開幕戦を白星で飾ることはできなかった。10日、関東大学Jr.選手権が開幕した。初戦は対抗戦のライバル校、明大との対戦。立ち上がりから明大に連続トライを奪われた慶大だったが、相手ペナルティーで獲得したラインアウトからのモールトライとFL川合秀和(総2・國學院久我山)のビッグトライで反撃。3点ビハインドの14-17で折り返す。しかし後半は、接点で分厚く圧力をかける明大の猛攻に屈した。アタックでも後半はわずか1トライに抑えこまれ、21-45でノーサイド。夏の成果の証明は次戦まで持ち越された。
9/10(日)15:00〜 関東大学Jr.選手権vs明大
@明大八幡山グラウンド
得点 | ||||
慶大 | 明大 | |||
前半 | 後半 | 前半 | 後半 | |
2 | 1 | T | 3 | 4 |
2 | 1 | G | 1 | 4 |
0 | 0 | PG | 0 | 0 |
0 | 0 | DG | 0 | 0 |
14 | 7 | 小計 | 17 | 28 |
21 | 合計 | 45 |
得点者(慶大のみ)
T=岡田、川合、安田
G=栗原3
対抗戦選抜 | ||
ポジション | 先発メンバー | 交代選手 |
1.PR | 渡邉悠貴(経3・慶應) | →後半30分 町田裕史(文4・埼玉栄) |
2.HO | 岡田遼大(経4・慶應志木) | →後半30分 安田裕貴(政2・慶應) |
3.PR | 中島雅大(環3・桐蔭学園) | →後半30分 大山祥平(経1・慶應) |
4.LO | 植竹創(商3・湘南) | |
5.LO | 古舘健介(経4・慶應) | →後半0分 佐藤航大(理3・國學院久我山) →後半21分 西松広夢(商4・慶應志木) |
6.FL | 川合秀和(総2・國學院久我山) | |
7.FL | 相部開哉(政1・慶應) | |
8.No.8 | 山中侃(商3・慶應) | |
9.SH | 若林俊介(政1・慶應) | |
10.SO | 南翔大(総3・常翔学園) | |
11.WTB | 瀬川慶太(環4・Otago Boys’) | |
12.CTB | 栗原由太(環2・桐蔭学園) | |
13.CTB | 今成哲(経3・城北) | |
14.WTB | 権正拓也(政4・慶應) | →後半19分 宮本恭右(環1・慶應) |
15.FB | 丹治辰碩(政3・慶應) |
Jr.選手権は秋季に対抗戦と並行して行われる、Bチームの公式戦である。その初戦の相手は対抗戦のライバル校である明大だ。慶大は春の主力選手とこれまで公式戦出場経験の少ない選手を、FW・BKそれぞれにバランス良く配置した布陣で臨んだ。
均衡した前半戦
まず幸先の良いスタートを切ったのは明大だった。前半1分、相手のハイパントを起点に左サイドを突破され、先制点を奪われる。続く13分、自陣ゴール前のラックから左に展開され、連続トライを許してしまう。
出鼻をくじかれた格好の慶大だったが、「ちょっとしたミスでトライを取られちゃったと捉えて、落ち込むことなくそのままいけました」とNo.8山中侃(商3・慶應)。浮き足立つことなく自分たちのプレーに徹した。すると18分、ペナルティーからのモールトライで7点を返す。
27分、明大に左展開からゴールポスト左にトライを奪われたが、すぐさま32分にFL川合がタックラーを振り払い、ロングランでトライ。徐々に自分たちのアタックの形が出てきた慶大が勢いを取り戻し、3点差に詰めて試合を折り返した。
守勢を強いられた後半戦
しかし風下で迎えた後半は、明大に完全に試合を支配された。後半5分、相手のグラバーキックが選手に当たり、ボールの軌道が変わったところを相手選手に飛び込まれ、不運な形で後半最初のトライを奪われてしまう。
これを皮切りに、10分には右エッジを切り裂かれて、29分には相手のラインアウトからゴールライン上の攻防に敗れる形で失トライ。序盤の失点から立て直した前半との違いを、PR中島雅大(環3・桐蔭学園)はこう振り返った。
「トライを獲られた後にネガティブな雰囲気が後半にありました。前半では最初のトライを獲られたときは割り切っていたので、全員で気持ちの部分で巻き返せたと思います。後半にはそれがなかった」
33分、慶大もペナルティーで掴んだ敵陣内のゴールライン付近のラインアウトからインゴール右隅に押し込み、キッカーのCTB栗原がこの日3本目のゴールキックをきっちり成功。7点を返したが、40分に相手ラインアウトからゴールポスト中央に飛び込まれノーサイド。21-45で、Jr.選手権の開幕戦を落とした。
課題が明らかになった開幕戦
アンストラクチャーに課題が残った。とりわけ後半は大半の時間を自陣で費やす苦しい内容。「スクラムやラインアウト、モールなど、今夏に結構練習してきたものは試合でも出せて良かったです」(No.8山中)と話すように、セットプレーでは、”重戦車”の異名で知られる明大の強力FWにも決して引けを取らなかった。
