【ラグビー】全員攻撃踏襲でまたもライバル撃破/早大戦

ダメ押しのトライを挙げた宮川

記憶に新しい感動の11月23日から約7ヶ月。雨が降ったり止んだりするなか、今度は九州・鹿児島の地で「負けてはいけない相手」早大と対戦した慶大。この日はBksだけでなくFwd陣も果敢にアタックしていき、1対1の勝負でも強さや同大戦に引き続き、見事に34-15で連勝した。

招待試合

2011/6/12 (日) 13:00K.O.@鹿児島県・鴨池陸上競技場

得点
慶大 チーム 早大
前半 後半 VS 前半 後半
2 4 T 2 1
2 0 G 0 0
0 0 PG 0 0
0 0 DG 0 0
14 20 小計 10 5
34 合計 15
【得点者】(慶大のみ)

T=前6分新甫、前35分渡辺諒、後9分仲宗根、後13分小田村、後28分位田、後40分宮川

G=中村2

出場選手
ポジション 名前(学部学年) 交代選手
1.PR 三谷 俊介(総2) →後0分16. 三谷 俊介(総2)
2.HO 高橋 浩平(経4)  
3.PR 山田 亮介(環3) →後6分17.平野 裕馬(環3)
4.LO 熊倉 悠太(政4)  
5.LO 伊藤 悠(商4) →後0分18.栗原 大介(総4)
6.FL 明本 大樹(総4) →後0分19.小田村 淳平(政3)
7.FL 三輪谷 悟士(総4)  
8.NO8 鹿児島 昌平(経3)  
9.SH 渡辺 諒介(経2) →後0分20.宮澤 尚人(法1)
10.SO 宮川 尚之(環2)  
11.WTB 服部 祐一郎(総1) →前38分22.位田 陸(法2)
12.CTB 仲宗根 健太(総4)  
13.CTB 中村 圭介(総4) →後27分21.高田 英(経3)
14.WTB 瀧口 晃太郎(文3)  
15.FB 新甫 拓(経3)  
 

初めて黒黄の9番で出場した渡辺諒

 早大のキックオフで試合は始まった。前半2分、慶大はいきなり先制を許してしまう。しかし慶大は直後にしっかりと反撃する。4分、ラックサイドからボールを展開していき、キックも使ってFB新甫(経3)がトライ。CTB中村(総4)のゴールも成功し、あっという間に逆転する。

その後も慶大は敵陣でプレーする時間が長く、果敢に攻めていく。しかし、「良いところでノックオンしてしまった」(CTB仲宗根主将・総4)と振り返るように、ゴールラインギリギリのところまで繋いでいってノックオンしたり、スローフォワードをとられてしまうシーンが目立ってしまう。簡単なミスが原因となり点が奪えない展開が続いた。33分、再び試合が動く。早大ボールスクラムから展開され、相手のビッグゲインも許してしまった慶大は、結局2本目のトライを許してしまう。また試合がひっくり返された。しかし今日の慶大にはやられたらやり返す力があった。すぐさま逆襲を開始した慶大は、SH渡辺(経2)がラックから自ら球を持ちだす。最後はタックルされ、倒れながらもインゴールにボールを置いてトライを挙げる。ゴールも再び成功し、14-10とリードして前半を終えた。

