【ラグビー】イヤーブックこぼれ話②川合秀和副将

ラグビー

 

毎年秋に蹴球部が発行しているイヤーブックの2019年版が、10月20日(日)より蹴球部公式オンラインショップにて先行販売される。首脳陣や主力選手へのインタビューや試合以外の活動紹介など、毎年盛りだくさんの内容で人気を博しており、我々慶應スポーツもインタビューや記事執筆といった形で例年制作に携わっている。7月下旬のテスト期間中に取材が行われたにも関わらず、今年も選手たちはたくさんのことを語ってくれた。

そこで今回は、イヤーブック掲載分からの抜粋と、掲載しきれなかった部分も加えた「イヤーブックこぼれ話」の第2弾として川合秀和副将(総4・國學院久我山)のインタビューを掲載する。

(取材は7月23日に行いました)

栗原主将とともにチームを引っ張る

――昨年と比べ、今季の慶大蹴球部はどんなチームですか

今年は4年生ばかりが試合に出ているわけではなく、下級生でも試合に出る機会が多いので、バランスが取れたチームなのかなと思っています。今年のスタイルとしては、上級生だけが引っ張るというよりも、1年生から4年生まで全員が主体性を持つ。

栗原HCが、積極的に選手の意見を取り入れてくれるからこそ、一人一人が考えて行動し、全員でチームを引っ張っていかなくてはいけないと思います。

 

 

――春季大会中、栗原徹ヘッドコーチから「本当に優勝したいという気持ちがあるのか」という言葉がかけられた、と聞きました。この時の状況を具体的に教えてください。

メンタル面の話ですね。

ラグビーって体を当てるスポーツで、走るスポーツで、すごくきついスポーツなんですけど、最終的にはつらい時に最後一歩頑張るか、それともさぼるかを決めるのは、勝ちたい気持ちだったり、仲間のためを思って体を張る気持ちだったりするんですよね。そういったところがプレーにどうしても出るので、栗原さんから見たら、勝つためにどれだけ自己犠牲を払えるか、という部分が気になったのかな、と。さぼってしまう人だったり、タックルが怖くてうまく入れない選手だったり、メンタル面でほんとにファイトする気あるのか、と。一人一人が、勝ちたいと思って仲間のために体を張ったり、きつい選択をしたりできるのか、という部分を指摘されたんだと思います。

 

 

――チームのスローガンとして”Unity”を掲げています。この言葉にはどんな意味がありますか

色々ありますが、一つ目は、1年生から4年生までが主体性をもって、一人一人が行動出来て、コミュニケーション、意思疎通が取れること。それも”Unity”だし、もう一つは、他の選手がミスをした時や、きつい時に、自分がそいつのために働きかける、体をはる、走れるか、きつい選択ができるか、っていう部分が”Unity”かな。自分個人で考えるのではなく、しっかりと周りに意識を向けて、という感じです。特に、練習中のミスは厳しくしますけど、試合中でのミスとかはネガティブに考えずに、ミスを誰かがフォローしてあげればいい。それこそ、ONE FOR ALL,ALL FOR ONE。それが”Unity”そのものだと思います。

 

 

――”Unity”を体現するための具体的な取り組みは何かありますか

意思疎通、戦術理解の部分では、春シーズンに試合が1週間おきにある時期は難しかったんですけど、プレイヤーズミーティング(選手間のミーティング)で1年生から4年生まで全員で集まって、戦術やほかの部分について、混ざってグループごとにディスカッションをしています。誰でも発言できる環境作りなど、そういう取り組みもあったり。

あとはグラウンド上ですかね。”Unity”という点では、全員が不可欠な人材であって、誰かがミスをしても、そいつをフォローすれば別に何も問題ない。俺たちはチームで戦っているから、一人で戦っているわけじゃない。そういうことを試合前とかには特に強く言っていますね。

 

 

――今年で慶大蹴球部は創部120周年です。この歴史について何か思うことはありますか

歴史しか感じないですよね。春に栗原HC就任後、栗原主将らとイギリスに行った時に、ケンブリッジやオックスフォードに見学に行くと、(かつて)慶應が試合しに来ていたりするんですよ。そういうところで慶應って、昔から他の大学よりも、新しいことをたくさんしているな、と感じましたね。イギリスのトゥイッケナムスタジアムのラグビー博物館みたいなところにも、慶應のジャージが置いてあったりとか。歴史が深いんだなあ、というのは感じていますね。

あとは、色々な方に応援されているということ。色々な方とご飯に行かせていただいたり、昔の人からずっと慶應は支えられていて、今僕たちが活動できているのは黒黄会のおかげでもありますし。

