早慶定期戦初勝利を目指し、今年も大舞台に臨んだ慶大。試合序盤は流れを引き寄せるも、前半のうちに2失点。後半はさらに点差を付けられるが、山本華乃(理2・横須賀シーガルズ)のゴールで1点を返す。その後も慶大が攻める展開が続くものの追加点が遠く、17回目の早慶定期戦で初勝利を挙げることはできなかった。
第17回早慶女子サッカー定期戦 vs 早稲田大学
2018/07/07(土)15:30KO @等々力陸上競技場
【スコア】
慶應義塾大学1-3早稲田大学
【得点者】
0-1 12分 渡部那月(早稲田大学)
0-2 21分 並木千夏(早稲田大学)
0-3 61分 柳澤紗希(早稲田大学)
1-3 67分 山本華乃(慶應義塾大学)
◇慶大出場選手
GK 志鎌奈津美(環4・常盤木学園) |
DF 佐藤幸恵(総2・十文字) |
DF 加藤楓琳(総3・常盤木学園) |
DF 奥本くるみ(環3・浦和レッズレディースユース) |
DF 工藤真子(総3・日テレ・メニーナ) |
MF 勝木日南子(総3・大和)→52分 平田朋(環1・日ノ本学園) |
MF 中島菜々子(総4・十文字) |
MF 小川愛(総2・神村学園) |
MF 松木里緒(環3・常盤木学園)→62分 高月彩香(環1・村田女子) |
FW 山本華乃(理2・山手学院)→74分 足立智佳(環2・大阪桐蔭) |
FW鈴木紗理(総2・十文字) |
運命の決戦に向けて慶大は4-4-2のフォーメーション。工藤真子(総3・日テレ・メニーナ)を右サイドバック、奥本くるみ(環3・浦和レッズレディースユース)をセンターバックとして起用し試合に臨んだ。
前半、先に流れを引き寄せたのは慶大だった。まずは4分、佐藤幸恵(総2・十文字)が自陣からドリブルで相手陣中央まで持ち上がると、そこからアーリークロス。これはゴール前の山本華乃(理2・横須賀シ―ガルズ)には合わなかったが、いきなりチャンスを作る。慶大は11分にも右サイドで小川愛(総2・神村学園)→鈴木紗理(総2・十文字)とPA内までつなぎシュートを打つなど、徐々に攻勢を強める。しかし13分、一瞬の隙で相手FWが抜け出したところで慶大がファールを冒しPKを献上。これを決められ、先制を許してしまう。反撃に出たい慶大だったが、失点後は焦りも出始めうまくリズムを作り出せない。すると21分、今度はCKから頭で合わせられ2失点目。リードを広げられてしまう。その後給水タイムを挟んでも早大の優勢は変わらず。24分、33分と決定機を作られる。しかしここはGK志鎌奈津美(環4・常盤木学園)のセーブもあり追加点は許さず。逆に前半終了間際には右サイドを松木里緒(環3・常盤木学園)とのワンツーで抜け出した工藤からのグラウンダーのクロスにゴール前の中島菜々子(総4・十文字)が合わせチャンスを作る。しかしこれは惜しくも枠をとらえられず、0-2で前半を折り返した。
初勝利に向けてまずは1点が欲しい慶大だったが、後半に入った61分、自陣PA内でハンドを取られこの日2度目のPKを与えてしまう。これを決められ3点差とされてしまった慶大。しかしここから反撃に出る。67分、左サイドで小川愛(総2・神村学園)のパスを受けた佐藤がドリブルでPA内に侵入すると右サイドにパス。走りこんでいた工藤が放ったシュートはポストにはじかれるも、そのボールを平田朋(環1・日ノ本学園)がシュート。これも防がれてしまうが、最後はこぼれ球を詰めていた山本が押し込みゴール。待望の得点をあげ、1点を返すことに成功。するとこの得点後も、慶大は攻め続け73、76、84分とチャンスを迎える。しかしなかなか枠をとらえることができず、ここで試合終了。初勝利に向け全力で挑んだ今回の定期戦は、1-3という結果で幕を閉じた。
