5季ぶりの優勝に向け、勝ち点を必ず奪わなければならない今回の慶早戦。雲一つない空のもと、炎天下の神宮に多くの観客が詰めかけた。決して負けられないこの日、慶大を勝利に導いた応援席の様子をリポートする。
5月30日(土)慶應義塾大学◯8ー1⚫️早稲田大学
〜試合概要〜
先発のマウンドには今季最多の5勝を挙げている渡辺和大(商4・高松商業)が上がる。渡辺和は霜結太(国教2・マクレーン)に左翼席への先頭打者本塁打を浴び、先制点を許す展開に。しかし2回裏、八木陽(法3・慶應)の犠飛で同点に追いつくと、丸田湊斗(法3・慶應)の適時二塁打で逆転する。さらに小原大和(環4・花巻東)、今津慶介(総4・旭川東)、一宮知樹(経2・八千代松陰)の適時二塁打で髙橋煌稀(スポ3・仙台育英)から打者一巡の7安打6得点を挙げる。渡辺和は7回表にピンチを招くも7回1失点の投球を見せる。8回裏には今津がダメ押しの2点適時打を放ち、8-1と突き放す。2番手・鈴木佳門(経2・慶應)が8回表、9回表と完璧に抑え込み試合に勝利。優勝に王手をかけた。
この日は”華の慶早戦”ということで、試合前には試合前企画が実施された。今シーズンの振り返りや一貫校の生徒による演奏などを披露し応援席は試合前から盛り上がりムードとなった。そして我々慶應スポーツ新聞会も参加させていただき、春野球号の紹介やクイズ企画などを行った。
そして、試合前にも塾生注目が行われ、壇上に上がった部員からは「私は英才教育を受けてきた」と切り出し、「最初に親に教わった言葉は”打倒早稲田”である。そして好きな女の子に告白するときも”3pシュート決めたら”ではなくて”慶早戦に勝ったら”だった」と会場の笑いを誘った。そのうえで、「こんなに過激な気持ちを持っているのは應援指導部だけかもしれないが、それくらいの気持ちで応援席のみんなも応援してほしい!」とスタンドを鼓舞した。

初回、ワセダの先頭打者に本塁打を打たれるも、応援席からは「頑張れ、頑張れ」「野球は9回2アウトまでわからない」などの声が飛び交い、選手たちを後押しする声援がグラウンドへ送られる。
その裏、内野応援席の壇上に立った応援企画責任者・G.Hは慶早戦ということで「応援のすゝめ」を紹介した。「笑顔で応援してほしい」「たくさんメガホンを叩いてほしい」「たくさんメガホンを回してほしい」と呼びかけ、普段野球応援に来ない方々にも気軽に応援に参加できるよう場を盛り上げた。

『目指せ栄光』が演奏された2回、連打などで1死一、三塁のチャンスになると『ダッシュケイオウ』が流れ応援席は熱気に包まれる。そして8番・八木が犠飛を放ち同点になると『若き血』が流れスタンドは大いに盛り上がる。その後も打線が続き得点を重ねると、『スリー慶應』が流れ応援のボルテージは最高潮に達した。まだまだ打線は続き、今津や一宮の適時打などでこの回6得点を挙げスタンドからは大きな歓声が絶え間なく響き渡った。

3回裏の塾生注目では、応援する上で意識してほしいこととして、「笑う門には福来る」を掲げ、「初回からずっと笑顔で応援してくれているので勝利の女神が微笑んでくれると思う!」と言葉がかけられ、笑顔であふれる雰囲気づくりを後押しした。

5回の塾生注目では、AIをモチーフにした呼びかけが行われた。部員は「この塾生注目はAIに作ってもらった」と衝撃の告白。そして、「AIにはできないことがある。それは若き血を歌うことだ」と訴え、「AIに負けないくらい大きな声を出してほしい」と観客へ呼びかけた。最後に「この塾生注目は皆さんの応援”愛”(AI)で作りました」と明かし、観客席を和ませた。

8回にも慶大打線がチャンスをつくると、またも『ダッシュケイオウ』が鳴り響く。そして主将・今津が適時打を放ち2点の追加点を挙げると、2回以来の『若き血』が響き、神宮全体が歓喜に包まれる。
9回は鈴木佳がきっちり抑え試合終了。8ー1で勝利した。試合後、壇上にあがった坪井樹音代表は「一貫校の皆さんと、塾員・塾生の皆さんで一つになった応援席が感無量でした」と述べ、「明日もぜひ応援してください」と応援席にメッセージを伝えた。

試合後セレモニーでは、早慶戦に勝利した時のみに歌われる『丘の上』や、『慶應讃歌』『おおわが慶應』『若き血』が演奏され、スタンド全体は勝利の余韻に浸った。

優勝に向け大事な初戦をものにした慶大。その勝利の裏には、観客席の声援、そしてそれを一つに作り上げる應援指導部の存在があることは言を俟たない。内野席、外野席ともに多くの観客が詰めかけいつもとは異なる雰囲気での試合となった。普段応援に慣れていない人に対しても、塾生注目や応援企画で応援に参加しやすい雰囲気を作り、試合を追うごとに一体感を増していったようにみえた。それは、試合全体を通して観客を巻き込み続けた部員一人一人の努力の賜物だ。リーグ戦優勝へ向け残るはあと一勝。この日生まれた流れをそのままに、翌日も応援席から慶大を勝利に導く。
(取材、記事:神谷直樹 取材:吾妻志穂、小野寺叶翔、塩田隆貴、高木謙、野田誉志樹)


