【ラグビー】攻守に勢い継続で4連勝/関東学院大戦

スクラムを起点とした攻撃が目立った
長野、鹿児島、札幌への遠征で3連勝した慶大の勢いは地元横浜の地でも止まらなかった。6月26日ニッパツ三ツ沢球技場にてオープン戦関東学院大戦が行われた。現在3連勝中で好調の慶大は序盤から得点を重ね、終始リードを奪う展開。モールでの失点などいくつか課題は見られたが、最終的には今年最大の7トライ、47得点で関東学院大を47-17で下しオープン戦4連勝を飾った。
 

オープン戦 6月26日 14:00KO

得点
慶大 チーム 関東学院大
前半 後半 VS 前半 後半
3 4 T 0 3
2 4 G 0 1
0 0 PG 0 0
0 0 DG 0 0
19 28 小計 0 17
47 合計 17
 

【得点者】(慶大のみ)

T=前5分宮川、前10分鹿児島、後34分中村圭、後2分仲宗根、後半26分甲斐、後半36分宮川、後半40+古田

G=中村3、宮川3

出場選手    
ポジション 名前(学部学年) 交代選手
1.PR 三谷 俊介(総2) →後0分16. 古田 哲也(環4)
2.HO 高橋 浩平(経4)
3.PR 平野 裕馬(環3) →後0分17.山田 亮介(環3)
4.LO 栗原 大介(総4)
5.LO 伊藤 悠(商4) →後0分18.南 善晴(環4)
6.FL 明本 大樹(総4)
7.FL 三輪谷 悟士(総4) →後0分19.藤本 慎二郎(環4)
8.NO8 鹿児島 昌平(経3)
9.SH 宮澤 尚人(法1) →後5分20.渡辺 諒介(経2)
10.SO 宮川 尚之(環2)
11.WTB 瀧口 晃太郎(文3) →後0分22.児玉 健太郎(環2)
12.CTB 仲宗根 健太(総4)
13.CTB 中村 圭介(総4) →後10分21.甲斐 鑑(理3)
14.WTB 武藤 拓也(総2)
15.FB 新甫 拓(経3)
 

再三のエイトアタックを見せた鹿児島

曇り空の中始まった試合はキックオフ直後から慶大ペース。前半から「アタックもディフェンスも圧力をかけ続ける」(田中監督)プレーで関東学院大のミスを誘い自分たちのペースに持ち込むことに成功する。いい流れをつかみ迎えた前半5分、敵陣での相手ノックオンからスクラムのチャンスを得ると№8鹿児島(経3)がボールを持ち出しゲイン。惜しくもゴール前5m付近でディフェンスに捕まるが、そのラックからSH宮澤(法1)の出したボールを受けたSO宮川(環2)がディフェンスラインを破りトライ。「先制して流れを持って行こうとした」(宮川)という言葉通りのプレーで試合の主導権を奪う。勢いに乗った慶大は10分、再び敵陣でのスクラムから鹿児島がエイトアタック。今度は鹿児島が相手を振り切りインゴールに飛び込み追加点。CTB中村圭のゴールも決まり12-0と一気にリードを広げる。リズムよく得点を決めた慶大は守備でも中盤以降その実力を発揮。16分、23分、27分と立て続けに自陣5mライン付近にまで関東学院大に攻め込まれるも「リアクションスピード」(田中監督)の速い粘り強いディフェンスを見せゴールラインを割らせない。いずれのピンチも最後は関東学院大の反則が出て無失点に防ぎ堅いディフェンスをいかんなく見せる。守りの時間帯を乗り切り慶大が再び攻勢に転じたのは34分。WTB瀧口(文3)のビッグゲインなどで陣地を獲得すると、最後は相手のスクラムでの反則からクイックリスタートを仕掛け、ボールを宮川から受けた中村圭が中央へトライ、続けてコンバージョンキックを決めさらに関東学院大を突き放す。終了間際の関東学院大の攻めも危なげなく守りきり前半は19-0で終了。アタック、ディフェンス両面で相手を上回るパフォーマンスを見せ、後半にも期待を抱かせる内容であった。

