慶應スポーツ新聞会

【ラグビー】今季指折りの名勝負は思わぬ形で決着/大学選手権vs流経大

準々決勝進出に喜びをみせる

準々決勝進出に喜びをみせる

準々決勝への道筋は、思いもよらぬ形で開けた。12月11日、秩父宮ラグビー場で行われた大学選手権3回戦、慶大は関東大学リーグ戦2位の流経大と激突した。CTB今成のトライで慶大が先制したこの試合は、互いにトライを奪いつ奪われつのシーソーゲームに。手に汗握る白熱した攻防戦は前後半の80分では勝負がつかずドロー。トライ数、ゴール数と共に同じだったため、準々決勝進出校は両校主将による抽選で決定されることとなった。運命のくじ引きは、No.8鈴木主将が見事当たりくじを引き当て、準々決勝への進出を決めた。慶大は17日、花園ラグビー場で天理大と対戦する。

 

 

第53回全国大学ラグビーフットボール選手権大会3回戦vs流経大

2016/12/11 14:00K.O @秩父宮ラグビー場

 

得点

慶大

 

流経大

前半

後半

 

前半

後半

T

G

PG

DG

12

19

小計

12

19

31

合計

31

 

得点者(慶大のみ)

T=中本、中鉢、小原、今成、柏木

G=古田3

 

ポジション

 先発メンバー

 交代選手

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細田隼都(商3・慶應)

 

2.HO

中本慶太郎(経2・慶應)

 

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角田匠輝(法4・慶應)

 →後半31分 吉田雄大(総3・秋田)

4.LO

豊田祥平(総4・ 國學院久我山)

 

5.LO

佐藤大樹(総3・桐蔭学園)

 

6.FL

廣川翔也(環4・東福岡)

 

7.FL

松村凜太郎(商3・慶應)

 →後半25分 山中侃(商2・慶應)

8.No.8

鈴木達哉(環4・茗渓学園)

 

9.SH

中鉢敦(経4・慶應)

 

10.SO

古田京(医2・慶應)

 

11.WTB

小原錫満(総2・東海大仰星)

 

12.CTB

堀越貴晴(総3・茗渓学園)

 

13.CTB

今成哲(経3・城北)

 →後半25分 木口俊亮(経4・仙台第三)

14.WTB

柏木明(経3・慶應)

 →後半31分 金澤徹(商3・慶應)

15.FB

丹治辰碩(政2・慶應)

 →後半40分 永末千加良(法3・慶應)

 

 

WTBでの出場となった柏木

WTBでの出場となった柏木

先制点を取ったのは慶大だった。前半2分、裏に抜け出したSO古田の絶妙なキックパスにCTB今成がしっかり反応し右中間にトライ。鮮やかにサインプレーを決めて流れを作ると、13分にはSO中鉢が一瞬の隙を突く素早い仕掛けからラインブレイクに成功し、そのまま独走で左中間にトライ。いとも容易く2トライを奪い、早くも慶大が試合の主導権を握ったかに見えた。だが、23分に流経大WTBタナカの豪快なランでトライを許すと、流経大のダイナミックなアタックが徐々に機能し始める。強力BKを積極的に活用したワイドなアタックに押し込まれ、36分にゴールライン付近の相手ボールラインアウトからNo.8の速攻に反応が遅れトライを献上。12-12の同点で前半を折り返す。

 

 

