【ソッカー(男子)】第5節 昨季インカレ覇者との熱戦は、スコアレスドローに 筑波大戦

前節、開幕戦以来の白星を手にし、五分の星で迎えた慶大。今節は、昨季の全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)を制して大学日本一に輝いた筑波大を相手に激しい試合を繰り広げた。地力のある筑波大に数多くのシュートを浴びるも、守備陣が体を張り、GK上田朝都(総2・横浜F・マリノスユース)もビッグセーブを連発してゴールを許さない。攻めては前半に杉本崇太朗(政1・名古屋グランパスU-18)、後半に岩崎湧治(商3・ベガルタ仙台ユース)のシュートがクロスバーを叩き、後半アディショナルタイムにはロングカウンターから小谷春日(環3・藤枝東高)がビッグチャンスを迎えたが決めきれず。両チームに多くの決定機とカードが与えられた熱戦はスコアレスに終わり、勝ち点1を分け合う結果となった。

 

2017/05/14()14:00KO@味の素フィールド西が丘

 

慶應義塾大学00筑波大学

 

◇慶大出場選手

GK上田朝都(2・横浜F・マリノスユース)

DF手塚朋克(4・静岡学園高)→77 中井建太(4・青森山田高)

DF沼崎和弥(2・暁星高)

DF岩崎湧治(3・ベガルタ仙台ユース)

DF北城俊幸(2・青森山田高)

MF片岡立綺(4・桐蔭学園高)→81 八田和己(2・桐蔭学園高)

MF落合祥也(2・横浜FCユース)

MF杉本崇太朗(1・名古屋グランパスU18) → 62 松岡瑠夢(1FC東京U18)

MF小谷春日(3・藤枝東高)

FW渡辺夏彦(4・国学院久我山高)

FW近藤貫太(4・愛媛FC)

 

 

慶大のスターティングイレブン

関東リーグ4試合を終え、慶大の成績は2勝2敗の7位。優勝争いに絡んでいくためにここでの負け越しは避けたい中で、迎えた相手は昨季インカレ覇者の筑波大となった。前節決勝点を挙げた守備の要・鴻巣良真(総3・国学院久我山高)の欠場もあり、難しい試合になることが予想される。

 

この日もキレのある動きを見せた杉本

慶大は序盤から仕掛けた。最終ラインからボールを回そうとする筑波大に対し、前線の選手たちが猛烈なハイプレスをかける。それでも、最初に主導権を握ったのは高い技術を持つ筑波大だった。9分、卒業後のジュビロ磐田加入が内定している筑波大のエース中野誠也が、浮かせた技ありのトラップで岩崎湧治(商3・ベガルタ仙台ユース)をかわし、シュートまで持ち込む。それでも慶大は臆さない。徐々にプレスが効いてくると、高い位置で奪ってからのショートカウンターでゴールに迫っていった。20分、23分、24分と危険なシュートを打たれながらもしのいだ後の29分、慶大に決定機が訪れる。手塚朋克(環4・静岡学園高)が右サイドを駆け上がり入れたアーリークロスのこぼれ球を杉本崇太朗(政1・名古屋グランパスU-18)が拾うと、迷わず左足を振り抜く。強烈なシュートはクロスバーを直撃。3戦連続スタメン起用のルーキーの初ゴールはお預けとなったが、このあたりから慶大は後方からのビルドアップが安定し、ボールを保持できるようになる。「全然回せるっていう感覚もありました」と近藤貫太(総4・愛媛FC)が語るように、筑波大に引けを取らない堂々とした攻撃を展開。38分にCKを合わせられたピンチもGK上田朝都(総2・横浜F・マリノスユース)の好セーブで切り抜け、手応えを感じながら前半を折り返した。

 

上田がスーパーセーブを連発した

しかし後半、慶大の立ち上がりは安定しない。バタバタしてボールを回せない時間が続き、54分にはあわやPKという接触プレー。主審はファウルを取らず命拾いしたものの、この接触で手塚が足を痛めるなど、良くない雰囲気が漂った。62分、須田監督は杉本に代えて松岡瑠夢(総1・FC東京U-18)を投入し、前線の活性化を図る。少しずつ落ち着きを取り戻した慶大は、再び前半のように試合をコントロールしにかかった。69分、至近距離のヘディングをまたしても上田がスーパーセーブで防ぐと、2分後には逆にCKに岩崎がフリーで合わせるも、シュートはクロスバーに嫌われる。お互いに決定機を生かしきれず、勝ちきりたい両チームの試合は白熱。後半ラスト20分とは思えない激しさを見せていく。筑波大がロングボールを多用し始める中、須田監督は足を痛めていた手塚、小柄な片岡立綺(総4・桐蔭学園高)の主将副将を下げ、球際の強度を上げた。守備陣が体を張って筑波大の攻撃を跳ね返し続けると、93分、慶大に最後の決定機。カウンターで渡辺夏彦(総4・国学院久我山高)が自陣からボールを運び、左サイドを駆け上がってきた小谷春日(環3・藤枝東高)にパスを送る。小谷は迷わずシュートを放つも、GKの好反応に阻まれ、執念は実らなかった。その後は後半アディショナルタイム7分まで筑波大のセットプレー攻勢が続くも、最後までゴールは割らせず。熱戦は痛み分けに終わった。

