【端艇】〈早慶合同特別企画〉早慶レガッタを0から創る(前半)

ボート

今年で116年目を迎える早慶レガッタは、両校のスタッフ陣が0から創り上げている。今回、その舞台裏を支える部員たちを、ケイスポと早スポが合同で取材した。インタビューに答えてくださったのは、慶大端艇部から萩原秀賢(商4・慶應)と弘田千乃(理4・豊島岡女子)。早大漕艇部からは神山幸成(先理4・早大学院)と國府田美幸(スポ4・小松川)の4人。

こちらの対談後半編は早稲田スポーツ新聞会のサイトに掲載しております

※この取材は3月25日(木)にオンラインで行われたものです。

 


――まず初めに、大学をまたいだ他己紹介を行っていただきたいなと思います。萩原さんと國府田さんからお願いしてもよろしいでしょうか


萩原
 
僕が初めにしゃべったほうがいい感じかな?

國府田 どっちでもいいよ。(笑)

慶大端艇部・萩原秀賢

萩原 じゃあしゃべります!早稲田大学漕艇部の國府田美幸さんを紹介させていただきます。僕が知る限り、女性で主務を務めていらっしゃった方は早稲田の漕艇部にいなくて、結構パワフルだなというのが第一印象でした。自分が途中からマネージャーになって國府田ちゃんといろいろ仕事を進めていく中で、仕事に向き合う姿勢が同じ同期として尊敬できるなっていう風に思っています。
え、もうちょっと崩した方がいい?(笑)じゃあ、うーん、高校時代は女性の漕手としてインターハイとかに出て、めちゃくちゃ強かったらしいです。

 

早大漕艇部・國府田美幸

國府田 萩原くんとは昨年初めて会って、慶應側の次期主務ということでごあいさつして。当初から、めちゃめちゃ真面目っていうか、好青年イケメンという感じがすごかったですね。1年経って、幹事校主務として早慶戦全体を引っ張ってくれてすごく頼もしいなと。なんでしょうね、相方?パートナー?相棒?(笑)とにかく、慶應側の主務が萩原くんで良かったなと毎日思っています。いつもありがとうございます。

 


――次に弘田さんと神山さんのペアでお願いします

 

慶大端艇部・弘田千乃

 

弘田 慶應で副務を務めております、新4年生の弘田千乃と申します。よろしくお願いします。早稲田大学の神山くんは、いつも元気で、周りの一緒にいる人をすごく元気にしてくれるキャラクターの方で、あまりお話したことはないんですけれど、たまに慶應の方に来たりした時も常に元気いっぱいで。マネージャーの仕事がつらい時とかも神山くんがいることでみんな頑張れているのではないかと思います。

 

 

早大漕艇部・神山幸成

神山 ご紹介にあずかりました、神山と申します。そうですね、(弘田さんは)すごく元気いっぱいでと褒めてくれたんですけれど、正直、あんまりしゃべったことはなくて。(笑)そうですね、第一印象と致しましては、慶應と早稲田が荒川でボートの練習をする際、マネージャーはモーターボートを川に出して、一緒に準備したりビデオを撮ったりしているんですけど、弘田さんが慶應のモーターボートをめちゃめちゃ使いこなしている感じがすごくかっこいいなと前から思っていました。今度、操船技術教えてください。(笑)よろしくお願いしまーす!

 

――普段の活動内容について


神山
 今年は、早慶戦の業務との関わりは薄いんですけど、早稲田漕艇部のOB・OG会の方々と各種調整、またそのお金の管理やイベントを手伝うなど事務的な業務を中心に行っています。


國府田
 私は主務なので、マネージャー全体の業務の進行を確認したり統括したりしていて、漕艇部の資金管理や部全体のマネジメントが主な業務になっています。


萩原
 そうですね、自分も國府田ちゃんと同じで、主務としてマネージャー全体のマネジメントを行っています。今年は早慶戦の幹事校が慶應側なので、その業務を行っていることが多いです。


弘田
 私は、神山くんとおそらく同じで、慶應の中のOB・OG会の担当を主にしていて、早慶戦では、プログラムの作成などに関わっています。


――部の魅力とは


神山
 (すぐに手を挙げ)早稲田の魅力はやはり多種多様な人間が集まっていることだなと思います。スポーツ推薦でトップレベルの実力を持って入ってくる人もいれば、一般入試で入ってきて未経験でボートを始めるような人もいて、それでいて部内で派閥に分かれるといったこともなく、みんな違うスタートラインに立ちながらも、目指す目標は同じ日本一というところが、すごく魅力的というか、面白いところだなと思います。

