【ソッカー(女子)】大学リーグ第9節 泥臭くつかんだ勝ち点3! 二兎追う荒鷲が入れ替え戦出場に前進 順大戦

“らしくない”勝利だった。前節、首位・山梨学院大に競り負け、自力優勝が遠のいた慶大。1試合未消化ながら5位につけているが、1部2部入れ替え戦への出場権を獲得すべく、連敗は許されない。同じく負けられない4位・順大との一戦は拮抗した展開となったが、14分に右CKの流れから中島菜々子(総3・十文字高)がゴールを挙げて慶大が先制に成功する。その後も一進一退の攻防を繰り広げる中、慶大は58分に左CKを加藤楓琳(総2・常盤木学園高)が頭で叩き込んで2-0。試合を通じて体を張った泥臭いプレーで失点を許さなかった慶大が上位対決を制し、入れ替え戦出場へ前進した。

 

第31回関東大学女子サッカー2部リーグ 第9節

 

2017/11/12(日)13:00KO@慶應義塾下田グラウンド

 

【スコア】

慶應義塾大学 2-0 順天堂大学

 

【得点者】

1-0 14分 中島菜々子(慶應義塾大学)

2-0 58分 加藤楓琳(慶應義塾大学)

 

慶大出場選手

GK野村智美(4・作陽高)

DF佐藤幸恵(1・十文字高)

DF加藤楓琳(2・常盤木学園高)

DF熊谷明奈(1・十文字高)

DF足立智佳(1・大阪桐蔭高)

MF松木里緒(2・常盤木学園高)

MF中島菜々子(3・十文字高)

MF工藤真子(2・日テレ・メニーナ)

MF小川愛(1・神村学園高)901 齋藤宇乃(4・慶應義塾湘南藤沢高)

FW志鎌奈津美(3・常盤木学園高)→57 山本華乃(1・山手学院高)

FW鈴木紗理(1・十文字高)84 石川結菜(1・静岡高)

 

前節、慶大は全勝の首位・山梨学院大に敗れ(3●4)、痛恨の2敗目を喫した。1部自動昇格となる優勝は厳しくなったが、2位に与えられる1部2部入れ替え戦への出場権を獲得するためにも、敗戦のショックを引きずってはならない。前節はビルドアップでのミスから守備が崩壊したが、今節は果たして。

 

立ち上がりは慶大に硬さが見られ、なかなかパスワークでリズムを刻めない。相手に押し込まれる展開が続く中、10分にはいきなり大ピンチを迎える。相手の右CKがファーサイドに流れ、至近距離からシュートを放たれたが、これを鈴木紗理(総1・十文字高)がゴールラインぎりぎりのところでブロック。こぼれ球も必死の守備でかき出してピンチを凌ぐと、その直後に慶大が試合を動かす。鈴木が右CKを蹴ると、これが流れてファーサイドの小川愛(総1・神村学園高)のもとへ。小川が折り返したボールを中島菜々子(総3・十文字高)が左足で蹴り込み、慶大が先制に成功した。「みんなで集中して守れて、先制点を取れたのが良かった」と中島が振り返った通り、ここから慶大は安定感を取り戻す。さらに24分、37分と続けて志鎌奈津美(環3・常盤木学園高)にチャンスが訪れたが、これはいずれも枠の外。前半は慶大が1点リードで折り返した。

 

後半も、キックオフ直後に攻勢に出たのはやはり順大。47分には左サイドを崩され、大外からシュートを放たれたが、ここは守護神・野村智美(総4・作陽高)が横っ飛びでスーパーセーブ。54分にもCKからピンチを迎えたが、慶大の選手たちも身を挺したディフェンスでゴールを死守する。すると、その4分後だった。58分、慶大は工藤真子(総2・日テレ・メニーナの左CKを加藤楓琳(総2・常盤木学園高)がヘディングで叩き込み、追加点を獲得。リードを2点に広げ、さらに優位に立った。その後はしっかりと相手の反撃に対処し、無失点で試合終了のホイッスル。「絶対条件」(野村)の勝ち点3をもぎ取った。

 