伝統校ってずっと強いですよね、と最近感じていて。明治、早稲田、慶應という伝統校って伝統があるからこそずっと強いし、プライドがありますよね。

イギリスに行って思ったのが、オックスフォードとかケンブリッジってクラブハウスがあって、1番最初の主将から写真があったんですよ。(オックスフォードやケンブリッジは)勝つということより歴史を重んじる学校で、一目で歴史を感じられるクラブハウスというものがありました。慶應はないじゃないですか。日本ってそれこそ特にそういうものが少ないと思うんですよ。(慶應が)ケンブリッジとオックスフォードと違うのは、勝つためにやっているうえで、歴史を重んじているという部分があるので、伝統を伝統だとは思っているけど、今まで慶應ラグビーに何があって、ということを知らないまま伝統とか言っている。慶應もそういうの(クラブハウスを)作ったらいいんじゃないかな、と思いましたね。

ただ、節目とか関係なく、120年間慶應は応援されてきて、今の慶應のファンがいて、黒黄会がいて、それ(慶應)に全然関係ない人まで応援してくれている。そういう人たちに恩返ししないとな、というのは日々思っていて、120周年だからとかじゃないですけど、応援してくれる人たちに何を恩返しできるかと言ったら、勝つことしかないと思うので、120年分の期待を背負って勝たないといけない節目の代なんだなとは思いますね。だからこそ重みがあるのかな、1試合1試合に。

 

 

――理想の副将像とは何ですか

僕ずっと、理想のリーダー像って何なのかなって考えていて。副将にはなったものの、正解がわからなかったんですよ。竹本さん(=隼太郎 FWコーチ)とかコーチ陣に(自分は)リーダーとしてやっているのか、と相談したんですよ。そうしたら、「理想のリーダーなんていない。リーダーって一人一人違ういいところがあって、そこでみんなに信頼を得ている。一人一人リーダー像は違って、どういう風に引っ張っていくかは、その人次第なんだ」と言われて、ありがたいというか、たしかにと思いましたね。やっぱり一人一人、人間って違いますし、栗原と僕だって全然タイプ違いますし、栗原と古田さんが一緒か、というのも違うし。じゃあ古田さんが理想のリーダーかというと、全部が全部そうとは思わないですしね。だから理想のリーダー像はあまりないです。

でも、自分に足りない部分はあると思います。副将でFWだとFW陣全体のリーダーになるじゃないですか。試合とかでも、竹本さんに言われて印象的だったのが、「自分のチームのFWを、自分のFWだと思え」と。FWとして、モールやセットプレーってそこがすごく大事なカギになってくるじゃないですか。

もちろん声はかけますが、足りてないって(竹本さんに)言われたんですよね。

8人が自分のことだと思って、自分だったらどうするか。(セットプレーに)気合い入れて入るだろ、とか。自分のFWだと考えて、お前がそのFWをどうするのか、どうしたいのか、そういうのがまだまだ足りてないと言われました。

リーダーってそういう部分で引っ張っていかないといけないのかな、と思いますね。

理想のリーダー像というよりは、何かしら認められた部分があってリーダーになっているので、(自分の良さを)生かしつつも、色々なリーダーを見て吸収して、頑張って自分の中で自分を理想のリーダー像に近づけるという感じでしょうか。

 

 

――蹴球部で過ごしたこれまでの3年間について振り返って頂きたいと思います。まず、プレーヤーとしての成長した部分は何かありますか

一番大きく変わったのがラグビーをする理由ですかね。

僕は小学生でラグビーを始めた時から、褒められたい、目立ちたい、という思いでラグビーをやってきて、それが大学2年生までですね。

3年生になってチームを俯瞰したとき、慶應義塾大学ってトレーナーは学生(から選出する)じゃないですか。ラグビーをやりたくて大学に入ったのに、そのラグビーが出来なくてトレーナーになってしまう。別に大学1年の頃なんて、チーム愛も薄いですし代への愛も薄いのに、そういう決断をして、いま実際に(選手以外の業務を)やっている。そういう仲間のためにラグビーをしている、したいというのが強くなったのが一番です。マネージャーもそうですし、僕たちのマネージャーだったら川邊幸(経4・慶應湘南藤沢)。あいつは1年生のころから僕たちの代で一人だけで、ふつうは2人女子マネージャーがいて二人で分担するんですけど、川邊幸は1年生の時から一人でやってきて、僕たちに特につらい顔もせず、本当はつらかったりしたと思うんですけど。僕たちのために、代のために、部のために頑張ってくれている人がいる。