復帰を果たした栗原副将

 今季初出場の栗原副将(総4)ほか、多くの選手を入れ替えて臨んだ後半。自陣からでもパスを回していく場面が多々見られた。8分、慶大は相手のペナルティからチャンスを掴む。自陣でSH宮澤(法1)がクイックリスタートし、フェーズを重ねていく。ボールを縦に回すことで、早大にしっかりしたディフェンスラインを作る隙を与えない。そのまま慶大はゴールライン際までつないで、最後は仲宗根がタックルされながらも倒れることなくトライ。ゴールも決まって再び逆転に成功した。その後の早大の攻撃の時間も、スクラムからターンオーバーするなど、PR三谷(総2)、PR平野(環3)が入った第一列を中心に慶大は優勢に立つ。その後も相手のノックオンから得た好機を生かすトライなどで着実に点差を広げていった慶大。後半は1本だけ早大のトライを許したものの、ラックでのターンオーバー、テンポの良いアタックで試合をものにしていく。40分にはまたも早大の弱点であるラックサイドから球を出した慶大。展開する中で、モールを作って押しこんでいくシーンも見られた。着実にゴールラインに近付いていき、最後はSO宮川(総2)が右中間にダメ押しトライを決め、ノーサイド。昨年の対抗戦から早大相手に連勝を果たした。

 「相手が早大なので何が何でも勝つ」(CTB瀧口・文3)という特別な気持ち、Fwdも積極的にオフェンスに加わること、縦にボールを回しながら相手のディフェンスを破ることによって勝利を呼んだ慶大。はじめはなかったが少しずつ、今年の慶大の形が形成されてきた。また、同大戦に続く勝利を挙げられたことにより、はっきり成長していることも見えてきた。

 次戦は北海道で行われる、この春学生相手に全勝中の明大戦。大きいFwdを中心に今もっとも調子が良いチームである。手強い相手ではあるものの、慶大はここ2試合で「この春取り組んできた1対1で勝つ、縦にボールを回す、ということが具現化できるようになってきた」(田中監督)。確実にチームの力は上がってきている。ハンドリングエラーなどのミスを減らし、伝統のタックルを中心にディフェンスをかためていけば、勝てない相手ではないだろう。「僕たちが勝って泥を塗ってやるつもり」(宮川)と、選手たちの気合いも十分。北の大地で挑む、慶大戦士たちの活躍に期待だ。

 

圧倒的な突破力を誇る仲宗根

【ケイスポ的MOM】屈強な体でチームをけん引する仲宗根

Fwd、Bks共に躍動した春の早慶戦。その中でも今季チームをけん引する主将・仲宗根健太(総4)は一際目立った活躍を見せた。大柄な体躯を生かした縦横無尽な突破は早大のディフェンスラインを幾度もラインブレイク。時には相手を引きずりながら前へ進み、圧倒的な突破力を披露した。しかし、見事な活躍にも「何が良かったのか分析して次につなげたい」と慢心はない。今春、慶大は試合を重ねる度に攻守に成長し続けている。そんな発展途上の黒黄軍団の先頭には間違いなく仲宗根がいる。

                         By Akane Takahashi

監督・選手のコメント

田中監督

(早慶戦だったが)慶大にとって早大は一番意識し、負けてはいけない相手でした。良きライバル校でもありますし、何が何でも勝たなければいけないと思っていました。今日はロッカールームでそういう話もして選手を送り出しました。1点差でも勝とう、それが11月23日に繋がるんだ、ということも言いました。(試合を振り返って)基本的に春のシーズンというのは前の週の試合で出た課題をいかに修正して臨めるか、というのが1つの課題でした。この春取り組んできた1対1で勝つ、縦にボールを回す、ということが同大戦から少しずつ具現化できるようになってきたな、と思います。今日は縦に縦にボールを運んで、ディフェンスラインを崩していけたかと思います。課題もイージーなミスもまだまだ多いです。ハンドリングエラーやタックルミスもいくつかありました。でも選手たちが意欲的に前に前にボールを運び、ゴールラインに向かって果敢に進んでいったことが今日の勝利につながったと思います。(スクラムについて)社会人のチームに出稽古に行っている選手たちの成果が強化につながったと思います。今日は結果的にスクラムで球を奪うことも、マイボールを安定して出すことも出来ました。(今日出た課題は)小さなミスが多いことです。無理にボールをつないで落としたり、タックル力が不足していたり、ディフェンスのシステム不能もみられました。タックルの慶大、ディフェンスの慶大、というのがベースにあるはずだと思うので、それがやりきれなかったところは課題として残ります。(次戦も遠征、さらに相手がこの春全勝中の明大だが)明大は春の王者なので、我々はチャレンジャーとして向かっていきたいです。とくに明大は大きなFwdのいるチームなので、それに対してどれだけ挑めるか、だと思います。同大戦、早大戦を通して見えてきた自分たちのラグビーの形を、この1週間でまた考えながら精進していきたいと思います。

