【ソッカー(女子)】セットプレー2発に沈み敗戦 早慶戦初勝利への想いは未来に/第24回早慶女子サッカー定期戦

ソッカー女子

夏の風物詩、早慶女子サッカー定期戦。初勝利を目指したソッカー部女子だったが、前半から早大のプレースピード、強度に苦しめられる。41分、相手FKから先制を許すと、61分にもセットプレーから失点。後半は保持する時間もあったが得点を挙げることは出来ず、0-2で敗れた。

 

2025/8/17(日)15:00キックオフ@Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu

【スコア】
慶應義塾大学0ー2早稲田大学

【慶大得点者】
なし

【慶大出場選手】

ポジション

背番号 選手名(学部学年・出身高校)

GK

12 中村美桜(理4・慶應湘南藤沢)

DF

23 坂口芹(総4・仙台大学附明成)

 

15 宮嶋ひかり(環2・芝浦工業大学柏/ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)

 

5 小熊藤子(環4・山脇学園/スフィーダ世田谷ユース・RB大宮アルディージャWOMAN内定)

 

6 守部葵(環4・十文字)

 

→ 58分  11 森原日胡(総1・作陽学園)

 

4 米口和花(総2・十文字)

MF

7 髙松芽衣(環2・植草学園大学附/ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)

 

2 竹内あゆみ(看3・日ノ本学園)

 

10 野口初奈(環3・十文字)

 

8 佐藤凛(総3・常盤木学園)

 

→ 58分  13 山田葵(総1・聖和学園)

FW

9 野村亜未 (総3・十文字)

今年で24回目となる早慶女子サッカー定期戦。慶大はこれまでの23大会で白星をあげたことはなく、現在の4年生が入部してからの直近3年は3連敗を喫している。しかし、今年のチームは絶好調。関東大学2部リーグを10連勝で首位を走り、昇格に向け突き進んでいる。試合前インタビューで主将の小熊藤子(環4・山脇学園/スフィーダ世田谷ユース)は、1部の早稲田大学相手に、慶大らしいボールを保持するサッカーで勝利することを目標に掲げた。両校の誇りを懸けた伝統の一戦に、Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsuで臨んだ。

 

GK・主務の中村(中央・緑のユニフォーム)
とCB・主将の小熊(右・黄色のユニフォーム)

慶大はいつも通り、3−4−2−1のシステム。最後の早慶戦で大会史上初の勝利を目指す4年生4選手がスタメン。キーパーは3年次にチーム事情でフィールドから転向、GKとして、主務として、ピッチ内外で献身的に貢献する守護神・中村美桜(理4・慶應湘南藤沢)。主将でWEリーグ・RB大宮アルディージャWOMEN内定の大黒柱、圧倒的な守備力とロングフィードを兼ね備えた慶應の心臓・小熊がリベロでDFラインを統率。ソッカー部への憧れを抱いた7年前の早慶戦と同じ等々力の地で活躍を誓う変幻自在のテクニシャン・副将の守部葵(環4・十文字)が右CB。正確なクロスでチャンスメイクし、左サイドを駆け回る荒鷲の翼・坂口芹(総4・仙台大学附明成)が左WBに入る。

 

守備時はシャドウがサイドに流れ5−4−1のブロックを敷き、攻撃時はダブルボランチの竹内あゆみ(看3・日ノ本学園)がアンカー、野口初奈(環3・十文字)がトップ下気味のポジショニング、左シャドウの髙松芽衣(環2・植草学園大学附/ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)、右シャドウの佐藤凛(総3・常盤木学園)を含めた中盤の連携でボールを運び、左WBの坂口と右WB・米口和花(総2・十文字)からのクロスやCFに入るストライカー・野村亜未(総3・十文字)の抜け出しで得点機会を伺っていく。

対する早大は守備時4−4−2のシステム。慶大の後方から繋ぐビルドアップに対して、2トップは中央のパスコースを背中で消しながら、無理に寄せない守備。左右CBが厳しい体勢で受けると一気にプレスのギアを上げてサイドに追い込み、WBに対してSBが強く寄せてボールを奪いに行く。攻撃時は4-3-3のフォーメーション。慶大WBの裏へのシンプルなロングボールを多用し、WGのスピードと突破力を活かした攻撃でゴールに迫っていく。

序盤は米口(中央)らDFラインが守備に徹する展開

開始早々の2分、慶大左サイドでピンチを迎えるが、左CB・宮嶋ひかり(環2・芝浦工大柏/ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)が落ち着いた対応を見せクロスを上げさせない。ファーストチャンスは5分、相手CKのピンチを凌ぐと小熊のクリアが野村に渡る。1対3という数的不利の状況だったが、ドリブルで右サイドに流れ相手守備の陣形を動かすと、後方から全速力で駆け上がってきた髙松にスルーパス。通れば決定機となっていたが、相手DFの足が伸び、カットされてしまう。

坂口がサイドからチャンスを作る

中央を封鎖され、ビルドアップに苦しんでいたが、29分、守部が野村にフィードを通すと野村はポストプレーで野口に落とし、野口が左サイドの裏へ絶妙なスルーパス。坂口が左足でニアにクロスを上げるが、相手GKにキャッチされてしまう。しかし、リーグ戦で見られたような、上手くスペースを突きながら正確なパスで崩す、慶應らしい攻撃を見せる。

