準決勝・産業能率大学戦では梅野真生(総2・成蹊/横河武蔵野FC U–18)の鮮やかなゴールを守り切り勝利。決勝へと駒を進め、東海大学と対戦した。前半は序盤から準決勝までと同様に三浦大其(経2・慶應)のドリブルからチャンスを多く作るもなかなかシュートまでは結びつかない。互いのディフェンダーの堅い守備でこのまま前半が終了するかと思われたが38分、混戦の中から梅野の2試合連続ゴールが飛び出し先制に成功する。勢いに乗った慶大は後半開始直後の46分、小野翔大(経2・慶應)の素早いリスタートから阿部雄大(政1・慶應)が抜け出し、そのままシュートを流し込んで追加点を奪う。以降は相手の猛攻を受け1点を失うも、ゴールキーパーの福井大次郎(経2・慶應/横浜F・マリノスユース)を中心に体を張ったディフェンスで同点弾を許さず、2-1で試合終了。見事関東リーグ新人戦で優勝を果たし、シャーレを掲げた。
2025/11/5(水)16:00キックオフ@スピアーズえどりくフィールド
【スコア】
慶應義塾大学2-1東海大学
【得点者】
38分 慶大 梅野真生(霜田晟那)
46分 慶大 阿部雄大
68分 東海大 副嶋柊太
【慶大出場選手】 | |
ポジション | 背番号 選手名(学部学年・出身高校) |
GK | 1 福井大次郎(経2・慶應/横浜F・マリノスユース) |
DF | 2 霜田晟那(理1・都立八王子東/ FC町田ゼルビアユース) |
3 吉垣陽翔(総1・桐蔭学園) | |
→ 63分 17 馬場翔大(商2・國學院久我山) | |
4 秋元心太(法2・駒大高) | |
29 梅原陽介(法2・國學院久我山) | |
MF | 6 小野翔大(経2・慶應) |
7 山本凉(法1・桐蔭学園) | |
→ 89分 20 片岡律貴(政2・慶應) | |
10 三浦大其(経2・慶應) | |
14 鈴木義仁(政2・帝京長岡) | |
22 梅野真生(総2・成蹊/横河武蔵野FC U–18) | |
FW | 11阿部雄大(政1・慶應) |
→ 72分 19 田中佑紀(法2・桐蔭学園) | |
同じ関東大学サッカーリーグ一部に所属する東海大を相手に迎えた決勝。スターティングメンバーに大幅な変更はなく、決勝トーナメント1回戦、2回戦でともに先発で起用されていた初見渚音(法1・桐蔭学園)に変えて新たにスタメンに抜擢された吉垣陽翔(総1・桐蔭学園)を除く全員が同じ顔ぶれとなった。

慶大スターティングメンバー
今後の慶大を担う新戦力が輝き躍動する舞台でもある今大会。選手たちは優勝を勝ち取るべく序盤から積極的に仕掛けていく。6分、鈴木義仁(法2・帝京長岡)のサイドからの崩しを起点にして攻め込むと、最後は小野翔大(経2・慶應義塾)がシュートを放つが惜しくもキーパーの正面をついてしまい得点には至らない。その後両チームともにディフェンダーが体を張った守りで先制点を許さず拮抗した展開が続いていた23分、チームの攻撃の中核を担う三浦大其(経2・慶應義塾)がハーフウェイラインから相手ディフェンス陣を一人でドリブル突破し好機を演出する。

ドリブルからチャンスを作った三浦大
先制点には繋がらなかったものの、慶大は三浦を中心に攻撃を展開していく。 一方予選リーグでは宿敵ワセダを6−0で粉砕するなど、圧倒的な攻撃力を誇る東海大も鋭いカウンターで度々慶大ゴールに迫るが、秋元心太(法2・駒大高)の決死のヘディングなどで得点を許さず迎えた38分、サイドを起点にしてゴール前までボールを運ぶと、最後は混戦の中で梅野真生(総2・成蹊/横河武蔵野FC-U18)がシュートを放ち、2試合連続の得点となる貴重な先制点をあげた。

2試合連続のゴールを挙げた梅野
勢いづいた慶大は前半終了間際、カウンターから決定機を迎え最後は山本凉(法1・桐蔭学園)がグラウンダーのシュートを放つもわずかにゴールの外側へ外れてしまい2点目をあげることができない。この流れのまま追加点を奪いたかったが相手の守備を崩しきれず、1−0でハーフタイムを迎えた。

山本は積極的にゴールへと迫る
後半開始直後の46分、自陣で得たFKを小野が素早くリスタートし、迷いのないロングパスを前線の阿部雄大(政1・慶應)へ送る。相手DFを背負いながらも巧みにボールを収めた阿部は、わずかな体の向きで前を向き、そのまま1対1の勝負へ。圧をかけるDFをいなし、右足を一閃すると、放たれたシュートは鋭くゴール左隅へ吸い込まれる。スコアは2−0。新人戦ではこれが6得点目となる阿部が、貴重な追加点を叩き込んだ。後半の立ち上がりで生まれたこの得点が、相手を大きく突き放す一撃となる。

