慶應スポーツ新聞会

【ソッカー(男子)】<コラム>唯一無二の“声”という武器…中井建太は窮地の慶大を救えるか

「足動かせ!ギア上げろ!」「チャレンジしよう!ここ1点決めるぞ!」ピッチ上に、聞きなれない野太い声が響く。その声の主は、中井建太(総4・青森山田高)である。守備陣に故障者が続出する中、27日に行われた関東リーグ第7節・東洋大戦(1●3)で中井は4年目にして初の先発出場を果たした。

 

 高校サッカーの名門・青森山田高から2014年に慶大へ加入。しかしトップチームの壁は高く、厚かった。過去3年間は関東リーグで出場機会なし。ベンチ入りも3試合のみと、スタンドから試合を見つめる日々がほとんどだった。2015年には松木駿之介(総3・青森山田高)、2016年には北城俊幸(総2・青森山田高)と高校の後輩も加入。彼らが先に試合出場を果たす中、「もちろん出たい気持ちもあって、悔しい思いもした」と中井は明かす。それでも、中井は地道に日々の練習に打ち込んだ。「山田の寮で過ごした中だからこそ応援していたし、その中で自分としても同じピッチにいっしょに立つんだっていう思いで常に取り組んでいた」と、後輩2人の姿を刺激に腐ることなくその時を待っていた。

 

 そして、出番はついに訪れる。7日に行われた第4節・専大戦(2○1)。途中出場で、1分だけではあるが関東リーグのピッチに立った。続く14日の第5節・筑波大戦(0△0)でも途中出場で13分間プレー。チャンスも演出し、慶大の応援席を沸かせた。21日の第6節・日体大戦(0●2)では出番がなかったものの、迎えた東洋大戦で念願の初スタメン。後輩である北城の負傷離脱を受けての抜擢だったが、「複雑な思いとかは特になかった」。それよりも、「あいつ(北城)の分も背負って、松木の分も背負って、頑張らなきゃいけないんだ」とケガでプレーできない後輩の思いを胸に、試合に臨んだ。須田芳正監督が中井に期待するのは、何よりも声でチームを統率し、盛り上げること。チームの悪い流れを断ち切るべく、中井はピッチの上で声を出し続ける。「声でチームを盛り上げたり、個人個人のモチベーションを上げるような声掛けをしてあげるというのが自分の長所」と、自らの役割を全うすべく叫び続けた。3失点を喫し、意気消沈する慶大イレブンの中で、その姿は最後まで変わることはなかった。

 

 試合後、中井は「結果的にチームの流れにつながっていなければ意味はない」と悔しさを口にした。現在、慶大は7試合を終えて勝ち点7の11位。降格圏に沈んでいる。ここからは上位チームとの3連戦が控えており、慶大としては文字通りの窮地に追い込まれたと言っても過言ではない。「死に物狂いで戦わないといけない」と、中井は悲壮な決意を語った。そして、その先に中井が見据える一つの“夢”がある。それは、松木と北城という2人の後輩と揃ってピッチに立つこと。「どのタイミングになるかは分からないけど、同じピッチに立って、勝って、誰かが点を決めて喜ぶっていうのをしたい」。その景色が現実となった時も、きっと中井は叫び続けているだろう。なぜなら、それが彼にとって唯一無二の“武器”なのだから――。

 

(記事 小林将平)

 

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