【バレーボール】2敗に終わるも、全日本インカレへ向けて収穫を得る/第71回全早慶明バレーボール定期戦

バレー戦評

1年生も活躍した

劇的勝利で一部残留を決めた入替戦から2週間。慶大は今年で71回目を迎える伝統の全早慶明定期戦に臨んだ。1戦目の早大戦では相手の強烈なサーブに崩され大敗を喫してしまうも、切り替えて挑んだ明大戦ではブロックが機能し強豪相手に第1セットを先取。ファイナルセットまでもつれた試合を惜しくも勝ちきることはできなかったものの、2週間後に迫る全日本インカレを前に、チームが「一枚岩」(宗雲監督)になるきっかけを与える2戦となった。

 

2018年11月11日(日)

第71回全早慶明バレーボール定期戦

@明治大学和泉キャンパス体育館

 

早大戦

 

得点 ※3セットマッチ

慶大

セット

早大

11

25

17

25

 

 

第1戦の相手は秋季リーグ戦を制した早大。格上相手との対戦になるが、ここは果敢に挑戦して多くの収穫を得たいところ。慶大はサイドに宮川郁真(総1・松本県ヶ丘)を起用してこの一戦に臨んだ。

 

 

小出(写真左)のサーブレシーブ

試合開始直後、早大の強烈なスパイクを富澤太凱(経3・慶應)、樫村大仁(環2・茨城高専)の2枚でブロックし先制点を奪う。このまま流れに乗りたい慶大だったが、早大の執拗なブロックに加えて自陣のミスも重なり、なかなか得点を重ねられず、セット中盤で点差は12点まで開いてしまう。その後も富澤のスパイクを中心に反撃を試みるが、最後は慶大のスパイクがラインを割り、第1セットを11-25で落としてしまう。

 

 

OBの上田氏がチームを盛り上げた

第2セット、出だしの慶大サーブは綺麗にセッターに返され、先制点を許す。その後は相手レシーバーを吹き飛ばす富澤の強烈なスパイクや、第1セット途中から入った加藤真(商2・慶應)の技ありのブロックアウトやブロックポイントなどで慶大が流れを掴みかけるも点差は縮まらず。最後は慶大のサーブがネットを越えず、このセットを17-25で落とし、早大にストレート負けを喫した。

 

 

※ 監督・選手コメントは記事の最後にまとめて掲載いたします。

 

 

出場選手

サイド

小出捺暉(環1・駿台学園)

センター

樫村大仁(環2・茨城高専)

オポジット

富澤太凱(経3・慶應)

サイド

宮川郁真(総1・松本県ヶ丘)

センター

清水柊吾(総2・広島城北)

セッター

吉田祝太郎(政2・慶應)

リベロ

岩本龍之介(商4・仙台第二)

 

永田将吾(総1・高松)

途中出場

加藤真(商2・慶應)

 

上田悠貴(H28卒)

 

 

 

明大戦

 

得点 ※3セットマッチ

慶大

セット

明大

26

24

18

25

27

29

 

 

2戦目の相手は今季1勝もできず、なおかつ全カレで対戦する可能性の高い明大。全カレに向けてなんとか手応えをつかみたい慶大はダブルエースの一角、マルキナシム(総3・川越東)をスターターとして起用する。

 

 

試合開始前の慶大

第1セット、慶大は相手のスパイクミスで先制点を奪う。相手のブロックや慶大のレシーブミスで連続得点は奪えないものの、樫村のクイックやマルキのバックアタックなどでなんとか食らいついていく。両者一進一退でポイントを重ねていき、試合はセット終盤へ。相手に3連続ポイントを取られたところで慶大はタイムアウトを要求。その直後、樫村のクイックで得点すると、慶大はそこから5連続得点でこの試合初めて逆転する。その後明大の2連続得点で同点とされるも、慶大の勢いは収まらず。この試合何度も決まっている樫村のクイック、富澤のスパイクで再び逆転に成功する。そして、富澤の相手レシーブを吹き飛ばす強烈なサーブで慶大のセットポイント。慶大が与えるプレッシャーに本来の実力が出せなくなった明大のミスも重なり、このセットを26-24で奪うことに成功する。

 

 

ピンチサーバーとして登場したOB立木氏

取りきりたい第2セット。早大戦では乱れの見られたサーブレシーブも安定し出し、徐々に慶大の攻撃にもギアがかかり始める。マルキ、富澤を中心に得点を稼ぎ、明大相手に序盤から熾烈なサイドアウトの応酬を続ける。未だ万全でないマルキが中盤でコートを出ても、小出が得点を決めてチームの穴を埋めた。しかし、サーブのミスから5連続失点を許すと、スコアを一気に放され14-20。勢いを増す相手のスパイクからコートをカバーできない慶大。最後はボールを繋ぎきれずに18-25でこのセットを逃した。