この日の慶大は小気味良いパスワークでの攻撃が鳴りを潜めたが、野村が「今日の無失点はフィールドの選手たちのおかげ」と語ったように、球際の攻防、いわゆる“デュエル”で相手の勢いを抑え込んだ。“らしくない”スタイルで勝ち点3を積み重ねた慶大だが、大学リーグも残すところあと2試合。順位争いが佳境を迎える中で内容より結果を重視する時期と考える向きも当然あるが、伊藤洋平監督はそうではない。「まだまだ成長過程」と話す伊藤監督が目指すのは、あくまでも内容と結果の両立。ここまで貫いてきた自分たちのサッカーをさらに追求し、1部昇格をつかみ取る――。慶大ソッカー部女子に関わる全ての人が、同じ方向を見ているはずだ。「二兎を追いに行きたいと思います」。静かに、しかし力強く、そう指揮官は言い切った。

 

(記事 小林将平)

第9節終了時暫定の順位表(慶大は2試合未消化)

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試合後コメント

 

伊藤洋平監督

(試合を振り返って)順天堂とはいつも血みどろの戦いをしているだけあって、やっぱり本当にどっちに転んでもおかしくない、流れのつかみ合いだったと思います。(硬い展開となったが、前節4失点を喫した中で多少守備に重きを置く考え方はしたのか)いえ、もう我々の今季の持ち味は攻撃で、自分たちがボールを持って試合をコントロールをするということだったので。もちろんいろんな意見はあると思うんですけど、自分たちを信じることというのに本当に徹しました。(ビルドアップの場面でまだ不安定な場面が見られるがそれも積み重ね)そうですね。そこを超えればチャンスになって、そこで引っかかったらピンチになるという状況なので。もうあとは本当に質のところだと思うんで、どれだけ勇気をもって自分自身に向き合ってそういうトレーニングを積んでいくかというのがこれからの課題だと思います。(両センターバックが開いて両サイドバックを押し上げるという形で攻撃を構築している中で、センターバックの間にボランチが落ちてこないというシーンもあったが)今はGKが担えている部分はGKがやって、それでも(マークに)付かれている時には落ちてきて、今日は(相手の)トップ下の選手がうちのボランチにしっかりと付いてきていたんで、どちらかというとセンターバックだけでボールを回さなきゃいけない場面が多かったんじゃないかなと思います。(セットプレーの2点だけで勝ち切る、“らしくない”展開となった)そうですね(笑)。こういうこう着したゲームの中でセットプレーで取れるというのはすごく大きなことですけど、裏を返せば流れの中で取れていないということなので、ボールを持つことを大事にしながらも、やっぱりゴールの確率が一番高いプレーって奪ってから10秒とか15秒以内だと思うんで、それをどう自分たちがボールを持ってコントロールしながらそういう場面を作り出すかというのが今後の課題なのかなと思います。(この2試合で球際の強さというのが上がったように見えるが、3週間の中断期間を経て取り組んだのか)一応木曜日はコンディショニングの日として球際の争いとかそういうところで毎週1回そういう日があるんで、その積み上げができてきたのかなというところですかね。(それでもまだまだと)まだまだですね。カウンターの時にやっぱり一対一で絶対止めなきゃいけないところとかがあると思うんで、そういう明暗を分けるような一対一のところでこだわりを持って練習をやっていくことが大事かなと思います。(両サイドハーフの松木選手、小川選手のゴールが減っているというのは、攻撃の課題が表れている部分と言えるか)1つはサイドバックが高い位置を取っていて、サイドハーフがサイドに張るというよりはボランチみたいなかかわりが多いので、それが1つ理由になっている部分だと思うんですけど。ただやっぱり、どちらかのサイドハーフはやっぱりゴール前まで走ったりしなきゃいけないと思うので、何か1つだけやるとかではなくて、もっとプレーの幅を広げていかなきゃいけないのかなと思います。(リーグ戦も佳境に差し掛かる中で「内容より結果」というのも考え方の1つとして存在するが、伊藤監督はどちらも追求していくという考え方なのでは)そうですね。「甘い」と言われるかもしれないですけど、ただやっぱりまだまだ成長過程だと思っているので、このチームは。内容と結果の両方にこだわって、両方得られるように。本当にそれに尽力するだけかなと思いますね。(「二兎を追う者は一兎をも得ず」を覆すべく、今後への意気込みを)本当にあと2試合、やることはもうはっきりと「入れ替え戦に勝つこと」と定まったので、そこに向けて本当に一丸となって、さらにもう1個レベルアップできるように。二兎を追いに行きたいと思います。