國府田 先ほどの話をもう少し掘り下げたことになるんですけれど、マネージャーも今年はいろいろなバックグラウンドを持った子たちが集まっていて、全員が、優秀という一言では片付けられないほど、いろいろな強みを持った子たちです。今年の早慶レガッタの運営に関してもマネージャー一丸となって作っている感じがして、私自身、神山はじめ後輩のみんなに助けられました。慶應もそうだと思うんですけれど、すごくマネージャーの強さというのも今年は早稲田が持っていると思います。

萩原 (弘田さんに対し)僕が初めにしゃべっていいかな?今年の慶應のチームとしての強さは、努力することをみんなすごく重視してかなり真剣に練習に取り組み、努力することにお互いへのリスペクトがある点かなと。真面目気質な人が多いというのもあるかもしれないんですけれど、最近のチームの傾向として、とても良いチームだなと個人的には思っています。

弘田 慶應は大学から始める人がほとんどである中で、ボートを水上で漕いでいる間だけでなく、陸上では頭で考えて水上で実践するということを徹底する選手が多くて、その面で強くする努力をみんなができているのが良いところだなと思います。


――言い残したことがある方はいらっしゃいますか

神山 あ、じゃあいいですか?ちょっと慶應のマネージャーについてコメントしておこうかな。今年がけっこうコロナの影響でイレギュラーな部分が多くて、それを今年のマネージャー陣で乗り切って現状進めている部分があるんですが、それはみんなが選手のために、チームのためにっていう部分でそれぞれ頑張ってきたことが、いまこういう風につながっているかなという風に思っているので、すごく良いチームだなと感謝しています。


――部の「あるある」について


萩原
 いやぁ、全然、思いつかないです笑

神山 いまぱっと思いついた慶應のあるあるが、なんかラーメン食べがち。(笑)隙あればラーメン食べに行っているイメージですね。

國府田 あと、慶應のマネージャーはけっこう夜型が多い。

神山 あー、確かに。LINEが深夜にくるイメージ。

萩原 確かにそうです。

國府田 (早稲田は)けっこう健康重視なんで。(笑)

神山 慶應のマネージャーはわりと両極端な人が多い。

弘田 そうですね、私はけっこう夜遅くまで起きてしまうので、これからLINEをそういう時間に送るのはちょっとやめようかなと。(笑)

國府田 いや大丈夫だよ。(笑) 大丈夫、大丈夫。(笑)

弘田 あ、でも慶應の他のマネージャーには夜の10時に寝て朝の3時に起きている人もいて、けっこうさまざまですね。


――先ほど、ラーメンを食べに行くという話がありましたね。


萩原
 そうですね。マネージャーでラーメンを食べに行くという文化があって、すごくおいしいラーメン屋に、マネージャーみんなで行きます。最近はコロナで行けていないんですけど、楽しんでいます。

神山 やっぱりラーメンが好きなんですね、慶應の皆さん。うらやましいです、そういう文化があって。

萩原 いやそれはもう一緒に行くしかないでしょ。(笑)

神山 あ、じゃあ早慶戦終わったらいくかー!(笑)

國府田 例年は早慶のマネージャーでこの時期、夜に抜け出してご飯に行ったりするんですけど、今年はコロナで全然行けてなくて。


――早稲田さんの「あるある」についてはどうですか


萩原弘田
 (無言で考え、しばしの沈黙)

神山 めっちゃ考えてるなぁ

弘田 あ、艇庫がすごくにぎやかです。

神山 え、それ慶應もじゃない?(笑)

弘田 慶應もですけれど、うるさいみたいで…?

國府田 めっちゃディスられてる。(笑)

神山 僕、艇庫に泊まり込みでマネージャーをしているんですけれど、確かに毎日面白いことの連続だなぁと思っていて。それはいま弘田さんがおっしゃっていたように、にぎやかな仲間がたくさんいるからなのかなぁと個人的には思っています。つまんないなと思ったことが入部してから一度もないので。

萩原 あと、(早稲田は)マネ部屋に人がたくさん来るよね、マネージャーじゃない人が。あと、ちょっとね、マネージャーのテイストが違うよね。(笑)

國府田 確かに早稲田のマネージャーはいろんな人が集まってきますね。(笑)


−−では、次にレガッタの当日のマネージャーの流れを教えていただけますか


萩原
 早慶戦は隅田川で開催されるんですけど、OBとマネージャー、出場しない選手とで、前日と当日の朝に準備を行って運営を進めます。マネージャーはここにいる人たちがモーターボートを操縦してスタートを作るなど、そういう仕事が多いかなと思います。レースの時は試合のサポートとか、あと運営の人たちが来るのでその人たちの接待みたいなところも仕事になってくるのかなと。今年はレースのスケジュールがだいぶ圧縮されているんですけど、だいたい12時ごろに第二エイトのレースがあって、今年はその1時間後に女子のレース、さらにその約1時間後に花形の対校レースがあるっていう形で全体のスケジュールとしては進んでいきます。


