慶應スポーツ新聞会

【ソッカー(男子)】<コラム>躍動する3年生たち。 荒鷲が再び高く翔ぶために――。

関東リーグ第19節・日体大戦第20節・拓大戦のスタメンには、実に7人の3年生がいた。拓大戦ではベンチを含めて9人の3年生がメンバー入り。これは負傷中の一人を除く、トップチームの3年生全員だ。

 

慶大は今季の2部残留が確定。4年生の最後の舞台が近づくとともに、すでに来季を見据えた戦いが始まっている。その中心にいるのはもちろん3年生たちだ。19節では5ゴール3アシストを3年生が記録。20節でも劇的勝利を呼び寄せたのは彼らだった。今、才能を遺憾なく発揮している来季の中心選手たちを紹介する。

 

2連勝の立役者たち

 

誰もが認める前節のMVPは、GK上田朝都(総3・横浜・マリノスユース)だ。入学直後から慶大の守護神として君臨し続けているこの代の出世頭は、この日信じられないようなスーパーセーブを連発し、勝ち点3を呼び込んだ。そのセービング力とハイボール対応の安心感は大学サッカー界でも屈指。来季も最後方から慶大を支え続けるだろう。

 

前節のもう一人の英雄が、終了間際に決勝弾を挙げたピーダーセン世穏(経3・FCトリプレッタ)。高さと足元の技術を併せ持ったマルチなFWは、ここ4試合で3得点と好調を維持している。決して継続的に試合に出場してきたわけではないが、第17節・関東学院大戦でも途中出場から決勝弾を叩き込むなど、勝負強さもピカイチ。誰にも真似できない華を持ったストライカーだ。

 

20節の立役者が上田とピーダーセンなら、19節のヒーローはMF・江本優貴(総3・大宮アルディージャユース)だ。トップ下で先発すると、関東リーグ初得点を含む2ゴールを記録。得点以外でもピッチの広い範囲に顔を出し、パスワークに良い距離感とリズムを生み出した。後期に入って存在感を増し、冨田賢監督も「(チームの)中心になっていた」と称賛していただけに、前節負傷退場となってしまったのは気がかり。ボランチでもゲームをコントロールできる選手だけに、来季も中盤の重要な1ピースとなるだろう。

 

この2連勝を語る上で、右サイドバック・佐藤海徳(政3・桐光学園)の存在を無視するわけにはいかない。19節は抜群のキック精度でセットプレーから3ゴールを演出し、20節も90分を走り抜いた後、敵陣深くまで攻め上がり決勝点をアシスト。1年次からセットプレーキッカーを任されるなどもともと攻撃力は折り紙付きだったが、今季、チーム随一のドリブラーである小谷春日(環4・藤枝東)と1対1の練習を重ね、課題だった守備力も改善した。不安定さを克服し、不動の存在となりつつある。

 

各ポジションに揃うタレント

 

主将の松木駿之介(総4・青森山田)を除いて、今季最も頼れるアタッカーといえば山田盛央(総3・藤枝東)だろう。昨季まで関東リーグでの出場はなかったが、今季開幕戦でデビュー弾を挙げたのを皮切りに、ここまで松木に次ぐ5得点。強烈なフィジカルと推進力で右サイドを制圧し、ゴール前へ侵入する“怖さ”を持っている。ケガも少なく継続して好パフォーマンスを披露しており、来季のエース候補筆頭だ。

 

後期に入り目に見える成長を遂げているのが、DF・野村京平(総3・国学院久我山)だ。スタメンに定着した昨季はやや頼りなさも感じられ、前期は8節までまさかの出場なし。しかし、左サイドバックでの出場を機に監督の信頼をつかみ、第15節からは本職のセンターバックのスタメンに返り咲いた。慶大の平均失点が前期に比べ半減しているのは、明らかに安定感が増した野村の存在と無関係ではないだろう。センターバックは1年生の台頭も著しいが、来季のディフェンスラインの中心は野村が担うことが濃厚だ。

 

3年生のフィールドプレーヤーで今季最も長い出場時間を記録しているのが、ボランチの八田和己(総3・桐蔭学園)。2年次にはセンターバックも務めた守備力が売りだが、フィジカルよりも読みやクレバーさで勝負する“気が利く”タイプだ。展開力も高く、目立たずとも中盤の底で攻守の舵を取る姿は、まさに“ボランチ”(舵、ハンドルが語源)。不可欠な存在であることは、数字が示している。

 

MF・多嶋田雅司(商3・国学院久我山)も戻ってきた。正確なボールコントロールと運動量を武器に、攻撃のエンジンとして前期はトップ下で11試合中10試合に先発。後期は7試合で44分間の出場にとどまっていたが、19節で久々に先発出場し、先週もキレのあるパフォーマンスを見せた。フィニッシュやラストパスの精度がもう一段上がれば、圧倒的な存在になる可能性を秘めている。

 

1年次からコンスタントに試合に出場していたMF・落合祥也(商3・横浜FCユース)にとって、今季は少し不本意なシーズンだったかもしれない。献身的な守備的MFとして20試合に先発した昨季から一転、今季はここまで3試合(すべて前期)の出場にとどまっている。しかし、球際、セカンドボールへの強さといった誰にも負けない武器を持っている限り、必ず落合の力が必要になる時は来るだろう。

 

沼崎和弥(商3・暁星)は今季、センターバックからFWへまさかのコンバート。持ち前の高さとフィジカルで前線のターゲットマンとして貢献した。関東リーグでは得点こそまだないが、類い稀な身体能力を生かしオーバーヘッドでゴールを脅かすシーンも。ピーダーセンの好調もあり来季のポジション、序列は不透明だが、ピッチのどこにいても“何か”を起こせそうな雰囲気を持っている。

 

芽生える自覚

 

「3年の意地をみせてやろう」。後期途中、彼らは3年生のみでミーティングを開き、残り試合の具体的な目標を立てた。それは

①全員がメンバー入りする

②3年生でゴールとアシスト合わせて15

の2つ。前述のとおり、20節では負傷中の野村を除く全員がメンバー入りを果たし、ゴールとアシストの合計も残り2試合で12まで積み上げた。有言実行。多くの選手が下級生の頃から関東リーグに出場してきた世代の強い自覚に、結果が伴ってきた。今、ピッチ上で躍動する彼らの姿は、頼もしい限りだ。

「僕らの代で絶対1部昇格しなきゃいけない」(上田)。彼らのこれまでの3シーズンはいずれも、開幕前に思い描いた目標とはかけ離れたものになってしまった。ラストイヤーに与えられた明確な使命。今度こそ――。慶大を再び1部という大空へ、彼らが連れていく。

(記事:桑原大樹)

 

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