雷雨で順延されていた関東大学リーグ1部後期第5節。1部・2部入れ替え戦圏の10位・慶大は、アウェイで首位・山学大に0−4で敗れた。
雨でスリッピーなピッチコンディション、縦が短いグラウンドの形状、3日後に大一番が控えていることなどを鑑み、前半は5−4−1の低いブロックで構えた。CKからの失点で0−1で前半を終えたが、「ここまではプラン通り」と黄大城監督からハーフタイムに話があった。
後半の早い時間帯に交代枠を使い切り、2トップに変更して反撃を試みたが、圧倒され3失点を喫した。
【試合結果】
2026/9/23(水)16:00キックオフ@山梨学院向町サッカー場
O.R.S 第40回関東大学女子サッカーリーグ戦1部 後期第5節
山梨学院大学4−0慶應義塾大学
【得点(アシスト)】
30分 山学大 堤なつほ(一瀬葵夢)
72分 山学大 小林結依(一瀬葵夢)
77分 山学大 木下奈南(堤なつほ)
88分 山学大 高田琉那(衣川杏樹)
【慶大出場選手】
ポジション
背番号 選手名(学部学年・出身高校)
GK
1 四宮里紗(環1・桐蔭学園)
DF
11 森原日胡(総2・作陽学園)
→61分 8 佐藤凜(総4・常盤木学園)
2 竹内あゆみ(看4・日ノ本学園)
5 米口和花(総3・十文字)
4 宮嶋ひかり(環3・芝浦工業大学柏/ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)
15 田中紗莉(総3・市ヶ尾/日体大SMG横浜U18)
→61分 13 山田葵(総2・聖和学園)
MF
22 福島日和(理4・慶應湘南藤沢)
→61分 7 髙松芽衣(環3・植草学園大学附/ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)
6 木田遥(総1・十文字)
→HT 18 岩田理子(総3・十文字)
10 野口初奈(環4・十文字)
19 安達梨咲子(商4・Palos Verdes High School / Fram Soccer Club)
→61分 14 福島紗羅メヘル(政1・昌平)
FW
9 野村亜未(総4・十文字)
9/2の国士大戦で痛恨の敗戦を喫した慶大。目標を1部残留に切り替え、9/3〜9/6の関西遠征などでトレーニングを積んできた。
今節は山学大とのアウェイマッチ。7/25に開催予定だったが、キックオフ直前の荒天で試合延期となっていた。
山学大との前期の対戦はホームで1−4で敗れた。山学大は今節の試合前時点で13勝2敗の首位。強豪ひしめく1部の中でも、群を抜いた強さを誇る。
会場の山梨学院向町サッカー場は、タッチライン93m、ゴールライン68mの寸法。JFAガイドラインの範囲内ではあるが、タッチライン105m、ゴールライン68mが一般的な寸法であるため、かなり縦が短い形状だ。この日は試合前に弱い雨が降り、スリッピーなピッチコンディションだった。
慶大は山学大戦の3日後、勝ち点差8で追う東国大との試合が控えていた。「チームとして東京国際との試合は重要だという共通認識を持っています」(宮嶋ひかり(環3・芝浦工業大学柏/ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)、9/17のインタビューより)。
「中2日で連戦になるということと、対戦相手、自分たちの勝ち点、いろいろなものを考えた時に、どうやってアウェイで勝ち点を拾って帰るのかということを逆算すると、戦い方は少し工夫をしなければいけないと思っていました」(黄大城監督)。ゲームプランは明確だった。ここのところ採用していた5−3−2(攻撃時3−1−4−2)ではなく、従来の5−4−1(攻撃時3−1−5−1)システムを採用。普段より一段と低いブロックで構えた。「(山学大は)個人の能力とロングボールというのは明確にあって、あとはグラウンドが狭いので、自分たちが守るスペースが限られている中で、無理してガンガンいって相手のフィジカルと対等に戦おうとするのはあまり賢くないと思ったので、スペースを消しながら相手のロングボールに対応できる状態を選手に提示しました」(黄監督)。
スタメンは、「練習試合でのパフォーマンスが良かった」(黄監督)という安達梨咲子(商4・Palos Verdes High School / Fram Soccer Club)を左IH、福島日和(理4・慶應湘南藤沢)を右IHに起用。前期最終節以来6試合ぶりの出場となる4年生2選手を送り出した。左WBの3年・田中紗莉(総3・市ヶ尾/日体大SMG横浜U18)も前期最終節以来のスタメンとなった。

