慶應スポーツ新聞会

【野球】秋季リーグ戦開幕前取材⑤ 福井章吾主将 × 湯川適主務 〜チーム作りの立役者〜

あと1週間で開幕を迎える東京六大学秋季リーグ戦!慶應スポーツ新聞会では、春秋連覇へ闘志を燃やす選手たちに開幕前インタビューを行いました。

最終回はチームを支える2本の柱。福井章吾(環4・大阪桐蔭)主将と湯川適(商4・慶應湘南藤沢)主務です。

それぞれの持ち場でチームを支える

ーーまずは他己紹介をお願いします

福井:主務の湯川はとにかく真面目過ぎるというか、そんなにやらなくていいよというほど一つのことに没頭するタイプで、また監督の意見に対しては必ずイエスと答えるイエスマンです(笑)でも、選手が思い切ってプレーできる環境を湯川をはじめ、大野(真依=政4・慶應女子)と伊豆野(万琴=法4・筑紫丘)という女子マネージャーと3人で作ってくれているので、日々感謝しています。

湯川:福井はチームの核となっていて、今年のチームは本当に福井のチームだなと言い切れるくらい、プレーだったりチーム面に渡ることを頑張ってくれているなという印象がありまして、監督に対しても側で意見を聞いて、何事にも「よし、頑張ります」「行ってきます」というような主将なので、監督を一番側で支えてくれているような、そしてチーム全体を見られている主将だと感じます。

 

ーーチーム全体として春のシーズンを振り返って

福井:初戦の法大戦でノーヒットワンランという記録的な負け方からリーグ戦がスタートして、そこから巻き返して投打がかみ合って、早慶戦の1戦目まで8連勝、そして全日本選手権も含めて、チーム全員で1つの勝利に向かっていけたという気持ちがあります。

湯川:新型コロナウイルスの感染の中で、リーグ戦であったり全日本選手権ができたということは良かったと思います。ベンチで見させてもらっていたんですけど、初戦の法政戦で負けた時も、皆が折れずに次勝てばいいという雰囲気はずっとあって、最後までモチベーションや勢いを持ったまま全日本選手権の優勝まで駆け上がることができたのかなと、その力を持ち続けていたことが1つの勝利の要因だったのかなと思います。

 

ーー主将として春のシーズンを振り返って

福井:法大戦の負けの後、主将が下を向くとチームも上を向くことはできないので、やはり声掛けであったりとか、チームのモチベーションを常に保つように意識してリーグ戦の期間は取り組んでいました。

主将、正捕手としてチームをリードした

 

ーー開幕前に語られた「泥臭く1点を取る野球」については

福井:投手陣が良く投げてくれた中で、点を取らないとリーグ戦は勝てないので、そういった意味では決して綺麗な安打ではなくとも、記録的には安打ではなくとも何とか点を取るという堀井監督が目指す野球は、春の段階ではできたのかなと思います。

 

ーー印象に残っている試合は

湯川:全日本選手権の上武大戦です。満塁本塁打を放たれてビハインドの中で、選手全員で何とかして1点ずつ返していこうとか、監督を胴上げしようという気持ち、そして全員が全然負ける気がしないようなメンタルを持ちながら最後まで戦い抜くことができ、結果的にその試合に勝てたことがチームとして大きな成長に繋がったと思います。

福井:上武大戦は全日本選手権では印象に残っていて、リーグ戦を振り返ると立大2回戦ですね。正木(智也=政4・慶應)が最後に3点本塁打を放って4-1で勝利した試合なんですけど、勝った方が優勝に大きく近づく一戦で、増居(翔太=総3・彦根東)が粘って投げて、廣瀬(隆太=商2・慶應)と正木が本塁打を放って、チームの核となる選手がしっかりと働いて勝てたゲームだったので、優勝する上ですべての試合が欠かせない試合だったんですけど、あの試合は大きな勝利だったと思っています。

 

ーー福井選手は春季リーグ戦で3割を超える打率を記録しました

福井:正直調子は良くなくて、去年の秋は調子がいい状態でリーグ戦に入ることができて、ドラフト1位でプロ入りをした投手がたくさんいる中で3割を残すことができたんですけど、今年は良い投手はいますけど、昨年よりかは自分のスイングができるのではないかという気持ちで挑んだ中で、なかなかうまくいかない試合が続いたのが正直なところです。結果的に打率は3割に残りましたが、もう少しバッティングの部分で貢献できれば良かったかなと思います。

 

