【野球】痛恨の逆転負けで連勝を逃し、優勝ならず。　早大②

５月２９日（月）東京六大学野球春季リーグ　早大２回戦

不運な形で同点となった

野球とは時として残酷なものになりうる、そんなことを感じさせられるような試合だった。序盤から点の取り合いとなった早大２回戦。慶大は１点を追う五回、天野康大（環４）の押し出し死球で同点に追いつくと、続く瀬尾翼（理４）の適時打で逆転に成功する。このまま逃げ切りたい慶大だったが、七回に２本の適時打を浴び５点を奪われ、再びリードを許してしまう。続く八回にも２点を追加され、勝負あり。目前にまで迫った優勝を逃す結果となった。

慶大：菊地、髙橋佑、●髙橋亮、関根―郡司

早大：柳澤、二山、○北濱、小島―小藤、岸本

早大：佐藤晋３号２ラン（１回）

◆慶大出場選手

昨日、グランドスラム２本で勝利を飾った慶大。良い流れのまま初回、先手を奪う。先頭の天野が初球を左前に運ぶと、続く瀬尾が初球を送りバント。わずか２球でチャンスを作る。２死となって４番の岩見雅紀（総４）が四球でつなぐと、５番・郡司裕也（環２）が右前に先制の適時打を放ち先制。今日も先手を奪う。

先制打を放った郡司

慶大先発は菊地恭志郎（政４）前回の先発マウンドでは自身初の完封勝利を飾ったが、昨日は救援を失敗し、なんとしてもリベンジをしたいところ。だが立ち上がりから安定しない。こちらも２球でピンチを招くと、３番打者に追い込んでからの決め球を失投。左翼スタンドに逆転の２ランを運ばれてしまう。

あっさり逆転許してしまった慶大は二回、無死一塁の場面で早くも菊地に代打・植田清太（総３）を出す。植田清は倒れ、この回は点を奪えなかったが、優勝への執念を見せる。すると３回、先頭の岩見が粘って四球を選ぶと、続く郡司は初球を強振。左中間フェンス直撃の二塁打を放ち、無死二、三塁と逆転のチャンスを作る。ここで清水翔太（総４）が中前２点適時打を放ち逆転。さらに１死三塁の場面で照屋がライトに犠飛を放ち追加点を奪い、２点差とした。

一時逆転のタイムリーを放つ

慶大の２番手は昨日先発の髙橋佑樹（環２）。このリードを守りたいところであったが、ピリッとしない。逆転に成功した直後の三回裏、２死から３連打を浴び、同点とされると、続く４回にもピンチを招く。ここで適時内野安打を浴び、再び逆転を許してしまう。慶大打線も負けじと続く。五回制球の定まらない早大２番手から、郡司、倉田直幸（法４）、髙橋佑の代打・明渡稜(政４)が四球を選び２死満塁とする。ここで打席には天野。２ボールからの３球目が頭部に直撃し、思わぬ形で同点に追いつく。また、天野も心配されたが無事走者として一塁へ向かった。そして、なおも満塁で瀬尾が左前に弾き返し、倉田が生還。またも逆転に成功する。

五回裏からは３番手・髙橋亮吾（総２）がマウンドへ。期待に応えて、この回三者凡退に打ち取る。さらに六回は、先頭からの連続四球で無死一、二塁とされるが、そこから早大打線を三者連続三振に斬ってとり、得点を許さない。

大量失点で逆転を許した髙橋亮

勝利そして優勝が見えてきた七回、試練が訪れる。先頭打者に安打を許すと、１死後再び安打。１死一、三塁とされてしまう。その後２死満塁とするが、この場面で打者を追い込んでからの５球目、打球は無情にも左中間を破り３人が生還。一気に逆転されると、ここから早大打線が爆発。さらに２点を追加されてしまう。また、続く八回にも４番手の関根智輝（環１）が２点を奪われ、６点差とされてしまう。追いつきたい慶大打線だったが、六回以降は早大リリーフ陣を前に１人の走者を出すことが出来ず。終盤での大量失点が響いた形で敗戦を喫してしまった

