日本ラクロス界で「最大規模の試合」とも称される、早慶ラクロス定期戦。圧倒的な注目度と観客動員数を誇るこの一戦には、早慶の関係者に限らず、多くのラクロッサーが日吉陸上競技場へ足を運ぶ。“DRIVE”をスローガンに掲げ、早慶戦6連覇を目指して戦う慶應義塾大学體育會ラクロス部女子。そんな慶大ラクロス部の選手たちは、どのような想いでこの舞台に臨むのか。ぜひこの機会に、彼女たちの熱い想いや魅力に触れてほしい。また、「ラクロスの魅力」や「早慶戦の見どころ」についても話を伺った。第3弾では、主将・矢嶋千穂(文4・東京学芸大附)、副将・松岡楓恋選手(法4・慶應湘南藤沢)、主務・西遥香TR(法4・県立横浜緑ケ丘)の対談をお届けする。チームを支える3人が語る言葉から新チームの目指す姿と早慶戦に懸ける強い思いが伝わってくる。ぜひご一読いただきたい。
ーー他己紹介をお願いします!
矢嶋→松岡:ポジションはDF(ディフェンス)で、誰よりも素早く駆け抜け、ボールを奪い取るプレーを得意とする選手です。性格面では、私が熱量を持って前のめりに進んでいくタイプなのに対して、かれんは物事を俯瞰して冷静に考えられる存在です。そうした違いがあるからこそ、互いにバランスを取りながら、うまくチームを前に進められていると感じています。
松岡→西:はるかは主務兼トレーナーを務めてくれています。主務としてはとにかく仕事が早く、常に一歩先を見据えて行動してくれるので、とても頼もしい存在です。トレーナーとしても部内全体から厚い信頼を集めていて、けがやアクシデントが起きた時には、みんなが真っ先に頼りにする存在です。また、性格はとても優しくて温かい一方で、時々見せる毒舌な一面もあって(笑)。一緒にいてとても楽しいです!
西→矢嶋:ちほとは昨年から一緒に幹部を務めていて、今年で2年目になります。ちほは、とにかく突き進む力があって、自分の信念を曲げないところが本当にすごいなと思います。主将に立候補した時に語っていたことを今まさに主将としてひとつひとつ有言実行している姿は、とても素晴らしいです。選手としては、ちょうど脳震盪で約2か月ほどのブランクがあり、早慶戦が復帰戦になります。トレーナーという立場から見ても、早慶戦でどのようなプレーを見せてくれるのか、とても楽しみにしています。
ーー主将・副将に就任した際のお気持ちは?
矢嶋:主将に就任した時は、4チームに分かれているラクロス部全体を分け隔てなく寄り添える主将になりたいと思いました。私は未経験で入部し、最初は一番下のチームからスタートしたのですが、トップチームに上がるまでの過程でどのチームでも本気で努力している選手を間近で見てきました。早慶戦やリーグ戦に出場するトップチームに注目が集まりやすい一方で、どのチームでもそれぞれが本気で頑張っています。だからこそ、すべての選手の努力が報われるようなチームをつくりたいと思っています。
松岡:もちろん「日本一」という結果を目指すことは大前提ですが、それと同じくらいその過程を大切にしたいと思っています。結果だけでなく、そこに至るまでの一つひとつの積み重ねにも価値があると感じています。副将としては、主将のちほが背中で示しながらチームを引っ張るタイプだとしたら、自分はみんなの背中を押せるような存在でありたいと思っています。一人ひとりに寄り添いながら支え、チーム全体を前向きにできるようなフォロワーシップを持った副将を目指したいです。
西:130人という大きな組織の中で幹部として、そしてスタッフとして自分に何ができるのかを考えた時に、スタッフ一人ひとりが自分の仕事にやりがいを持てるよう支え、引っ張っていける主務になりたいと思いました。また、チームを運営する中では、OBOGの方々や慶應ラクロスに関わってくださる多くの方々への感謝を忘れず、その思いに応えられるような組織づくりをしていきたいと考えています。

主将・矢嶋千穂選手(写真:慶應義塾大学體育會ラクロス部女子)
ーー新チーム発足からこれまでを振り返って
矢嶋:私は新チーム結成直後に脳震盪で離脱することになり、主将としてもスタメンのゴーリーとしても、なかなかチームに貢献できなかったことがとても辛かったです。そんな中で幹部の2人だけでなく、同期や特に後輩たちが「自分に何ができるか」を考え、率先して行動してくれました。一人ひとりが当事者意識を持ってチームのために動いてくれたことで、チームが確実に前へ進んでいると感じることができた時期だったと思います。
松岡:昨年度のチームと比べると、圧倒的な存在感を持つ選手がいるわけではなく、全国の舞台を経験した選手も少ないチームです。その分チーム全体としてどのようなビジョンを持ち、どこを目指して進んでいくのかを共有することの難しさを実感しています。一方で、全員が純粋なチャレンジャーとしての意識を持ち、それぞれが「自分が主人公になる」という覚悟を少しずつ持ち始めているとも感じています。このまま一人ひとりが主体性を高めながら、全員で「日本一」のビジョンをより大きく育てていきたいと思っています。
西:チームが始動してからさまざまな困難がありましたが、その中で一人ひとりの当事者意識が少しずつ芽生えてきていると感じています。だからこそ、これからチームがどのように成長し、活躍していくのかとても楽しみです!
ーー今年度目指しているチーム像について
矢嶋:今年目指しているチーム像は、「個の力」です。昨年のチームにいた主力選手が抜けた中で、誰か一人に頼るのではなく、一人ひとりが自分のプレーや行動に責任を持てるようなチームにしたいと思っています。目標は一人ひとりが全力でやり切ること。130人いれば、それぞれに得意なことがあると思うので全員が自分の100%を出し切ることがチーム全体の力につながると考えています。
松岡:今年のスローガンである「DRIVE」のように、一人ひとりが主人公として前に進み続ける力を持ちながら、常に自分に何ができるのかを考えてそれを行動に移し、周囲を巻き込んでいけるチームを目指しています。また、大切な話し合いや細かな部分にまでこだわりながら試行錯誤を重ねていく。そのプロセスを大事にする一年にしたいと思っています。
西:良い雰囲気をつなぎ続けられる組織をつくりたいです。誰か一人に頼りきりになるのではなく、それぞれの得意なことを周囲に広げながら、その強みを次の代にも引き継いでいけるようなチームにしたいと思っています。