トレーナーの井上周(商4・慶應志木)、山口耕平(経4・慶應志木)もそうです。井上は寮で相部屋なんですが、あいつは今も言っています。「選手として大学でいきたかった。今のトレーナーの自分に納得いってないし自分で選んだ道じゃないので、そういった部分では後悔している」と。あいつも情熱的な人間なので、(井上から)話をされて影響を受けて、こいつのために勝たないといけないし、体をはらなきゃいけないな、って思うようになって、ラグビーをする理由が変わったな、って思ったかな。同期マネージャー、トレーナー、分析班。そういう支えてくれている人のために今はラグビーをやっています。

自分のため、とか楽しいから、ラグビーをやってないんですよね。そこが面白いところで。

そこが一番大学入ってから変わったところですね。

ほんと、(昔は)自己中だったんですよ(笑)

今は井上周もそうだし、川邊幸も大好きだし。そいつらのために死ぬまで大学4年間、というか死ぬ気で試合に出て、死んでもいい、くらいであいつらを報わなきゃいけない。

そこですね、僕がラグビーやっている理由は。普通じゃないことが慶應では起こっているので、もしかしたらそこが慶應のいいところなのかもしれないし、勝つ理由の一つかもしれないですけどね。

ラグビーは自己犠牲が払えるスポーツだと思っていて、他のスポーツとは違って、こいつがタックルしなかったら負けるじゃないですかトライされて。

試合中でも誰かのためにタックルして、アタックしてって部分が”Unity”なのかな、とは思いますね。

 

 

――その一方、挫折した経験は

僕、挫折を挫折と思わない人なんですよね。2年生、春シーズンずっとAチームの表で出ていて、秋シーズンでずっとベンチだったんですよね。

挫折を味わったのが、(2年生時の)早慶戦、1点差か2点差のラスト4分しか出られなくて、そのままトライもとれず負けてしまったんですけど、すごいそれが悔しかったんですよね。

ベンチはもちろん大事ですが、影響を与えられないと嫌なタイプで。なにをするにしてもそうですね。影響して勝ちたい、影響して負けるなら仕方ない。自分がどうしようもない状況で負けてしまうならしょうがないですけども。去年の早稲田戦(全日本選手権準々決勝)もそうですけど、自分のどうしようもない状況で負けちゃうとか、2年前は僕が4分でトライをとれなかったので負けたんですけど…

そこで感じたのが、自分自身に圧倒的な力をつけないと、ということでしたね。早慶戦4分で交代させられて何もできなかったこと。そこで僕がトライをとっていれば勝っていた。去年も辛いですけど、そこが大きな挫折でしたね。

 

――秋に向けて、個人としての目標

チームが勝つとかじゃなくて僕の目標ですよね?

対抗戦トライ王、で。

わかりやすいですよね〜(笑)

そんなこと言って1トライしか取れなかったらやばいですよね。

(取材:野田快)

 

栗原主将のこぼれ話はこちらから

イヤーブックこぼれ話①栗原由太主将

 

【慶應義塾體育會蹴球部 2019年度イヤーブック】

価格:¥1,000/1冊(税込)

販売時期:10/27 東海大学Jr戦@慶大日吉グラウンドより一般販売開始予定、10/20よりオンラインショップにて先行販売開始

購入方法:対抗戦・練習試合を含めた塾蹴球部の試合会場、もしくは蹴球部公式オンラインショップ

 

本年にて発刊7年目を迎えるイヤーブックは「慶應ラグビーの歴史と今を伝える」をテーマに、部員の熱い想いや普段の生活を覗ける内容となっています。

イヤーブックを片手に、ぜひ蹴球部の試合に足を運んでください!

 

MAIN CONTENTS

HCインタビュー/主将副将インタビュー/リーダー陣対談/注目選手/全部員名鑑/一貫校特集/受験体験記/写真集/120周年記念 歴代主将×主務対談/OB訪問/年間スケジュール/新グッズ紹介 など充実のラインナップ!

 

 

◇今後の対抗戦日程

11vs日本体育大学 14:00K.O.

@上柚木公園陸上競技場(東京都)

 

1110vs明治大学11:30K.O.

@秩父宮ラグビー場(東京都) 

 

1123vs早稲田大学 14:00K.O.

@秩父宮ラグビー場(東京都)

 

1130日vs帝京大学 11:30K.O.

@秩父宮ラグビー場(東京都) 

 

応援よろしくお願いします!

タイトルとURLをコピーしました