今年で17回目。今回もまた、勝利を挙げることはできなかった。試合序盤、そして後半の多くの時間に慶大はペースを握り、チャンスを作っていた。しかし結果はPK2本を含むセットプレーからの3失点で敗戦。崩されたという意識がないから、余計に悔しい負けとなった。だが、「勝ちたい」という気持ちは早稲田よりも勝っていたように思える。このことは今日の敗戦がただ残念なものであるだけでないと思わせる理由の一つになるだろう。定期戦という特別な舞台は一年に一度しかない。しかし早大にリベンジをする機会はまだ残っている。この後のリーグ戦、必ず早大を相手にリベンジを果たしてくれるだろう。
(記事:岩見拓哉 写真:桑原大樹、中村駿作、柴田航太郎)
以下、試合後コメント
伊藤洋平監督
――試合を振り返って
そうですね、結果に関してはコメントしづらいのですが、内容に関しては本当に選手たちが勇敢に戦ってくれたので本当に誇らしく思っています。
――見ていても「勝ちたい」という気持ちの伝わる試合でした
そうですね。見て下さっている人の判断で間違っていないと思います。
――前半の立ち上がりと試合の終盤は慶大ペースだったが
まあ前半は前から行ったのと、やっぱりボールポゼッションをリスクを冒してやることで、後半自分たちのペースがまわってくると思っているので、そういった要因もあるんじゃないかなと思います。
――3失点したが流れの中での失点は無かった
そうですね。上手く中盤がタイトにディフェンスできたのとディフェンスラインのラインコントロールが上手くいったんじゃないかなと思いますし、ゴールキーパーの志鎌の勇敢なプレーもあったからだ思います。
――結果昨年は取れなかった得点は取れた
そうですね。取れたのは良かったですけど、もうちょっとペナルティエリア内にチャレンジしていく部分、そういう意味ではアタッキングサード、最後の崩しの部分のトレーニングはもう少ししないといけないんですけど、崩しの直前まで行けたシーンが多かったっていうのはかなり自信になったんじゃないかなと思います。
――最後に応援して下さった方々にメッセージをお願いします
最後負けたにもかかわらずああいった大きな拍手を送っていただいて、本当に僕たちがやっていることが間違っていないんだなっていうことは確信できましたし、試合中もいつもだったら足が止まってしまう時間だったり失点後に下を向いてしまう時間も、皆さんのおかげで戦い切ることができたので、本当に感謝しています。これを、おそらく最後の、大学リーグの早慶戦で必ず借りを返したいと思っているので、引き続き応援宜しくお願いします。
中島菜々子(総4・十文字)主将
――1-3という結果になりましたが、今の率直な感想は
率直に悔しいという言葉が浮かんでくるんですけど、失点の仕方もPKだったりCKだったり流れの中で点を取られることがなかったからこそ、本当に勝ちたい試合だったなって思います
――3点差がついてからペースを握り、1点を返しました
後半はもう本当に自分たちのペースで自分たちのやりたいことをできてましたし、シュートチャンスも結構作ることができていたので、そこに関して手応えを感じた試合でした。
――中島選手にとって最後の定期戦となりましたが思うところは
今日の定期戦、あっという間に4回目が来ちゃったなって感じでこれで最後。本当にもう一回やりたいっていうそういう気持ちなんですけど、本当に勝ちたかったっていうのと、あとは大学リーグでの早稲田戦が幸いにも残っているので、それは幸せなことだなと思ってそこに全てをかけたいと思います。
――これだけの方がいらっしゃいました。応援してくださった方々にメッセージをお願いします
多くの人に応援していただいてあんなピッチでできることっていうのは本当に幸せなことだし、慶應と早稲田の部員でしかあんな素晴らしいことは味わうことができなくて、自分は幸せ者だなって思いましたし、運営のマネージャーであったり主務・副務中心にずっと毎日夜遅くまで、こういう舞台を作り上げてくださって本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
工藤真子(総3・日テレ・メニーナ)副将
――試合を振り返って
