【ソッカー男子】第9節 最後にまっていた劇的ドラマ 逆転勝利で勝ち点3 神大戦

藤田を中心に歓喜するイレブン

  劇的な勝利とはまさにこのことをいうのだろう。前日の快晴とうってかわっての曇り空の下、上位に食い込むために連敗が許されない慶大は先制点を許す苦しい展開。しかし後半ロスタイムの劇的なゴールを含む藤田(政3)の2得点で神大から逆転勝利を収め、早慶戦前を最高の形で締めくくった。

第85回関東大学サッカーリーグ戦 第9節

2011/6/25(土) 11:30 KO @国立西が丘サッカー場

慶應義塾大学2-1神奈川大学

{得点者}後17分 村岡拓哉(神大) 後36分、後45分+ 藤田息吹2

 

増田は中盤で抜群の存在感を見せた

前半、序盤から神大の激しいプレッシャーの前になかなかパスをつなげない慶大。自陣付近でボールを奪われる場面もあり、2分、14分とシュートを打たれる。しかし、河井(政4)を起点に慶大も反撃を開始。17分には河井のスルーパスからこの日ワントップに座る大塚(総4)が抜け出すもそのままキーパーへ。さらに19分、大塚からの絶妙のパスを受けた河井が決定機を迎えるもシュートは右へ外れる。その後も日高(総4)を中心にサイドから攻撃を仕掛けるが、ブロックを敷いていた神大相手に決定機をむかえられないでいた。しかし焦らずに「しっかりつないでリズムを作る」(須田監督)というように35分過ぎから徐々にボールを支配し始める慶大。だが大きなチャンスを迎えることなく互いに無得点のまま前半を終えた。

途中出場で流れを変えた田中

後半は初めから積極的にプレスをかける慶大。5分には右から山浦新(総1)、9分には河井がクロスをあげ好機を演出するも、最後のところで詰められない。さらに11分には日高がミドルシュートを放つも左に外れる。そんな中、神大に一瞬の隙をつかれ、16分にクリアミスから右サイドを抜けられ失点、先制点を奪われる。嫌な流れを止めるべく慶大は23分に山浦新に代え、田中(環4)を投入。その田中が流れを変えた。33分、田中がスピードをいかして右サイドを駆け上がり日高へパス。シュートを放つも決められず。しかし得点のにおいを漂わせる。そんな中、36分、またしても田中からクロスがあがり、ゴール前のこぼれ球を藤田が落ち着いてワントラップし待望の同点弾を決める。ここで慶大の攻撃のスイッチが一気に入ったが時間も残り少なく、このまま引き分けで終わるかと思われたロスタイムにドラマは待っていた。試合終了直前、大塚、増田(環1)、河井とつなぎ最後は「流しこむだけだった」と藤田のこの試合2ゴール目で試合を決め、そのまま試合終了。慶大が劇的な逆転勝利を収めた。

2列目の飛び出し、特に藤田、増田の両ボランチの攻め上がりが目立ったこの日の慶大。「今週、課題にしていた」(笠松主将)というように結果的にボランチである藤田が2得点し、練習の成果をすぐに発揮した。風間(商4)、武藤(経1)といった攻撃陣を負傷で欠き、厳しい台所事情の慶大にとって、攻撃の幅を増やすことはリーグ戦の上位争いをする上で必要となってくるだろう。また、「粘り強さが出てきた」(笠松主将)というように今節は先制された試合を最後まであきらめず逆転に成功。この日の勝利はチームにとって勝つこと以上に大きな意味を持つことになったはずだ。そして水曜日に迎える早慶戦。慶大の多彩な攻撃に注目したいところだ。

