(左:米口、右:岩田)
6月13日、慶大ソッカー部女子は関東大学リーグ前期最終節のアウェイ・早大戦に臨む。2002年に初開催された女子サッカーの早慶戦で、慶大が勝利したことは一度もない。
昨季2部で優勝し、今季は1部で戦っている慶大。10試合を終えて12チーム中11位、6連敗中と苦しんでいるが、歴史を変える初勝利でチーム浮上のきっかけをつかみたい。
早慶戦に向け、ケイスポは早慶戦の注目選手に対談形式のインタビューをした。第2弾は、十文字高校時代からのチームメイトの3年生、米口和花(総3・十文字)、岩田理子(総3・十文字)のコンビ!
(このインタビューは前期第8節から第9節までの間に実施しました)
――他己紹介
米口:背番号18番の、登録はディフェンダーだけどポジションはウィングバックをやっている岩田理子(いわた・りこ)さんです。自分は高校生から同じチームだったんですけど、プレー面ではクロスや声かけでチームを引っ張ってくれて、オフの面でも意見を発するところだったり、いろんなところに目が向く、気が利く人です。
岩田:背番号5番の米口和花(よねぐち・のどか)さんです。センターバックをやっています。高校1年生の時からのんちゃん(米口の愛称)を見てきて、上手い選手というのはみんな分かっていると思うけど、それ以上に謙虚で、プレーでも「自分がやらなきゃいけない」と常に自分に矢印を向けていて、チームを勝たせる存在です。ディフェンダーとしてもそうだし、攻撃の起点にもなっていて、チームの核の選手だと思います。
米口:嬉しい
岩田:昨日から考えてきたから
米口:すごいじゃん(両者笑い)
――お互いの良いところ
米口:長く居るから、あんまりそういうところは口に出さないんですけど、理子のいいところは素直なところで、悔しいという気持ちに対して誠実に向き合える人だと思っていて、自分も尊敬しています。「変わりたい」という思いを自分の中に留めるんじゃなくて、周りに伝染させることができるタイプで、自分にはそこが足りないからこそ、光っていると思います。
岩田:恥ずかしいねこれ(笑)
米口:恥ずかしい(笑)
岩田:のんちゃんは常に100パーセントで向き合ってくれていると思っていて、感情豊かだなというのはすごく感じている部分だし、その感情がチームにとっていい影響を与えてくれるし、ずっと同期としてやっていく中で自分の一つの心の安定剤になるときがあって……恥ずかしいなこれ(笑)。6年目になって、話す内容もちょっと大人になってきて、自分が心を開けるし、褒め上手聞き上手だと思います。
米口:それは理子にも当てはまる。
岩田:お互いにいろいろ相談し合ってます。
――同じ学部だが、キャンパスやプライベートでの関わりは
岩田:ご飯行ったり、家来たりするよね。
米口:1年生の時はほとんど授業一緒で、2年生の時も
岩田:一緒だったね。3年になって違う研究会に入って
米口:一緒の授業は少なくなったけど、それまではピッチも一緒でピッチ外も一緒でした。理子のお母さんがすごく料理上手で、家に同期をお招きしていただいています。すごく居心地のいい空間で、自分が今寮生なので
岩田:第2の家だよね、みんなにとって
米口:第2の家が堀田家(堀田朱花(商3・山手学院)選手のご家庭)にもあるからね(笑)
岩田:たしかに(笑)
米口:本当にいいご家族で、理子にもお父さんお母さんにもお世話になっています。
岩田:ずっと一緒にいる割には、それでもずっと一緒にいるよね。
――美味しかった料理
米口:やっぱり朝ごはんで、豚汁とチュモッパとか、おにぎり、海苔もめっちゃ美味しくて、海苔は手料理じゃないけど(両者笑い)。
岩田:おにぎりと豚汁だね。
米口:沁みます。
――岩田選手のご実家は徳島と聞いたが、高校の時は寮に入っていたのか
岩田:そうですね。高校の時は寮生で、寮と言ってもほぼ一人暮らしみたいな学生マンションに入っていたんですけど、大学入学時に父親が(徳島から)転勤になって、今は一緒に住めているという感じです。
――「こうしてほしい」と思うところ
米口:自分たちの学年は「こういう姿になってほしい」とか、「あなたはこういう存在になれる」というのを話していて、その時の感じだと、理子の理想像としては〝チームを声で引っ張っていく存在〟になっていってほしいという話が出ていて、そこに対して理子が誠実に向き合ってくれているし、自分たちもこういう姿になってほしいと伝えたからには頑張らないといけないので、いいコミュニケーションができていると思います。
岩田:自分は、のんちゃんの感情100パーセントなところが好きだからなくしてほしくないという話をしたのと、すごく上手い選手だし、(大学日本代表など)選ばれている選手だからこそ、もっとチームの先頭に立ってほしいというのは伝えました。謙虚なので本当に。「もっとやっていいんだよ」と思います。
米口:どういう存在になればいいか自分では分かりづらいので、「こういう姿になれるよ」と言ってくれるのはありがたいです。
岩田:全員が客観視して、自分とも相手とも向き合って、高め合えている学年だと思います。
――3年生の仲間の紹介

