慶應スポーツ新聞会

【バレーボール】〈コラム〉だから僕はユニフォームを脱いだ――慶大の道しるべ、伊藤祥樹が貫いた信念

慶大の道しるべ、伊藤主将

 

ついに全日本バレーボール大学選手権(全日本インカレ)が開幕した。「日本一」を目標に、1年間駆け抜けてきた慶大バレー部。その中心には、いつも伊藤祥樹主将(総4)がいた。今回私たちは、そんな伊藤主将の本音に迫った。

 

 

清水柊吾(総2・広島城北)とブロックの確認をする

 

伊藤のことを端的に表すなら、『ユニフォームを着ない主将』。伊藤は、スタッフポロシャツを身にまとってベンチに座り、キャプテンマークを後輩に託す。けがでもない限り、ほとんど前例がないことではないだろうか。「前例がないけど、別に気にしていない」。伊藤ははっきりとそう言い切った。なぜか。それは、強い信念があるからだ――

 

 

ベンチから、チームを支える

 

「一人一人がチームの勝利に貢献するためにどうすればいいか考え、行動する」。これが、伊藤が選手たちに求めてきたことだ。それはもちろん、Bチーム、1年生も含めて全員に対して。そして何より、伊藤自身がこれを実践していた。「自分が1枠を譲ることで、新たな競争も生まれるし、ベンチに入ることが彼らのやる気や意識の変化につながる」。チームが強くなるため、そして部員たち一人一人が生き生きと活動できるようにするため。伊藤はついに、コーチになるという決断を下した。

 

 

練習中の風景

部員たちからの信頼は絶大だ。以前、樫村大仁選手(環2・茨城高専)はこう話していた。「祥樹さんは、僕らが何をしたらいいかわからないときでも道を示してくれる」。――強い信念を胸に、何度も選手たちに語りかけ、常にチームの先頭に立って進むべき方向に導いてきた主将、伊藤。そんな伊藤だからこそ、選手たちはついてきた。彼は、間違いなく慶大の道しるべだ。

 

 

いざ、全日本インカレへ

部員たちに真っすぐな思いを伝えてきた伊藤だが、実は唯一伝えられていなかったことがあるという。それは、感謝の気持ち。日本一という目標に向け、決して妥協を許さなかった伊藤は、選手たち一人一人に120%の努力を常に求めてきた。「それでもついてきてくれて、頑張ってくれていて。みんなには本当に感謝しているし、尊敬しています」。伊藤はこう付け加え、照れくさそうに笑った。――「まあ絶対に口には出さないけどね」。

 

そんな頼もしい仲間たちと挑む最後の大会、全日本インカレ。伊藤は、コート脇のベンチから声を飛ばし続ける。すべてはチームの勝利のため。伊藤の努力が、最後に綺麗な花を咲かせるに違いない。いざ、決戦の舞台へ。

 

 

(記事:藤澤薫)

 

 

◇連載企画◇ リレーインタビュー

先月取材した樫村大仁選手からの質問です。

 

――この1年間で一番大変だったこと、悩んだことは何ですか

悩んではいますよ、いつも。悩んでいるし、いつもきついし。きついのは、選手たちが生き生きとバレーをやれていないときが一番。その人がこの部に存在する意味が分からなくなっちゃったりとか、前向きにその人たちが物事を捉えられなくなっちゃってるときが一番自分がきついこと。それ以外は、チームが勝てないときとかも色々悩んだりするし、練習メニューどう組もうとか、誰にどうアプローチしようとか、ここが足りないからこういうシステムを入れてみようとか、こいつをこうやって生かせないかなみたいなのは常に悩んでる。悩んでるし、考えてるし。けど、それはつらくはなかった。当たり前のことだし、逆にそれを考えられているのは、幸せとまではいかないけど、けどまあ楽しかったです。

 

 

◇プロフィール◇

伊藤祥樹 (いとう・しょうき)

1996年9月18日生まれ/総合政策学部4年/清風高/身長190センチ/最高到達点325センチ/主将兼コーチ

 

 

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