【ソッカー(男子)】第8節 首位相手にドローで連敗ストップ、復調の兆し 流経大戦

11位に沈む慶大は今節、首位を走る流経大と対戦。悪い流れを断ち切るべく、この一戦に臨んだ。序盤から流経大に多くのセットプレーを与えるが、GK上田朝都(総2・横浜F・マリノスユース)を中心とした守備陣がゴールを許さない。“攻守一体”のサッカーで戦う慶大は、前線からの守備でボールを奪いチャンスを作り出していく。しかし、渡辺夏彦(総4・国学院久我山高)や近藤貫太(総4・愛媛FC)が決定機をものにすることができず。「我々の新たなサッカー」(須田芳正監督)が垣間見えた試合だったが、スコアレスドローに終わった。

 

 

第91回関東大学サッカーリーグ戦 第8

 

2017/06/03(土)11:30KO@栃木市総合運動公園陸上競技場

 

慶應義塾大学0-0流通経済大学

 

◇慶大出場選手

GK上田朝都(総2・横浜F・マリノスユース)

DF手塚朋克(環4・静岡学園高)

DF沼崎和弥(商2・暁星高)

DF八田和已(総2・桐蔭学園高)

DF増田皓夫(商3・桐蔭学園高)

MF落合祥也(商2・横浜FCユース)

MF片岡立綺(総4・桐蔭学園高)

MF松岡瑠夢(総1・FC東京U-18)→70小谷春日(環3・藤枝東高)

MF近藤貫太(総4・愛媛FC)

FW田中健太(法4・横浜F・マリノスユース)

FW渡辺夏彦(総4・国学院久我山高)

 

慶大のスターティングイレブン

前節、慶大は昇格組である東洋大の前になすすべなく敗戦を喫した。試合後には須田芳正監督から厳しい言葉もあり、奮起を促された中での一戦。相手は首位を走る好調の流経大だ。2日前に来季のベガルタ仙台加入が内定したエースFWジャーメイン良(4年)を擁する強豪相手に、第4節・専大戦以来の勝ち点3を狙う。左サイドバックで起用された増田皓夫(商3・桐蔭学園高)と田中健太(法4・横浜F・マリノスユース)は、ともに今季初出場となった。

 

決定機をものにできず渡辺は悔しさをあらわに

試合は、主審のやや厳しい判定もあり序盤から流経大に多くのセットプレーを与えてしまう。早い時間帯での失点は避けたい中、守護神GK上田朝都(総2・横浜F・マリノスユース)を中心にピンチをしのぎ、ゴールは許さない。ここ3試合でPKによる1得点のみと爆発が待たれる攻撃陣も、徐々に好機を作り出していく。16分、慶大は相手のセットプレーからカウンター。右サイドをドリブルで駆け上がった手塚朋克(環4・静岡学園高)がクロスを入れると、大外で待っていた渡辺夏彦(総4・国学院久我山高)にボールが渡る。相手GKと一対一の絶好機だったが、シュートはセーブされてしまいゴールならず。先制のチャンスを逃してしまう。逆に23分には右サイドをパス交換で崩されてピンチに。反対サイドで待っていた相手選手がクロスをボレーシュートで狙ったが、ここも上田が立ちはだかり、失点を免れる。36分、慶大は相手陣内の高い位置で田中がボールを奪取。そのまま持ちあがると、渡辺、近藤とつながったものの最後は近藤がシュートを上に外してしまい、再び先制のチャンスを逃してしまう。結局、両チームともにスコアレスで試合を折り返した。

 

