慶應スポーツ新聞会

【ラグビー】対抗戦開幕前インタビュー③ 栗原徹監督

10月4日に関東大学対抗戦がいよいよ開幕します。これに先立ち、慶應スポーツでは開幕前インタビューを実施しました。

最終回は就任2年目となった栗原徹監督へのインタビューの様子をお届けします。

 

 

〈昨年度を振り返って〉

――昨シーズンを振り返って

昨年は大学選手権の出場を逃してしまって、特に序盤の筑波と再開後の日体大に負けてしまったのが残念でしたね。

今年はその2校と序盤から対戦になるので、巡り合わせをうれしく思っています。

 

 

――創部120周年の節目の年に監督を務めることへのプレッシャーはありましたか

プレッシャーはなかったですが、学生の貴重な4年間のうちの1年に関わることへの責任は感じていました。

 

 

――学生へのコーチング1年目だったかと思います。社会人へのコーチングと違いはありましたか

コミュニケーションのレベルは学生も社会人もそこまで変わらないです。

ただ、時間の過ごし方や取り組みへの意欲は、学生はまだまだ甘い部分があるなと見えました。社会人は仕事を犠牲にしていて、好きだからラグビーをしている、というレベルではないので、1つ話をすればすぐに変化が見られます。学生は変化したい、成長したいとは思っていると思うのですが、成長するための執念、執着は少し薄いなという印象です。その分懇切丁寧に寄り添っていかなければと感じました。

 

 

――学生へのコーチングの面白みは

自分の中では当たり前だと思っている事を知らない子も多く、そこに気付いてアプローチができたときはすごく成長してくれて、その成長度が社会人よりもすごく大きいです。一瞬で見違えるような選手になることも多いので、そうした時間を一緒に過ごせることは僕自身もうれしいなと感じます。

 

 

〈今年度ここまで〉

(12月チーム始動~4月まで)

――12月から新チームが始動しました。4月まではどのようなチーム作りをされてきましたか

(昨年の)自分たちの結果が良くなかったので、その事実を見つめ直して努力するしかないと思ってきました。とにかく全力でみんなが取り組むことをイメージしてチーム作りをしてきました。

 

 

(活動自粛期間中)

――コロナウイルス感染拡大により4月から活動自粛となりました。このことをどうお考えでしたか

首都圏一様に、世の中みんな同じ状況なので、残念と思うだけで終わるのか、その中でもできる何かを見つけるのか、今の置かれている状況でできることを見つけてほしいと伝えてきました。コロナの影響がなければないに越したことはないですが、天候と同じでこちらがコントロールできるものではないので。逆に成長できるいい機会ではないかなと思いましたね。

 

 

――監督として選手に意識して伝えたことはありましたか

しっかり自分自身と向き合ってほしい、ということです。活動自粛が明けて感じたのは、これまではみんな毎日来なきゃいけないから仕方なく練習に来ていた部分もあったと思うのですが、もともと練習したい、ラグビーがしたいと思って入部してきているので、そのことを再認識できるいい時間だったかなと思います。なぜラグビー部にいるのか、ということをしっかり考える時間にしてほしいなと思いました。

 

 

――もし栗原監督が現役でラグビーをされていたとしたら、どのようにこの期間を過ごされていたと思いますか

今の選手たちよりちゃんとしていなかったと思います(笑)

 

 

――自粛期間の部員の取り組みは監督から見てどのようにうつっていましたか

もちろん24時間監視しているわけではなく自己申告の面もあって判断しきれない部分もありますが、自粛明けの測定結果などからは与えられた環境の中でやれることはやってきたのだなというのが伝わりましたね。素晴らしいと思いました。

 

――測定結果というのは…

ウエイトトレーニングの数値などですね。ランニングはやっぱりみんな落ちていましたけど、ウエイトトレーニングは向上している選手も多々いて体つきが大きくなった選手も沢山いました。みんなそれぞれしっかりやってきたのだなという印象です。

 

 

(活動再開~現在)

――チーム作りの上で4月までと比べて方針の変化はありますか

自粛前と何も変わっていないです。今年はスローガンを掲げていないですが、僕から選手にお願いしていることが3つあります。

まず「全力でやること」、「チームメイトとしっかり競争すること」、最後が「チームで助け合いましょう」というものです。

全力でやらなければ競争も生まれないので、12月からはまず全力でやることに取り組んできて、だんだんと競争もできるようになってきました。9月に入ってから、その2点はとてもよくできています。3つ目の「助け合う」というのがまだ少し欠けている部分なので、現在はそこに取り組んでいます。

 

 

――自粛期間の取り組みが活きていると感じた瞬間はありましたか

自主性ですね。

選手たちがいる寮にコーチングスタッフが来られない状況が続いていたので、リモートも含めたメールのやり取りはしていましたが、4年生を中心に運営していかなければならない部分がたくさんありました。僕らが事細かにこうしなさい、ああしなさいと指示するわけではないので、そこを4年生は自分たちで考えて運営できていました。

自粛が明けて、僕たちコーチングスタッフが戻ってくると受け身になる面もありましたが、今までできていたことをしなくなるのはもったいないので「今まですごくリーダーシップを発揮できていたんだから、いきなりコーチ・監督に任せるような空気はやめましょう」という話をリーダーとしました。