仲宗根主将

(試合を振り返って)相手が早稲田ということもあったので他の試合よりも気合いが入っていました。(試合前の雰囲気は)先週の同志社戦で初勝利を挙げられて、その勢いで成長していこうと話していました。そういった面でも早稲田に勝ったことは大きいと思います。(勝因は)一人一人が前に出れたことが良かったんだと思います。(自身も突破していく場面が多く見られたが)2本ノックオンしてしまったので、反省しつつですね。良かったところは良かったので、何が良かったのか分析して次につなげたいと思います。(チームとしてのオフェンスは)良いところでノックオンしてしまったり、最後にノックオンしてしまっていたので、その辺りは修正点ですね。(6トライを挙げられたのは良かったのでは)前半にミスが多くったんですけど、後半にトライをとれたので少しは修正できたのかな、という感じです。これからも強化しつつ、良いアタックを継続していきたいです。(ディフェンス面については)まだまだ慶應らしいタックルができていないので足りないと思います。(先週の試合に続いて外で取られるシーンが多かったが)ビデオを見てないので何とも言えないんですけど、順目に立つのが遅いというイメージがあります。(次戦は好調の明大戦ですが)慶應も好調なのでこの勢いで行って、明治に勝ってさらに勢いに乗りたいと思います。

高橋浩

(試合を振り返って)みんな1対1で勝負できていて、気持ちが全面にでていた良い試合だったと思います。(早大に勝てたことについては)うれしいです。でも相手もまだ戻ってくる選手がいっぱいいるので、常に現状不満足でがんばっていきたいです。(セットプレーを振り返って)実は今、肩を怪我していてチームに迷惑かけたのは申し訳なかったです。でも今日はスクラムからもターンオーバーがもって行けて良かったとおもいます。(個人的な出来としては)スクラムに関しては80〜90点くらいあげられると思います。後は早く肩の怪我をなおしたいです。(今後の課題は)やはりうちはディフェンスのチームだと思うので、タックルにこだわって、またオフェンスも一対一を心がけてやっているからそれが出せればいいです。(来週明大戦にむけて)明大のディフェンス強いのでスクラムから良い流れが持って行けたら良いなと思います。

渡辺諒

(試合を振り返って)Fwdが勝っていたので速いテンポで捌けたんですけど、僕の寄りが遅くてテンポを作れない部分もありました。あと、裏のプレーでファンブルが多かったので、次の試合では直していきたいです。(初めての黒黄の9番の着心地は)リザーブで出る時よりも緊張の度合いが違って、重いものがありました。(トライシーンについて)Fwdがしっかり空けてくれて、その部分を僕が逃げていって取ることができました。(今春、Aチームでプレーしていて)まず、同期にライバルがいるのでもっともっと自分は頑張らないといけないと思います。1本目のやつと違う面で勝負できればいいですね。そういうところを伸ばしていきたいです。(チームのディフェンスについて)しっかり止められている場面が多いんですけど、内側に切られときに止めきれなかったところがありました。もっと組織的に高められる部分はあると思います。(明大戦に向けて)Fwdが強くて捌きづらい試合になると思うんですけど、うまく捌いてFwdを楽にさせてあげたいです。

