小雨の中行われた第19節は、現在2部3位の日体大との対戦。序盤は立ち上がりから押されるも、決定機を作らせることはないまま試合を進める。すると27分、右サイドからのクロスに江本優貴(総3・大宮アルディージャユース)が合わせ待望の先制点を挙げることに成功。その後は主導権を握り、セットプレーからさらに3点を追加した。その後、1点返されるも後半アディショナルタイムにダメ押し弾が決まり、終わってみれば上位相手に5-1の圧勝。他会場の結果によって慶大の2部残留も決定し、慶大にとって非常に大きな1勝となった。
第92回関東大学サッカーリーグ戦 第19節 vs日本体育大学
2018/11/04(日)11:30KO@Shonan BMW スタジアム平塚
【スコア】
慶應義塾大学5―1日本体育大学
【得点者】
28分 江本優貴(慶應義塾大学)
40分 八田和己(慶應義塾大学)
47分 江本優貴(慶應義塾大学)
81分 山田盛央(慶應義塾大学)
88分 平川元樹(日本体育大学)
90+5分 ピーダーセン世穏(慶應義塾大学)
◇慶大出場選手
GK上田朝都(総3・横浜F・マリノスユース) |
DF佐藤海徳(政3・桐光学園) |
DF鴻巣良真(総4・国学院久我山) |
DF酒井綜一郎(政1・慶應義塾) |
DF 中島玲央(総4・柏レイソルU-18) |
MF 増田皓夫(商4・桐蔭学園) |
MF八田和己(総3・桐蔭学園) |
MF江本優貴(総3・大宮アルディージャユース)→80分 松岡瑠夢(総2・FC東京U-18) |
MF多嶋田雅司(商3・国学院久我山)→76分 小谷春日(環4・藤枝東) |
FWピーダーセン世穏(経3・FCトリプレッタ) |
残り4節となった関東リーグ、一刻も早く残留を確実なものにしたい慶大の対戦相手は日体大。主将の松木駿之介(総4・青森山田)が負傷欠場となり、昇格がかかった相手との一戦は試合前から厳しいものになることが想像された。
試合開始直後は予想通りと言うべきか、押される展開が続く。その中でもなんとかチーム全体で決定機を作らせない。けが人が多くベストメンバーで臨めないためか、連携面にも多少の難はあったが、それでも先制点を与えることはなかった。すると28分、繰り返し仕掛け続けていた右サイドから山田盛央(総3・藤枝東)がクロスを上げると、それに反応した江本が丁寧に合わせてネットを揺らし先制した。勢いづいた慶大は40分に佐藤海徳(政3・桐光学園)が蹴ったコーナーキックを八田和己(総3・桐蔭学園)が頭で合わせ追加点。前半で2-0と、この上ない形で折り返した。
後半は立ち上がりから慶大がペースを握る。47分にCKを獲得すると、佐藤のキックからゴール前の混戦を江本が制しこの日2点目を決める。後半開始早々に突き放したことで余裕のできた慶大に対し、一気にギアを上げてきた日体大が攻める展開になる。少ないチャンスからカウンターを狙う慶大は、81分にまたもセットプレーから追加点。佐藤のキックをピーダーセン世穏(経3・FCトリプレッタ)がファーサイドで折り返し、中央の山田が頭で押し込んだ。88分には1点を返されたが、アディショナルタイムには途中出場の松岡瑠夢(総2・FC東京U-18)がドリブルで相手守備陣を置き去りにし、ラストパスを受けたピーダーセンが決めて5点目。3年生が全得点を挙げるゴールラッシュで、上位の日体大を5-1で粉砕した。
この試合と他会場の試合結果により慶大の残留は決定した。だが、慶大のシーズンはまだ終わりではない。残りの3試合で来季につながる戦いができるか、来季こそは昇格するためにここから残り試合をどう戦うかが大きなカギとなるだろう。その点において、来季の中核を担う3年生たちや、復帰直後の松岡、関東リーグ初出場の酒井綜一郎(政1・慶應義塾)らが活躍したことは大きな意味を持つ。来季に向けた戦いはもう始まっている。
(記事:中村駿作 写真:岩見拓哉、髙橋春乃)
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試合後コメント
冨田賢監督
そうですね、本当に残留を決めようと一丸になってた中で、本当に、ほぼほぼ残留を決められたっていうのは、本当に(良かった)。日体さんも昇格を争う強いチームだったんですけども、しっかり勝てたというのは良かったです。
――得点シーンの多くはセットプレーから