 

 

第3セットから出場した宮川

勝負が決まる第3セット。開始早々明大に5連続ポイントを奪われいきなり5点差とされるも、そこから慶大は清水柊吾(総2・広島城北)のブロックアウトや富澤のサービスエースで4連続ポイント、明大に行きかけた流れを引き戻す。エンドが変わった後半、ここから両校が驚異の粘りを見せる。明大がなかなかボールを落とさない中、慶大も岩本龍之介副将(商4・仙台第二)を中心にボールを返し続ける。慶大が先にマッチポイントをとるも、すぐに追いつく明大、試合はこの試合2度目のデュースにもつれ込む。しかし最後は明大に4連続ポイントを奪われ、セットカウント1-2で惜しくも明大を破ることは叶わなかった。

 

 

出場選手

サイド

小出捺暉(環1・駿台学園)

センター

樫村大仁(環2・茨城高専)

オポジット

富澤太凱(経3・慶應)

サイド

マルキナシム(総3・川越東)

センター

清水柊吾(総2・広島城北)

セッター

吉田祝太郎(政2・慶應)

リベロ

岩本龍之介(商4・仙台第二)

途中出場

加藤真(商2・慶應)

 

立木智大(H30卒)

 

宮川郁真(総1・松本県ヶ丘)

 

片波見和輝(文3・成田)

 

 

早明どちらの強敵からも勝利を得ることはできなかったものの、収穫が得られなかったわけではない。「学生間でしっかりと腹を割って話し合うためのきっかけにする2戦だった」と宗雲監督が語るよう、2週間後に迫る全日本インカレへ向けて、今一度チームを見つめ直す絶好の機会となったはずだ。特にファイナルセットのデュースまで持ち込んだ明大とは全日本インカレ3回戦で当たる可能性は高く、この日に得たものは多い。今季最後となる大会で有終の美を飾れるよう、慶大の飛躍を願うばかりだ。

 

 

(記事:五十右瑛士・堀口綾乃 写真:藤澤薫)

 

 

以下、コメント

 

 

宗雲監督

 

――秋リーグ終了から全カレまでの期間にある今大会。どのような位置づけで臨んだか。

非常に難しいですね。卒業生を入れての試合なので、学生のモチベーションもどこに持って行けばいいかわからない部分があって。今日ご覧になってわかるように、すぐに崩壊してしまって、これに懸ける思いが必ずしもあったわけではないので、難しかったですね。一応インカレに向けて、やりたいことは学生間で決めてやっていたみたいですけど。

 

――加藤真選手や宮川選手など、サイドの選手を交代で起用していたが、彼らの活躍については

マルキがまだ万全ではないので、加藤を使ったり宮川を使ったりというのは結果的にそういう風になったんですけど、それを前向きに考えれば、宮川は1試合目は全然ダメでしたけど、それがあったから2試合目は少し落ち着いて1試合目の分を取り戻してくれました。元々彼が持っている能力はちょっと垣間見られました。

 

――早大戦では守備の面で乱れが見られましたが、その点を振り返って

まずは、早稲田さんのサーブがすごく良かったですね。最近ああいうサーブを受けていないので、戸惑っていましたね。うちのサーブレシーブが悪いというのもありますけど、それ以上に早稲田さんのサーブがとてもよかったと捉えています。

 

――明大戦、第1セットの好調の要因は

吉田のサーブが走って、連続して崩せました。あとはブロックが機能していたので、それも要因だと思います。サーブレシーブも宮川が頑張っていました。宮川を横に外していたのもあるので、そういう意味では小出や岩本が当たり前の仕事をしっかりとしてくれた。そういったことが重なったのだと思います。

 

――今日全体を通して収穫となったことは

大きな収穫としては、インカレ前にチームがまた一枚岩ではなくなってしまったので、学生間でしっかりと腹を割って話し合うためのきっかけにする2戦だったと思います。今日でよかったと思います。インカレ前に仲間と話し合って協力し合うことが確認できれば、今日のことはとても良いきっかけになると思います。

 

――全カレへ向けて

ポテンシャルからして、タイトルを獲る可能性はゼロではないです。でも、自分たちが一枚岩にならないからには力も発揮できないので、それが最優先です。それが上手くいけば、次に技術的なところや戦術的なところになるので、そこをまず悔いのないように話し合って、一枚岩になって臨んで欲しいし、臨みたいと思います。

 

 

 

宮川郁真(総1・松本県ヶ丘)

 

――初めての全早慶明定期戦だったが

昨日、監督からオール早慶明の歴史などをお話しいただきました。すごく昔から続いている歴史ある定期戦で、そういった先輩方が作ってきたものがあって、やっぱり重みがあります。