優勝まで王手をかけて臨んだこの試合。劇的な勝利を飾った１回戦の流れそのままに中盤まで進んでいるように見えた。だがシーズンを通して悩まされた問題が最後に浮き彫りになってしまった。まず、投手陣の大黒柱の不在である。昨年までエースであった加藤拓也（現・広島カープ）が抜けた穴を埋めることはできなかった。また、打撃面では、今日も９残塁を数えたように、得点効率の悪さが目立ってしまう試合が多く見られた。これらの問題から、勝敗に関わらず試合が大味なものになってしまいがちで、接戦をモノにするのが難しかった印象を受ける。残念ながら優勝は逃してしまったが、明日の三回戦では、こういったところに目を向け、秋のリーグ戦につながる戦いをして欲しいものである。

記事：天野　拓真

◆打撃成績

◆投手成績

◆監督・選手コメント

大久保秀昭監督

（試合を振り返って）優勝を逃したことが残念です。これだけ多くのファンの方に期待して頂いていながらも、応えられなくて申し訳ない気持ちでいっぱいです。ただ、誰を責めるというわけでもなく、一生懸命やっている選手の力を出してあげることができなかった自分の責任、それだけです。今言えるのは、明日早稲田に勝つということだけです。

照屋塁主将（環４）
（どこで差が出たと思いますか）単純に力の差だと思います。ピッチャーも野手陣も、こっちは打たれて抑えられたのでそういう差が出たと思います。（シーソーゲームの中でどんな戦い方をされましたか）元から簡単な試合になるとは思っていなかったので、厳しい展開になっても最後まで集中して力を出し切ろうということは意識してプレーしました。（同点の犠飛の場面を振り返って）とにかく一点取りたかったので、積極的に打ちにいきました。（今日の打者陣はどうでしたか）6対5で勝っている段階で簡単に野手陣がポンポンとアウトになってしまっているなとは思ったので、それが相手の流れにつながってしまったのかなというのは反省です。（明日の試合に向けて）優勝は無くなったんですけど、早稲田には負けられないし、このリーグ戦に向けてチーム全員が一丸となってやっているので、それを無駄にしないためにも最後までしっかりと戦っていきたいと思います。

天野康大（環４）

（今日の試合を振り返って）シーソーゲームで最後粘れなかったのは痛いですね。取っては取られてという展開で、我慢しどころで相手がしっかり粘ってきたので、明日勝つためにもそこは反省点としてとらえていきたいです。（初回、初球からヒットにしてチームに勢いをつけました）もう今日は勝つしかないという状況でした。先頭の僕がしっかりと初球から振ってランナーに出ようと思っていたので、それが結果につながって良かったです。（全体を通してチームの雰囲気は）今年は粘れるチームなので、取られても取り返すぞといういい雰囲気と言いますか、向こうがリードしていても、すぐうちが取り返せる、と盛り上がっていました。その点は良かったと思います。（明日の試合はどのように戦っていきたいですか）しっかりと先制点を取って、そこから攻撃でも守備でも守りに入ったらダメだと思うので、明日は早大を圧倒できるように攻めの野球をしていきたいです。

郡司裕也（環２）

（今日の試合振り返って）勝てる自信があったので、めちゃくちゃ悔しいです。（１回には先制タイムリー。振り返ってみて）あの時は昨日打てなかった悔しさがあり、今日は絶対打つという気持ちはあったので、そこは良かったなと思います。（３回には逆転の糸口となる二塁打。振り返ってみて）今日は何としても勝つ、というか昨日僕はダメだったので僕が打って勝つという思いが強かったので、打つ面では良かったかなと思います。（４人の投手が投げる総力戦となったが、配球面で意識した面は）投手それぞれの長所を出すようにということはいつも意識しているが、今日は悪いところばかり出てしまったなという感じだったので、本当に悔しいです。