ーー守備面でも投手陣を巧みにリードしていました

福井:これだけは僕の力ではなくて、データ班がしっかりとデータを作成してくれて、それを僕の中に落とし込んで試合を迎えたこと、またそのデータを使った中で、構えたところ、要求したところに投げ込んだ投手陣がいたからこそ、各打線を最少失点で抑えられたと思うので、捕手としては皆に助けられて優勝捕手になれたと思っています。

 

ーー冬場の取り組みについては

福井:昨秋の早慶戦後に監督と話をさせてもらい、そもそも練習が足りないのではないかという話をしました。3年間、慶大にいて感じたところで、冬の期間は走り込みましたし、バットも振り込みましたし、ウエイトトレーニングにも力を入れましたし、すべての面で大幅に練習量を増やして、とにかく戦い抜く力を付けたことでリーグ戦から選手権までの長い3ヶ月間でバテることなくやれたと思うので、冬にたくさん練習をしたということは大きな取り組みだったと思っています。

湯川:まず、選手を側で見ていた立場からすると、本当にめちゃくちゃ練習をしているなということがすごく印象に残っていて、今まで野球部でここまで練習した冬は見たことがないなというほどの練習度合だったことは間違いないと思います。それがどう春の全日本選手権までつながったかというのは、冬場に作ったものを春前のオープン戦でたくさん試合数がある中で、全員が戦い抜いたということが大きかったと思っています。

 

ーー湯川主務がマネージャーとして苦労したことは

湯川:今でも苦労しているかもしれないんですけど、マネージャーという立場で意見を言うことに対する抵抗感はずっとあって、選手に当たり前に野球をやってもらいたいだとか、選手が充実して野球ができる環境を陰で支えられればというような動機で入ったので、僕は連れて行ってもらうような立場だったと思っています。そして、ずっとそのように思っていたからこそ、選手に何か厳しいことを言うことだったり、意見ひとつ言うにしてもかなりためらっていた部分があって、自分はどういう存在であるべきなのかとか、自分はチームにどういう貢献をしているんだろうという部分で、なかなか自分の納得のいくような結果が出なかったので、そこは苦労した部分ではあります。

 

ーーお互いはどのような存在か

福井:なかなか僕たちみたいに試合に出ている選手とは違って評価が難しい立場で、飾らない仕事が多く、湯川がどのような仕事をしているのか知らないこともたくさんあると思うんですけど、皆が嫌がる、皆ができないような仕事を嫌な顔せずにこなしてくれることには感謝していますし、僕は1年生の頃からマネージャー室のある寮に住まわせてもらって、下級生の頃から長い時間の仕事をやったりとか、いろいろな人の対応をやっている姿とかを見ていましたので、本当に尊敬しているというか、そういう意味では天職というか、湯川にしかできない仕事をしてくれていると思っています。

チームメイトから全幅の信頼を寄せられている

 

湯川:チーム全体から見ればもちろん主将で、僕としては今までに類を見ない「こういう主将がいるんだ」というのが正直な感想で、今まで郡司(裕也=R2環卒・中日)主将であったり瀬戸西(純=R3政卒・ENEOS)主将もそうでしたが、プレーで引っ張っていく選手が多かった中で、より視点を広く持ってチーム全体を支えていこうとか、1軍だけではなくてチーム全体がどう在るべきかという姿や道のりを示してくれる主将だと思っています。個人的なところでは、日ごろからオンとオフの切り替えがはっきりとしている中でも変わらないなという一面がありまして、プレーするときは本当に集中して、オフの時は選手だったり、僕たちマネージャーは大して話す機会はないんですけど、そういう中でも気さくに話しかけてくれて。逆に変わらない部分で言うと、常に自分の事だったりチームの事をずっと頭の片隅に入れて真剣に考えてくれているということは常に感じているので、総括してチーム全体のコンパスとなってくれるような存在かなと思っています。

 

ーー高校と大学で主将の役割の違いは

福井:やはり人数が3倍くらい違うので、60人くらいだったのが160〜170人くらいの大所帯になって、簡単に言うと主将のひと言ではチームは動かなくて、大学野球では学生スタッフという存在、またマネージャーもそうですけど、いかに同期の選手やチームの中でもリーダーシップをとれる存在と手を取り合ってチームの運営をしていくかというのが醍醐味であり、高校野球との違いだと思います。高校の時は全部自分が担ってもできた仕事ができないので、皆と協力して半年間チーム作りをしています。

 

