【アイスホッケー】1点差で惜敗…歴史的勝利とはならず 第82回早慶アイスホッケー定期戦

1点が遠かった。スケート部ホッケー部門現体制最後の一戦は伝統の一戦。慶大はリーグ戦を5位で終え、一つ上の4位には宿敵がいた。昨年までとは違う距離で見えた早大の背中。それを越して歴史的勝利を収めたい選手たちは奮闘したが、あと1点及ばず悔しい敗戦となった。

 

82回早慶アイスホッケー定期戦

2018113日(土)1645F.O. @DyDoドリンコアイスアリーナ

慶應義塾大学3-4早稲田大学

 

Period

1

2

3

Score

慶大

0(15)

3(11)

0(6)

3(32)

早大

2(19)

1(10)

1(27)

4(56)

()内はシュート数

旗手を務めた大久保副将(経4)

 

今年で82回目の開催となった冬の早慶定期戦には多くの観客が押し寄せ、会場は試合開始前から熱気に包まれていた。選手たちも年明けからこの日まで「打倒早稲田」を掲げ、練習やミーティングに励んできた。

試合開始後、序盤から早大に攻め込まれる展開となってしまう。危ないシーンを何度か迎えたが、GKの小池丈二(経2・浦和高)が見事セーブしてピンチを回避する。攻撃では相手ゴール近くまでパックをもっていけるが、シュートを簡単に打たせてもらえない。ペナルティーによる退場で、一人足りない状態のキルプレーが残り16秒となった時、ついに均衡が破られた。ゴール前を厚い守備で固めたが、それが裏目に出る。ゴール左横にできたわずかな隙間からパックを押し込まれ、早大に先制を許してしまう。そして15分には2度目のキルプレーとなってしまい、ここでも早大に得点を許してしまった。2点差で第2ピリオドに向かう。

好セーブを連発したGK小池(経2)

第2ピリオドは慶大が巻き返しに出る。開始わずか1分で福盛太郎(政1・慶應義塾高)がペナルティーによる退場でキルプレーとなってしまうが、その後早大の選手も反則を取られ、両校一人ずつ少ない展開に。福盛が戻り、パワープレーになった瞬間、ついに待望の1点目が生まれる。史習成リック(総3・駒大苫小牧高)が中央を駆け上がり、落ち着いて確実にゴールを決める。1点差となり会場は大盛り上がり。57秒後には主将の安藤直哉(政4・慶應義塾高)も決める。パスが上手くつながり、完璧な流れで最後は左側からシュート。普段は冷静な安藤も飛び上がって喜んだ。同点となり、試合の主導権は明らかに慶大だった。選手たちはこの流れを断ち切るまいと果敢に攻める。10分には運上雄基(総1・埼玉栄高)が得点を決め、ついに逆転に成功する。ところが喜びも束の間、わずか1分後に同点とされる。再び逆転を目指したが、パックはゴールに入らず、同点で第2ピリオドを終えた。

2点目を決めた安藤を称える

 

運命のラスト20分、最終ピリオド。第2ピリオドの勢いそのまま、流れを引き寄せたい慶大だったが、選手たちにも疲れが見え始める。7分、パックを奪われシュートを打たれてしまう。GK小池が一度は阻止したものの、はじいたパックに反応した相手にワンタッチで決められてしまった。残り10分を切り、選手たちを焦りが襲う。残り3分でキルプレーを迎えてしまうが、それでもなお選手たちは攻めに出る。残り55秒で、慶大は小池をベンチへと下げ、6人攻撃に出る。残り40秒で安藤が執念のシュートを放つも、ゴール脇わずかに右に逸れてしまう。そして、試合終了を知らせるブザーが会場に鳴り響く。選手たち数名は涙を流した。

悔しさをにじませる選手たち

このメンバーでプレーできる最後の試合が終わった。1点差で惜しくも敗戦。45年ぶりの勝利とはならなかった。悔しい結果になってしまったが、宿敵に1点差まで追い詰めることができたのは、やはり今季のスケート部ホッケー部門が強かった証拠だろう。4年生はこれで引退してしまうが、新チームはすぐに始動する。この強さを維持して、来季は今季以上の活躍を見せてほしい。