By Yuhei Sakurai  

コメント

須田監督

(今日の試合を振り返って)俺も塾員だから。感動するよ。(後半の田中選手の起用について)山浦新がちょっとつかれていたとこもあるし、相手の裏に飛び出していくというところで。まあ彼(田中)もケガはしているんだけど、4年生だし。足元でつないでるんだけど相手の裏に出る動きをということを言った。あれで流れは少し変わったところもあるからね。まあそれだけできる選手だから。本当は1試合やってもらえばいいんだけど。まあケガが多かったんで。(今日はボランチの選手が積極的に攻撃参加していたが)そうだね。そこが今日のゲームのテーマとして掲げていたんで、相手はブロックを敷いてくると分析して、それを崩すには、今までの試合もボールを回すことは回してた。ただ回すことだけで崩すっていうとこまで行ってなかったんでそこでやっぱり2列目、3列目から縦の関係で崩そうっていうのを毎日、今週は練習してた。そういった動きは彼らもしてたし、入らなかったけれども、練習通りの動き、縦の動きで崩せたのはこれからもやって、サイドもいけるし真ん中からもいけるっていう攻撃のパターンができたかなと思います。(相手の神大は慶應の苦手としているタイプだったと思うが)比較的ディフェンスをしっかりしてカウンター。今日は前の選手が2人速い選手だったし、それまでの選手だと大きい選手でポストプレイヤーで24番が速いというのを想定してたんで。やっぱり守りがベースだよね。つないでくる、ビルドアップしてくる、つないでくるというよりかは、長いパス、縦、縦っていうチームだったから。(こういったチームに)4回負けたら慶應は頭悪いんじゃないかって言われるんで(笑)。今日は本当に勝ってよかった。(サイド攻撃も多く見られたが、全体的には自陣でのボール回しの多い苦しい展開に見えたが)前節もいい時はいい攻撃ができていた。前に行ったり、スペースに行ったり、サイド攻撃だったりはできているんだけども攻め急いだり、攻め疲れして相手にカウンター食らうっていう場面が多かったんで、無理をするなと、それが判断力なんだけども、行くところと逆に相手を来させるというか自陣でわざとボールをまわすことによって食らいついてきたところに、ワンツーだったり、相手の裏を狙うとか、そういう90分間通しての我々のフットボールをしようということを言ってたんで。今日くらい余裕をもってボールを回して、前、前、攻撃、攻撃というよりかは、相手を来させた力を使って攻撃しようとか。それをもうちょっと覚えるといいんで。今日は全く問題なかったと思うし、最後まで我々のスタイルで、どんどん蹴ってというよりかは慌てずしっかりとつないでシュートまで行けたというのは少しは成長したところかなと思います。

笠松主将

(今日の試合を振り返って)非常に苦しい戦いだったんですけど、いろんな人が応援しに来てくれて最後まで全員が声からして応援してくれて、それに最後ああやって逆転勝利ということでこたえられたことは非常にチームとしても大きな意味を持つことだと思う。(前半、相手のプレッシャーが激しく思うようなサッカーができていなかったように見えたが)そうですね。でも前から来てる部分はあったんですけど、その中でも自分達はチャンスつくれている部分もありましたし。今週課題としていた2列目の飛び出しというのを何度か見せれていたんで、そこでチャンスつくれていたんで。逆に前から来てた方が自分達は回しやすいというか、まあ回せない部分もあるんですけど、逆に相手の隙はできる部分は多いと思うんで、そこに苦手意識はなかったと思います。(試合の終盤に2得点で逆転勝ちでしたがケガ人が多いなかで勝ちきれたことについて)ケガ人多いんですけど、誰一人手を抜いてやってるわけではないし、全員が信頼してピッチにたってる11人なんでそこは問題なかったし、最後に田中選手がピッチに戻ってきてやっぱり4年生ということで自覚があるというか、責任を感じててそこでやっぱり4年生が引っ張っていけるというのは本当に大きな意味を持つんじゃないかなと思う。(主将としてチームを引っ張ってきたが、前期を振り返って)安定した勝ち方というか、大臣杯にも出場できなかったというのがあって苦しい時期があったんですけど、そういうものを乗り越えてチームとして一歩成長したというかやっぱり逆転勝ちというのを2回できたという部分では非常に大きな成果だと思いますし、客観的に見ても、粘り強さがでてきたいいチームになってきたんじゃないかなと思う。(後期に向けて)これで順位はどういう風にいくかはわからないけれども、間違いなく上位の方には食い込めていると思うので、とにかくまずはインカレ出場を目指せるようにまた後期、中断中に天皇杯とかいろいろあると思うのでそこでまた結果を残して、またいい形で後期にのぞみたいなと思う。

