【ソッカー男子】開幕前取材、第5弾 田中奏一&黄大城編

田中(写真左)、黄それぞれが今季の目標を掲げる

  ケイスポソッカー班による開幕前特集もいよいよ最終回。5回目は慶大の左右の翼による豪華対談だ。左の翼・黄は高さを武器に、右の翼・田中奏はスピードを武器に、下級生時からDFラインに欠かせない選手として活躍してきた。彼らの攻守への貢献はチームの結果につながると言っても過言ではないだろう。実力、経験共に申し分ない彼ら2人の働きで慶大を日本一へと導いてくれるに違いない。

 

「(昨季は)今年につながる1年にはなったと思う」(黄)

 

 ―昨季、リーグ戦は7位で終えたが

黄 1部でやるのは2年目ということで、1部という環境に個的には慣れてきましたし、チーム的にも各大学の特徴とかを肌で感じて臨んだ年だったので、もうちょっとやれたという感じはします。変な話ですが、自分たちの代が多く出ていたんで今年につながる1年にはなったと思います。

 

―今年につながる部分とは具体的には

黄 去年は勝ち続けられなかったりとか、勝ち点を取れなかったり、ボロボロ失点したり、チームとしてここぞという時にいい結果が出せなかったのでそういう経験ができたのは自分たちにとって大きかったと思っています。

 

スピードに乗ったドリブルを武器とする田中

―田中選手は昨季を振り返るとどうか

田中 1年間終わって思ったのは「悔しい」ということですね。自分が去年の2月3月に思い浮かべていた年間の像とは違っていました。

―思い浮かべていた像と違っていた点とは

田中 チームとしては一昨年に寸前でインカレ出場を逃したのでインカレに出たい思いがあったんですけど、最後は残留とかに目を向けなければいけなくなってしまったこと。個人としては怪我が多くて満足行く状態、自分の一番良い状態で試合に臨めなかったし、結果も全然出せなかったことです。

「(今年は)ここ4年間で一番個の力を持っている選手が揃っている」(田中)

 

 ―SB目線でディフェンスやオーバーラップなどオフェンス面を自己採点すると

黄 自分は前期は全部出て、後期も半分以上は試合に出たんですけど、結果を見ると何もしていないので、イマイチですね。結果を出さなければいけないので。

―一昨年との違いは

黄 一昨年はマチ君(中町・総卒)だったり、オリ君(織茂・政卒)だったりゲームをコントロールしながらボールを供給してくれる選手がいたので自分的にもやりやすかったです。去年は自分たちが上級生になって、主体となってやることを含めると、パフォーマンス的には全然だめでした。今年は自分でゲームの中でいろんなことができる選手になりたいと思っています。

田中 自分の役割として、攻守両方で存在感を出してやっていくことを目指したんですけど、守備に関しては失点が多くて自分の最低限の働きができていなかったと思います。まずディフェンスからなので。

 ―昨季はフォーメーションが固定されなかったが、やりづらさなどはあったか

黄 フォーメーションは固定されなかったんですけど、李さんには自分たちに高い位置を取ってやるように言われていたので、フォーメーションを変えたことで自分のプレースタイルを変えたという印象は特に持っていません。システムが固定されなかった面に関しては問題なくやれたと思っています。

田中 フォーメーションは変わりましたけど、攻守で貢献していくという自分の役割は変わらなかったので、近い選手とのポジショニングの違いなどはありましたけど、そこに戸惑ったことはありませんでした。

―昨季はリーグ戦の上位3チームとの戦績が0勝6敗。今季インカレや日本一を狙うにあたり上位との戦いは大事になってくると思うが

黄 上位は勝つだけの何かを持っているし、個人の選手もレベルの高い選手も揃っているのは否めない点ではあります。でも、自分たちが上位に行くには勝たなければいけないし、正直負ける気はしないです。

―負ける気がしない点とは

黄 そこは強気で行くしかないと。まずは相手どうこうよりも自分たちのサッカーをすることが勝利につながるポイントなので、上位相手にも自信を持ってビビることなくやればいけると思っています。まずは自分たちのサッカーをすることと、メンタル的なところをしっかり準備したいですね。

―田中選手はどうですか

田中 こないだまで関東選抜に行っていたんですけど、上位チームは個の力が高いと感じました。結局は戦術面の前に個人個人のレベルが高くないといけない。上位陣に勝つためにも一人一人の力をどんどん上げていくことが必要だと思います。

―今年の4年生は下級生時からレギュラーを張っている選手が多いですが、慶大の「個の力」はどうでしょうか

黄 自分たちの代は1年生からいろんな経験をさせてもらってる選手が多くて、そういった面では間違いなく過去に比べてプラスになる面は大きいと思っています。あとは個の力をサッカーをやる11人の中で引き出しながら、うまく調和していくかが重要なので、経験ある選手がいろんな局面でしっかりと対応して引っ張っていければいいなと思っています。

田中 僕の中では個の力という面ではここ4年間で一番個の力を持っている選手が揃っていると感じています。1年生の話になってしまうんですが、武藤とか増田とか他にもいますけど、強い個性を持った選手が揃っていると思います。あとはテソンも言った通り、ここ3年間で2部も経験している4年生がそれをどう引き出していくかが重要だと思っています。