手塚の仕掛けが多くのチャンスを生み出した

先手を取りたい慶大だが、後半立ち上がりもピンチを迎える。46分、流経大にPA外からシュートを放たれると、これがゴールポストを直撃。さらにこぼれ球を拾った相手選手にシュートを打たれたが、またしても上田がファインセーブでピンチを救った。上田は相手選手との接触から激高するシーンも見られるなど、守護神が鬼気迫るプレーでチームを盛り立てる。61分には相手のCKの場面で上田が飛び出したもののボールに触ることができず、相手選手にフリーでヘディングシュートを放たれたがこれは枠の外。守備陣の奮闘に応えたい攻撃陣は67分、右サイドから手塚がグラウンダーのクロスを入れると近藤が右足でダイレクトシュート。しかし、相手GKも懸命のセーブで慶大の得点機を阻止する。試合終了間際にも手塚のクロスから田中にシュートシーンが訪れたが、うまくミートすることができず。結局スコアは動くことなく試合終了の笛を迎えた。

 

次節こそ勝ち点3をつかみ取りたい

崩壊していた守備陣は今季2度目のクリーンシートを達成。攻撃陣もダイレクトプレーで何度か好機を作り出すなど、チームとして浮上のきっかけが見えた試合だった。何よりも、須田監督が志向する“攻守一体”のサッカーが随所に見られ、今後の上位進出に期待を抱かせる内容だったことは明るい材料だ。次節は昨季のリーグ覇者・明大が相手だが、「相手がどうであれ自分たちのサッカーを変えない」(手塚)と選手たちもこのスタイルを貫く意思を見せた。前期も残り3試合。次節こそ勝ち点3をつかみ取り、今後に向けて勢いをつけたい。

 

(記事 小林将平)

 

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試合後コメント

 

須田芳正監督

(試合を振り返って)まあうちらのゲームが、練習でやってきたことができた、攻守が一体となった良いゲームだったと思うし、決定機が4回あったからそれを1つでも決めていれば勝っていたし、ゲームは支配していたかなと思います。(ダイレクトプレーでチャンスを作り出すシーンが何回か見られたが取り組んできたことの手応えとしては)そうだね、攻撃のポイントというかキーワードはポゼッションとその中でもダイレクトプレーっていうサッカーだから、もうちょっとポゼッションの時間を長くしたい。ちょっと急ぎすぎかなと、攻撃を仕掛けるのが。もっとワイドに取ってポゼッションの時間を増やしながらゴールを目指す。ただまあ攻撃がどうだというよりかは攻撃と守備が一体となっていたから、攻撃を仕掛けて取られてそのままもう1回取り返してチャンスを作ったり、そういうことはできていたし、ゲーム自体は攻守が表裏一体となっていたかなと。そういった時間が長かったからうちらが支配したんじゃないかな。(前半に田中選手が高い位置でボールを奪って渡辺選手、近藤選手とつながったシーンがあったが狙いの現れたシーンだったのでは)そうだね。あれは良いシーンだったんじゃないかな。まああとはね、決めるだけっていうのは個人の問題だから、それは個人練習してもらうし、今日のゲームの質を上げていくこと、うちらは。それに時間を費やして練習していければいいんじゃないかな。(左サイドバックに起用した増田選手、復帰した田中選手のプレーは)まずまずじゃないかな。うちらが目指すサッカーの中で、特に増田の場合は後ろからのポゼッションのところはもうちょっと質を高めてもらいたいけれどね。課題かな、でもそこから前線に安定してボールを供給したいというのがあるし。その中でも久しぶりのゲームの中では良くやったんじゃない。2人ともね。やっぱり田中健太が入るとカウンターだったり裏への動きが多いから。その質も高いし、彼の場合は。これからもっと上がっていくんじゃないかなと。(全体としてポジティブな要素が多かった)そうだね、考え方は今みたいな感じで。距離感がすごく良かったし。ただあとはやっぱりもうちょっと運動の質だったりそういうのを高めていくと。あとは技術の部分、シュートとかパスとかコントロールだったり、その質をもっと上げていく。それが大事じゃないかな。(次節に向けて)もう自分たちのサッカーを追求するだけなんで、硬くなることもなく。練習はもう2時間しかやらなくて、練習自体はもうチームの戦術トレーニングしかやらないんで。そこを学生たちと追求して、我々の新たなサッカーを生み出していきたいなと思います。