河井選手

(2点目アシストについて)最初は自分で打とうと思っていたが、ちょっと相手の寄せが早くて、シュートコースを探してるうちにフリーの選手が目に入ったので。結果的に、落ち着いていたと思う。(ポジションはトップ下だったが)ゲームを作る責任あるポジションなので、前半は相手のペースになってしまって申し訳ないと思ったが、後半はアシストもして結果勝つことが出来たのでよかったと思います。(相手の印象は)組織としてしっかりしているチームだった。やるべきことはやっているし、ボールを奪うとセンタリングを上げてくるので、そういうところがまとまったチームだと感じた。(先制された後どう立て直したか)自分としては失点する気はしなかったが、あんなふうに一発で決められてしまった。でも点が入らないとは思わなかったし、このままのサッカーを続けていればいつか点入ると思っていたので、最後まで諦めない気持ちでいけてよかった。(逆転勝利という点について)今日は失点したあと応援席がすごく応援してくれて、力になったし、残り15分きったときに、ピッチに立ってる自分はやらなくちゃいけないと思わせてくれたので、応援席の人達に感謝している。(武藤選手欠場により攻撃面に影響は)武藤が入ったら入ったで個人で打開できるが、いない選手のことをとやかく言っても仕方ないので、今いる選手がベストメンバーだと思う。今日もしっかり勝てているし、チームの底上げにも繋がっていると思う。(早慶戦に向けて)この勢いのまま、今はいい雰囲気なので、練習でもいい準備をして、今日みたいにというか、しっかり勝って、前期最後なので楽しんで終わりたい。

日髙選手

(今日の試合を振り返って)震災の影響でまだ最後ではないんですけど、一応前期を締めくくる試合で、ここで勝つか負けるかで全然違ったと思うし、この後の早慶戦に繋げる意味でも勝てて良かったですし、しかも慶應がこれまであまり出来なかった逆転勝ちすることが出来て良かったと思います。(先制点を取られて苦しい試合だったが)そうですね。いつもなら先制点を取られると慌てちゃうことが多いんですけど、今日の慶應は最後まで自分達のサッカーを貫き通して、我慢強く出来たのが勝因だったかなと思います。(中盤で奪われる場面が多かったが)今日は引いてくる相手に対して、中盤の位置であまり難しいことを考えないでシンプルにサイドに、というのを意識していたんですけど、なかなか前節とポジションが違ったりして上手くいかなかったと思います。(早慶戦に向けて)早慶戦に限っては、自分のプレーがどうこうというより、全力でプレーして、全部員だったり関係者に勝利をプレゼントしたいという気持ちでいます。スタートで出るということはそれだけの責任があると思うので、しっかり準備して自分のやれることを全部やりたいなと思います。

  

藤田選手

(今日の試合を振り返って)前期の一区切りの最終戦ということで、前半終わって接戦だったんで勝ちきって勝ち点3にこだわることが大事だと思って、結果にこだわりました。(自身の得点シーンを振り返って)1点目ファーストタッチがいいとこまで送れたんで、あとはシュートを打つだけでした。去年も同じような形で神大から得点してるんで、そのイメージで決めることが出来ました。2点目はカウンターで自分のところにボールが来るんだという気持ちで走ってました。後は河井君がいいボールくれたんで、流し込むだけでした。(途中せめても中々点が取れなく焦りが募る場面もあったと思うんですが)慶應の形として先に失点すると自分たちのペースを崩してしまって点が取れないということが多くあるので、自分としては点を取られてもやることは変わらないということをずっと意識してやってました。(怪我明けから今日の試合に臨む際意識していたこと)今回はいつもと違い、ボランチをやらしてもらえるということで、ゲームを作るのと積極的に攻撃に参加したいなということを意識しました。連敗は許されないので、そこをしっかり止めたいと思いました。(ボランチが一番やりやすいのか)そうですけど、須田さんの考えもあるし、その時々によっていいパフォーマンスができるようにやりたいです。(早慶戦への意気込み)今のところ2連覇して、早稲田に自分は負けを経験したことがないので、すごい観客の中でやれるので絶対勝ちたいです。