「李さんから学べたことが自分にとっては成長できた点」(黄)

 

 

黄の左足からは高精度のクロスが繰り出される

―昨季、一番成長したと感じている点は

 

黄 ここ!という点は正直見当たらないですね…成長したところはないです。ただ、シーズン通して負けている時だったり、失点する場面でずるずる行くことがけっこうあって、そういうことを経験をできたことが成長ではないですが、自分にとっては良い刺激になりました。あとは最後に李さんから学べたことが自分にとっては成長できた点だと思います。

―李前監督から学んだこととは

黄 まずは気持ちの部分だったり、細かなとこで言うと自分の良さを出してくれるような言葉だったりです。個人的にすごいお世話になったと思っているので、そういった面でも成長できました。

―田中選手はどうですか

田中 怪我をしてしまったので、結果的に成長した部分は見つけられませんね。ただ、怪我をしていた中でその怪我からどうもっていくかとか、ベストじゃない時に試合への持って行き方や準備の仕方というのは直接グラウンドに出るものじゃないですけど、自分のサッカー人生の中では生きてくるものだと感じています。

―今まで長い怪我とかはあったんですか

田中 高校時代は怪我が多かったですね。ユースの時はベストコンディションじゃない時には絶対に試合に出られなかったので、割り切ってできたんですけど、大学になるとリーグ戦があって中々そうはならない。大学に入って1、2年は怪我もあまりなかったので、そういった面で成長したことですね。

「(新加入の武藤は)ジュニアユースからなんで知っているが、やりますよ。

得点力があり、FC東京ユースの負けん気の強さを持って入ってきた」(田中)

―次に新チームについて伺います。まず、須田新監督の印象は

黄 須田さんはサッカー以前に人として気さくな方で、すごく接しやすい人だと思いました。サッカー的にもレベルの高いことをやろうとしていて、指導方法だったり、サッカー以外の面でもサポートとか積極的に個人的にやってくれるので、自分は尊敬できる監督だと思っています。

田中 李さんと同じで自分の考え方がある人だなと。これは慶應に携わる人の特徴かもしれないんですけど。僕は人見知りするタイプなので、まだ上手くコミュニケーション取れていないんですけど、本当にいい人だと思います。

 ―チームの雰囲気はどうですか

黄 新しい1年生も入ってきて、須田さんのやろうとするサッカーの方向も分かってきているので、それをどうフィットさせるかですね。まだまだ上手くいかない部分もありますけど、雰囲気としては楽しく準備できていると思います。

田中 みんな向上心を持ってやっていて、良い雰囲気だと思います。

 ―システムは4-3-3とのことですが

黄 システムはまだ変更するかもしれないので、まだ秘密です(笑)4-3-3については、セットポジションというか、最初のポジションが今までとは全然違ったので、最初は攻撃も守備も戸惑いはありました。今は4-3-3の3トップの生かし方だったり、自分たちがどう絡むかとか、試合をこなすにつれて良くなっていると思います。まあ、自分たちがフォーメーションを決めるわけではないので、与えられたことを全力でやりたいと思います。

田中 4-3-3になるかは分からないですけど、みんなずっとサッカーをやってきてシステムが変わることはあったはずですし、順応してやっていると思います。

―須田新監督はオランダでコーチングの経験を積んだとのことですが、慶應のサッカーもオランダサッカーのような感じになっているんですか

黄 3トップ、ウイングを張らせる形っていうのは大学サッカーではあまりないので、これはオランダですかね(笑)

田中 最初はオランダのことばっかり言ってたんですけど、試合を重ねるごとに慶應の選手の特徴を生かしたサッカーをしようとしているので、僕はオランダサッカーではないんじゃないかと(笑)

―田中選手にとって1年生の武藤選手はFC東京ユースの後輩ですが、どんな選手かはご存知なんですか

田中 ジュニアユースからなんで知っているんですけど、やりますよ、本当に。得点力がありますし、FC東京ユースの負けん気の強さを持って慶應に入ってきたのでやってくれると思います。

「(副将に就任した田中は)口でどうこう言う前に背中で魅せれる人間」(黄)

 

 ―田中選手は副将に就任されましたが、その経緯などは

田中 僕たちの学年で話し合って、みんなの話し合いで決まった、っていう感じです。

―どういった面が決め手だったんですか

田中 そういうのも聞くんですか(笑)よく分からないんですけど…練習でヤスサンみたいにガツンと言う人がいなくて、僕もそういうタイプじゃないんですけど、サッカーのピッチに入った時の練習で見本になって欲しい、という面だと思います。

―そういった面について黄選手は

黄 自分は最初は奏一を推していなかったんですけど、周りが奏一を推している意見とかを聞くと、ピッチ内でもピッチ外でも彼はストイックなのでサッカーに対する真面目な姿勢は見習うべきだと思います。口でどうこう言う前に背中で魅せれる人間というとこをみんな推していたので、そこは最もだと思っていたので、今後の活躍に期待です。

―黄選手は役職には就かれなかったんですか

黄 そうですね。僕は自分のことを淡々とやるタイプだと思うので。役職には就かない方がいいと思います。

―監督から「こうして欲しい」みたいなことは言われましたか

田中 飯食えってやつ?