髙松芽衣(環3・植草学園大学附/ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)
岩田:芽衣は感情をすごく表に出す選手ではないんですけど、内に秘めているものがすごい選手だと思っています。特段声を出すタイプではないんですけど、チームに絶対欠かせない存在です。芽衣のワンプレーで、芽衣が一個頑張ってくれたところで、言葉では語らないけどプレーで全部語ってくれる選手で、今はけがしていて悩んでいると思うけど本人もそれを見せないし……早く戻ってきてほしいということに尽きますね。
米口:言葉よりも行動で示すタイプの人です。

宮嶋ひかり(環3・芝浦工業大学柏/ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)
岩田:ひかりは最初より感情を出してくれるようになったと言うか
米口:最初は理論的で感情を表に出さないタイプの選手だと思っていたんですけど、3年生になってディフェンスで自分と横で組んでいて、リーダーシップとか責任感とかを伝えられるタイプの選手になっています。守る上で欠かせない人だし、オフの面でも冷静に学年とチームを俯瞰してくれる選手です。
岩田:一番計画的で、学年行動するときは最初に何かを決める人です。

田中紗莉(総3・市ヶ尾/日体大SMG横浜U18)
米口:紗莉は研究会が一緒でずっと一緒にいるんですけど、誠実で
岩田:全力100パーセント
米口:アップのステップから100パーセントです。全力でやることに意味を見出だせる選手で、明るいし、いるだけで周りも明るい気持ちになります。
岩田:自分は去年から同じ立ち位置にいることが多くて、去年の早慶戦は(2人とも)出られなかったし、同じポジションでスタートを争い合う仲だったんですけど、その中でも常にチームに目を向けて、自分にやれることを最大限尽くしてくれていました。個人的に長話をする仲で、いろんな濃い話をしてきたんですけど、本人も悩んでいて難しいことがある中でも、それを見せずにチームに何か還元しないといけないというのを一番に念頭に置いている人なので、本当に誠実が一番似合うと思います。

堀田朱花(商3・山手学院)
米口:朱花は努力する量がすごくて、努力することや練習の姿勢の大切さを見せてくれるし、勉強とか自分の将来に対しても真っ直ぐ取り組んでいます。1年生の時は抜けている子だと思っていて、朝は眠いみたいな(笑)
岩田:うちが起床担当だからね(笑)
米口:ご飯食べるのもゆっくりで、映画中に寝ちゃったり(両者笑い)、マイペースなタイプなのもいいところだと思います。自分が本気でやりたいことに対して向かっていくアツさがある選手だと思います。
岩田:何事にも逃げずに向き合える人だと思います。(試合に)あまり出ていない中で、テソンさん(黄大城監督)にいろいろ話をしてもらっていて、それにひたむきに、素直に向き合うことができるし、学年のミーティングでも一人ひとりの意見をちゃんと聞いて、冷静に考えてその人の意図を汲み取ろうとして、自分もちゃんと芯を持っていて意見を発することができるところが好きですね。