中央突破でトライを決めた仲宗根

ケガから復帰した№8藤本(環4)やWTB児玉(環2)ら5人の選手を入れ替えて臨んだ後半は両チーム得点の奪い合う展開となる。先に得点したのは前半同様に慶大。開始直後の2分、敵陣でのマイボールのラックから出たボールを中央で受けたCTB仲宗根主将(総4)が自ら突破を図る。追いすがる相手を引きずりながらフィールド中央を走り抜けトライ。「良いトライ」(仲宗根)と自身も納得のプレーで26-0とさらに点差を広げる。しかし、ここから慶大は「自分達のペナルティから相手のペースになってしまった」(仲宗根)と言うように攻め込みながらもノックオンなどでチャンスを生かせない。逆にペナルティで奪われたボールから関東学院大に徐々に陣地を奪われてしまう。迎えた22分、オフサイドの反則から自陣5mライン付近で相手ボールのラインアウトを与えると、そこから昨季から慶大が課題としているモール攻撃で押し込まれ嫌な失点をしてしまう。26分に宮川の裏へのキックの処理を相手選手が誤り、そこにチャージしたCTB甲斐(理3)がこぼれ球も拾いトライにつなげて流れを取り戻したかに見えたが、30分には再びモールでのトライを決められなかなか流れを完全に掌握できない。この嫌な状況を打ち破ったのはこの日再三の好プレーを見せてきた宮川。36分、センターライン付近でボールを受けると相手のディフェンスラインの裏へキック。そのボールに自ら追いつくとそのままボールをインゴールまで転がし最後はきっちり押さえてトライ。さらにコンバージョンキックも自らしっかりと決め40-10。試合の大勢を決める見事なプレーであった。結局その後1トライは許したものの、ロスタイムにはPR古田(環4)がダメ押しのトライを決めそこでノーサイドの笛。3トライを奪われたものの、4トライ4ゴールを決め47-17と前半からさらに点差を開いての圧勝となった。

結果はこの春最多得点の47得点の猛攻で30点差の圧勝劇。「継続したアタックができた」(栗原副将・総4)、「フェーズの中でのトライは無かったのでそこはよかった」(仲宗根)と攻守にわたり収穫を手にした。浮き彫りとなってしまったモールディフェンスについては「夏の強化に向けての大きな課題」(田中監督)となってしまったが、まだまだ秋の本番までは十分に時間があり大きなレベルアップも期待できる。次戦は春のオープン戦最終戦となる筑波大との一戦。今季の下馬評が非常に高い強敵だが同じ対抗戦グループの相手に負けるわけにはいかない。激戦は必須だが今日出た収穫、課題を胸に春の最後を5連勝で締める慶大の姿に期待したい。

2トライ3ゴールを決め勝利をもたらした宮川

【ケイスポ的MOM】攻撃を司る若き司令塔 宮川 

この試合一人で16得点の大活躍。パス、キック、ラインブレイクのいずれもハイレベルで慶大の攻撃の起点でありながらにしてポイントゲッターとしての働きもできるプレイヤーだ。だが「ディフェンスできなかった」とまだ自身のパフォーマンスに納得はいっていない。さらなる高みへ進化を続ける若きSOから目が離せない。

