25日に行われた関東リーグ第11節・桐蔭横浜大戦(1△1)で、慶大に久々の得点をもたらした八田和己(総2・桐蔭学園高)は、今季、大きな飛躍を遂げた。昨季まではトップチームでの出場機会がなかった彼だが、今季はチーム事情もあり、第1節・法大戦(2○1)で初先発。良い守備を見せていたが、ケガ人の復帰などもあり、その後は再びベンチを温める日々が続いた。
しかし、チャンスは再び訪れる。ケガ人の続出で苦しむチーム状況を救うべく、MFにDFとチームの穴を埋めるために起用され、そのたびに安定したディフェンスを見せた。そして、第8節・流経大戦(0△0)でセンターバックとして起用されると、当時首位だった流経大の強力FW陣に対しクリーンシートを達成。この試合をきっかけに、八田はチームでポジションを確立した。
現在、チームのディフェンスリーダーは鴻巣良真(総3・国学院久我山高)であり、須田芳正監督も彼を中心にディフェンスラインを構築しようとしている。その中で、一番相性が良いと評価された八田だが、彼も鴻巣との連携に関しては手応えを感じているようだ。「本当にうまくいき、声をかけ続けられている」というように、お互いにコミュニケーションを取り合い、裏を取られてもきちんとカバーし合う、そういった関係ができている彼らは、慶大のディフェンスに安定をもたらす。試合ごとに洗練されるその守備は、来る早慶定期戦、そしてリーグ戦後期に向けてさらなる成熟を見せてくれるだろう。
そんな八田のサッカー人生は、「いろんな指導者の方にも出会え、本当に恵まれた環境でできた」と話すように、非常に充実したものだ。しかし、八田自身も今のチームにはまだ足りないものがあるということを認識している。「勝ち切ることが後期には求められる」と、前期リーグ戦で2勝しかできない現実を重く受け止める。そして、「下級生からでも引っ張っていける存在にならないと」と今後に向けた決意を口にした。八田のプレーが慶大を救い、そして彼のキャリアにも輝かしい1ページが刻まれる日はそう遠くはないはずだ。片翼を担う、八田和己の活躍から目が離せない。
(記事 中村駿作)