久しぶりの出場となった安達

今季初めて左サイドで起用された田中紗
山学大は4−3−2−1のシステム。右IHと左SBが両サイドで高い位置を取り、1トップ2シャドウの連携を軸に攻め込んでくる。
2分、左CB・宮嶋のパスを起点に、アンカー・木田遥(総1・十文字)、トップ下・野口初奈(環4・十文字)、FW・野村亜未(総4・十文字)、再び木田がワンタッチでパスをつなぎ、福島日が抜け出すがクリアされる。

ビルドアップの起点・宮嶋

裏抜けを狙った福島日
直後には、右WB・森原日胡(総2・作陽学園)のクロスからCKを獲得。ファーに流れたボールを米口和花(総3・十文字)がキープし、竹内あゆみ(看4・日ノ本学園)がシュート。枠を外れたが、格上を相手に序盤からチャンスをつくる。

攻撃力も抜群のリベロ・米口

積極的にシュートを狙った右CB・竹内
12分には、宮嶋から木田、野口、野村へと3本の縦パスで攻めるが、野村がオフサイドの判定を受ける。17分、福島日が中盤でボールを奪うと、木田につなぎ、木田から森原へスルーパスが通る。森原は右サイドの深い位置からクロスを供給。シュートには至らなかったが、敵陣でプレーする場面をつくる。

右足クロスからチャンスメイクした森原
ただ、山学大2CBとアンカーに対し、1トップの野村しか残っていない場面が多く、ボールを奪ってもなかなか前線に運ぶことができない。29分、カウンターから攻め込まれると、ボックス内で強烈なシュートを浴びる。木田がスライディングでブロックし、CKに逃れたが、木田は右足首を負傷。一時的にピッチを出る。
1人少ない状況で迎えたCK。ファーサイドでワンバウンドしたボールを混戦から押し込まれ、先制される。
失点後も木田は5分ほどピッチに戻れず。その間は福島日、野口、安達の3ボランチの5−3−1のシステムで守りに徹した。「とにかく横のスライドを自分と梨咲子(安達)が、初奈(野口)もですけど、横にガンガンスライドして4を3で埋める感じでした」(福島日)。
36分、木田がピッチに戻り、再び5−4−1のシステムに。その後は一方的に押し込まれるが、0−1のまま前半終了。強烈なミドルシュートを数多く浴びたが、コースを限定して枠の外かキーパー・四宮里紗(環1・桐蔭学園)の正面に打たせていた。ボックス内に侵入される場面はあまりなかった。CKからの失点は、「もったいなかったと思いますし、自分たちの実力不足だと感じました」(安達)、「もっと課題感を持ってやらなければいけなかったところで、自分のところでやられてしまったので責任を感じています」(福島日)と選手たちが口々に振り返ったが、「ハーフタイムにもテソンさん(黄監督)から『ここまではプラン通り』という話もありました」(福島日)と、たしかな手応えもある前半だった。
後半開始から、木田に代えて岩田理子(総3・十文字)を投入し、配置を変更。岩田は右WBに入り、前半は右WBだった森原が左WB、左WBだった田中紗が右CB、右CBだった竹内が木田の務めていたアンカーに入る。

気持ちを見せた木田

右サイドのアタッカー・岩田を投入し配置を変更
56分、野村が相手のミスを逃さず、中盤でボールを拾い、ドリブルで持ち運ぶ。後方から駆け上がった福島日にパスをつなぐと、野村がボックス内でリターンを受けるが、シュートまでは持ち込めない。