By Hiroki Nakajima

コメント

田中監督

(今日の試合を振り返って)春に練習で積み上げたことが少しずつ出来るようになってきたと思います。今日は試合前に前に出てアタックもディフェンスも相手に圧力をかけ続けようという話をしましたが、選手たちはそのパフォーマンスをやってくれたと思います。やっぱりアタックでも圧力をかけて前に縦にボールを運んで、外にボールを散らすという形で良い展開が出来ていたと思います。ディフェンスは課題として時々凸凹になってギャップが出来てしまって、そこを相手に突かれるケースがあったのでもっとそれを修正して面で圧力をかけられればもっと良い形が出来るようになると思いますが、今日の試合は暑くコンディションが良くない厳しい状況の中で全員が良く走り勝った良い試合だったと思います。(反則が少し目立ったが)ゲームでの集中力がこの環境の中で途切れてしまった時に反則が多くなってしまいました。あとはレフェリーによってどの反則を多く取るのかという癖があるのでそこをしっかりと見極めたプレーをしなければならないということは反省としてあると思います。(モールで失点が見られたが)モールについてはほとんど練習してないのでこれから夏の強化に向けての大きな課題だと思います。3トライ中2トライがモールから取られているので、取られないようにするのもありますが、やはり僕らがむしろ5mのラインアウトからモールで押し込んでトライを取れるようになると大きな武器になると思います。ただモールのトライもそうですが、自陣で5mのラインアウトを取られてしまうこと、要は自陣での反則をもっと反省しなければならないと思います。クローズアップされるのはモールで取られたことですが、自陣で反則をしてラインアウトを取られたことに回帰していかなければならないと思います。(前半は自陣5mでも守れていたが)後半に比べれば集中力も意識高かったし、一人一人のプレイヤーがリアクションスピードを上げてプレーしていたので非常に良く守れていたと思います。(藤本、児玉といったケガ人も戻ってきたが)藤本も児玉も潜在的にはとても力を持っていますが、まだチームの中でのマッチングという意味ではまだまだ課題が残るなと思います。個人としての力はあるけどチームとしてのマッチングからするともう少し時間がかかるかなと思います。ただ非常に能力が高い選手だと思うのでこれからも多いに期待したいと思います。(今日出た課題は)反省として残るのはトライを取った後のキックオフでミスをして相手に流れが行ってしまったことです。逆に相手にトライを取られた後のキックオフでしっかり敵陣に入り込んでトライに繋げたプレーもあったのでやっぱりゲームの節目、僕は「潮目」があると呼んでいますがそこでもっと集中して自分たちに流れがある時は相手に流れを与えず、相手に流れがある時はその流れを断っていかに自分たちに流れを引き寄せるかという意味で「潮目」の判断と集中力のギアをもう1段、2段上げることが選手たち自身で出来るようになるともっと高いパフォーマンスの良い試合が出来ると思います。(次の筑波大戦に向けて)もちろん筑波大は意識してやりますが、春はどこまで個人の力を高められるかということに挑戦して来ているので、残すところ1週間という春のシーズンになってこの1週間でどこまで高められるか、その高められた個人の集合体としてどう筑波大と戦えるか、今年強いと言われている筑波大に対してどれだけ慶應として出来るかというのが一つの挑戦になると思います。

仲宗根主将

(今日の試合を振り返って)3トライ取られてしまったのが反省点だと思います。(フォーカスしていた点は)ディフェンスですね。一番内側のディフェンスが前に上がることをフォーカスに当てていました。(ディフェンスについて)フェーズの中でのトライは無かったのでそこはよかったかなと思います。(後半について)自分達のペナルティから相手のペースになってしまったのかなと思います。(自身のプレーは)今日1本良いトライもあったのでうれしかったですね。流れ悪い中キックオフでノット10mを蹴ってしまったので、そこで相手のペースに乗らせてしまったのかなと。反省しています。(チーム全体のタックルの出来は)トライにつながるタックルミスもあった。徐々に良くなってきていると思うのでしっかり反省するところは反省しようと思います。(ブレイクダウンに関して)負けてないイメージだった。相手が結構チェイスしてきたので、しっかりブレイクダウンが確定するまでやり切らないといけないなと思いました。(ボールを越えていくプレーを出来ている場面も見受けられたが)ターンオーバーもあったのでそこは評価できると思います。(モールトライを2つ取られたことがもったいなかった)そうですね。モールもですけどそこまでの過程も良くなかったなと思います。もちろんモールも良くなかったですね(次の試合に向けて)筑波はすごいいい流れで来ている。僕たちはチャレンジャーの気持ちで慶應もいい流れで来ているのでその流れでしっかり勝ちにいきたいなと思います。

栗原副将

(今日の試合を振り返って)今日の試合は、チームとしてはまだ低いタックルが入れていないので、そういう面での課題は残っているんですけど、継続したアタックっていうのはできたので、そういう面は良かったかなと思います。(Fwd戦の出来は)セットプレーに関しては良かったのですが、やっぱりモールでトライを取られているので、モールをフォーカスしていたのにも関わらずそういう結果になったのは良くないと思います。そこは夏合宿でも練習して修正していきたいです。(モールディフェンスにフォーカスしていた)今週、東芝さんの方に出稽古させてもらって、色々教えてもらったのですがまだ実践できていないですね。それを形にするために、もっと練習していかなくてはいけないなと思います。ボールを回させないっていうのがポイントだったんですが、相手に回させてゲインされたので、そこは修正点です。(自身のプレーは)シンビンを出してしまったので、その分チームに迷惑をかけてしまいましたし、まだまだ納得のいくプレーはできていないです。(反則が多かった)そうですね…不本意なのもあるんですが、ゲーム中に審判の特徴を掴みきれなかったですね。(良いタックルもあったが )あれは、責任タックルっていうか、シンビンを出してしまった分頑張ってやろうと思いました。(今日見えた課題と収穫は)課題はやっぱりモールディフェンスですね。収穫っていう面だと、継続したアタックとか、縦にボールを入れる練習はずっとしていたので、前にどんどん出られたかなと思います。(次戦に向けて)筑波は対抗戦のチームでもありますし、今すごく注目されているチームなので、しっかり勝って次に繋げたいと思います。