トライ後、結果は古田のキックにゆだねられた

トライ後、結果は古田のキックにゆだねられた

後半も序盤は慶大が攻める。48分、丹治のゲインを皮切りに近場を突くと手薄な右に展開し、最後はWTB柏木が大外から走り込んでトライ。続けざまに50分、SO古田のキックパスを受けたWTB小原がハーフウェイ付近から相手ディフェンスを振り切り、単独でトライを挙げた。しかし55分、59分に流経大のセットプレーを起点とした迫力あるアタックに屈し、立て続けにトライを奪われる。67分にはターンオーバーからの相手BK陣の波状攻撃に対し、必死のディフェンスで応戦したものの、最後は人数不利の左を食い破られ7点を献上。24-31でこの試合初めてのリードを許した。だが、強豪校相手には惜敗続きだった対抗戦から成長を見せたのは最終盤での踏ん張りだった。80分、丹治の体を張った突破で大きく前進した慶大は、敵陣でのマイボールラインアウトからモールで押し込み、最後はHO中本が飛び出してグラウンディング。SO古田がゴールキックをきっちり成功させ、31-31で追いついたところでノーサイド。トライ数及びゴール数も同じだったため、準々決勝進出校は大会規定通り抽選で決定することとなった。両校の選手・観客が固唾を飲んでモニターを見守るなか、No.8鈴木主将が中継カメラに向けて広げた紙には、「準々決勝進出権あり」の文字があった。

 

タックルには課題も残ったが…

タックルには課題も残ったが…

今季のリーグ戦で、昨季の大学選手権準優勝校である東海大を下していた流経大との大学選手権初戦。単純に選手のフィジカル面だけを見れば、流経大が上回っていたのだろう。互角に戦えた要因を一つ挙げるとすれば、それは戦術面の徹底にあった。金沢HCは本試合の戦術を以下のように振り返る。「基本的には順目の方向にあまり走らないラグビーで、ディフェンスにもその傾向があるので、常にショートサイドを最初の時間帯は攻めることを意識していました」。若干ディフェンスラインの高かった流経大に対し、徹底的に裏に抜けるプレーを狙ったことが功を奏した。相手のトライが時間をかけてフィットネスに優れた外国人を擁する流経大の広いアタックには終始手を焼いたが、寄せの早いディフェンスで突破を最小限に食い止めた。懸命のディフェンスの中でペナルティーがわずか4つしかなかったことは、選手たちの高い集中力の証左だろう。白熱した好勝負を演じてくれた両校だったが、この一試合に対する思いと準備の差が、最後抽選という形で両校の明暗を分けたのかもしれない。

 

次戦は関西王者・天理大との対戦。中6日の短い間隔で、敵地花園へと乗り込む。「(次こそは)しっかり勝って喜びたいですし、流経大も引き分けでやりきれない気持ちもあると思うので、天理大に対して関東の強さを見せつけて勝ちたいと思います」と、次戦こそははっきりとした形での勝利を誓ったNo.8鈴木主将。鈴木組日本一への挑戦は、まだ始まったばかりだ。

 

 

 【ケイスポ的MOM】スランプ脱した!攻撃の要として躍動 SO古田

 

ボールの行方を見守る

ボールの行方を見守る

早慶戦は終盤のPGとタッチキックでの失敗。青学戦ではチームが9トライを決めた中で、ゴールキックに成功したのはわずか3つ。今季ここまで慶大の奮闘を支えてきた左足に、明らかに異常事態が発生していた。大学選手権の初戦を迎えるにあたって、「もう一回自分のルーティンというか、どうやって蹴れば良いキックになるのか、ということをゼロから考え直しました。力が入りすぎて引っ張ってしまうところがあったので、力まずに蹴れるように修正しました」。原点から自分を見つめ直すことで、本来の調子を取り戻した。絶妙なキックパスで二度のトライを演出した一方で、試合終了間際には外せば即敗退の決まるプレッシャーのかかった局面で、ゴールキックをしっかり成功させた。「本当は全部決めたかったのですが2本外してしまったので、また練習していこうと思います」とあくまで殊勝に語った古田。スランプを脱した慶大の司令塔が、花園の地でも巧みに攻撃のタクトを振るう。

(記事:江島 健生)

 

以下、コメント

 