本当に悔しいっていうのが一番のところで、正直もう少しやれたなっていうのが今の思いです。
――今日はどのような思いで試合に臨んだか
やっぱり副将としてチームを引っ張って行かないといけなかったので、チームが苦しい時に自分が頑張ろう、人より走ろうっていう思いで頑張ってやっていました。
――3失点ともすべてセットプレーからでした
そうですね。それがやっぱり悔しくて、あまり崩されての失点じゃなくてセットプレーで失点したっていうのはもったいないし、より悔しいという思いです。
――3失点後は慶應のペースで1点返すこともできたが
そうですね、後半の途中から自分がボランチに戻ったんですけど、そこで中盤のスペースが結構空いていたので、もう果敢にゴールに向かって攻めようという思いがあって、それが結構ゴールチャンスにつながったシーンもあったので、それは良かったなって思っています。
――最後に応援して下さった方々にメッセージをお願いします
本当に皆さんが応援して下さったのにこんな結果になってしまって申し訳ない気持ちでいっぱいです。まだもう一戦大学リーグで早稲田と戦う機会があるので、そこでは絶対に勝てるように頑張っていきます。
志鎌奈津美(環4・常盤木学園)
――今の率直な感想は
悔しいです
――試合を振り返って
後半は結構攻められる場面も多くて点も入りそうな気がしたんですけど、前半は結構自分たちの陣地でパスを回してっていうところが多かったので、もう少し前半から相手陣内に入って点まで行けたらよかったかなって思います。
――3失点はいずれもセットプレーからでしたが
PKに関しては右に飛ぶって決めていたんですけど、2回目のPKで躊躇してしまったのが一つ後悔としては残っています。
――今回が最後の早慶定期戦となりましたが
最後にキーパーとして出ることになって、点の取られ方も2点目なんかは結構あり得ないようなかたちであって、できたこととできなかったことと両方あって、早慶戦に関してはやっぱり勝ちたかったっていう気持ちと、キーパーなんですけど点を取りたかったなっていう気持ちと両方あるんですけど、まあやれたことも一応あったので、今年は早慶戦がもう一個残っているのでそこで勝てるようにまた頑張っていきたいと思います
――最後に応援して下さった方々にメッセージをお願いします
大学1年生からベンチに入って早慶戦をやらせてもらって、たくさんの人に応援してもらって、勝てなかったしポジションとかも変わったり本当にいろいろあったんですけど、変わらずに応援してくれたのはすごく力になったのですごい感謝しかないです。
山本華乃(理2・横須賀シーガルズ)
――試合を振り返って
定期戦は本当に勝ちたくて、関東リーグでは2連敗したけどそれは関係ないってみんなで話していて絶対に勝ちたかったので、後半は攻めることができていただけにすごい悔しいです。
――試合にはどのような気持ちで入ったか
毎年今年こそって言っていて、それも今年で最後にしようっていうことはみんな言っていたので、もう勝つ気で最初から全力で行きました
――今日は前半から積極的に入っていたが
最初の5分は流れを慶應に持ってくるためにも自分たちのモチベーションをあげるためにも前からガンガン行こうという話はしていました。
――得点シーンを振り返って
まず、さち(佐藤)のクロスが良くて、その後ポストに当たったり弾かれたりしたけど、最後は決められて良かったです。
――応援してくれた方々にメッセージをお願いします
本当に去年よりもたくさんの応援していただける声がピッチ内の私たちにも届いていてすごく力になったので、本当にありがとうございました。まだ早稲田を倒す機会は後にもあるので今日の負けを絶対に無駄にしないで早稲田に勝てるように頑張っていきたいです。
試合後のお忙しいところにインタビューに応じてくださった伊藤監督と選手の皆様、ありがとうございました。また、このたび我々の取材活動にご協力いただいた皆様にも、この場を借りて深く感謝申し上げます。