主将・野村、主務・福島日コンビでゴールに迫る

ストライカー・野村のスピードで切り裂く
「15分このまま(ブロックを敷いて)いくよ、15分経ったらメンバー変えるから、そこは意識して」。ハーフタイムに黄監督が選手たちに伝えた作戦の通り、後半開始から15分を無失点で耐え抜くと、61分に4枚代えを敢行。田中紗に代わって山田葵(総2・聖和学園)、森原に代わって佐藤凜(総4・常盤木学園)、福島日に代わって髙松芽衣(環3・植草学園大学附/ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)、安達に代わって福島紗羅メヘル(政1・昌平)が入る。この交代でフォーメーションを5−4−1から5−3−2に変更。竹内が右CBに戻り、右から佐藤、野口、山田の中盤3枚、左WBに福島紗、2トップに野村と髙松が入る。

今季最多の4枚代え

エース・野口がアンカーに
反撃開始の合図とともに、前に人数をかけ、ラインを上げ始める。68分、宮嶋のフィードを受けた福島紗がドリブルで相手を翻ろうし、右足でクロス。髙松の落としを受けた佐藤が右足でボレーシュートを放つが、枠を捉えられない。

ドリブルで打開する福島紗

ポストプレーも得意とする髙松

惜しいシュートを放った佐藤

左サイドでの起用となった山田
71分、カウンターを受けると、ボックス内からシュートを打たれるが、四宮がビッグセーブ。しかし、CKのピンチが続くと、ゴール前に密集をつくる山学大に対し、慶大もゴール前に人数を集めたが、意表を突くショートコーナーからミドルシュートを叩き込まれ、0−2とされる。
73分、またしてもミドルシュートを浴びるが、四宮がビッグセーブ。こぼれ球に詰められるが、四宮が足で掻き出し、失点を逃れる。