宮川

(今日の試合を振り返って)僕がもっと上手くFwdを動かせていたら、点差はもっと開いたと思いますね。(早慶戦だったが)あまり意識していないつもりだったんですが、身体のどこかでは早慶戦だって意識していたように思います。(今日のゲームメイクについて)できるだけしっかり陣地を取っていこうと話していました。あとは慶應らしく、どんどんボールをふって順目に攻めていこうと思っていました。(Bks全体でハンドリングは良かった)そうですね、外にも振れて結構いいハンドリングができて、段々良くなってきてるなと思います。(起点となるキックもあった)僕から陣地は取ってこうという話だったので、それは意識していました。(今日の収穫は)スクラムは良かったですね。あとアタックも大分良くなってきていると思います。あとはディフェンスでコミュニケーション取っていけばもっともっと良いチームになるんじゃないかなと思います。(個人としては)僕としてはゲームメイクもまだまだ全然なので、そこは経験を積んでしっかり課題を良くしていきたいです。(課題とは具体的に)Fwdの使い方ですかね。あとはテリトリーを意識した攻め方、この2つだと思います。(次戦に向けて)明治は多分春今のところ全勝だと思うので、僕たちが勝って泥を塗ってやるつもりで頑張ります。

瀧口

(試合を振り返って)個人的なところではディフェンスのコミュニケーションで足を引っ張ってしまったところがあったので、そこは日吉のグラウンドで修正していきたいと思います。勝利したのは本当に良かったと思います。(慶大は外で崩されるシーンが多かったが)早く内側に立ってディフェンスしていかなければいけないんですけど、そこがしっかりできていませんでした。(早大が相手だったが意識は)もちろんありましたね。早稲田なので何が何でも勝つ、という信念でやりました。(オフェンスのテンポが良かったが)そうですね。テンポが出てきた時は良いテンポでやれていたと思います。でもテンポが遅くなった時に何をやるかという意識を統一してやれていなかった印象があります。テンポが落ちた時に何をしていけばいいかをしっかりやっていかなければいけないと思いました。(キック面については)1本ミスがあったのでまだまだです。キック面で使っていただいていると思うので、自分の長所として伸ばしていきたいです。(コンバージョンを蹴りたいなどはあるか)キックは飛ぶんですけど、精度がイマイチなのでいいです(笑)(中村)圭介さんとかに任せていきます。(明大戦に向けて)やっぱり勝ちたいです。相手は大きいので、まずは下に入って止めることですね。あとはあまり食い込まれないようにディフェンスしていけば、明治なのであまりボールを回してこないと思いますし怖くないと思います。でも。今日は回されてミスもあったので修正しつつやっていきたいと思います。

新甫

(振り返って)結果的には勝ったが、上手くいかないところも多々あったので、修正すべきところはまだまだいっぱいあるという印象ですね。でも勝てたことは良かったです。(アタック面で良さが出た試合だったが)テンポよく攻められていたのに対して、イージーなミスでテンポが途切れてしまうことが多かったので、課題も多かったが、手堅く攻められていければなと。テンポがよかったので。(前半はトライを取られては取り返す展開だったが)Bksだと思うが、イージーなラインブレイクが多かったので、慶應はディフェンスのチームなので、まず(トライを)2本取られてしまったことがダメだと思う。(ディフェンス面での出来は)BK3の声が少ないというか、指示が具体的でないというのが課題になっているので、そこは今日の試合でも露呈してしまったが、少しずつ(指示が)出てきているので、これからも練習でもっと改善できればと思う。(今日は外で抜かれて取られたトライが目立ったが)暑い中だったので、順目のFwdの帰りが遅かったり、あとはBksの近いところで振られて取られたので、早く帰って厚くしてというのが必要だと思う。(今日のチーム初トライを奪ったが、振り返って)たまたま、ごっつぁんトライという感じですね。(ルーズボールを奪ってのトライだったが)ああいう狭いところを狙ってたというのもあるが、たまたまです。(次戦・明大戦に向けて)今の自分は一歩一歩アピールしていかなくてはいけないので、がむしゃらにやっていきたい。

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