 

(記事:椙本 彩愛、写真:津田 侑奈、尾崎 崚登、髙橋春乃)

 

(以下コメント)

 

安藤直哉主将(政4・慶應義塾高)

(今日の試合を振り返って)悔いがないっていう表現もできるんですけど、悔しいことは悔しいですけど、やれることは全部やったかなという意味でやりきったっていう気持ちが一番あります。(2点目はご自身が決められ、喜びを爆発させていましたが)そうですね。最後やっぱりチームの為に貢献したいっていうのと、やっぱり点とるのが僕の一番の役割なので、チームの最後力になれたという意味ではやっぱり嬉しかったですね。(第1ピリオドは無得点、第2ピリオドで3得点となりましたがその間どんなことを選手たちに共有したのでしょうか)1ピリも内容自体はそんなに悪くなくて、ただその反則、キルプレーで点を取られてしまったので、そこをまず修正して、それ以外の部分でとにかく点は絶対入るから、信じてやりましょうっていうことをみんなで声かけて、絶対あきらめないようにということだけみんなで確認して(第2ピリオドに)行きました。(主将を務められたこの1年はどんな1年だったでしょうか)そうですね、数年前を悪く言うわけではないのですが、ちょっとトップダウンというか、上下関係がすごい不必要な部分もあったのかな、と思っていて。とにかくチーム全員がそれぞれのことを信頼したり、リスペクト出来る環境っていうは作りたいなと思っていて。僕たちも1年生が色々やってくれたら「ありがとう」と言うし、そういった信頼関係を作るっていうのは大事なので、それを1年間やってこれたと思います。(後輩たちに向けてメッセージを)とにかく歴史を変えることはできなかったですけど、確実に上まで来たという、それは自信を持って言えるので、来年これを土台にして、もう一歩上がって、まあいい経験をみんなでしてほしいなと思います。(最後に応援してくださった全ての方々に向けてメッセージをお願いします)これだけの観客の中で試合ができるというのは、慶應の素晴らしいところだと思っていますし、世の中ではマイナースポーツですけど、これだけアイスホッケー面白いねって言ってもらえて、とにかく嬉しかったですし、こうやって色々応援し合える関係なので、これからもお互い社会に出てもそうだし、後輩たちもお互い信頼して応援し合える環境になっていったらいいな、と思います。

 

大久保健介副将(経4・慶應義塾高)

(今日の試合を振り返って)色々チャンスはあったんですけど、チャンスを決め切れなかったのが敗因なのかなと思います。(一時は逆転しました)そこで、リードを保てなかったのがよくなかったです。途中、早稲田に流れが行きかけてしまい、流れを取り戻すプレーも必要だったかなと思います。結果追いつかれましたし、最後もリバウンドで失点して、追いつけないという形で終わってしまいました。決めるところを決めていれば勝てたと思います。(今日が引退試合でしたが)これからも社会人チームでやるつもりですが、大学ホッケーは終わってしまったので寂しいです。(4年間を振り返って)長いようで短かったのかなと感じています。まだ引退したという実感がないですけど、楽しかったです。(最後の1年は)副将という立場でチームを引っ張ったりと色々ありました。そういったこともあって、最後の1年は長く感じました。リーグ戦5位を達成できたので、来年度以降につながる一年だったのかなと思います。(後輩にメッセージ)ポンコツディフェンスがいなくなったので試合に勝てるんじゃないかなという感じですかね(笑)後輩には頑張って欲しいです。来年以降新4年生は活躍している選手がたくさんいるので、今の4年生がいなくなってもきっと勝っていけると思います。これからは観客席から応援します。(ファンに向けて一言)あんまり派手は選手ではなかったんです。シュートブロックだったり、体張ったりして守るというプレースタイルでしたが、今まで応援してくださって、とても嬉しかったです。最後の最後で負けてしまいましたが、プレーで応えられたのかなと思います。本当にありがとうございました。

 