 

 

近藤ら攻撃陣は不発に終わった

「良い試合だった」と感じているのは、須田監督だけではないだろう。恐らく、西が丘を訪れた全ての観客の感想だ。筑波大のシュートは19本、慶大にも決定機が3回。いつどちらに点が入ってもおかしくなかった。両チーム合わせてイエローカード6枚は、大学サッカーでは異例の枚数だ。少なくない不安を抱えていた守備陣がこの激しい試合を無失点で守り抜いたことは、大きな収穫と言えよう。昨季の大学日本一相手に、自分たちのサッカーを貫き通しての勝ち点1。目標の関東リーグ優勝を成し遂げるポテンシャルがあることは示した。あとは結果で証明するだけだ。あっという間の序盤戦が過ぎ去り、順位争いはますます白熱していく。勝負の季節は、これからだ。

 

(記事 桑原大樹)

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試合後コメント

 

須田芳正監督

(かなり激しい試合となったが振り返って)いや良い試合だったでしょう。去年まではこういうチーム相手だと引いてカウンターという形だったけど、まあ勇気を出して行こうじゃないかと。今年は前から行って。いや良い試合でしょう。今日は相手が途中から自分たちのスタイルを捨てて、大きい選手にロングボールを当てるようになったくらい、相手のサッカーをさせていなかった。こういうゲームをやっていけば勝ち点は積み重ねていけるし、選手たちは本当に良くやったと思います。(体を張って守れていた)そうですね。うちらも決定機があったし相手にも決定機があったけど、お互いに体を張って見応えのある試合だったと思います。(GK上田の活躍が光った)そうですね。でもあのぐらいは期待しているというか。1試合で2、 3回は決定的なシーンはあって、そこは止めてほしいなと思っているので、しっかりとやってくれたかな。(守る時間も多かった中で、 奪ってからの押し上げがもう少しあればとも感じた) うーんまあ前半からかなり激しく前から行ったので、かなり疲れた部分はあったと思うんですけど、そこでもう少し上がれればもっと分厚い攻撃もできたと思うし、そこは今後課題として修正していきたいなと思います。(昨年日本一の相手に勝ち点1というのは悪い結果ではない)ずっと言っているのは、無失点であれば勝ち点は積み重ねていけるし、相手に勝ち点3も与えないんだよね。だからまずは全員でひたむきに謙虚に守備をしようと言っているし、彼らも本当に理解してくれている。もちろん(上田) 朝都がああやってビッグセーブしてくれるんだけど、それは前の守備陣が体を張ってくれたからというのもある。だからそういった意識を持ちつつ、あとは点を取らないと。そこはまた練習していきたいなと思います。(この2試合、 1勝1分と良い形で来ている)そうですね。我々が目指しているサッカーをできている。去年までは相手の長所を消して短所を突こうということにかなりの重点を置いていたけど、今はもう自分たちのサッカーをしている。前からプレッシャーをかけてボールを持って、しっかりとワイドを取りながら縦パスを入れてゴールを目指すというのがかなりできてきたので、その自分たちのサッカーをもっと追求していくことが大切かなと思います。(1対1の強度も満足できるものになっている) 毎日練習している。守備のところは本当に練習していますね。 慶應というのはもともとそこがあったからここにいるわけで、それがなかったら下のリーグでやっていると思うので、ボールが動いている間に1センチでもプレッシャーをかけようと。そこはもっと追求していきたいなと思います。

 

 

