6月13日から14日にかけて開催された、全日本学生アーチェリー王座決定戦。「男女アベック優勝」を掲げる第68代慶大洋弓部は、男子は準々決勝で東京国際大とのシュートオフの末にわずか1点差で涙を呑み、総合5位。一方、快進撃を見せた女子は、3位決定戦で関西学院大とのデッドヒートを制し、3位・銅メダルを獲得。現行の試合形式となった1998年以降で初のメダル獲得という歴史的快挙を成し遂げた。
全日本学生アーチェリー王座決定戦は、地区予選を勝ち抜いた男女各24校が、2日間にわたって大学日本一を決める最高峰の舞台。慶大洋弓部は、創部68年の歴史で培われた伝統を胸に、悲願である「初の男女アベック優勝」を目指して日々の鍛錬を重ねてきた。
今大会の慶大メンバーには、男女チームそれぞれに全国区の実績を持つ上級生から、日本代表経験を持つ驚異のルーキーまで、極めて多才な顔ぶれが揃った。

選手名 | 学部・学年 | 出身高校 | 主な実績・経歴(大会前まで) |
松延 晴仁 | 理4 | 麻布 | ・2025年度全日本学生個人選手権9位 |
荘司 有輝 | 理3 | 慶應 | ・2025年度全日本フィールド10位 ・2026年度国スポ神奈川県補欠 |
河西 大心 | 環1 | 獨協 | ・2024、2025年 U-18日本代表 ・2025年世界ユース代表 |
鳥塚 奏吾 | 文1 | 慶應 | ・2025年度関東高校選抜 個人準優勝 |
女子戦
宮野 文 | 法4 | 成蹊 | ・2025年度全日本室内3位 ・2025、2026年国体東京都代表 |
岡本 有咲 | 文4 | 都立国際 | ・2025年度関東学生ターゲット個人9位 |
竹井 月渚 | 理3 | 慶應女子 | ・2025年度全日本学生フィールド3位 ・2026年国体神奈川県代表 |
鈴木 麻優子 | 総1 | 浜松北 | ・2025年度全国高校選抜5位 ・2025年国体静岡県代表 |

初日の予選ラウンドは、各校4人が72射を放ち、上位3人の合計得点で決勝トーナメントのシード権を争った。完全屋外の風が巻くコンディションの中、慶大の選手たちは「1本目から強い射を心掛ける」という攻めの姿勢を崩さなかった。
男子は、今季抜群の安定感を誇る荘司有輝(理3・慶應)が後半ハーフで全体1位となる331点をマークして躍動。最上級生の松延晴仁(理4・麻布)、ルーキーの鳥塚奏吾(文1・慶應)らがこれに呼応してアベレージを保ち、団体5位で予選を通過した。

エースの荘司。予選後半では最高得点をマークした
団体順位(24校中) | 合計点(上位3名) | 得点/個人順位(94名中) | 備考 |
5位(決勝シード獲得) | 1920点 | 荘司 651点/4位 松延 643点/13位 鳥塚 626点/28位 河西 622点/31位 | ・荘司は後半331点(全体1位)をマーク |
一方の女子は、絶対的エースの宮野文(法4・成蹊)が8位(620点)を記録してチームをけん引。竹井月渚(理3・慶應女子)、岡本有咲(文4・都立国際)らも大舞台の緊張に動じることなく確実なエイミングを見せ、団体6位で予選を突破した。

チームのエース・宮野。決勝ラウンドでは1番手を務めた
団体順位(24校中) | 合計点(上位3名) | 得点/個人順位(94名中) | 備考 |
6位(決勝シード獲得) | 1818点 | 宮野 621 点/4位 竹井 601点/13位 岡本 597点/28位 鈴木 586点/31位 | ・エース・宮野が堂々の4位。他のメンバーも全員が安定感を発揮 |
予選順位に基づくノックアウト方式のトーナメント戦。シード権により1回戦を免除された男子(松延、荘司、鳥塚が出場)は、初戦の専修大戦で第1セットを失うも、終始冷静さを保ち、以降の3セットを連取。6-2で逆転勝利を収めた。
続く準々決勝の相手は、予選4位の東京国際大。高いアベレージを保ち続ける相手にリードを許すも、第2セット・4セットと「56点/60点」の高得点を射ち抜く驚異の粘りを発揮。