阪本航大副将(環4・苫小牧東高)
(今日の試合を振り返って)最初1Pは相手のパワープレーで2失点してしまったのですが、5対5では十分戦えていたので、結果を見てもわかる通り自分たちがやるべきことは試合を通して出来たかなと思います。(早慶戦そして引退試合として今日の試合にどう挑みましたか)この試合に入るときは、絶対勝って歴史を変えるぞという気持ちで挑みました。(DFでありながら果敢に攻めていましたが)常に練習の時から意識していて、FWの3人に次ぐ4番手のプレーヤーとして積極的にゴールに向かおうという意識はしていました。(今シーズンはいかがでしたか)今シーズンはリーグ戦勝利と早慶戦勝利を目標に立てていた中で、どちらも達成することはできなかったのですが、その前は5引き分けしかできなかったリーグ戦で5勝することができましたし、早慶戦もあと一歩のところまで追い詰めることができたので、来年につながるいいチーム作りができたと思っています。(副将としての1年間は)主将の安藤(直哉)がプレーで引っ張ってくれたので、もう一人の副将の大久保(健介)がみんなにズバズバはっきりと言ってくれるのを緩和すると言ったら難ですが、そういう風に主将副将という3人の役割と、ほかの同期の山下(礼)、林(宏樹)、(滝)智弥もすごく支えてくれて、いいチーム作りができたかなと思います。(アイスホッケー部としての4年間はいかがでしたか)本当に大変なことが多かった4年間だったのですが、体育会のこの部に入ってよかったと思いますし、これからの人生で何にも代えられないものだと思うので、入部してよかったです。(後輩へのメッセージ)今シーズンはいいチーム作りができたと思うのですが、立てた目標というのを達成することができなかったので、必ず来年は早慶戦勝利はもちろんほかのリーグ戦も今年以上の成績を残して欲しいです。(応援してくださった方へのメッセージ)早慶戦ではたくさんのご声援ありがとうございました。何度も何度もくじけそうになったことはあったのですが、今日とか特にその声援を力に変えていつも以上のプレーをすることができました。自分が大学でプレーすることはないんですが、引き続き後輩たちの応援をよろしくお願いします。

 

山下礼主務(政4・慶應義塾高)