手塚朋克(環4・静岡学園高)主将

(試合を振り返って) 全体的に自分たちのペースでコントロールできて、相手に試合を運ばせなかったことはすごく評価できると思うし、最後までやりきったのも評価できると思います。(ケガの具合は) すねを打撲してしまって、そこから下が動かなくなってしまったんですけど、今はもう大丈夫なので、次節に向けてしっかりと治療していきたいです。(守備の要だった鴻巣を欠く中で、今季初の無失点となった)今週の練習で全員で声を出して守ることを意識して、それができたからこそいろいろなことを確認し合って守ることができたかなと思います。 特にセンターバックの2人が頑張ってくれたので、本当に良かったと思います。(練習の成果が出たと)そうですね。今週1週間すごく良い準備ができて、課題もあったんですけどそれを上手く摘んで自分たちのサッカーに持っていこうと言っていたので、良いサッカーができたと思います。(開幕して5試合、ボールをポゼッションして攻撃的なサッカーをする中で、 もっとサイドバックの攻め上がりが多くても良いと感じるが)自分のスタイルももっと前に行くスタイルなんですけど、少し牽制して迷ってしまっている部分があります。今日の試合は何本かクロスまでも行けて良かったと思うので、もっと攻撃的にできれば攻撃のバリエーションも増えるんじゃないかと思います。(監督はやりたいサッカーができてきていると言っていたが)選手たちもストレスなくサッカーができています。ただ、結果的には勝っていないわけですし、これで満足せずもっと向上心を持っていかないと、自分たちの目標である関東リーグ優勝はできないと思うので、もっと練習から日々追求していきたいなと思います。(お互いにビッグチャンスがあった中でのスコアレスだったが、 1点を取りきって勝つために足りないところは)まずはゴール前での駆け引きや迫力がまだまだ足りないと思います。そこが身につけば自分たちのサッカーをして良い形でフィニッシュまでできるようになると思うので、今週やシーズンを通して改善できればと思います。(次節に向けて)難しい試合になると思うので、勝ち点3を目指して1週間良い準備をしていきたいなと思います。

 

 

 

近藤貫太(4・愛媛FC)

(試合を振り返って)すごく良かったっていう雰囲気がチームの中にあるんですけど、とはいえ0-0なので。チャンスを決めれば勝てたし、決められれば負けていたし、そういう意味では100%満足の結果ではないですよね。勝ち点3を取れていないんで。(相手は立ち上がりからシュートが多かったが「やられている」という感じは)全体として守れている感じはあったかもしれないですね。ただまあやられてもおかしくないシーンもいっぱいあったし、逆にうちが決めてもおかしくないシーンもいっぱいあったし、自分の中では0-0というより1-1のゲームだったかなとは思いますね。(上田が守ってくれるという信頼感も)そうですね、そこは信頼感もあるしハイボールに強いんで、外から上げさせてもゆっくりのボールが上がったら自分たちのボールという感じはあるんで、そういう意味では信頼してますね。(守から攻へ変わる時の押し上げがやや少なかった)それはもっとやっぱりスプリントで出ていかないといけないし、そういうのは僕からやっていけばみんなついてくるかなと思います。(お互いがボールを保持したいという意図がぶつかり合う形となった)自分たちは全然回せるっていう感覚もありましたし、練習でもずっとそういうことをやっているんで。そういう意味では手応えもあったんですけど、相手にそれをやらせない、自分たちがやってる分嫌なプレスだとかを常に確認しているんで、練習の成果が良く出た1試合だったなと思います。(相手に引けを取らなかったと)そうですね、むしろ自分たちから奪いにいけていたんで、それで相手がだんだん蹴るようになってロングボール主体のチームにさせたという意味ではすごく満足できるゲームだったかなと思います。(守備でも主体的にできていたがそこは変わってきたところか)いろんなFWが入ったりメンバーがぐるぐる変わる中で、自分が前に入った時には相手のセンターバックにまずかけて二度追いしてロングボールを蹴らせるというふうにすれば、チームとしては狙い通りなんで、そこはまあうまく体現できたかなと思います。(勝ちたかったというところも)もちろんもちろん。やっぱりあれだけ守ってくれたからには前も点を取って勝ちたいという思いもありますし。もっとやらなきゃいけないかなと。(個人的なところでは)まあ得点を取れていないという意味では満足していないですけど、ただ個人の問題というよりはチームが勝つためにやっているんで、別に僕が取らなくてもいいし、ただ攻撃陣として、チームとして点が無いというのはまだまだ成長しなきゃいけない部分かなと思います。(この2試合の11分けはポジティブなものか)そうですね。何が良いってチームが主体的にやっているからみんなが成長するなと。監督も常に言っているんですけど、そこがやっぱりあって、これまでなかなか試合に出ていなかった選手が出るようになって、そういう中でああいうふうにアグレッシブにゲームができるようになると自信にもなるし、という意味ではチームとして成長しているという感覚はあります。

 

上田朝都(総2・横浜F・マリノスユース)