廣本瑞季(文3・学習院女子高等科)
米口:瑞季も朱花と同じで大学からサッカーをもう一回始めた選手で、瑞季の姿勢から「叶わないかもしれないことに努力するのは難しいけど、その努力が叶った瞬間が人生で一番大事なこと」だというのを教えてもらいました。自分は試合に出られなくてどんなに頑張っても無理だと思って諦めちゃった経験があるんですけど、瑞季は叶わないと思っても努力し続けて、自主練で苦手なことに対して向き合っている姿を見て「自分も頑張らなきゃ」と思わせてくれる人です。
岩田:自分は瑞季が上手くいったときに喜ぶんです。嬉しくて。自主練を一緒にする機会もあって、瑞季が何に取り組んでいるかが明確に分かるからこそ、それが上手くいったときが嬉しいんです。プレーで誰かが前向きな気持ちになれる力を持っているすごくいい選手だと思っていて、今どんどん試合に出るようになってきて、チームの中で明確な存在になってきているのがすごく嬉しいです。
――ここからはお互いのプレーについて。米口選手は昨季後半に務めていた3バックの右から中央にポジションが変わった。今の米口選手のポジションから見た右ウィングバックの岩田選手のプレー
米口:去年からのクロスなどの攻撃における武器はありつつ、プラスアルファで戦う姿勢を見せるとか、守備やボールがないところでの動きがよりいっそう洗練されたと思います。理子の中でもそれを変えたいというのが伝わってきて、もちろん試合中でもチームにいい影響を与えてくれるし、練習中でもそこを変えなきゃいけないという理子の思いが伝わってきます。1個ポジションが離れちゃったから、右だったらまだ一緒に崩せたなあとか(両者笑い)思いますけど、センターならではのロングパスの供給をしていけたらと思います。
――岩田選手から見た今季の米口選手のプレー
岩田:のんちゃんがセンターバックになって、本人的には苦手意識があったみたいなんですけど、それを感じさせないような覚悟と責任感は、このチームの中で今年一番出てる選手だと思います。のんちゃん的には納得いかないかもしれないけど、自分はのんちゃんが後ろにいることで安心してプレーできます。自分に矢印が向いているからこそ、(チームが)上手くいかないときに「自分が理由だ」となってるときもあるんですけど、それ以上にチームに与えてくれているものは大きいし、のんちゃんがいなかったら失点してるシーンは数え切れないくらい1部に上がってあるので、覚悟と責任感は去年よりもいっそう体現してくれていると思います。
――ここまでの5バックの守備とビルドアップの出来
米口:ビルドアップはもちろん通用しない部分もあるんですけど、それ以上にできている感覚があります。でもやっぱり下でつないでいるだけだと点は取れないというのは感じているので、いかにもっと高い位置で前線の選手につなげるか、ミスをなくして前線の選手が戻らなくて済むようにビルドアップできるかというのは考えています。去年からやってきていることは変わらないので、もっと突き詰めていきたいです。守備の面ではすごく難しい展開になることが多いです。自分が守れたら失点しないというのは大前提だと思っていて、それでもフィジカルで負けてしまうところもあったり、テクニックで剥がされてしまうこともあるんですけど、1年生なのに(3バックの右の)遥(=木田遥(総1・十文字))はすごく体を張ってくれるし、(3バックの左の)ひかり(宮嶋)は去年からずっと一緒にやってくれていて、ウィングバックも上下運動の回数がすごくて一番きついと思うんですけど、戻し切ってくれているので、責任感は感じていますし、もっと行動に移していかなきゃいけないと思います。
岩田:5バックのうち2人が1年生(木田、左ウィングバックの福島紗羅メヘル(政1・昌平))で、それ以外は3年生(岩田、宮嶋、米口)で、4年生がいなくて3年生がやらなきゃいけない中でひかりとのんちゃんがやってくれているし、1年生の紗羅と遥は1年生ながら慶應のエンブレムを背負って堂々とプレーしてくれているし、自分たちは負けちゃいけないし引っ張らなきゃいけないと思っています。キーパーの里紗(=四宮里紗(環1・桐蔭学園))を含めて、組織として守る、組織として攻撃するというのは自分たちの特長で、いいところだと思います。
――ここからは早慶戦について。米口選手はなぜ慶應を選んだのか
米口:大学を卒業した後に、今までサッカーしかしていなかったのでサッカー以外の選択肢も見てみたいし、サッカーだけじゃない自分を見つけられると思って惹かれました。サッカーの面でも、一人ひとりが主人公になれると言うか、一人ひとりの存在意義が感じられる組織だと思って選びました。
――岩田選手は1年生の頃の部員ブログに、慶應を選んだ理由について「まだ完璧に言語化できるほどのものはありません。本当に決断した真の理由はこの4年間の活動で明らかにできればと思っています」と書いていたが、その理由はどのくらい見つかったか
