ご自身のプレーを振り返ると)今日の目標は、ブレイクダウンでジャッカルを2回することでした。ですが中々上手く出来なかったので、そこは反省したいです。(前回苦しんだラインアウトの修正は)準備の段階で、スローの高さの精度など、細かいところをよりこだわるようにしました。相手のラインアウトに付き合うのではなく、自分達のラインアウトにこだわることで、今日のように良いラインアウトが出来たのかなと思います。しかしラインアウトからモールでトライを取られてしまった部分は課題でもあり、今後の糧にしたいところです。(次戦以降に向けて)次の日体大戦でも、自分達のフォーカスであるブレイクダウンで圧倒して、今日よりも良い内容のラグビーが出来ればいいと思います。
CTB堀越貴晴(総3)
(2つのトライを振り返って)1トライ目は春から取り組んでいるフィジカルで相手を圧倒できたので、成果が出ているかなと思います。2トライ目は、CTBの役割としてラインを越えにいく役割を全うして、その上でたまたま相手のディフェンスラインとのギャップでスペースがあったのでそこをうまく突いた形になりました。(相手の印象は)慶大のFWがスクラムやターンオーバーで相手のペナルティを誘っていたのでBKとしては楽なゲームでした。相手のBKに自分の高校の上手い先輩がいたので、そこは注意していました。(守備では最後1人欠けた相手に攻め込まれる部分がありましたが)試合通してインサイドブレイクをなくすということを意識していたのですが最後の最後フィットネスがきつくなってしまいました。注意していた自分の高校の先輩にやられてしまったので、そこはちょっと悔しいです。次に繋げていきたいと思います。(来週日吉開催の日体大戦に向けて)いつも練習しているグラウンドなのでやりやすいと思います。しっかり自分たちのラグビーを貫いて頑張っていきたいと思います。
SO古田京(医2)
(夏合宿を終えて、ご自身の成長という部分でどう感じているか)キックとディフェンスというのを自分の中でしっかりさせたいというのがあって、試合や練習を重ねるにつれて徐々に良くなってきていると思います。(スタメン出場が続いていることについて)2年生の中で出させてもらっているので、一試合一試合責任を持って準備をしています。(キックの精度など、ご自身の現在の調子は)キックはそれなりにはいい使い方をできていると思うのですが、もっとキックにこだわりを持っていきたいので、精度はこれからもっと上げていこうと思います。今日も3本外しているし、ゲーム中のキックもまだまだいいキックが蹴れていないので、そういう部分をしっかりしていきたいです。(次戦へ向けて)とにかく自分たちのやるべきこと、レベルアップすることを1週間でしっかり準備して、その結果を出せればいいと思います。
FL川合秀和(総1)
(今日の試合を振り返って)後半から試合に出て、チャンスをいかしてトライを取ったことは嬉しいですが、まだまだ課題が多く残る試合だったかなと感じました。(課題とは特にどういったところなのか)慶大らしいタックル、というところですね。自分の持ち味はオフェンスだと思っているのですが、低いタックルで相手を押し返すような、慶大らしいタックルが全く出来なかったところです。(対抗戦デビューを果たした感想)最初は緊張していましたが、チームの雰囲気や先輩方のアドバイスなどを聞くうちにだんだんと落ち着いてきたので、チャンスをいかしてトライを決めることが出来ました。(2つのトライを振り返って)先輩方が前に出てくれたおかげですね。特に2つ目のトライはたまたま自分のところに運良く回ってきたので、そこのチャンスをしっかり活かしていきました。(前日はジュニア対抗の流経大戦を戦ったが、身体への負担は)昨日は試合に70分ほど出させてもらったのですが、今日は対抗戦ということで、疲れなんて吹き飛びました。ちゃんと試合に勝たなければという思いの方が強かったです。多少は疲れも残っていたと思うのですがほとんど感じなかったです。(これからの目標は)今回はチャンスをもらって出させて頂いたのですが、次はしっかりと自分の実力で慶應らしいプレーで持ち味のオフェンスを見てもらって、しっかりと「必要だ」と思ってもらえるような選手になって、対抗戦に出たいと思います。