(試合を振り返って)今日は結構前半の時から打たれるシーンも多くて、でも思ったより自分たちが結構前からやれて、自分たちのやりたいことができたなという印象なんですけど、筑波はやっぱり去年の(インカレ)チャンピオンだし、押し込まれる試合になるかなっていうのは試合前から分かってはいたんで、そこでやっぱり自分の武器であるシュートストップだったりとかを生かせたっていう点は本当に良かったなと思います。あとは試合の最後の方でキックが乱れちゃったりとか、そういう細かい修正点とかが出てきたので、そこはちょっと謙虚に立て直していけたらと思います。(今季初の完封の気持ちは)本当にやっとっていう感じですね。初戦から0で行きたいっていうふうな話はしていたんですけど、ここまでできなかったので、やっと0で抑えられたので、まあ全部の試合っていうのは難しいかもしれないんですけど、このまま1試合でも多く0で抑えられるようにというのは、チームみんなでやっていきたいと思います。(連勝とはならなかったが0-0という結果はGKとして納得しているか)やっぱり連勝したいというのは言ってたので、本当はそっちが目標であったんですけど、ちゃんと0に抑えれば負けることはないよねという話は須田さんも結構先週からおっしゃってたんで、そういう意味では自分の仕事はできたかなと思います。(筑波大の攻撃で特に注意したのは)FWもサイドもやっぱり良い選手で去年もやられちゃったりしてたんで、本当に全体的に警戒はしていたんですけど、やっぱりFWの中野誠也くんとかは得点能力も高いんで、天皇杯とかでも決めたりしていたんで、個人的にですけどそこは強くは意識していました。(筑波大のCKが合計で17本だったがGKとして心境はどうだったか)めっちゃ多いな、っていうふうに思って、個人的にもやっぱりセットプレー、キッカーが今日はすごく良くて、僕も出づらいボールで毎回叩かれていたのでいつか来るんじゃないかみたいな。小谷くんの顔面にボーンて当たって、ああいうのに助けられたりとかもしていたんで、もうちょっとそれは結構怖いっちゃ怖かったですよね。FKとかもあったんで。そういうのも含めたらかなりゴール前のセットプレーは20くらいあったと思うんで、でももちろんみんな声を出して守ろうっていう意識を持ってくれていたんでそこはちゃんと信頼しているし、そこでちゃんと体をつけてくれていたから自分も反応できるようなところにボール来ていたりしていたんで、良かったかなと思います。(リーグ前半の半分を終えて)目標としては勝ち点21欲しいねっていう話を結構してた中で、負けも妥当に考えて2敗とか悪くても3敗で、あとは全部勝たないとダメになっちゃうので、やっぱり負けられないっていう思いはその分強かったんですけど、初めてのメンバーが多いにしては勝ち点も9でそんなに悪くはないですし、去年と比べても良い数字なんでそこは自信にしていいかなと思います。(課題は)ポイントとしてっていうのはあんまり具体的には思いつかないですけど、全体的に1試合通して試合の流れだったりとかによってプレーを変えたりとか、あとは自分たちのやりたいサッカーとやらないといけないプレーっていうのが違う場面とかもどうしてもあるんで、そこはしっかり全員が見極めていかないといけないですし、キャプテン中心にはなりますけどちゃんとその時間にどういうプレーをしたいとか、あとは今日みたいな試合の時に最後まで勝ち点3を取りに行くのか、それとも最後の時間帯にロングボールを相手も入れてきて押される時間も長かったんで、そういう時に割り切ってちゃんと今日は0で抑えて勝ち点1をしっかり取ろうよという意識だったりとか、そういうのを各個人が持てれば、もっとチームとして1つの流れが作れるのかなと思います。(次節の日体大戦に向けて)かなり去年もやられているし、ちゃんと対策しないとダメだなというふうには思うんですけど、自分たちがここまで5戦やってきて積み上げきたものっていうのもあるので、それもちゃんと見返して、今回の筑波戦も見直して、また次に向けていつも通りやれたら良いなと思います。

 

沼崎和弥(2・暁星高)

(試合を振り返って)押し込まれる時間が続いた中で無失点で終えられたというのは、大きな価値のある勝ち点1だったと思います。(試合前の狙いは)自分たちのサッカーをしようということで、後ろからつないで、ボンボン蹴り合わないサッカーをしようということはできていたかなと思います。(センターバックのコンビを組む選手が固定されない中で、やりづらさはあるか)どっちの選手(鴻巣選手と岩崎選手)もタイプは違うんですけど、どちらも信頼できる選手なんで、そこはやりづらさとかは全く無いですね。(守備の局面で良く体を張れていたが)自分たちが、最終ラインのセンターバックがやられなければ、点を入れられることはないと思っていたので、体を張って泥臭くやれば無失点で抑えられると思ってやっていました。(次節に向けて)今日は勝つことはできなかったんですけど、良い流れで練習とか試合とかも臨めていると思うので、次は勝ち点3を取れるようにしっかりやっていきたいと思います。

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