岩田:慶應という大学を選んだ理由は、幼い頃から文武両道を意識してきたので、セカンドキャリアも含めてこの大学を選びました。(ソッカー部というチームを選んだ理由については)自分が見つけたい理由は3年生になって少しずつ分かるようになってきています。このチームにはサッカーだけじゃない魅力が詰まっていると思っていて、のんちゃんが言ってくれたように一人ひとりが主人公になれるというのもそうだし、一人ひとりのチームへの向き合い方がそれぞれに刺激を与えられて、プレー面だけじゃない人間性を育ててもらえている感覚があります。学生主体でやっているチームだからいろんなことを経験できるし、いろんな感情を持つことができるし、それを共有し合って日々高め合える環境に身を置けていて、女子部だけじゃなくてOB・OGの方だったり、男子部のサポートだったり、もちろんスポンサーの方だったり、こうやって取材してくださるケイスポの皆さんだったりという〝組織愛〟から、大学生になってこうやって何不自由ない環境でサッカーを続けられてるのは自分の力だけじゃないというのを改めて感じられる、初心に戻れる場所だなという風に少しずつ感じてきています。
――早慶戦への思い
米口:勝ったら史上初の早慶戦勝利なので、その歴史をつくれるチャンスがあるというのはすごく光栄なことだし、今まで先輩たちがつくりあげてくれた慶應ソッカー部という組織を「勝たせたい」と強く思っています。
岩田:チームとしてはもちろん初勝利に尽くしていきたいですし、早慶戦という舞台でメディアに出ることも含めて、いつもサポートしてくださる皆さんに感謝の気持ちを示すことも大前提に置かなきゃいけないと思います。個人的には昨年の試合(早慶定期戦)でピッチに立つことができていないというのもあるので、ピッチに立つことを目標にしながら、シーズンを通してチームのためにやれることをやって、その結果が早慶戦に表れると思うので、チームに目を向けて去年悔しい思いをした気持ちの部分を体現できたらと思います。
――早大には十文字高校出身の選手が何人かいる
米口:まず、先輩が現主将の千葉梨々花(スポ4)さんと、現副将の杉山遥菜(スポ4)さんで、杉山先輩は守備で、千葉先輩は攻撃でワセダの中心になっていて、十文字の時からチームの核を担っている2人だったので、その2人が後ろと前にいるのはすごく脅威だと思います。
岩田:十文字の1個上の代は慶應の先輩3人(岡田恭佳(環4・十文字)、野口初奈(環4・十文字)、野村亜未(総4・十文字))もエリートで、黄金世代だったので、その先輩の中の2人がいるのは脅威だし、もちろんリスペクトしているけど超えたい存在で、負けたくないし勝ちたいと思います。
米口:同期が三宅万尋(スポ3)という右サイドハーフで、圧倒的スピードとフィジカルで駆け上がっていくタイプで、高校時代自分たちの代のキャプテンだったんですけど、変わらないプレースタイルがより強さをつけています。彼女がいるだけでチームの攻撃の厚みが出るし、自分たちディフェンスからしても抑えなきゃいけない意識があって脅威になります。よくご飯に行ったりして、2人で遊ぶ友達なんですけど、負けたくないです!
岩田:高校の時キャプテンで、同じチームでやっていた同期だから特徴も知っているけど、よりいっそうそれが強く・上手くなっているし、ワセダの中心の選手なので、切磋琢磨してきた身として負けたくないというのがあります。
米口:後輩は2人で、1個下に福島茉莉花(スポ2)と小島世里(スポ2)という選手がいて、福島茉莉花は地元が一緒で、小学生の時のチームが一緒なんですけど、後輩とは思えないタイプです。
岩田:(笑)
米口:のんちゃんって呼ばれます(苦笑)。華があって、テクニックがある中盤の選手で、地元に帰ったら一緒に走ったりしているけど、ピッチの上では負けたくないです。小島世里は中学の時のチームが一緒で、自分は試合に出られなくて、世里の方がちょっと出ていたと思うんですけど同じ立場で、辛い中頑張ってきて、十文字に入っても「和花さんならできる」と応援してくれていた1人です。自分は後輩とコミュニケーションを取ることが少なくて、どう接するのか分からないタイプではあったんですけど、ワセダに入った2人は自分と関わってくれていたので、先輩としての意地を、成長した姿を見せられたらいいなと思います!
岩田:自分は2人とは喋ることはあまりないけど、のんちゃんから話を聞いたり、いろんなSNSに出ている姿を見て、頑張っているなと思っています。十文字の時から出ていた選手で、2人とも華がある選手です。のんちゃんが言ってくれたように先輩としての意地を見せなきゃいけないとは思うし、遥(木田)も(十文字高の後輩として)負けたくないというのもあると思うので、一緒に戦っていけたらと思います。
――最後に、早慶戦で互いに期待すること
米口:早慶戦では、理子のチームを引っ張る声と、チームがしんどいときに走り切る力には注目したいし、武器であるクロスからチャンスを生み出してゴールにつながって勝つことができたらいいなと思うので、期待したいと思います!
岩田:ワセダの攻撃をのんちゃんが止めることに期待したいし、注目してもらいたいと思います。ワセダに対してアツい思いもあると思うから、それを前面に出して、いいボールを送ってくれたらと思います!
米口:頑張ります!
岩田:あわよくばコーナーで1ゴール
米口:あわよくばドリブルから1点
岩田:最終ラインからみんな抜いて1ゴールいってくれたらと思います!

米口和花

岩田理子

写真撮影に応じるふたり
(取材:柄澤晃希)


