開幕戦を落とした慶大はアウェイの第二節に臨んだ。前半はピッチを大きく使った攻撃から何度かチャンスを作ったが、スコアレスで折り返す。迎えた59分、鈴木紗理(総3・十文字)からの縦パスを受けたブラフ・フェイ(文1・スフィーダ世田谷FCユース)が反転し、そのままシュート。これがネットに突き刺さり、先制点を挙げた。慶大はこの一点を守り切り、1-0のまま試合終了。一部復帰に向け貴重な勝ち点3を獲得した。
第25回関東女子サッカーリーグ 第2節 vs順天堂大学
2019/04/20(土)17:00KO @順天堂大学さくらキャンパスグラウンド
【スコア】
慶應義塾大学1-0順天堂大学
1-0 59分 ブラフ・フェイ(慶應義塾大学)
◇慶大出場選手
GK 加藤楓琳(総4・常盤木学園) |
DF 熊谷明奈(総3・十文字) |
DF 奥本くるみ(環4・浦和レッズレディースユース) |
DF 足立智佳(環3・大阪桐蔭) |
MF ブラフ フェイ(文1・スフィーダ世田谷FCユース)→72分 庄司夏穂(総4・聖和学園) |
MF 高橋佳里(総1・常盤木学園) |
MF 工藤真子(総4・日テレ・メニーナ)© |
MF 佐藤幸恵(総3・十文字) |
FW 小川愛(総3・神村学園)→90+1分 秦野くるみ(総1・藤枝順心) |
FW 鈴木紗理(総3・十文字)→84分 松木里緒(環4・常盤木学園) |
FW 山本華乃(理3・横須賀シーガルズ)→90分 高月彩香(環2・村田女子) |
前節、開幕戦を勝利で飾ることができなかった慶大。一部復帰を目指している以上、連敗は避けなくてはいけない。今節は高橋佳里(総1・常盤木学園)が初のスターティングメンバーに抜擢。ブラフ・フェイ(文1・スフィーダ世田谷FCユース)と合わせ、新一年生が二人起用された。その高橋がボランチに入り、小川愛(総3・神村学園)が一列前に移動した。
試合序盤の8分、鈴木紗理(総3・十文字)が右サイドから中に切り込むと、山本華乃(理3・横須賀シーガルズ)がポストプレーで右サイドの工藤真子(総4・日テレ・メニーナ)へ流す。工藤は再びゴール前へ折り返しのクロスを供給したが、山本には上手く合わなかった。
前節よりも最終ラインへのプレスが若干強い順天堂大学。しかし、GK加藤楓琳(総4・常盤木学園)の大きな声による指示を中心に、比較的落ち着いたパス回しができていた。また、3CB中央の足立智佳(環3・大阪桐蔭)が、前節よりも低く構えてパスコースを増やす場面もあった。加藤は前節に続いて今節も終始、高い足元の技術を見せてビルドアップの質の向上に寄与した。時おり一列飛ばしたパスも織り交ぜるなど、昨季までDFであったことを鑑みれば今季、GKとして余りある活躍を見せている。この試合、ピッチの幅を大きく使ってチャンスを作った慶大。27分、鈴木が下りてボールを受けると右に大きく張っていた佐藤幸恵(総3・十文字)へ展開し、佐藤はドリブルで持ち上がって強いシュートを放った。佐藤と工藤が右サイド裏のスペースを効果的に使うシーンが目立ち、43分、44分と佐藤のクロスから立て続けにチャンスを作ったが、前半のうちに得点は奪えなかった。
56分、小川が中央でボールをキープし右サイドの佐藤に展開。佐藤はゴール前にクロスを上げたが、走りこんだ工藤は触ることができなかった。そして迎えた59分、慶大は待望の先制点を奪う。鈴木からの縦パスをPA内で受けたブラフは、相手DFを背負った体勢から反転。「得点を決めることだけを考えて打った」というシュートはゴール左に突き刺さった。勢いに乗った慶大は思うようにパスが回り始める。72分、先制点を挙げたブラフに代わって庄司夏穂(総4・聖和学園)を投入。80分には鈴木がセンターサークル付近からドリブルで持ち上がり、PA付近から強烈なシュートを放った。慶大は自陣の低い位置で順大の人数をかけたプレスを受けても密集を抜け出し、反対のサイドに展開して逆にチャンスを作った。1点を守り切るべく、84分に松木里緒(環4・常盤木学園)を、終了間際に初出場の秦野くるみ(総1・藤枝順心)、高月彩香(環2・村田女子)を投入して順大の攻撃をしのいだ慶大。1-0のまま逃げ切り、念願の勝ち点3を手にした。