副将・松岡楓恋(写真:慶應義塾大学體育會ラクロス部女子)
ーーご自身について早慶戦とは?
矢嶋:自分たちを応援してくださる方々と最も強くつながれる場所だと思っています。私たちの普段の活動はさまざまな方々に支えられて成り立っていますが、直接その方々と関わる機会は多くありません。そんな中で早慶戦は、OBOGや保護者の方々はもちろん、他大学のラクロッサーやスポンサーの方々など、多くの人が会場に足を運んでくださり、その応援を肌で感じることができる貴重な機会です。早慶戦は、自分たちにとって大きな原動力であり、モチベーションにもなる、一年に一度の大切な試合だと感じています。
松岡:私にとって早慶戦は、4年間憧れ続けてきた夢の舞台です。1年生の活動初日に初めて早慶戦を目にし、その時に受けた強烈なインパクトを今でも鮮明に覚えています。きっと多くの部員にとっても同じように特別な試合なのだと思います。学年が上がるにつれて悔しい思いを含め、早慶戦に対してさまざまな感情を抱いてきました。それと同時にもっと成長したいと思わせてくれる、大きなモチベーションを与えてくれる試合でもあります。自分がこれまで早慶戦から多くの刺激をもらってきたように、今度は後輩たちにとっても新たな目標やモチベーションにつながるような試合にできたら嬉しいです!
西:今年で早慶戦のベンチに入るのは3回目ですが、学年が上がるにつれて早慶戦に対する見え方も確実に変わってきていると感じます。早慶戦はリーグ戦とは異なり、早稲田と慶應が主体となって運営している大会だからこそ、その裏には大会を支える選手やスタッフの存在があります。学年が上がるにつれて、そうした裏方として活動してくれる人たちの存在に目を向けるようになりましたし、伝統ある早慶戦をホーム校として運営できることへの誇りも、より強く実感するようになりました。私たちがここまで一生懸命つくり上げてきた早慶戦が当日どのような形になるのか、とても楽しみです!
ーー早慶戦で注目してほしいポイントや目標は?
矢嶋:一つ目は、「個の力」を体現するために、一人ひとりが自分の得意なプレーを全力でやり切る姿に注目してほしいです。二つ目は、フィールドに立つ選手たちはもちろん、スタンドで応援する部員たちにもぜひ目を向けてほしいということです。応援を得意とする選手も多く、その声援も勝利につながる大切な力になります。応援席を含めたチーム全体の一体感を感じてもらえたら嬉しいです!
松岡:今年のチームには圧倒的なエースはいませんが、その分一人ひとりが自分にできることを全うしようという共通の意識があります。だからこそ、プレーの一つひとつに表れる全力さや一生懸命さに注目してほしいです!
西:今年は、昨年早慶戦のベンチに入っていなかったメンバーも多く、どのような試合展開になるのか予測できないところが魅力の一つだと思います。また、運営面では今年グッズにも力を入れています。早慶戦に合わせて準備したオリジナルグッズにも、ぜひ注目していただきたいです。

主務・西遥香TR(写真:慶應義塾大学體育會ラクロス部女子)
ーー当日観に来てくださる皆さんへメッセージをお願いします!
矢嶋:早慶戦は、チーム一丸となって必ず勝利をつかみ取りたいと思っています。自分はゴーリーとして最後の砦となり、必ず守り切ります。また、勝利にこだわるのはもちろんですが、それと同じくらい一生懸命プレーする私たちの姿を通して多くの方に元気を届けられるような試合にしたいです。ぜひ一緒に「若き血」を歌いましょう!
松岡:今年はラクロス部創設40周年という節目の年です。これまでチームをつないでくださったOBOGや関係者の皆さまへの敬意と感謝の気持ちを試合を通して伝えられるような一戦にしたいと思っています。全力で戦い、必ず早稲田を倒してみせます!
西:絶対に負けられない試合だからこそ、たくさんの応援をいただけたら嬉しいです。26チームにとって初めての大舞台なので、観客席を沸かせられるような試合にしたいと思っています。ぜひ会場に足を運んで、私たちと一緒に早慶戦を盛り上げてましょう!
ーー貴重なお話を、ありがとうございました!
【試合詳細】5月17日(日)@日吉陸上競技場
11:10〜 女子戦
14:00〜 男子戦
(記事・取材:野口ことみ)