 

手塚朋克(環4・静岡学園高)主将

(試合を振り返って)全体としてはすごく自分たちの流れをつかんで自分たちのサッカーができたんですけど、やっぱりこういう試合に勝てないというのは勝負強さだったりというのが足りない。そこが明確に見えた試合だったと思います。(前節の敗戦を受けてどのようにチームにアプローチしたか)まずは自分のキャプテン像というのは全体を見て全員に関わるとか、下級生がやりやすい環境を作る、そういうところがしっかりできていなかったこともあったし、プラス自分があまり慣れていないこと、声だったり熱さでチームをまとめ上げること、そういうことを今週1週間は意識して、自分の姿勢でチームが良い方向に行くようにというのは意識してやりました。(首位・流経大相手に0-0という結果で、その取り組みに対する手応えは)やっぱり自分がやれば全体もついてきてくれましたし、それこそ良い雰囲気で今週はできたと思うんですけど、ただこうやって勝負に勝てなかったというのは日々の厳しさがまだまだ足りなかったということだと思うんで、そういうところを来週は自分がしっかり見て厳しくできればいいと思います。(自身のプレーについては)相手が流経ということで、そんなにひるまずできたと思いますし、自分の特徴であるクロスであったりでチャンスを作れたのはすごく良かったと思うんですけど、やっぱり中との連携もあってああやってシュートが入らないというのは自分にも非があると思いますし、もっと良いボールが何回も出ればチャンスももっと作れると思うので、そういうところを意識してやっていきたいと思います。(これまでの試合に比べて高い位置で仕掛けるシーンが多かった)メンタル面で思い切りの良さというのが出てこういう結果になったと思いますし、自分の強みというのをしっかり理解して、自分はディフェンスよりも前で勝負すること。攻撃は最大の防御だと自分は思っているので、そういうところをうまく表現できたんじゃないかなと思います。(次節に向けて)相手がどうであれ自分たちのサッカーを変えないということを意識して、まだまだ勝てていないということは自分たちが追求するべきことがいっぱいあるということだと思うんで、そこを意識して厳しくやっていきたいと思います。

渡辺夏彦(4・国学院久我山高)

(試合を振り返って)ハードなゲームで首位との対決でしたけど、自分たちのやるべき事ができた部分も大きかったし、できない部分もありましたけど、良いゲームだったと思います。(連敗がストップしたが)監督からも絶対に勝とうとか、負けたくないとか、そういうことを意識するよりも自分たちのサッカーを貫く、その精度を高めるということを意識していて、1シーズンで考えた時に一戦一戦の勝ちにこだわるというのはもちろんベースとして一人ひとりが持つべきですけど、チームとしてはそこにフォーカスしすぎるよりもその精度を高めていって、終わってみた時にしっかりと勝ち点が重なっていく、どんどん力がついていって毎試合勝てるようになっていく、ということを意識してやっていました。(今日の狙いは)相手のウィークとかも考えていますけど、とにかく自分たちのサッカーというのを今年は前から攻守が一体となって距離感を良くしてというところで、攻撃で奪われても近い位置で早いプレスでできるだけ高い位置で奪って自分たちのポゼッションを始めるというのを意識していました。(田中選手が復帰したが)久しぶりにタッグを組んで、やっぱり他の選手と違って面白いものを持っているし、タナケンからチャンスも生まれていた中で、僕自身も決められなかったしタナケン自身も決められなかったし、やっぱりああいう所で点を取れるか取れないかでこういう試合は決まるので、そこはものすごくFW陣としての反省です。(何度か決定機も作れていたが)そうですね、でも決定機はいくら100本作っても決めなければ意味がないので、本当に猛反省ですね。(連携は良くなってきているか)連携というのはものすごく良くなってきていますし、今日も決定機3、4本くらいですかね、それくらい作れているのはまあ良いんですけど、とにかく決めなきゃダメなんで、もっとその決定機も増やさなきゃいけないし、一つずつ決めるということを意識していきたいです。(渡辺選手自身のコンディションは良いように見えるが)良いですね。身体のコンディションも良いですし、メンタル的なコンディションも良いですし、僕自身は自分であんまり点を取りたいというか、FWで出ている以上結果を残さないとということは今シーズンめちゃくちゃ考えているので、その部分の結果が出ていないというのはコンディションどうこうというより自分の中でも課題だし、危機感を持ってやっています。(次節に向けて)相手は明治ですけど、さっき言ったところの精度を練習の中で高めて、次の試合はもう1個進化して、トライして、また課題が出るように、そういうゲームができれば良いと思いますし、そのための準備を1週間して行きたいです。