攻撃の起点となる楔を打ち込んでいた守部

40分、慶大左サイド、慶大ゴールから40mあたりのエリアでファウルを取られる。後ろで繋ぐことも考えられたが、早大はゴール前に入れることを選択。蹴り込まれた鋭いボールをペナルティアーク付近で競り合うと、こぼれがペナルティエリア内へ。これをゴール前に落とされると、最後は浮き球をボレーで押し込まれ、手痛い先制点を許す。

守備力が光った小熊

点を取られた後の44分、小熊の縦パスがこぼれ、内側に入っていた坂口が右足アウトサイドでトラップ、ペナルティアーク付近で振り向いて左足でシュートを放つ。しかし、ボールは惜しくもゴール左上に外れる。その後はスコア変わらず、前半終了。慶大はボールを保持し、ゲームを支配するリーグ戦のような展開で進めることができず。カウンター攻撃も、WBが低い位置でのプレーを強いられたため数的不利の状況が多く、なかなか機能しなかった。早大の強度やスピードに苦しみ、ロングボールには小熊のカバーリングで対応する場面も見られたが、セットプレーから失点。0−1と1点ビハインドで折り返す。

野口(左)、竹内(中央)、小熊(右)

後半はシャドウが低い位置まで下り、ライン間やサイドでボールを受けるケースが増える。なかなか敵陣深くまでは運べないものの、徐々に慶大らしいパスの繋がる崩しが見られるようになっていく。58分、守部に代わって森原日胡(総1・作陽学園)、佐藤に代わって山田葵(総1・聖和学園)を投入。守部のいた右CBに米口が動き、森原は右WBで高い位置、山田は佐藤のいた右シャドウにそのまま入り、右サイドの1年生コンビの連携にかける。

幾度となく好セーブを見せた中村

60分、相手CKをクリアするもセカンドボールを拾われ、ペナルティアーク付近からゴール左へ強烈なシュートを放たれる。しかし、守護神・中村が横っ飛びでスーパーセーブ。危機を脱したかに思えたが、ボールはゴールラインを割り再び相手のCK。今度は高い弾道のボールをファーで折り返されると、ボレーを叩き込まれ失点。0−2。あまりにも重い1点を失う。もう1点も失えない状況。クーリングタイムから再開直後の67分、相手FWに抜け出され、GKと1対1の大ピンチを迎えるが、中村が抜群のタイミングで飛び出しシュートを好セーブ。泥臭く、体を張った守りを見せる。

野村(中央)のシュートは惜しくもバーを越えた

この試合慶大にとって最大のチャンスは71分、米口が野口に楔を打ち込むと、山田が落としを受けダイレクトで左の髙松へ。髙松は2タッチで大外の坂口に広げると、坂口は抜群のタイミングで飛び出した野村にアーリークロス。野村はスライディングで合わせるが、ボールは惜しくもバーを越え、得点には至らない。

終盤は慶大が保持する展開が続く。94分、相手に触れられることなくパスを繋ぎ続ける。髙松がサイドチェンジのボールを森原に送ると、森原はカットインから野口に横パス。野口はペナルティアーク付近でフリーでシュートを打つも、キーパーの正面をつく。結局、試合終了までネットを揺らすことが出来ずに試合終了。0-2で敗れた。

前半はロングボールやWGの仕掛けにより押し込まれ、その流れからCKのピンチとなるような場面が続いた。また、早大の主将で来年から小熊と同じWEリーグ・RB大宮アルディージャWOMENでプレーする宗形みなみ(スポ4)の圧倒的なカバーエリアの広さと正確な読みで、慶大は攻撃を封じられていた。後半はシャドウが積極的に下りてボールに触れ、保持する時間が増えたが決定機を多く作ることはできず。守備は宮嶋らDF陣が1対1で好対応を見せる局面もあったが、CKから厳しい時間帯に2点目を挙げられてしまった。試合後、選手たちはセットプレーからの2失点を悔やんでいた。流れの中から得点を許した場面はなかったが、セットプレーを確実に決め切るところに1部リーグで戦うチームの強さがあらわれた。攻撃は良い崩しもあったが、試合を通して、早大の1対1の強さ、中央で囲い込む守備の素早さなどもあり、ゴールに近づかせてもらえず、完封負けを喫した。

試合後、入部以降怪我に苦しめられていた守部に、怪我からの復帰を目指す岡田恭佳(環3・十文字)が声をかける場面

今年の早慶戦のコンセプトは、「なぜここに燃えるのか」。選手たちも運営に加わり、大観衆を前に戦うことが出来る数少ない舞台。選手一人ひとりが持つ燃える想いが、ピッチ上で火花を散らす熱戦だった。リードされても、懸命に体を張って泥臭くプレーし続けたことは、今後のチームにとって大きな財産となるだろう。4年生が叶えられなかった初勝利への想いは、1年生から3年生の18人の部員と、将来チームに加わる後輩たちに託された。

 

(写真:大泉洋渡、塩田隆貴、島森沙奈美、柄澤晃希)
(記事:柄澤晃希)

 

試合後インタビューはこちらのリンクからご覧ください。
【ソッカー(女子)】早慶戦後インタビュー 主将・小熊藤子、主務・中村美桜、副将・野村亜未 | KEIO SPORTS PRESS

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