そうですね。あとはGKコーチの髙橋(一真)が、セットプレーのところは主に担当してくれてて、思ったより髙橋コーチと選手が、僕も含めてですけど特にそういったところを突き詰めてくれた結果が今日のセットプレーからの得点につながったなと思います。
――試合全体として相手の決定機を多く作らせなかった
戦い方として、基本的にはしっかりとセットして、守備してそこから奪ってからのカウンターというのをやっていこうという中で、ピッチの中で表現できたのは一つ大きな、勝てた要因だと思います。
――今日のスタメンは前節から大幅な変更があったが
けがとかもありましたし、シーズン通して本当に状態の良い選手を使っていきたいというのもあったし、ある意味その点では、(酒井)綜一郎も初めて出たし、そういった選手が躍動してくれたというのはチーム力というのを考えたときに大きかったなって思います。逆に言えばキャプテンの松木も、出られなかったけれども、その中で声出したりとか、本当に練習中一番声出してたのが松木だったし、そういうの含めて皆が一つになった結果だったと思います
――次節に向けて
本当にちょっとでも順位を上げる目標と、来季は慶應が昇格できるようにしっかり良いゲームをして、繋がるようにゲームをしていきたいと思います。
鴻巣良真(総4・国学院久我山)ゲームキャプテン
メンバーがけが人とかが多数出て変わったんですけど、それでも1失点したんですけどもかなり自分たちのペースでゲームを運べたってのは、夏からやってきたものの積み重ねがやっと試合に繋げられたと言うか、自分たちの成長に繋がったかなって思いました。
――最終ラインでは新しい選手を加えてだったが、連携面は
連携面は正直言うと、完璧ではないし、今日の試合でも何回か酒井との連携ミスで危ないシーンもあったんですけれども、その中でも最後まで体を張れたのはあいつも含めてすごく良かったかなと思います。
――今日は結果的に5得点の圧勝、最終ラインからチームを見て
賢さんが言ってたように、自分たちがセットした状態からボールを奪って素早いカウンターを狙おうというのが、基本的には自分たちのやりたいことをやれていたのが、5得点に繋がったのかなって。そこから始めてCKやセットプレーが生まれてたので、そういった点ですごくやりたいことができたゲームだったと思います。
――次節に向けて
一つ上の順位、一つでも上の順位に行けるように、これからも頑張っていきます。
江本優貴(総3・大宮アルディージャユース)
チームとして当初は昇格を目指していたにもかかわらず残留を決めなきゃいけないという中で、この試合がターニングポイントになると思っていたので、しっかり勝ち点3を取れて良かったです。
――今日はトップ下での出場となったが、そこでの役割は
個人的には(ボランチより)トップ下の方がやりやすくて、久しぶりに自分のやりたいポジションができました。今までのチームの課題として、攻撃の時の距離感があまり良くなかったので、そこで自分が間に入って良い距離感でボールを動かせるようにと意識してやりました。
――手応えを感じたのでは
そうですね。前半からある程度ボールを収められていたと思うし、距離感が良くて良いテンポが生まれていたのですごくやりやすかったなと思います。
――2得点を振り返って
1点目は山田選手からすごく良いボールが来て、前期とかにも似たようなシーンはあって、なかなか決め切れないのが続いていたので、ボールを当てることをしっかり意識して決められて良かったなと思います。2点目はセットプレーのこぼれを押し込むだけだったんですけど、チームとしてセットプレーはすごく力を入れているので、そこでしっかり点が取れて良かったと思います。
――次節に向けて
ここから少しでも上の順位に行けるように、そして来年こそはしっかり1部に上がれるようにやっていかなきゃいけないと思うので、残り3試合も全部勝てるようにやっていきたいと思います。
佐藤海徳(政3・桐光学園)
残留が懸かった試合でみんな気合が入っていましたし、今日は野村がけがをしてしまったんですけど、3年生がスタメンに7人いるということで、3年の中でも3年の意地を見せてやろうということを言っていたので、実際今日は5ゴール3アシストを3年生で挙げられて、結果を残せてよかったと思います。
――3年生で話したのか
そうですね。残り5節くらいになった時に3年で集まって、来年に向けて3年生が結果を残していかないといけないなというふうにミーティングをして、ゴールとアシストを合わせて15というのを目指していて、でこのあいだの試合で1ゴール1アシストして残り13という時に今日8積み重ねられたのは良かったです。