高橋浩

(試合を振り返って)たくさん点が取れて、相手のトライも結構抑えられていたので良い試合だったと思います。(Fwd戦は)スクラムは最後1回ターンオーバーされてしまったので、それが反省点という感じです。あとはモールで結構やられてしまいました。でもモールはまだ練習もしていないので、これから課題としてモールディフェンス、モールの練習をしていきたいです。(ラインアウトは)マイボールに関しては問題ないと思います。このままシーズン通して継続していきたいです。(自身のプレーは)僕の仕事はセットプレーを安定させることだと思っているので、それは出来たかと思います。あとはフィールドプレーに関してはもう少し良くしたいです。今日は暑かったので、あんまり走れなかったところがありました。今後は言い訳しないで頑張っていきたいと思います。(今日出た課題は)アタックは良い感じで出来ていると思うんです。あとは簡単にトライを取られてしまっているので、そこの粘り強さのようなものを練習中から強化していきたいです。(次戦は春の最終戦となるが)今年の筑波大は強いみたいなので、このチームに勝って良い形で春を終えたいです。

宮川

(今日の試合を振り返って)今日はディフェンスがひどくて、僕が抜かれてトライされることがあったので、次の試合までに修正したいです。(フォーカスしていた点は)最初の10分で点を取られて流れを持って行かれることが多かったので、逆に自分たちで先制して流れを持って行こうとしていました。(今日の試合のプランとしては)まずは敵の陣地に入ることを心がけてやっていました。(キックを使った敵の陣地の裏をとる作戦の出来はどうだったか)割と良かったけど自分が蹴って抜かれたのが数回あったから、しっかり外に出した方が良いのかと思います。(難しい角度のキックを決めましたがなにかこころがけていたのか)いつも通り、練習通りやったことが生かせて良かったです。(次の筑波戦に向けて)ディフェンスができなかったのでこの一週間で、オフェンスもいつもくらいやりつつ、徹底的に鍛えていきたいです。

藤本

(試合を振り返って)3トライをFWのモールで取られてしまったのでそこを修正しなくてはいけないなということを強く感じました。(フォーカスした点は)ボールキャリアーとしてアタック能力のほうで求められていると思うので、そこを意識してドライブしてゲインすることを意識しました。(春初のAチームだが)個人としては目立とう、良いプレーをしようとして頑張ったんですが、少しミスが多くてもう少しミスのないしっかりとしたプレーをしたいと思います。(モールでの失点はどのように修正したいか)モールのディフェンスは1番最初の入りが重要だと思うので、まだそこの入りで相手に食い込まれている部分があるので、他にも修正するところはあると思いますがみんなで話し合って修正していきたいと思います。(今日はリザーブだったがスタメンへ向けて)スタメン出場したい気持ちはもちろんあります。そこを狙ってやっています。(モール以外で今日の試合で出た課題は)点を取れてすごくいい状況なのですが、アタックとディフェンスの切り替えの部分が少しルーズになっていたかなということがあったのでそこはしっかり出来るように練習から意識していきたいと思います。(次戦筑波大戦に向けて)今年は凄く筑波大が強いと言われているので、こっちはチャレンジする側ですが絶対勝ちたいと思いますし、勝てるように今週1週間やっていきたいと思います。

児玉

(今日の試合を振り返って)個人的には、後半から試合に出て、WTBとして点を取りたかったので残念です。(今季初出場だが)リハビリ明けということで、下からのチームで中々ストレスもたまっていましたし、今日は結果を出したいなと思っていました。(怪我の調子は)大分調子上がってきているので、もう大丈夫です。(今日の自身のプレーは)もっと走れたシーンもたくさんあったと思いますし、タックルに捕まりすぎたなと思います。(キックは意識したか)キックは僕のアピールポイントなので。まだチームにフィットしていなくて出来は全然だったんですけど。ボールのもらい方も良くなかったし、ミスキックもありました。(収穫は)この新チームの中でプレーできたことが一番の収穫です。(次戦に向けて)筑波ではトイメンで当たる選手が代表でも一緒だった選手なので、抜いてトライしてやろうという気持ちで頑張ります。

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