ーー六大学には大阪桐蔭高校の同級生や後輩が多くいますが

福井:対戦するときはやはり違った感覚がありますし、ワクワクするというか、楽しいなという感覚があります。何がどう転ぼうと、僕たちがこうして神宮の舞台で戦えるのも、大阪桐蔭があったこと、西谷監督にお世話してもらったからこそなので、もちろん刺激もありますし、大阪桐蔭の後輩たちにも良い刺激を与えられるように、皆で声を掛け合ってリーグ戦には取り組んでいます。

 

ーーチーム内でムードメーカー的な存在を挙げるとしら

福井:橋本典之(環4・出雲)しかいないですね。表現が難しいんですけど、常に場を盛り上げてくれるというか、何をやっても面白いです。何かあったら、典之頼むわみたいな感じで(笑)そういう意味では、全幅の信頼を置いている存在です。とにかく面白いです。

湯川:僕も橋本は言おうと思っていたんですけど、別の面から言わせてもらうと、僕は新美貫太(政4・慶應)選手を推せればと思っていて、面白さの面とか居るだけで雰囲気が明るくなるような橋本的な存在とはまた別で、グラウンドの中でチームが前向きになれる言葉であったり、試合の中で絶対負けないぞという根気を常に出してくれる、勝ちのオーラであったり雰囲気を出してくれるのが新美選手だと思っています。

 

ーー堀井監督とはどのような存在か

福井:本当に監督にはお世話になっているというのが一番で、僕は指導者に恵まれているなというのは日々感じています。監督はやはり選手の誰に対しても本気で向き合ってくれて、もちろんその中には勝つ、リーグ優勝する、日本一になる、というところを常に掲げて、チームに対して目をかけて下さるので、毎日毎日勉強をさせてもらっています。また、僕自身も指導者という夢がある中で、ああいう監督になりたいなと思わせてくれて、僕が指導者になったら堀井監督のような指導者になりたいなという気持ちを日々もらっています。あと3ヵ月しかできないのが寂しいです!

湯川:一言で言えば、良い上司に巡り合えたなと思っていて、本当に誰に対しても本気で向き合ってくれて、それは選手に限らず僕たちマネージャーにも、学生スタッフにも同じようなことが言えると思います。その中で、堀井監督も社会人野球でマネージャーを経験されている方なので、社会人時代であったりこれまでの人生経験を踏まえて、こうした方がいいんじゃないかとか、人生の道しるべ的なことを教えてくださったりとか、それこそ一つの仕事にしても、こうしなきゃいけないだろうとか、細かいところまで親身になって色々な事を教えて下さる、良い上司に巡り合えたと思っています。

 

ーーお2人のプライベートでの関わりは

福井:湯川君は彼女がいるので、僕とは遊んでくれないです!以上です(笑)

湯川:プライベートでの関わりは、そもそも2人とも基本的に寮にいるので、寮のマネージャー室で喋ったりとか、今は遊びに行くとかができないですけど

福井:正直4年生は、これは湯川だけではなくて学年として、ある程度関係はどの選手もできているので、4年生と話す時間があるのなら、下級生と会話するということを意識しています。

 

ーー福井主将は読書家ということですが

福井:新型コロナウイルスの影響もあって本を読むようになって、やはりいろいろな知識が詰まっているので本当に勉強になっています。最近僕が読んだ本の中で一番感動した本を紹介させていただくと、稲森和夫さんの『生き方』という本なんですけど、簡単に言うと、人がどう在るべきかという話を書いていて、そういう本を読むと、自分はまだまだだなとか、もっとできるなとか、そういう意味では自分自身の伸びしろを感じることができていて、勉強になっています。

 

ーー高校時代は弓道部だった湯川主務が、大学で野球に関わりたいと思った理由は

湯川:大きく2つあって、まずは純粋に野球が好きだったからです。当然、弓道も本気でやりましたし、かなり自分では満足できる結果を出せたんですけど、それ以上に家で見るプロ野球だったり、ちょっと足を運んで観る高校野球が好きでした。もう1つは、日本一を目指せるようなチームや組織がどのようなでき方をしているのか、どのような人がいるのかに純粋に興味があって、そこを目指せるチームって何だろうと考えたときに體育會野球部しかないなと思い、関わらせてもらった次第です。

 

ーーキャンプで意識したことは

福井:やはりチームプレーを見直したことです。キャンプに行く前までの期間は個人のレベルアップや土台作りを、タンチョウリーグなど北海道に行った期間は、どうやってチームを仕上げていくかというセクションだったので、とにかくたくさんコミュニケーションを取りながら、涼しいグラウンドで長い時間チームプレーをやったという感じです。

