【競走】「ラスト200mに懸ける1年間」記憶が飛ぶほどの極限に興奮と喜びを求めて・市村瞭太郎(前編)/関東インカレ直前インタビュー2026・第1弾

競走

開催が目前に迫った第105回関東学生陸上競技対校選手権大会(関東インカレ)。今大会、チームが掲げる目標は「1部残留」だ。昨年死守したこの地位を今年も守りきることができるか。この大舞台で1点でも多く掴み取るために部員たちは全てを懸けてピークをここに持ってきた。

本企画では、今年の関東インカレで活躍が期待される選手、関東インカレを支えるサポートブロックの部員に、意気込みや目標についてのインタビューを行った。第1弾は中距離ブロック長、市村瞭太郎(経3・慶應志木)選手!

 

——市村選手が陸上を始めたきっかけは?

小3から陸上を始めました。元々走ることがすごく好きで、小さい頃もずっと走り回っていました。お店に行っても、店のものを見ないでひたすら道路を走り続ける、結構やばい子だったんですよ(笑)。

走り続けているからこそ足は速くなっていって、小1の持久走大会では優勝しました。それが自分にとっては初めての優勝で、すごく嬉しかったんです。ただ、小2の時はスタートでこけてしまって、13番だったんです。ビリからスタートして、こけた時に足の骨が折れていたんですけど、その中で頑張って泣きながら必死に順位を上げての13番だったんですよ。めちゃくちゃ悔しくて「次は大会で1番を取りたい」と思い、当時やっていたサッカーを辞めて、地元の陸上クラブに通い始めたのがきっかけです。そこからは、地元・埼玉県の強化指定選手の記録を切ることを一番の目標にして、小学校時代は練習していました。

 

——800mを本職に選んだ経緯は?

中学2年の秋ですね。元々1500mと3000mをやっていました。箱根駅伝に憧れがあったので長距離をやりたかったんです。でも、当時の顧問の先生には「スピードがあるから800mをやったら絶対伸びるよ」と言われて、最初自分は反対していたのですが、試合に出てみたら、初めての大会でいきなり埼玉県5番になりました。「このままやったら絶対全国大会に行けるから」と言われて、そこから800mが楽しくなってきたんです。

結果的に中3の時には全中(全日本中学校陸上競技選手権大会)に出場できました。当時はコロナで部活がなくなった時期だったので、顧問の先生と公園で練習していました。その中で、7月に延期された県大会で優勝できたんです。でも、全国大会に出た時は全く戦えず予選敗退。前の方で攻めたけれど、最後はたれて終わってしまいました。それがすごく悔しくて「高校では、全国で戦える選手になりたい」と思い、そこからずっと800mをやろうと決めました。

 

——慶應志木高校時代の陸上部エピソードについて

志木高は、基本的に11月の県駅伝で結果を出すことを目標としていました。自分はその中で800mをやりたいという、少し競技の種類が違う環境ではあったんです。顧問の先生にはシーズン中は800mをやらせていただいて、試行錯誤していた部分もありました。

ただ、高校時代にたくさん距離を踏ませてもらえたことや、駅伝に向けてチームで勝ち上がっていく経験が、自分の地盤を作ってくれたなと思っています。先生が「大学でも役立つだろうから」と先を見据えた練習を出してくださったことには本当に感謝していますし、あの練習があってこそ、今の結果に繋がっていると実感しています。

 

——慶大競走部に入部した当初の心境は?

もう衝撃だらけでした。1分50秒〜52秒くらいの実力者が普通にいて、その下にも強い選手がたくさんいて、「こんな環境があるんだ」と思いました。練習も、高校までは距離を踏んで地盤を作るのが中心でしたが、大学はとにかくスピード練習でガンガンやっていきます。今まで知らなかったトレーニング理論も教えていただいて、驚きの連続でした。「この環境なら、自分ももっと高みにいけるかもしれない」と思いました。

 

——市村さんが考える800mの魅力は?

癖になりますよ(笑)。 1500mに比べると、たった2周で終わるというスピード感があります。あとは緊張感、レース運びから最後勝ちきった時の気持ちよさもですね。もちろん息は苦しいし、死にそうになるくらい辛いんですけど、その先にベストが出た喜びは、もう段違いです。1周1周の戦略、位置取りが全てを決するし、「ここに入ったら前に出れる」といった一瞬の判断も大事になります。頭も使う競技なので、1回ハマってしまうとやめられないですね。

 

——レース中一番キツイ瞬間はいつですか?

ラスト100mです。記憶ないです、飛びます(笑)。辛すぎて。でも記憶を飛ばして走って、ゴールした時にベストが出たり、準決勝や決勝進出が決まったりした時の喜びは、もう他の競技には変えられない嬉しさがあります。

 

——トレーニングや食生活など、日常生活の中で競技のために意識的に行っていることはありますか?

睡眠ですね。もう寝ること。自分、8時間以上寝ないと死んじゃう……死にはしないけど、やっぱりもろに調子が悪くなったりするので。睡眠時間だけはしっかり8時間取らないといけないですね。寝る時間も起きる時間もちゃんと固定して、誰よりも睡眠に関してはこだわってやっているかなと思います。

 

——試合前のルーティーンを教えてください

試合の1、2日前は家に「引きこもる」。 もちろん最低限の練習はこなした上で、それ以外はずっと家に引きこもって好きなことをします。ゲームしたり、寝たり、YouTubeやアニメを見たり。そういう時間を絶対に作るようにしています。

よく「過去の試合動画」を見る選手がいると思うんですけど、自分はそれを見ると緊張してしまうんですよ。だから、全く関係ない動画を見るようにしています。具体的には、マリオカートのガチ勢の動画とか(笑)。

でも、自分の中では「競技性」があると思っています。eスポーツも陸上も、戦略があって、その上で勝ち負けがあるというところは同じだと思います。スプラトゥーンのゲーム実況などを見て心を落ち着かせて、試合前になったら一気に集中して入る、というルーティーンをよくやっています。

 

——お気に入りの勝負飯はありますか?

ウナギ、あとはワンタンスープです。 本当に、ここぞという勝負どころの時はウナギや親子丼が出てくるんですけど、やっぱり美味しいですよ。家で作ってもらって食べています。美味しいうなぎが出てくると、「もうそろそろ試合だな」と気合いが入りますね。

 

——オフ時間によくやっていることはありますか?

普通にバイトに行っています。試合後に好きなこともやるんですけど、基本的には土日に試合があって、日曜日にはもうバイトが入っているので、予定は結構キツキツに入れがちですね。大学があれば授業にも行くし、そんな感じで過ごしています。

 

(取材:竹腰環、中島冬奈、中原亜季帆 編集:吾妻志穂、片山春佳、中原亜季帆)

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