4年生の松延。最後の王座は1番手を務めた
同点(ポイント4-4)で突入した一射勝負のシュートオフ。1番手の松延が見事に10点を射ち抜いて流れを呼ぶも、最終合計得点でわずか1点及ばず敗退。悲願の日本一への挑戦は、惜しくも総合5位という結果で幕を閉じた。
ラウンド | 対戦校 | 結果/スコア | 備考 |
1/8イリミネーション | 専修大学 | 勝利/6 — 2 〇 | 1セット目を失うも、その後3セット連続奪取で逆転 |
1/4ファイナル(準々決勝) | 東京国際大学 | 敗退/4 — 5 ● | 4-4からシュートオフに突入し、合計1点差で惜敗 |
快挙を成し遂げたのは女子(宮野、岡本、竹井が出場)だった。
初戦の法政大戦は1セット目を失うも、3セット連取の6-2で快勝。 準々決勝では、一昨年度に苦杯を喫した因縁がある同志社大相手に、ポイント3-3で並んだ最終セットに圧巻の集中力で「55点/60点」を射ち抜いて勝利し、一昨年の雪辱を果たした。

2番手を務めた岡本
準決勝では優勝常連の強豪・近畿大の安定感の前に0-6で完敗を喫するも、迎えた3位決定戦・関西学院大戦。第1セットを奪われるも、第2セットを2点差で競り勝ち2-2に追いつく。このセットで流れを掴むと、続く第3セットで「54点/60点」の高得点をマークし王手をかける。
勝負の最終セット、一番手の宮野、二番手の岡本が冷静に9点へ矢を送り込み、最後は3番手の竹井が的のまさに中心・10点圏「X」を射抜いた。6-2での鮮烈な逆転勝利。慶大女子チーム27年ぶりの銅メダルを獲得した。

3番手の竹井。勝負を決める一射を放った
ラウンド | 対戦校 | 結果/スコア | 備考 |
1/8イリミネーション | 法政大学 | 勝利/6 — 2 〇 | 1セット目を失うも、その後3セット連続奪取で逆転 |
1/4ファイナル(準々決勝) | 同志社大学 | 勝利/5 — 3 ○ | 最終セットで超高得点!一昨年敗れた因縁の相手にリベンジ果たす |
1/2ファイナル(準決勝) | 近畿大学 | 敗退/0 — 6 ● | 優勝常連校相手に1セットも奪えず敗退 |
3位決定戦 | 関西学院大学 | 勝利/6 — 2 〇 | 終盤の集中力で勝利し、悲願のメダル獲得 |

女子チームのメンバー
目標としていた「男女アベック優勝」には一歩届かなかったものの、男女ともに残した足跡は大きい。
女子チームが手にした銅メダルは、1998年の現形式移行後では初めて、1992年以来となる創部史上2度目の快挙。これは部にとって本当に大きい。竹井の最後の一射が10点を射抜いた直線は、女子チーム、慶大洋弓部にとってまさに「栄光への架け橋」だったのである。

男子が東京国際大戦で見せた、追い詰められた中での56点という「爆発力」は、確かな技術の裏付けがある。しかし一方で、「安定感」に対する僅かな力が最後に1点差という結果を分けた。この極限の勝負を経験したエース荘司やルーキーたちにとって、この一戦は更なる飛躍への原動力となるか。
お互いを切磋琢磨させる化学反応も生まれていた。大学からアーチェリーを始めた荘司らの努力が大舞台で結実。そこに、河西や鈴木、鳥塚といった強力なルーキーたちが合流したことで、下級生の押し上げ、上級生の成長、し烈なメンバー争いが、全員の実力を底上げした。

応援する部員たち
悔しさと自信を胸に、彼らは次なる挑戦へを見据えている。新時代の王座獲得へ――慶大洋弓部にとって翌年は勝負の一年になるかもしれない。
(記事:竹腰環、写真:慶大洋弓部提供)