 

田中健太(4・横浜F・マリノスユース)

(試合を振り返って)自分としては、チームとしてもなんですけど、絶対勝ちたいっていう気持ちがまずあって。そのなかでゼロで抑えることができたのはすごい収穫なんですけど、自分のFWとして点を取ることができなかった、前線で点を取ることができなかったというのが悔しいし、課題なのかなと思います。(久々のリーグ復帰だったが)3ヶ月間休んでいたんですけど準備してきたと思っているので、そこは全く問題ないと思っています。(前半は押されているようにも見えたが感覚的には)CKとか攻められる場面もあったんですけど、声も切れていなかったですし、集中していたので、「今の時間帯は我慢しよう、絶対チャンス来るよ」っていうふうに思っていたので特に問題はなかったです。(選手たちの声がかなり聞こえたが、声出しはチームとして心掛けたのか)やっぱり攻め込まれている時とかは我慢する時間帯もあると思うんですけど、そういうときに声切をらさないで、オーラを出すっていうのが結構大事だというふうに思っていたので、そこはできたかなと思っています。(後半は相手のラフプレーも多くなって、流れというのは感じたのか)やっていてやられるという気はそんなしなかったので、だからこそ後半いくつかチャンスがあったと思うので、そういうところを自分だったり前線の選手たちが決めきる。そこは本当に追求してこの1週間、来週に向けて取り組みたいと思います。(今後の課題は決定力か)そうですね。決定力っていうのと、あとどれだけゴール前に入っていけるか。まずそこでシュートを打ちきれるかということだと思っています。(次節に向けて)自分たちは後がないというふうに思っているので、本当にチームとして勝つことだけを目標に、あと1週間最高の準備をして、自分たちのサッカーができればいいかなと思っています。

 

増田皓夫(3・桐蔭学園高)

(試合を振り返って)慶應のサッカーをもう1回立ち振り返ろうということで、普通なら攻守を区別するんですが、うちは攻守一体で攻守のサイクルを良くしようというサッカーをしていて、今日は1週間その練習をした中で、ラインアップだったり、ラインダウンだったり、まだできていないことはありましたが、先週の東洋大戦に比べたら向上したシーンがあったと思います。(前線への攻撃参加について)自分のポジションはもともとボランチなど2列目なんですけど、ケガ人が多かったりということでサイドバックをやるということになりました。もちろんサイドバックは守備が一番大事なことなので、それを意識しながらも、自分の良さであるポゼッションのところで起点を作ったりということを意識してたのですが、ちょっと自分のスピードを上げてしまい相手のスピードも上げさせてしまったので、もうちょっと落ち着かせないといけないなってところがありました。(今季初出場となったが連携面での不安はなかったか)ずっとケガをしていて最近復帰したんですけど、その間もトップの試合を見たり、B(チーム)の試合を見たりと、慶應のサッカーは変わらないのでそういうのをしっかり見て、戦術理解を高めていました。やっぱり戦術を理解していないと試合には出られませんし、いきなり入っても良いプレーはできないので、戦術理解とチームのやるべきこと、そして自分のやるべきことを意識しながら1週間練習しました。(次節に向けて)連敗が止まって引き分けられたので、次節は明治ですが勝ち点3を取れるようにチーム一丸となって取り組んでいきたいと思います。

 

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