伊藤監督は「ベストのパフォーマンス」と評し、主将の工藤は「すごく楽しい90分間だった」と振り返るなど、試合後の慶大からは、満足感が感じられた今節。監督・主将の両者とも、試合の入りが良かったことに言及していたのも印象的であった。前節からの一週間で攻守の切り替えを意識してきた成果が随所に見られ、素早いボール奪取からの攻撃も何度か見られた。新一年生のゴール、そしてクリーンシートでの勝利でチームの雰囲気は上向き。ホーム開催の次節、筑波大戦は連勝に期待したい。
(記事:柴田航太郎 写真:桑原大樹)
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伊藤洋平監督
――試合を振り返って
2試合目ですけど、今シーズンベストのパフォーマンスでした。選手たちを褒めたいと思います。
――開幕戦の良くなかったところをどう修正したのか
仕掛ける意識だとか、ネガティブトランジションのところをこの1週間で修正したんですけど、それをピッチでしっかり表現してくれました。
――1年生が活躍しているが、印象は
僕は日頃から、年功序列とかは世の中からなくなっていくからという話はしてるんで、学年とかは考えてないです。
――ボールを保持しながら、なかなかゴールが遠い時間帯もあったが
そうですね。今日は本当に入りから悪くなくて、いずれチャンスは来るだろうと信じてました。
――次の試合に向けて
勝った後の1週間の過ごし方は本当に大事なので、今日は本当にベストなパフォーマンスを見せてくれましたから、その中でも課題をしっかりと意識して、週単位で成長していきたいです。
工藤真子(総4・日テレ・メニーナ)主将
――試合を振り返って
アウェイだったんですけど、試合前の雰囲気はすごく良くて、試合の入りも自分たちでゲームをコントロールできたので、すごく楽しい90分間でした。
――開幕戦は残念な結果だったが、そこからチームとしてどう立て直したのか
(攻守の)切り替えが前回の課題だったので今回はそこを意識したんですけど、今日は本当に(ボールを)奪われてからの切り替えが速くて、奪ってからの攻撃がうまくいったので、すごく良かったと思います。
――主導権を握りながらも前半は点が入らなかった
バイタルエリアまで行く回数は多かったので、その後の攻撃のバリエーションを増やして、もっともっと良い攻撃ができるように、コミュニケーションを取りながらやっていきたいと思います。
――1年生が2人スタメン出場、得点も記録した
佳里に関しては2ボランチで一緒にやらせてもらっていて、すごく周りが見えていてボールを配れる選手なのですごくやりやすいです。フェイはスプリントの回数がすごく多くて、攻撃に参加するタイミングも上手くて、それが今日の得点につながったと思うので、これからも期待しています。
――次の試合に向けて
来週はホームなので、また勝てるようにチーム一丸となって頑張って参ります。
ブラフ フェイ(文1・スフィーダ世田谷FCユース)
――ナイスゴールでした
ゴール前だったので、得点を決めることだけを考えて打ちました
――2試合連続のスタメン出場となった
先週からの反省を生かして今週の練習は積極的にいくことを意識していて、それを今日の試合で自信持ってできていたので良かったと思います。
――前節よりも内容が良かったのでは
自信を持ってやったことが結果に繋がったかなと思います。
――次節に向けて意気込みを
今節以上にチームに貢献できるように、今週の練習も頑張っていきたいと思います。