【Last message】部員200人の大所帯をまとめ上げたチーフコーチ 早慶戦2連勝の裏にあった「正解」とは/4年生特集「Last message~4年間の軌跡~」 No.40 深松結太(野球部)

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24年度に引退を迎えた4年生を特集する「Last message~4年間の軌跡~」。第40回となる今回は、野球部の深松結太(商4・慶應)。当初は選手として野球部に入部。フレッシュトーナメントでの出場もあり、選手としてリーグ戦に出場し活躍する選択肢もありながら、自らチーフコーチを担うことを決断した深松。そんな彼が追い求め、体現した「理想のチーム」に迫る。

「できない理由よりできる理由を探せ」

深松が堀井哲也監督から伝えられた言葉だ。慶大は昨秋のリーグ戦、連覇をかけて挑んだが結果は5位。最終節の早慶戦を迎える前にその順位は確定していた。しかし、最終的に春秋連覇を飾った宿敵・早稲田に対し見事に2連勝で有終の美を飾った慶大。「ワセダに勝つ」ことだけに全員が一致団結して、それぞれが「できること」を探し実践した結果であろう。その「団結力」こそチーフコーチ・深松がラストイヤーを捧げて追い求めてきた理想像である。

試合状況を冷静に眺める深松

深松は学生コーチに転向する際、「200人のためにとか、監督と協力するという道の方が自分の強み、人間性を活かせる」と考えたと言う。また、サブチーフの新井朝陽(環4・三重)とも相談を重ね、お互いを補える関係であったからこそ、2人はチームの裏方に回る決断ができた。

裏方に徹した新井(写真左)と深松(写真中央)

そんな深松がチームをまとめるにあたって大切にしてきたのが「人間関係」だ。それは堀井監督が選手に接する際、どの部員に対しても変わらない熱量で接する姿勢から学んだ。「監督との話し合いだったり、200人それぞれの価値観がある中で、1つみんなが納得する形の正解を見つけ出すのが大変だった」と言うように、苦労の連続だった。当初は選手の不満を汲み取って監督に伝えようとしていたが、そこで堀井監督から言われたのが、「できない理由よりできる理由を探せ」という言葉。これを転機にどうやったらチームが良くなるか、選手がいい思いをできるかを最優先に考えて人間関係を築き上げていったことが、自身の成長につながったという。結果として早慶戦2連勝で戦いを終えることができ、また「例年よりは1年生から4年生まで関わりが深い組織ができた」と振り返る。

深松が築き上げたチームの雰囲気は良好

期待する後輩を聞くと、昨春のリーグ戦で代打本塁打を放った二宮慎太朗(新商4・慶應)を挙げた。「高校の時から見てるからこそ、なんとかレギュラー争いに絡んでチームの勝利のために奮闘してほしい」と言う。また、4月に彼の弟・深松風太(新法1・桐蔭学園)が入学する。兄の背中を追う弟の活躍にも期待だ。

期待の後輩・二宮(写真左)と深松(写真右)

深松にとって野球とは、「愛」。「野球する中で最後に何が原動力になるか、自分の力以上のものが出せるかって考えると、家族や友人、仲間の存在だと思います。野球という競技を辞めたとしてもそういう関係は続く訳なので、そういう人たちに対する情という意味です」。この4年間、彼は野球という競技を通じて、一生大切な人間関係を築き上げた。彼が慶大野球部で創り上げた「愛」は、意地の早慶戦2連勝を目に焼き付けた後輩たちに引き継がれていく。

深松の「愛」は後輩たちに引き継がれていく

(取材、記事:林佑真)

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