金沢篤HC

(試合を振り返って)この大会はトーナメント制ですので、まずは準々決勝進出を決められたことが良かった点だと思います。準備してきたことを選手がやってくれて、そこは成果として出たところだと思います。ただ、1人目のタックルが高く、流経大にゲインを許してしまった点が今日の一番の反省点ですね。また、自分はこれまでこのようなことを言ってもしょうがないと思っていたのですが、対抗戦から含めて、ジャッジの部分で「本当にそうなのか」と思う点が正直あります。ここは協会主導で行うところであると思いますが、お互いの選手が100%の力に戦っている中で、もう少し(ジャッジの)レベルを上げて欲しいというのが実感です。 (試合終盤の場面、また抽選の場面はどのような心境だったか)今までは「逆」のシーンが多かったですね。今回は追いかける展開となって、うちは途中から入った選手が勢いのあるプレーをしてくれました。流れはこちらにあったと思います。最後のラインアウトをキャッチしたところで、「いけるな」と。あとは古田に託すしかない、と思っていました。そういった意味では、比較的落ち着いて見ていました。一番プレッシャーがあったのは(くじを引いた)キャプテンだったと思います。また、相手もいることなので、どのような結果になっても落ち着いて見ていようと思っていました。 (戦術面について。キックオフでは直前に蹴る方向を変えるなど工夫を見せた)自分達はFWを4つに分けているのですが、流経大はうちから見て左側に並ぶ傾向がありました。実は明大戦でもやった戦術なのですが、彼らに気持ち良くプレーをさせないことが重要だと思っていました。やはり、強い外国人選手もいて、SOも散らしてくるラグビーで、彼らに勢いを付けさせたくないという意味で、そういった戦術を選択しました。また、基本的には順目の方向にあまり走らないラグビーで、ディフェンスにもその傾向があるので、常にショートサイドを最初の時間帯は攻めることを意識していました。(次の天理大戦に向けて)まだ全てを見ている訳ではないですが、FWに力があります。また、FBのケレビ選手などいいランナーもいて、今日のように高いタックルが出るとゲインをされてしまうので、ディフェンスを整備して天理大にプレッシャーを与えたいです。アタックの方は結局自分達のスタイルをどれだけ貫けるか、だと思うので、同じようにやっていきたいと思います。せっかく抽選という形で頂いた出場権なので、いい準備をしたいと思っています。

 

 

No.8鈴木達哉主将(環4・茗渓学園)

(試合を振り返って)低い姿勢にフォーカスを当てていました。それを意識して試合中いこうと思っていましたが、流経大がダイナミックなラグビーをしてきたので受けにまわってしまいました。しかし、最後まで諦めずトライを奪って、古田がゴールを決めてくれたので良かったです。次は勝って笑いたいです。(対抗戦から選手権へ意識は変えたのか)プレー面では今まで練習してきたことを出し切ろうというのは変わっていません。メンタルの部分は今まで、明大や早大に負けてしまった時に、追い上げられてきてから気持ちが下がってしまうことがありました。この試合でもそういう時間帯がやってきましたが、チームが前を向いて闘い続けたことが今回結果としてついてきたのかなと思います。(アタックの成功は想定内だったのか)アタックが通用するのは分析を通じて確信していました。ただ、最初に12点取った後のペナルティーでPGを狙っておくべきだったのかなとか、そういう細かいところは考える必要があるとは思いました。でも最初の12点はボールを継続した結果取れたので計算出来たトライだなと思います。(試合の流れについては)何度も流経大がビックゲインをしてきましたが、それを1発でトライまで繋がれることなく、しっかりと止めきれたことは大きかったです。まぁ、その後フェーズが続いてトライということはありましたが、相手を波に乗せないことは出来たと思います。(最後の同点トライは)時間的に僕は逆転は難しいと思っていて、チームの中では早めに決めてもう一本と話していました。僕は同点でいいからしっかりと古田にゴールを決めてもらおうと思っていました。トライ数とゴール数が同じだったら抽選になることは分かっていたので、しっかり自分達のベストをし尽くして、当たりを引きたいと考えていました。(当たりを引いた瞬間、岩渕主務と抱き合っていました)絶対に引くと決めてはいたのですが、僕自身は引いた後は放心状態でした。しかし、喜んでいる他の部員を見ていると引いて良かったと思いました。(次は花園で天理大です)しっかり勝って喜びたいですし、流経大も引き分けでやりきれない気持ちもあると思うので、天理大に対して関東の強さを見せつけて勝ちたいと思います。