  

香川選手

(試合を振り返って)終始ボールを回せて慶應のペースだったにもかかわらず、ああいう事故の失点で苦しい試合展開になってしまったんですけど、集中オンリーということでサポーターの方とか、チアの方とかみんな来てくれてチームが一つになれてつかみ取った勝利だと思います。(先発2試合目ですが、意識された点は)神大が結構ブロックを敷いて、戦ってくるということなので、サイドハーフとの連携を意識してオーバーラップを増やして相手のディフェンスラインを崩す動きを意識しました。(落ち着いていたが試合に慣れたか)前節までは正直緊張している部分もあったんですが、今節は全然緊張してなくて、昨日から今日の試合を楽しみにして迎えられたんでそれが落ち着いてプレーできている要因だと思います。(負けている時間帯に香川選手の声がスタンドまで響いてきていたが)1年の時から自分は盛り上げ隊長だったんでそういうポジション任されてきて、試合を締める声だったりプレーというのを自分の中で大切にしているんで、そういう意味ではすごくよかったのかなと思います。(これまでの戦いぶりを振り返って)負ける試合もあったが、そのあと連敗せずこの間は3連勝はならなかったが連勝したりとチームの雰囲気もコンディションも非常に良くて、怪我人が出ているということはあるが、チーム総力戦でいい順位につけたと思います。(来週の早慶戦への意気込み)自分は1年も2年も早慶戦でメンバーに入ることが出来ず、すごい悔しい思いをしてやっとつかみ取ったチャンスもちろん早慶戦に出れるかはわからないが、出たらこれまでのくやしさだったり、チームメイトの想いというものを背負ってピッチを駆け回りたいと思います。

 

増田

(試合を終えて今の気持ちは)勝ててうれしい、それだけです。勝ち点3を取れたことが大きかったと思います。(先週の試合の課題は克服できたか)先週の駒澤戦はフィニッシュの精度とフィニッシュまでの勢いがなかったので、今日の試合ではクロスに対して人数を多くかけたりとか、僕と息吹くんのどちらかが必ず飛び込むことを意識して勢いをもって点を取れるようにしました。(今日の試合内容を振り返って)今回の相手もシンプルにボールを放り込んでくるタイプで、セカンドボールを拾ってつなげればチャンスがくるからセカンドボールを意識してプレーしました。(相手の全体的な印象は)相手も相手で勝ち点3をほしくてそれに向けて緊張感をお互いもってピリピリしていたけれど、最後は勝ちたい気持ちが慶応の方が上回って、劇的に勝利をつかむことができました。(相手の10番とのマッチアップについて、ほとんど勝ってたと思うが)そんなことはないです。先輩から神大の10番は僕みたいにガツガツきて、関東でも優秀だと聞いていたので、同じようなプレーヤーに負けたくない、自分もいるんだぞということを示したかったので負けたくなかったです。(早慶戦に向けて)僕はまだ入って間もないのですが、初めての早慶戦ということで、すごい部のみんなが一生懸命準備してくれてて、応援もすごい来てくれるから、試合までしっかり準備してみんなにいいプレーを見せられるようにしっかりやっていきたいです。

 

 

慶大出場選手

GK中川翔太(環4)

DF黄大城(総4)

DF松岡淳(商3)

DF笠松亮太(総4)

DF香川佑介(商3)

MF増田湧介(環1)

MF藤田息吹(政3)

MF河井陽介(政4)

MF日高慶太(総4)

MF山浦新(総1)→68分田中奏一

FW大塚尚毅(総4)

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