(今日の試合を振り返って)そうですね。最初2失点して、そのままズルズル行っちゃうのかなってちょっと思ってた部分もあったんですけど、でも1ピリと2ピリの間に控え室戻った時の部の雰囲気も本当に良くて、今まででベストなピリオドだってコーチに言われて、相手にとっても絶対にこの2点差は怖いし、1点入ると追いつかれちゃうっていう危機感を持ってやってくるんで、次の1点が大事だというのを言われて、頼もしい後輩たちが3点まで取ってくれて、今日勝てるんじゃないかなって正直思ったんですけど、やっぱりさすが早稲田で、食らいついてきて、3ピリで3-3になってしまいました。高校からアイスホッケー始めて、経験は周りの選手に比べて劣るんですけど、いつも3ピリになると6番目のディフェンスとしてやっていて、良い試合になっていると残り10分くらいから5人回しになっちゃうんですけど、今日もそうなるかなと思った時にベンチから同期や後輩の果敢なプレーを見て、感極まって今日は絶対行けると思っていて、残り1分の時にまた6人攻撃できたっていうのが、本当にチームが成長した証だと思いました。来シーズンにつながる良い試合だったと感じました。(早慶定期戦に臨む前のチームの雰囲気は)インカレが終わって1月3日からスタートしたんですけど、みんな「打倒早稲田」を掲げて日頃の練習であったりミーティングに熱心に取り組んでいて、すごい統一感があったなと思ってまして、試合に入る時も「今年は違うぞ。歴史変えよう。」というムードを持って試合に臨めたので、すごい一体感があって良かったなと思います。(選手としてだけでなく主務として活動した1年間を振り返って)今年は初のカナダ遠征を実施したということで、個人的には初めての経験が本当に多くて戸惑うことも多かったんですけれども、同期や後輩たちがすごいサポートしてくれたおかげでなんとかカナダ遠征に無事行くことができました。本当に自分だけでは何もできないなって感じる部分は多くて、いろんな人を巻き込んでやらないと何事も達成できない。それも本当にアイスホッケーに通ずるものがありまして、アイスホッケーもチームスポーツとして、1人がそれぞれ与えられた役割を徹底してやるっていうのがすごい共通した部分であったので、主務の仕事を通してそれを学ぶことができて、すごい充実した1年間になりました。また、本当にいろんな人に支えられてるんだなって改めて感じる部分もあったし、色々な部活の主務との関わりも増えたので、忙しい1年間だったんですけど、その分収穫もたくさんあって、本当に主務をやってきて良かったなと思います。(体育会スケート部ホッケー部門での4年間を振り返って)僕実は、大学1年生の時の早慶戦でフルメンバー出させて頂いたんですけど、春の時は最初のシフトで転んでしまって相手にチャンスを与えてしまって、そこから結構どんどん自分の歯車が狂ってしまってすごい低空飛行をしていたことが多かったんですけど、それでもちゃんと練習したのかな。4年目でやっとレギュラーに定着することができたので、自分の今まで努力してきたところを自画自賛したいなと思います。(社会人になってアイスホッケーからは離れるのか)実は離れないんですよ。社会人になってからも続けようと思ってて、岡山か山口か富山に行く予定なんですけど、県の代表を目指そうかなと思ってまして、近くにリンクがあればそこに通おうと思ってます。こんな素晴らしいスポーツに出会ったことは何かの運命だと思うので、それをしっかりと社会人になっても続けて、暴れたいと思います。(後輩達へのメッセージ)僕はそんなに自信を持ってる選手じゃなくて、高校からアイスホッケー始めたので、どこかしらでやっぱり幼い頃からホッケーしてた選手と比べて劣ってる部分があるなと感じてしまうどうしようもない先輩なので、後輩には胸を張って自信を持ってプレーしてもらいたいなと思ってまして、今年はリーグ戦ベスト5だったり、春には早稲田を倒しているので、そこまでできるチームなんだっていうのを証明してるので、来年からは思い通りのプレーをして頂きたいと思います。(応援して下さった人へ)こんな遠い東伏見の地までお越し頂き誠にありがとうございます。日頃から応援して頂いたことに本当に感謝を申し上げたいと思います。寒い中、本当にありがとうございました。

 

林宏樹(政4・慶應義塾高)

(試合を振り返って)勝ちにいってたので悔しいですね。でも個人的には結構やることはできたので悔いはないです。(特に第2ピリオドはかなりやれている手応えがあったのでは)そうですね。みんな2点ビハインドならまだ全然取り返せるという気持ちで、後輩が中心に得点してくれて、流れに乗れたと思います。(最後は1点が遠かった)みんな全然諦めてはいなかったんですけど、ちょっとどうしようもない感じで、力足らずでしたね。(この1年を振り返って)今年はまずケガ人が出て、そこを埋めることで上位に食い込もうとして、個人的には高校から始めたこともあって少し力が足りなくて、迷惑をかけてしまったところもあるんですけど、チームとしてこういう結果を残せたのは後輩のみんなのおかげだと思います。(高校からアイスホッケーを始めて、ここまでくるのには大変な苦労や努力があったのではないでしょうか)その時その時は「キツいな」ってときもあるんですけど、今になって振り返ってみると全部楽しかった思い出ですし、努力というより、夢中になっていました。(後輩へのメッセージ)まずついてきてくれてありがとうございますというのと、僕たちがこの結果を残せたのは後輩のおかげだと思うので、そんなみんななら来年もっと良い結果が残せると思うので頑張ってほしいです。(応援してくれた方々へ一言)4年間応援してくださってありがとうございます。最後は勝利という形で恩返ししたかったんですけどそれができなかったので、来年以降、チームとしてまた勝利を目指しますし、僕もOBとしてチームを応援することで恩返しをしようと思っているので、引き続き応援よろしくお願いします。

 

 

1年間、ケイスポの取材に快く応じてくださった選手の皆様、取材活動を支えてくださったスタッフの皆様、関係者の皆様にこの場を借りて厚く御礼申し上げます。本当にありがとうございました。皆様の今後のご活躍を期待しております。(アイスホッケー担当一同)

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