 黄 自分、体が細くてそれで一人暮らしなんで、ちゃんと飯を食えと。今は寮の飯をみんなで食べています。プレーの面では4年生を含めて期待してくれているというのは感じています。細かいことはあまり言われず、好きにやっていいよと大まかな感じで言われて、その言葉に期待を感じています。とりあえず、その期待に応えられるように結果を出したいですね。

田中 僕も自由にやって良いと言われていて、サイドバックでゲームをコントロールできるようになったら変わってくると。世界で見てもサイドバックでゲームコントロールする選手がいるので、そういう選手を目指したいと思います。

 「日本一になって慶應の歴史を塗り替えたい」(田中)

 

―次に今季について伺います。まず、先日まで関東選抜でデンソーチャレンジカップに行かれていましたが、その大会を振り返るとどうですか

黄 大会や試合にはあまり出ていなかったので、何とも言えない部分はあるんですが、大学の上手い選手たちと一緒にプレーしたり共同生活することで正直夜のホテルとかみんな自由で目を見張るものが食生活に関しては無かったんですけど、ピッチに入って練習が始ったりするとみんな自分に自信があるし、一つ一つの練習にこだわりを持ってやっていたのでさすがだな、と思いました。

―特に「すごい」と思った選手はいましたか

黄 そうですね…特にはいないです。みんなサッカーを離れたらふざけていましたし。みんな同じような正確というかピッチ入った時に自信がある感じとかは慶應にまだまだ足りないとこだと感じたので、生かしていきたいです。

関東選抜でも積極的な攻撃を見せた田中

―田中選手はデンソーチャレンジカップを振り返ると

田中 関東のレベルの高さというのを結果だけでなく、試合を通じて感じました。全日本選抜に悔しい負け方をして、怪我もしてしまったので、個人的にはあまり良い大会ではなかったです。

―今季のチームの目標は

黄 全国制覇ですね。そのためにはリーグ戦で結果を出さなければいけないし、総理大臣杯ではトーナメントでの戦い方も重要になってくる。全国制覇するためにもここぞという時に去年出た、勝ちきれなかったこと、上に行けなかった課題がポイントになってくると思うので今年は全国制覇を第一の目標としているので、ここぞという試合で結果を出せるようなチームになることが目標です。

田中 日本一になって慶應の歴史を塗り替えたいので、僕たちの代で達成できるように頑張りたいです。

「結果にこだわってやっていきたい」(黄)

「自分が慶應でやっていって出した結果としてプロは見えてくる」(田中)

 

 ―個人としてはどんなシーズンにしたいですか

黄 選抜とか行って、いろんなスタッフなんかと話したりすると慶應の両サイドバックは強みでもあり、逆に考えたら攻めどこでもある、と思われているのを感じたので、去年は失点が多かったのでまずは守備からやっていきたいですね。失点しなければ負けることは無いので。あとは、去年は試合には出ていたんですけど、結果には出ていなかったので、結果にこだわってやっていきたいです。

田中 個人的な目標というのは無くて、慶應が勝てるように貢献できていればいいなと思っています。その結果として、見ている人たちがサイドバックが良いからと言ってもらえるようになりたいです。

―進路はプロ希望だそうですが

田中 そうですね。

 黄 まずはリーグ戦で結果を出したいです。そこから始まると思うので。進路は一生を左右することですし、まずは結果を出したいですね。

田中 プロとか、そういうことを気にせずに自分が慶應でやっていって出した結果としてプロは見えてくるので、常に前向きにやっていきたいです。

―開幕に向けての抱負を

黄 フォーメーションもしっかり決まっていないですし、チームの完成度としては半分もいってないと思います。スタメンもまだまだ決まっていなくて、やることはたくさんあるんですけど、そこは監督だったりコーチを信頼して、監督がやりたいことを自分たちが再現しつつ、自分たちの良いところを伸ばせるようにやっていけたらと思っています。まずは開幕戦が勝負だと思うので、開幕戦を去年みたいにボロ勝ちして勢いに乗りたいです。

田中 僕はまずは怪我(肋骨骨折、復帰未定)をしっかり治したいです。自分の準備不足でした怪我ではないので、シーズンが終わった時この時期に怪我をして、違ったトレーニングをできたから良かったと、怪我をして良かったと言えるように、前向きにやっていきたいです。

―お忙しい中、ありがとうございました!

By Tomoki Kakizaki

 

 以上でソッカー班による開幕前特集は終了です。この取材は3月に行いましたが、関東大学サッカーリーグ戦が延期した関係でHPへのアップを遅らせました。慶大ソッカー部は明日、リーグ初戦・明大戦を戦います。ソッカー班は今季も引き続き、公式戦の戦評を掲載していく予定ですのでこちらもぜひご覧になって下さい!!

 慶應スポーツ、ソッカー班一同

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