6ゴール目を挙げた阿部
その後は、東海大の猛攻を必死に耐え凌ぐ時間帯が続く。GK福井大次郎(経2・慶應/横浜F・マリノスユース)を中心に、最終ラインが体を張った守備でゴール前に立ちはだかる。65分には右サイドから鋭いクロスが入り、相手FWが勢いよく飛び込み、強烈なヘディングシュートを放つ。しかし、ここはGK福井が瞬時に反応し、伸ばした手で見事にセーブ。

安定した対応を見せた福井
チームを救うビッグプレーで、失点を許さない。68分に失点を許してしまうも、慶大応援席からは大きな声援が飛び、ピッチ上の選手たちを力強く後押しする。慶大イレブンはその声に応えるように落ち着いた対応で守備を立て直し、集中を切らすことなく追加点を許さない。相手の攻勢を受け止めながらも、全員で粘り強く時計を進めていく。

集中した守備で追加点を許さない
そして試合はそのまま2−1でタイムアップ。最後まで戦い抜いた慶大が、関東リーグ新人戦の頂点に立ち、見事優勝を果たした。

賞状を受け取る三浦大
(記事、取材:甲大悟、野村康介、小野寺叶翔)
【試合後インタビュー】
◇阿部雄大(政1・慶應)
――優勝という結果について、今の率直な気持ちを
関東優勝したという実感はまだあまり沸いてなくて、素直に嬉しいです。
――後半開始早々の追加点のシーンを振り返って
ハーフタイムの時に翔大(小野)にもっと自分に裏パスが欲しいという話をしていて、その後のワンプレーで自分に出してくれて、そこでしっかり決め切ることができたので良かったです。
――新人戦通して6ゴールの大活躍だが、新人戦全体を振り返って
点を決め切るっていうところが自分の課題だったので、そういう意味ではしっかりと点をとって結果を残せた試合が多かったので自分にとって成長につながったと思います。
――全国大会に向けての意気込みを
全国大会はこれまで以上に厳しい試合が続くと思うんですけど、自分の点でチームを勝たせて全国制覇に導きたいと思います。
◇梅野真生(総2・成蹊/横河武蔵野FC-U18)

――優勝について率直な感想を
関東一位を取れたのはとても嬉しいんですけど、自分たちの目標は全国制覇なので、まだまだ通過点ってことで皆頭揃えてます。
――同じ関東大学サッカーリーグ一部に所属する東海大との決勝戦、どんな役割を意識して試合に臨んだか
アタッカーなので、点をとってチームを勝たせるということが、僕の役割かなと思って試合に臨みました。
――二試合連続となる貴重な先制ゴールを決めた時の心境を
相手のレベルを考えると、一点だけでは足りないと思っていたので、点を取れたことは嬉しかったんですけど、2点目、3点目を取りに行こうと考えていました。
――後半は押し込まれる点が多かったが、チームとして何か改善点はあるか
もうちょっと前線が時間を稼ぐことができないと、ああいった苦しい時間が続いてしまうと思うので、そこは練習から意識してやっていくしかないと思います。
――個人としては何かあるか
僕としても後半前の部分で時間を作ることができるような選手にならないといけないかなとは思っています。
――残留争いが続くリーグ戦への意気込みを
やっぱりこの場にいる一年生、二年生がチームに勢いをもたらさないといけないと思いますし、明日から練習があるので、チームに勢いもたらせるように頑張って行きます。
◇中町公祐監督
――優勝を決めたが、率直な感想は
学生たちが頑張ったというのと、ある意味彼らの中で成果が出たというのは成功体験としてすごくいいことなのではないかと思います。
――決勝トーナメントでは3試合続けてキャプテンを交代していたが、その意図は
新人戦のグループリーグからずっとキャプテンは交代しているので、基本的には2年生でキャプテンをそのときそのときで交代してきました。
――MVPを挙げるとすれば
本当に誰か1人挙げられないくらいお互いが切磋琢磨してかつ特にトップチームにいるメンバーで2年生以下と、Bチームから上がってきた新人戦メンバーもいる中でポジティブな姿勢とプレーを見せてくれました。
――関東リーグで出ている選手がいい影響をもたらしていると思うが、その点について
彼らはもちろんこの新人戦も大事な大会ですけど、関東リーグで活躍していかなければいけないですし、トップにいる以上はそういう思いでやらなければいけないですし、その上でこういう成果が出た後に地に足つけて地道に正当な努力を続けていくというのは必要だと思うので、そういうことを勝って言えるのはいい機会だと思うのでよかったのではないかと思います。
――目標とする「全国制覇」へ意気込みを
毎日試合というのはかなり違った、イレギュラーなレギュレーションにはなるので、その意味では総力戦になると思いますし、ただただ同じメンバーでベストコンディションで挑めるかといえばそうではないので、ちゃんと2年生以下のサブメンバーで力をつけてやっていければなと思います。