4失点もセービングとパントキックが冴えた四宮
しかし77分、中盤でデュエルに負けると、スルーパスであっという間に四宮との一対一に持ち込まれ、3失点目。
終盤はショートカウンターで攻め上がるシーンもあったが、後半途中から降り始めた雨の影響もあり、なかなか前線までボールを運べない。88分にショートカウンターから手数をかけずに攻め込まれ、ダメ押しの4点目を許す。まもなく試合終了となった。
やはり首位の実力は飛び抜けていた。四宮の再三のビッグセーブがなければ、さらに差をつけられていた。勝つのは容易ではない相手だった。
ただ、ピッチにいる選手、ベンチメンバー、スタッフの全員が同じ方向を向き、頭を揃えて90分戦ったというのも事実だ。アウェイ・甲府の地まで駆け付けたサポーターの応援も含め、今季の中で最も一体感のあるゲームだった。
【試合後インタビュー】
黄大城監督
――この試合に向けて
中2日で連戦になるということと、対戦相手、自分たちの勝ち点、いろいろなものを考えた時に、どうやってアウェイで勝ち点を拾って帰るのかということを逆算すると、戦い方は少し工夫をしなければいけないと思っていました。梨咲子(安達)と日和(福島)は単純に練習試合でのパフォーマンスが良かったので、他の選手を使う選択肢もありましたが、4年生だからという情もなく、「使いたい」と思わせてくれたことがすべてだと思います。
――ゲームプランとしては試合前にどんなことを話したか
(山学大は)個人の能力とロングボールというのは明確にあって、あとはグラウンドが狭いので、自分たちが守るスペースが限られている中で、無理してガンガンいって相手のフィジカルと対等に戦おうとするのはあまり賢くないと思ったので、スペースを消しながら相手のロングボールに対応できる状態を選手に提示しました。
――先ほど福島日和選手にインタビューした際、ハーフタイムに「ここまではプラン通り」と黄監督から話があったと聞いたが、それ以外にハーフタイムに話したこと
ゴールキックをあんなに簡単にはめられていたらあれですし、あとは守備のところで、相手の左右での立ち位置の違いがあったので、「右はこうだからこうした方がいい、左はこうだからこうした方がいい」というところをそれぞれ修正しました。あとは「15分このままいくよ、15分経ったらメンバー変えるから、そこは意識して」ということを伝えました。
――あした、あさってという2日間をどう過ごしていきたいか
残り2日という部分で言うと、できることは正直なくて、遥(木田)もけがしちゃったし、何をどう落とし込んで伝えていくかは整理できていない部分があるのですが、まずはコンディションを整えることですね。落ち込んだってしょうがないですし、きょうの相手の強度、そしてボールがスリッピーでボールスピードが上がってしまうことを上回る自分たちの技術と判断がなかったがゆえにボールを動かせなかったのですが、修正しなきゃいけないポイントとこうなってしまった要因を整理して選手に伝えないと「0−4で負けた」、「うまくいかなかった」、「しんどかった」ということだけが残ってしまうので、その辺りを整理して伝えたいです。
福島日和(理4・慶應湘南藤沢)
――9/19に黄大城監督が「日和の状態がいい」と話していたが、ご自身はどう感じているか
個人的に何かがすごくいいとか、いつもよりいいという感覚はなくて、本当にずっといつも通りにやることを意識しているので、それがよく映ったのかなと思います。4年生として、「チームのために」という点で、自分がもっと言わなきゃいけないこととか、やりたくないことをもっとやらないといけないということを話したり気づいたりしたので、それがあって周りの人がそういうふうに感じてくれているのかなと思います。
――前期最終節の早慶戦以来およそ3カ月ぶりの出場となったが、プレーを振り返って
与えられた役割はすごく明確で、「45分間で潰れてもいいからとにかく走ってこい」ということで、4年生としてチームを引っ張っていく自分や梨咲子みたいな存在が、チームのために走って守備をする姿勢を求められていたので、とにかく走ることを意識していました。
――久しぶりに5−4−1のブロックを敷いて、コーナーキックから先制されたものの前半はある程度プラン通りだったように見受けられた
そうですね。ハーフタイムにもテソンさん(黄大城監督)から「ここまではプラン通り」という話もありました。セットプレーはもっと課題感を持ってやらなければいけなかったところで、自分のところでやられてしまったので責任を感じていますが、ゲーム全体のプランとしてはブロックを敷いて抑えることは良かったと思います。
――(ポジションはすべて守備時)右ボランチの木田選手が負傷で前半に5分から10分ほどピッチを出ていて、10人で戦う時間があったが、あの時は5−3−1の形だったか
そうですね。とにかく横のスライドを(右SHの)自分と(左SHの)梨咲子が、(左ボランチの)初奈(野口)もですけど、横にガンガンスライドして4を3で埋める感じでした。
――3日後の東京国際大学戦に向けて
チームとして、次は絶対に落とせないという共通認識を持っているので、絶対に落とさないということと、残り数少ないホームで、きょうもアウェイに来てくださった保護者の皆様がいたので、ホームでしっかり勝って、着実に勝ち点を積み重ねていきたいと思います。
安達梨咲子(商4・Palos Verdes High School / Fram Soccer Club)
――きょうのスタメンを伝えられたタイミング
前日の練習の時で、正直驚いた部分が大きかったです。
――前期最終節の早慶戦を最後に出場から遠ざかっていたが、この3カ月間取り組んできたこと
中断期間にテソンさんから話があって、自分がもっと主体的に皆に絡んでいったりだとか、自分がチームを変えるんだという気持ちで関わっていかないといけないということを言われて、もちろん試合に出られていないということはありますが、それ以外で自分がどうやったらチームに影響を与えられるのか、積極的に関わっていくことは意識していました。
――試合を振り返って
前半は長い間0−0で進めるゲームプランだったので、セットプレーで失点したところがもったいなかったと思いますし、自分たちの実力不足だと感じました。
――相手の右IHの選手が広いエリアに顔を出していたが、左CBの宮嶋選手、左WBの田中紗選手、左ボランチの野口選手、左SHの安達選手の間でのコミュニケーションを振り返って
コミュニケーションは結構取れていたと思います。特にひかり(宮嶋)とか初奈(野口)とか普段出ている選手が声をかけてくれたので、自分としてもやりやすかったです。
――残りのリーグ戦5試合に向けて
あと5試合で大学のサッカーが終わっちゃうというところで、悔いなく終わりたいというのと、なるべく試合に絡んで結果で貢献できたらと思っています。
(取材:柄澤晃希)