 

 

佐藤大樹(3・桐蔭学園)

(白熱したゲームの末、準々決勝進出を決めました。今の心境は)勝ったというか、引き分けで進ませてもらえることになって、今回の試合は自分としてはあんまり出来が良くなかったと思います。次の試合ではもっとしっかり頑張りたいと思います。(自分の中ではあまり納得していないと)個人的には良くなかったと感じています。(ラインアウトの成功率は高かった)ラインアウトは良かったんですけど、自分のボールキャリーやタックルが不甲斐なかったので、もう少し練習したいです。(タックルはチーム全体として少し高かったように見受けられた)もうちょっと低く行きたかったです。また、キックオフで相手の13番に外されてしまったところは直さないといけないところだし、慶大の強みは低いタックルだと思うので、もう一回原点に立ち返ってやりたいと思います。(広いアタックをしてくるチームだったが、どういう対応をしようと考えていた)相手のアタックが広くても、相手に合わせて広く立ったりはせず、いつも通りの幅でやるというのが慶大のディフェンスだと思っているので、そんなに相手が広いからというのは意識していないですね。(来週対戦する天理大の印象は)フラットアタックというか、SOからFWを上手くたてていくのが上手だという印象があるので、心してかからないといけないと思います。(最後に意気込みを)今回の試合はあまり良くなかったので、次の試合ではもっと頑張りたいと思います。

 

 

古田京(医2・慶應義塾)

(今日の試合を振り返って)自分達は、慶大らしい低いプレーでゲームを進めようと思っていました。良い部分と悪い部分が出た試合だと思います。(キックパスからトライに繋げたシーンがあった)試合前の分析からキックパスを使うことは決めていて、あれは練習した成果が出たシーンだと思います。ウイングが上がっていてフルバックが下がっていたので、そのスペースを使いました。(最後のコンバージョンについて)最後のプレーになると思ったし、HC・コーチからは「ゆっくり蹴れ」と言われていました。(心境は)早大戦を思い出しそうにもなったのですが、今週はキックに関しては良い準備が出来たと思うので、成果が出た場面でした。練習は毎日納得のいくまでやっていて、自信はありました。本当は全部決めたかったのですが2本外してしまったので、また練習していこうと思います。(キックについて変えた部分は)もう一回自分のルーティンというか、どうやって蹴れば良いキックになるのか、ということをゼロから考え直しました。力が入りすぎて引っ張ってしまうところがあったので、力まずに蹴れるように修正しました。(抽選時の心境は)本当に緊張していました。(天理大の印象は)まだしっかり見れていないですが、外国人選手を中心としながらも日本人選手もしっかり前に出てくるチームだと思うので、しっかり分析して練習したいと思います。

 

小原錫満(総2・東海大仰星)

(どんな準備をして臨んだか)負けたら終わりということで、チームのために4年生のために体を張って泥臭いことをたくさんしようと決意して試合に臨みました。(今日の試合を振り返って)僕の対面がすごく大きくて力強い外国人選手だったので緊張していたんですけど、泥臭く低くタックルを行くことができて、そしてトライをとることができてよかったです。(自身のトライについて)もともと準備していたプレーなので、うまく当てはまって、SOの古田に感謝したいです。(相手の流経大の印象は)横によく振ってきて、外国人選手の2人がすごく鍵になってきました。SOもFBもいい選手がいて、僕たちのDFがいかに走って頑張って食い止めるかが大事だったので、すごいいいチームでした。(最後は抽選という形になったが)抽選は初めてだったのですごい新鮮な気分でした。勝ってよかったです。(来週の天理大戦に向けて)また相手のバックスリーがすごくいい選手が揃っているみたいなので、しっかり僕たちのバックスリーから頑張って勝ちにいきたいと思います。

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