【What is 〇〇部?】青春全てを懸けてこぐペダル! 伝統と“個”の二輪で織りなす疾走について/File.44 自転車競技部(前編)

自転車競技

慶大の体育会を深掘りしていく連載企画。「What is 〇〇部?」。第44回目は、120年以上の歴史を紡ぎ、ロードとトラックの双方で風を切り裂き疾走する自転車競技部を取材した。部の歴史、競技の魅力、そして今年度の部の目標まで、青春を懸けてペダルを踏みしめる部員たちに迫る。

慶大自転車競技部について

慶應義塾體育會自転車競技部は1902年(明治35年)創設。現存する日本最古の自転車競技チームであり、日本学生自転車界を黎明期から支えてきた。

部の理念は「自転車競技を通じて全社会の先導者を輩出すること」——1人のスター選手のみが活躍するチームではなく、組織として全員が成長していくチームを目指して日々の鍛錬を積んでいる。

近年もその伝統と実力は健在で、一昨年、そして昨年には男子の花形種目であるポイントレースにおいて東日本学生選手権2連覇を達成するなど、トップレベルの舞台で輝かしい実績を残してきた。

日本最古の伝統校としての誇りを胸に、ロード・トラックの双方でインカレ上位進出を狙う集団である。

 

自転車競技とは

自転車競技は、己の肉体と機材を極限までシンクロさせて速さを競うスポーツで、大きく「ロード種目」と「トラック種目」の2つに分かれる。

ロード種目: 一般公道などを舞台に、ハイスピードな平坦路で勝負する計10〜30キロ程度の「クリテリウム」と、最長150キロほどを大人数の集団で走り戦略を競う「ロードレース」がある。インカレなどの主要大会では、この過酷なロードレースが花形となる。

トラック種目: 傾斜のついた専用競技場(バンク)で行われ、短距離と中長距離に分かれる。一般に馴染み深い「競輪」は短距離に含まれる。個人種目だけでなく、3人1組の「チームスプリント」や4人1組の「チームパシュート」など、息の合った連携が求められる団体種目があるのも特徴だ。

リレー形式の種目も存在する

自転車競技の魅力

中長距離を主戦場とする主将・長谷川嘉洋(経4・慶應)は、その競技のバリエーションの多さを挙げる。

「自転車競技には短距離も中長距離もあって、タイムを競うものもあれば対戦形式もあります。個人種目だけでなく、3~4人でタイムを競う団体種目もあるなど、非常に多様な競技です」

一方、副将・髙島和真(法3・桑名)は、ロードレースにおける緻密な展開力や駆け引きを語る。

「ロードレースは最長150キロを走る中で、いつアタックを仕掛けるか、勝負所までにいかに体力を残すことができるか。単なる体力のぶつかり合いではなく、展開を見極める必要がある。非常に頭を使う競技なんです」

タイムを競うシンプルな世界でありながら、集団心理やチームの戦略が複雑に絡み合う。

また、自転車の部品の調整や修理はすべて部員たちが自らの手で行うのも特徴だ。練習の度にミリ単位の修正を繰り返し、自身に一番合う感覚に機材をすり合わせていく。自転車競技は、そんな気が遠くなるほど繊細な一面も併せ持っている。

自転車競技部の、今年

今年の自転車競技部は、約25名という規模で活動している。 今シーズンの大きな目標は「インカレ大学対抗総合順位で10位以内」に入ること。夏の本番に向けて組織全体の底上げを図っている。

部員は2割程度が高校や中学からの経験者だが、残りの8割は大学から競技を始めた未経験者だ。未経験組のバックグラウンドは多様で、特定のスポーツ出身者に偏ることもなく、中には帰宅部出身の選手もいる。

それでも全員に共通しているのは「自転車が好き」という純粋な想い。主務・齋藤理子(文4・豊島岡女子)をはじめとするサポート陣も含め、本気で結果を出すために全員が主体性を持って取り組める環境が部を支えている。

選手たちが1年間を戦うスケジュールは、主に次のような流れだ。

5月から7月にかけて、東日本選手権や全日本学生選手権など、重要な大会が立て続けに行われる。そして8月末から9月頭、ロードとトラックの両方で頂点を決める最大の舞台・インカレへと向かっていく。

秋シーズンに入ると11月、12月に伝統の早慶戦や六大学戦(いずれもトラック種目のみ)がクライマックスとして控えている。また、通年で学連が定期開催するロード(RCS)やトラック(TRS)のレースに参戦し、実戦を重ねている。

5月に行われた東日本学生選手権でも健闘

普段の練習は週6回。火曜日、土曜日、日曜日の朝練が全員で集まって行う全体練習で、それ以外の平日は選手が各自で学業の合間に時間を捻出し、自主練習で必要な練習量を確保する。

 

チームの雰囲気を、主将の長谷川は「とにかく仲が非常に良くて、先輩後輩の上下関係も良い意味であまりない。学年問わず意見を言い合える、すごく風通しのいい環境」と評する。

さらに長谷川はこう続ける。「強みは、各学年にバランスよく強い選手がいることです。先輩が後輩を引っ張り上げることもできれば、強い後輩が先輩を押し上げることもできる。お互いにいい影響を与え合いながら、切磋琢磨できる状態が作れています」

自転車競技——その競技における学生のパイオニアとしての伝統を紡ぎながらも、今でも未経験者から経験者までがフラットに競い合う体育会。一つの目標へ向かい、それぞれのペダルを漕ぎ続ける彼らの挑戦から、今シーズンも目が離せない。

(取材・記事:竹腰環)

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