 

――今日の2試合をそれぞれ振り返って

早稲田戦については本当に自分の不甲斐ないところが全て出てしまって、本当に自分自身も情けないなって思いましたし、今日スタメンとして監督に抜擢してもらったのにそういったところに結果を出せなくて、非常に悔しい気持ちでいっぱいでした。明治戦については、3セット目に急に呼ばれたんですけど、その早稲田戦の不甲斐ないところもあったので、それを取り返そうっていう気持ちで臨んだんですけど、結局最後明治に越されてしまって、最後やっぱり勝ち切れれば良かったなっていうのが正直な思いです。

 

――ご自身の攻撃面は

ここ2週間くらい、セッターからのコンビを徹底的に合わせていこうっていうことをチームとして目標で取り組んできていたので、そういった面では悪くなかったんじゃないかなって思います。

 

――今日見つかった課題は

とにかく気持ちの作り方だったり、試合慣れっていう部分がまだまだ自分は全然ないので、試合に向かっていくっていう強い気持ちをもっとしっかり作っていけたらいいなって思いました。あと、自分はスパイクが持ち味なので、そういったところでもっとチームで貢献したりできたらいいなって思いました。

 

――ブロックを決めたシーンもあったが

慶應大学はみんな高いので、やっぱりブロックが持ち味だと思います。ベンチのみんなからも「ブロック見たい」っていうふうに言われていたので、そういうベンチのみんなの思いも含めて、1本シャットができたことは良かったなと思います。

 

――全カレまであと2週間余りだが

自分はスタメンとして絡んでくることはあんまりないと思うんですけど、Aチームのサポートだったり、自分が出たときに少しでも1%でもチームの力になれるように準備できたらいいなって思います。

 

 

 

上田悠貴さん(H28卒・東京海上日動)

 

――久々の出場でしたが慶大の雰囲気は

実際に被っている代が一学年しかなかったので、どういう感じで接していこうかなと思っていたんですけど、みんなしっかりバレーボールに対して真剣に取り組んでいるなという印象を受けました。

 

――上田さんが4年次の1年が今の4年ということで、成長したと感じる部分は

主将の伊藤(伊藤祥樹=総4・清風)がリーダーシップを発揮していて、チームがまとまっているなと感じました。岩本は試合の中で選手を盛り上げたり、自分の役目をしっかり果たしていました。湯通堂弘起(商4・市川)と林(林大介=経4・慶應湘南藤沢)も、スタンドから後輩を思って声かけをしていて、良い先輩だなと思いました。一番成長を感じたのは加松(加松陽主務=経4・慶應湘南藤沢)で、1年次はどうなるのかと思いましたが、主務として役割をきちんと理解して、チームを、そしてこのような大きな大会を運営しているのはすごいなと、改めて成長を感じました。

 

――コートに入るにあたり意識していたこと

自分はプレーでは貢献できないので、少しでもチームがいい雰囲気になればと声をかけることを意識していました。

 

――今の慶大のプレー面での良さは

一人一人身長も高く、ポテンシャルも高いと思うので、個人の能力は非常に高いのかなと、そこが武器になるのではないか思います。

 

――あと2週間で全カレを迎える後輩へ

ありふれた言葉ですが、悔いなく、特に4年生は一番思い入れのある代なので、最後悔いなく終わってほしいなと思います。

 

 

 

立木智大さん(H30卒・東京海上日動)

 

――慶大としてのプレーは久しぶりだったが

まず最初に感じたのは楽しかったなということと、大学生は若いなということです(笑)。1個しか変わらないんですけど、それをひしひしと感じるような試合だったかなと思います。

 

――後輩の1年の成長は感じたか

自分の衰えがあるとも思いますが、自分が思っている以上にうまくなっていると感じました。社会人だと週1回の一方、週6日でやっているので上手くなるなと思います(笑)。特に3年4年は後輩という感じがするので、彼らが上手くなっていると、すごく親のような気持ちになって嬉しくなりますね(笑)。ほっこりしました。

 

――自身のプレーは

1度目のサーブは入ったんですけど、2度目は浮いて終わってしまいましたね(笑)。1本ブレイクできれば2本目は思い切り打とうと思ったんですけど、2度目は残念でしたね。

 

――後輩たちに伝えたいことは

4年はあと1ヶ月です。私もそうだったんですけど、引退試合は一生記憶に残るので、悔いのないようにやってほしいです。3年以下はまだまだ時間があるので、一生懸命バレーに取り組むというのは素敵なことだと思うので、時間を無駄にしないように自分のやりたいことを一生懸命まっすぐにやってほしいなと思います。応援しています!

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