 

野村智美(総4・作陽高)主将

(試合を終えて、率直な気持ちは)1部昇格には勝ちが絶対条件だったので、それを果たせて何よりですけど、あと2つ残っているので、そこに向けてもうスタートを切らなきゃなという感じです。(前節敗れて迎えた今節、試合に入る前の心境は)スタッフ陣からも話があったんですけど、「負ける心配をするメンタルではなく、自信を持ってプラスのメンタルでいこう」と。その気持ちがワンプレーワンプレーに出て、みんなに守ってもらってゼロに抑えられたりしたので、すごく良かったと思います。(無失点で終えたことについて)CKで2得点した一方で、こちらにも失点もののCKが少なくとも2つはあったんですけど、全部フィールドプレーヤーが跳ね返してくれたり、自分の後ろを守ってくれたりして心強かったです。あまり良い形でボールを持たれるシーンは多くなかったので、今日の無失点はフィールドの選手たちのおかげだと思います。(今日勝って昇格に一歩近づいたと思うが)もう直接対決が残っていない尚美学園大と得失点差で争う状況なので、気の緩みを見せず、次も無失点・大量得点で勝たなきゃなと気持ちを切り替えていきます。(次節に向けて)次節は東海大学で、もちろん得失点差も大事ですけどまずは勝ち切るということや、最後の2試合になった中で、次につながるような成長したチームのプレーを出せるように頑張っていきたいと思います。

 

中島菜々子(3・十文字高)副将

(試合を振り返って)前半立ち上がりは硬くなって厳しい時間が続いたんですけど、そこでみんなで集中して守れて、先制点を取れたのが良かったと思います。勝ち切れて良かったです。(前節敗れた後のチームの切り替えは)自動昇格は確かに厳しくなったんですけど、まだまだ1部に上がれる可能性はあるので、全部勝つしかないとしっかり切り替えて、良い練習ができたと思います。(セットプレーの得点が多い一方、流れの中の得点が減っている)そうなんですよ。ゴール前までは行けているんですけどなかなかシュートまでいけなかったり、大事なラストパスがつながらなかったりが多くて、流れから取れていないのは課題だなと思っています。(後半は押し込まれ気味だったが、守ればいいという試合運びか)自分たちが勝っている中で、失点したくないというのもあったんですけど、相手が前からはめてきて、後ろからつなぐいつもの自分たちのサッカーができなくなって、蹴り合いになってしまって押し込まれてしまったので、もっとやりたいことはあったんですけど、ディフェンスラインがすごく集中して無失点で凌げたので良かったかなと思います。(前節は4失点したが、今節は守備が機能した)前節の失点も自分たちのミスからが多くて、得点後の気の緩みだったり、立ち上がりなど節目節目での気の緩みを出さないようにしようと、みんなで取り組みました。(次節に向けて)まだまだ入れ替え戦が決まったわけではないし、今日の勝ちを1部昇格につなげるためにも、次は絶対に勝たなきゃいけないので、しっかり無失点で、点を取って勝ちたいと思います。

 

加藤楓琳(2・常盤木学園高)

(試合を振り返って)今回は本当に勝つしかなかったので、勝てて本当に良かったなと思います。(前節、首位の山梨学院大に負けて臨んだ今節となった)1部昇格に向けてチーム全体で切り替えてやっていたので、良い雰囲気で臨めたかなと思っています。(特に前半、ディフェンスラインで苦しいパス回しが見られ、ミスなどもあったが)前節もその辺のミスを結構引きずってバタバタ失点してしまったので、そこは本当に切り替えて無失点で終われたというのは、前回から変えられた部分かなと思います。(攻撃面では左CKを頭で合わせて2点目を奪った)前節4失点していたので、もうとりあえずディフェンスとして無失点にしようっていう目標があって、それにプラスで攻撃面にも貢献できたというのは自分の中でも嬉しく思っています。(20としてからチーム全体の意思統一はどのようにしていたのか)守りに行くっていうのはみんなの頭の中にはそんなになくて、たぶん守りに行くと逆に良くないチームなので、そこはもうあんまり考えずに自分たちのサッカーを最後までやるっていう感じでした。(次節に向けて)もう1回ディフェンスとして無失点にするのと、あとはもうみんなで全員で勝利をつかみに行くというのを。絶対勝ちたいと思います。

 

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