活動自粛が明けてもう数ヶ月経ちますが、4年生中心に運営ができていますね。そこは去年と比べて大きく成長できている部分ですし、このコロナがあったからこそだと思っています。

 

 

――ここまでの相部主将・三木副将のリーダーシップはいかがですか

相部・三木のリーダーシップは素晴らしいです。彼らが何かをしているから素晴らしいというよりも、彼らの日ごろの行い、人間性が素晴らしいのだなと思っています。そんなリーダーの2人だからこそ他の4年生も彼らのことをサポートしてやってくれています。この2人だけが素晴らしいというよりも、4年生全体が一生懸命取り組んでくれていると思います。

 

 

――主将・副将のお二人の印象はいかがでしょうか。まずは相部主将について

相部は、一言でいえば本当に素晴らしい男です。勤勉で、痛いことやきついことを厭わない選手です。ラグビーは勝つうえで痛いこときついことがたくさんあって、そうした勝つために必要なことは躊躇なくやる選手です。

 

――相部主将は「慶應ラグビーの体現者だ」などと形容されているのを度々目にします

その通りだと思います。過去のどのキャプテンよりも素晴らしいのではないかと思います。

 

――では、三木副将はいかがでしょうか

三木も相部と同様に素晴らしいです。

相部はキャプテン経験がないので今もキャプテン像を模索しながらやっていると思うのですが、三木は高校でキャプテンをやっていたからかリーダーシップがどういうものなのかを良く分かっています。今回は副将なのでしっかりと相部を立てつつやってくれています。

相部は口がうまい方ではないので、相部が言葉足らずな場面では三木が付け加えて、相部が話せる場面では一歩引いています。相部が主将で三木が副将、というコンビだからこそチームがよく回っていると思います。

相部は素晴らしいリーダーで、素晴らしいリーダーの№2は大変だと思うのですが、そこで三木がこんなにも上手く振る舞えるとは思っていませんでした。もちろん相部も素晴らしいですが、それ以上に三木も素晴らしいなと感じています。

 

 

〈対抗戦に向けて〉

――対抗戦が無事開幕されることについて何か感じることはありますか

開催されないことも覚悟はしていたので、まずは開催されることをうれしく思っています。

 

 

――どの大学も万全の準備とはいかないかと思います。なにが勝敗を分けるとお考えですか

勝利への執念ですかね。ラグビーをやっていてつくづく感じるのは、年代が下がれば下がるほど、スキル以上に心構えや勝ちたいという気持ちが大きくプレーに作用するなということです。大学生も「この試合に絶対に勝つんだ」とチームで一つになれたときは大きく力を発揮しますし、逆に痛い思い、きつい思いをせずに小手先でラグビーをしようとしたときにはよくないプレーがでます。試合にかける思いが勝敗を分けるのではないかなと思います。

 

 

――先日の明大との実戦形式の練習を見て、現在のチーム状況は

結果は負けてしまいましたが、みんなとても一生懸命やっていました。タックルなどの痛いプレーをするのを楽しんでいましたね。明治には上手い選手がたくさんいるのでうまくいなされた面はありますが、慶應は今持てるものをすべて出し尽くして、7点差という結果だったなと思います。選手たちのここまでの準備と試合へのコミットには素晴らしいものがありました。対抗戦を戦っていける土台はできているなと感じました。

 

 

――目指す慶大ラグビーは

伝統的に慶應は他の大学に比べるとスキルも才能も劣るので、とにかく15人のチームワークと献身性でこれまで戦ってきました。お世辞抜きで、慶應のラグビーを見たらみんな清々しい気持ちになると思っています。下手だけど一生懸命やっているので。みんなが清々しい気持ちになれるようなラグビーができればなと思います。

 

 

――今シーズン、キーマンを挙げるとすれば

鎌形正汰(商4・慶應)です。去年は最終戦の帝京大戦に12番で出ていた選手ですね。彼が慶應のラグビーの頭脳なので、彼が良い方向にチームを導いていってくれるのではないかなと思います。

 

 

――期待の新人を教えてください

山田響(総1・報徳学園)ですね。もう新人扱いはしてないですけど(笑)すでに3年生ぐらいの雰囲気がありますね。それぐらいチームに溶け込んでいて落ち着いています。期待の新人といわれると他の選手の名前を挙げた方がいいんじゃないかと思うぐらい新人離れしています。

山田響と、岡広将(総1・桐蔭学園)、福本航平(環1・常翔学園)が今トップチームに絡みつつあるので、新人の中ではこの3人が対抗戦に出てくる可能性が高いと思います。

 

 

――意気込みをお願いします

どこよりも長いプレシーズンをやってきた自負はありますので、10月4日を心待ちにしています。シーズンを通じてというよりも、今は筑波戦だけを見据えてやっていますので、とにかく筑波戦に全力を尽くしたいと思います。

 

 

――ファンの皆さんに一言

選手の努力、取り組みには素晴らしいものがあります。きっとこのままの状態で試合も一生懸命やってくれるかと思います。不細工ではありますが一生懸命やる選手たちを応援してもらえたらなと思います。

 

 

――ありがとうございました。

(この取材は9月18日にオンラインで実施しました。)

 

(取材:松嶋菜々美)

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