ミスが目立ったのはディフェンス。相手の接点での圧力に対してターンオーバーから反撃に打って出られなかったこと、フィールドプレーでの意思疎通がうまくいかなかったことなどが、最終的な点差につながった。
Jr.選手権ではカテゴリー1に在籍する慶大。本大会の成績自体はチームのターゲットではないが、例年本大会で活躍を残した選手が対抗戦、大学選手権のメンバーに抜擢されることも珍しくない。まさに、Bチームの出来がAチームの勢いとも直結すると言っても過言ではない。シーズンの早い段階で自分たちの課題を克服し、チームを下から突き上げていきたい。
慶大は24日、筑波大との対抗戦の開幕戦を迎える。ジュニア選手権では、10月7日に流経大と対戦する。
記事:江島健生、写真:萬代理人、竹内大志
以下、選手コメント
PR中島雅大(環3・桐蔭学園)
——今日の試合を振り返って
チームとしてはコンタクトプレーを圧倒することとトークでしゃべり続けることを意識し、試合に臨みました。今日の試合を振り返ると、ブレイクダウンに関して明大の圧力をそれほど感じなく、自分たちが勝ったところがいくつかありました。しかし、ディフェンスでのトークが足りなかったと思いました。また、ディフェンスで食い込まれるところが結構ありました。個人的には、明大はスクラムが強いことをわかっていたので、スクラムに意識しました。
——相手の印象
スクラムに関して、思ったよりそれほど強くなかったです。しかし、ターンオーバーまでつなげられなかったので、そこは自分たちの実力不足を感じました。
——今後に向けて
スクラムのところやコミュニケーションところなどの自分たちの課題はまだ修正できていないと思います。夏合宿の部分と比べても、まだ足りない部分があると思います。チームとして問題点を共有していき、問題点を追及していきたいです。
No.8山中侃(商3・慶應)
——試合を終えて今の心境は
スクラムやラインアウト、モールなど、今夏に結構練習してきたものは試合でも出せて良かったんですけど、ブレイクダウンのミスや無駄なパスで相手にボールを取られてしまいました。
——ブレイクダウンのミス、というのは具体的に
反則が多かったと思うので、それで相手ボールに渡っちゃって、という感じです。
——前後半ともに立ち上がりで失点を許してしまいましたが、立ち上がりの入り方はどうでしたか
前半最初のハイパントを拾われたのはしょうがなかったと思っています。あまり覚えていないんですけど、慶應は立ち上がりが良くなくてもその後巻き返せるチームなので。勢いが別になかったわけではないと思うので、ちょっとしたミスでトライ取られちゃったと捉えて落ち込むことなくそのままいけました。
——ご自身のプレーについては
変なパスが多くて全然良いプレーはできなかったと思います。
——今季ここまでを振り返って
春はけがしちゃっててほとんど試合に出てなくて、足首が完治していなくて、色々やりながら治している感じです。
——現在の状態はどうですか
70%ぐらいですかね。
——試合に出つつ徐々に調子を戻していくと
そうですね。上に凜太郎さん(松村=商4・慶應)がいて、あの人を超えないといけないので、治しながら練習してスタメンで出たいですね。
——今後の意気込みを
自分はアタックは一応できていると思うので、ディフェンスと低い姿勢でのタックル、ブレイクダウンをより意識してやっていきたいです。自分はブレイクダウンで活躍できるようなプレーヤーだと思っているので、そこで試合に貢献したいです。
SO南翔大(総3・常翔学園)
——今日のテーマは
チームとしてはディフェンスと気持ちの部分をテーマに掲げていて、特にコミュニケーションを重視していました。
——それを踏まえて、今日のゲームはどうだったか
メンタルの部分はいい雰囲気で臨めていました。しかし、動き出してからのコミュニケーションという点ではしっかりできていなかったです。ハイボールを上げられた際の処理の声の出し方は後手に回ってしまい、流されていく場面が多かったので。
——今回の相手の明大の印象は
体格的には、やはり大きいなと思いました。ですが、フィジカルといった点では互角にやれているのではないかと思います。自陣に入ってきた時はスピードに乗られると痛いので、その辺り強さを感じました。
——立ち上がりから攻められることが多かったが、そこへの対策は
最初はお互いに元気な状態なので、こちらに悪い点が特にあるというよりも、不運な点が多かったです。今後は1本目へのリアクションやミスに対しての反応をもっと速くしたら、今日ほど大きく離されることはないと思います。
——自身のプレーについては
今日のゲームは自分のキックミスから崩れていったので、個人的にはいい印象はないですね。しかしディフェンスの部分ではしっかり仕事ができていたので、キックやパスなど、チームを活かすためのプレーをしっかり磨いて貢献したいです。
——秋の目標は
Jr選手権初戦でスタメンとして出してはもらえましたが、目標はここではないです。チームの目標はもちろん日本一なので、そのために貢献できるよう、しっかりメンバーに入ることですね。