――2点目のアシストシーンを振り返って
(CKの)入り方を前日と前々日の練習で結構中の人と合わせて、(今日は)雨でスリッピーだったので、チャレンジしようということで速いボールを意識して入れました。
――今日はそれも含めて3ゴールが佐藤選手のセットプレーからだったが、キックの感触は良いか
手応えはありますね。まあ今までこだわってきた中でなかなかセットプレーから点が取れていなかったんですけど、やっとそれが形になったかなという感じです。これから継続していければ試合を有利に進めることができると思うので継続してやっていきたいです。
――以前は守備面での課題を挙げていたが、徐々に良くなっているか
そうですね。あの時から守備のところは課題で、とみけんさん(冨田監督)にも求められているところだったので、1番ドリブルが上手くて速い小谷(春日=環4・藤枝東)選手を練習後に呼んでドリブルと1対1の練習を積み重ねてからは対応できるようになってきたと思います。自信は持てるようになりました。
――次節に向けて
そうですね、まあ一安心したというのはあって、正直来週のことは考えていなかったんですけど、まあ松木さんのために、あとポジション争いをしていた井出(悠介=環4・桐蔭学園)君から頑張ってくれっていうラインも来ていて、井出君と松木君のために、あとは来年のために3年生として来年に繋がるような試合を次の試合でもしたいです。
ピーダーセン世穏(経3・FCトリプレッタ)
取りあえず残留が決まったので、ほっとしています。
――前期は1-1の日体大相手でした
去年も1部でやっていて勝てなかった相手だったので、自分としては結構、因縁というか勝ちたい相手で、それがこの残留を決めるというタイミングで日体だったので、自分としては他と比べて特別な気持ちというのはありましたね。
――前半から攻撃の起点になっていた
そうですね、自分としては前半はあまり出来が良くなかったイメージなんですけど、ロングボールを結構シンプルに入れてくれたので、狙いやすかったというか、プレーの選択肢がある中で狙いがはっきりしていたのでそれは一つやりやすかったというのはありますね。
――得点シーンを振り返って
カウンターで(松岡)瑠夢がずっと持ち上がって、相手の戻りも遅かったので、絶対に自分のところにボールが来るだろうなと思っていて、良いタイミングで出してくれたので、後は点差もあったので落ち着いて切り返して決められたので、最高でした。
――何人かフリーの選手がいたがボールを呼んだのか
いや、もう絶対に来るなと思っていたので、あまり呼ばなかったです。
――次節に向けて
今日の試合も3年生が結構得点に絡んでいて、来年に向けてというのは自分たち3年生はもう見据えていて、もうあと残り3試合、残留も決まった中で来年に向けてというところを自分たちは一番フォーカスして、4年生もラスト3試合ということでたぶん気合を出してくると思うので、3年もその勢いに乗って来年に繋げられるように、ラスト3試合3連勝する勢いでやっていきたいと思います。
八田和己(総3・桐蔭学園)
立ち上がりは少し危ないシーンがあったんですけど、全体を通して5点取れて良い出来だったんじゃないかなと思います。
――大量得点で快勝となった
結構今は中盤の真ん中に位置して、相手のカウンターを止めたりするっていうっていつことを求められている中で、自分の役割を全うしながら、その中でセットプレーとかで得点を狙えればなって自分では思っていたので、今日形としてそれが出たので良かったかなと思っています。
――前期勝ち点を分け合った相手に対するゲームプランは
夏の合宿とかで、チームでいっぱい持つとか、最後粘り強く走り切るとか、そういうところはだんだんチームとして、強みになってきているんじゃないかなと思うんですけど、まだまだ詰められるところはあるのでこれからもやっていこうと思います。
――ゴールシーンを振り返って
ちょっと自分かは分からなかったんですけど、(佐藤)海徳からすごく良いボールが上がって、良い形で点を取れたから良かったかなと思います。
――次節に向けて
残留が確実に決まったかどうかは分からないですけど、来年にも繋がるところだと思うので、4年生は4年生で引っ張るし、3年は3年で引っ張って、互いに高めながらやっていければいいかなと思います。
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