 

ーー湯川主務がキャンプで感じたことは

湯川:練習内容はチームプレーを中心に、長い時間練習をしていてすごいなと純粋に思った次第ですけど、普段なかなか野球を側でずっと張り付いて観る機会がどうしても少なくなってしまったり、時間が十分に取れない中で、バックネットの本部の席からずっと練習を見ながらパソコンを打ったりできて、その中で選手について思ったのは、本当に皆良い顔して野球をしているなとか、楽しそうに野球をやっている人がすごく多くて。ありきたりかもしれないですが、大学まで野球を続けている選手であったり、本気で野球を将来的に生業にしていこうという選手もいれば、そうではない選手もいる中で、全員が密にコミュニケーションを取りながら、お互いのレベルアップをしていこうという思いを持って、皆がお互いに充実して、教え合って教わり合って良い顔していたのが印象的でした。

 

ーー秋季リーグ戦で警戒している選手は

福井:みんな警戒するんですけど、東大の井澤(駿介=農3・札幌南)投手です。今年の春は法大の三浦(銀二=キャ4・福岡大大濠)投手にやられていますので、1回戦で対戦するであろう投手の井澤選手をまず警戒して良いスタートを切れれば、良い状態でリーグ戦がスタートすると思うので、誰が投げてくるのかは分からないですけど、エースの井澤選手をイメージして残り2週間準備できればと思います。

 

ーーチーム内で注目の新戦力は

福井:2年の投手の森下(祐樹=総2・米子東)と、1年生に福住(勇志=商1・慶應)という右投手がいるんですけど、この2人はもしかすると秋に神宮初登板の可能性があると思うので、彼らの若い力も貰いながら、捕手としてはとにかく腕を振って僕のミットめがけて投げてほしいと、新しい風を吹かせてほしいと思っています。

湯川:章吾が投手を挙げてくれたので、僕はあえて野手で言うと、古川(智也=環3・広島新庄)と宮尾(将=商3・慶應)を挙げさせてもらえればと思っています。前からベンチに入って神宮ではプレーしているんですけど、改めて二遊間をバチバチに争っている2人で、お互い切磋琢磨しながら日々結果を出して成長しているなと思うので、その2人が神宮でも打席であったり、二遊間を組んで暴れてくれる、そんな姿を僕は心待ちにしています。

 

ーー最後に秋季リーグ戦への意気込み、そしてファンの方々へのメッセージをお願いします!

福井:1年の春が記憶に新しいくらい、一瞬で4年の春まで来ました。春に優勝させていただいて、もちろん秋ももう一度優勝という思いがあるので、そこに対してチーム全員で、「春の慶大は強かったね」とか「春の方が強かったね」と言われないように、更にレベルアップしてリーグ戦に向かいたいと思っています。そして、ファンの方に向けて一言話をさせていただくなら、新型コロナウイルスの影響でうまくいかない日々が続いていると思いますが、神宮球場で試合ができる喜びと感謝を胸に刻みながら、少しでも野球を通して何かを与えられるように、そして慶應の今年のスローガンでもある「繋勝 Giving Back〜」、多くの人に還元するというテーマがあるので、もちろん優勝することもそうですけど、学生野球の最高峰として、何かを与えられればと思います。とにかくあと10試合と決まっているので、全力で頑張ります!

湯川:意気込みや目標ということに関しましては、春秋連覇、そして明治神宮大会まで勝ってグランドスラムというのが大きな目標としてあるので、引退まで残り少ないですけど、チームがうまくリーグ戦に入れるようなサポートをして、選手には思い切り神宮で暴れてもらえればと思います。そして、福井も言ってくれたように、「春だけだったな」と言われないように、34年前は優勝した後に東大1回戦で足元をすくわれたことが過去のデータとしてあるので、そこだけは注意したいなと思っています。ファンの方へのメッセージは、最後まで諦めずに選手たちは本当に良く頑張っているので、何とか球場であったりとか、ライブ中継を観て、声援を送ってくれたらなと思っております。まだ観客どうこうということは先を見通せてはいないですけど、必ず選手の力になっていると思いますし、僕たち部員全員の力になっていることは間違いないので、改めてご声援を頂けますと幸いです!

 

ーーお忙しい中、ありがとうございました!

当取材は新型コロナウイルス感染拡大を受けて、8月26日にオンライン上で実施しました。

(取材:宮崎 秀太

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