−−どのような流れで1日が始まるのか教えていただけますか


國府田 
昨年開催できなかったので、当日や前日の流れをマネージャーとして知っているのが私と神山と慶應側の同期のマネージャー1人の3人しかおらず、正直分からないことも多い中で準備を進めているので確かに大変な部分もあります。日曜日が大会当日なのでマネージャーは金曜日の夜に荷物の積み込みを始めます。土曜日は、マネージャーは朝一からいろんな役割に分かれて、荒川から隅田川まで行ってコースの準備や整備にはいる人もいれば、いろんな区役所関係の動きをしている人もいますし、選手が休む場所の確保や整備をする人、他にはもっと細々した船の輸送とかいろんな備品の整理をしている人もいます。本当にマネージャーは全員がいろんな役割を持って当日動いているので責任感を持ってやってもらうというところで、今年分からないながらどうやって仕事を消化していくか私たち主務、上級生で頑張っていくところかなと思っています。


−−早慶レガッタは皆さんにとってどのような舞台ですか


神山
 学生全員が輝ける舞台だと思っています。確かに実際にレースに出場するクルーが一番脚光を浴びるわけではあるんですけど、実際に隅田川の上で漕ぐことのない学生、部員であってもその日に向けて全てを懸けて準備してきているので、そういう人たちも一緒にレースで報われる、ここまで頑張ってきた1年間が報われる、そういう達成感のあるものなので、早慶の両部にとって年に1回の晴れ舞台だと思っています。

弘田 私もそうなんですけど、1年生の部活を決めている時に早慶レガッタを見た時の感動が大きくて、こういった大きい舞台に出てみたいという憧れはみんな持っていると思います。選手は出場したいという気持ちを持って練習していて、マネージャーも半年ほど前からいろんな準備を進めている中で、早慶レガッタを開催することへの思い入れはみんな強いもので、常に早慶戦のことが部活の中で大きい存在であると思います。

國府田 みんなと同じ内容になってしまうんですけど、選手にとっても夢の憧れの舞台ですし、マネージャーも公共河川の隅田川を一から大会の舞台にするために半年間本当に奔走していて、戸田でやっている他のボートの大会とは比にならないくらいの思いを懸けて準備をしているので、神山も言っていたように全ポジションが輝ける大会であると思います。

萩原 ボートの大会で大観衆に応援してもらえる環境はあまりなくて、日本で一番ボートが応援される試合だと思っているので、それを早慶両校の選手だけが権利を手に入れられて、公共河川の隅田川で試合ができるということは本当に特別なものだと思っています。また、区役所や地元の地域の方々、我々のOB・OGの方々など本当に多くの方々に支えていただいて大会が開催できているので、自分たちもそれに負けない熱量と決意を持って早慶レガッタの運営を進めていると思っています。


−−昨年、新型コロナウイルスの影響で直前に中止になってしまい2年ぶりに開催される早慶レガッタですが、その中で皆さんが今年に
懸ける思いを聞かせていただけますか


萩原
 昨年はまだマネージャーになりたての頃だったんですけど、先輩方が一から準備をして早慶戦を作っているのを間近で見ていて、選手が隅田川で漕げないというのはもちろんすごく悲しいことでしたし、マネージャー陣が準備して作ってきたものができなくなるというのは本当につらい部分が多かったと感じています。今年は先輩方にオンラインという形ですけど見てもらえれば多少報いた形にはなるのかなと思っています。

國府田 1年前の中止の発表がされた日は本当にどうしようもない気持ちで、どこにもぶつけられないし選手も本当に悔しいだろうし、というところから1年間、個人的には昨年の思いのまま走り続けてきたので、1年半かけてこの早慶レガッタを準備しているくらいの気持ちでいます。昨年の先輩方の思いも背負って何としても開催したいなと思っています。こういった厳しい状況の中で開催に向けて本当に多くの方のお力添えをいただいて準備を進めることができたので、あとは大会を無事に開催させて1番感謝を伝えるためには早稲田が勝つと、絶対に負けたくないなと思っています。

神山 1年前に中止が決定した時は本当に自分としては悔しさとか悲しさが不思議なくらい湧いてこなくて漫画の世界みたいな感じがしていました。それこそ早慶戦が毎年のように開催されるのが当たり前だったので、なくなってしまったっていうのが自分には本当に信じられない、実態感がないという気持ちだったんですよね。今年今のところ準備を進めていて開催を進める方向で関係者各所、マネージャーを含めて準備を進めているところなんですけど、昨年は早慶戦ができることが当たり前だったというのが当たり前じゃなかったんだということを学ぶきっかけになりました。早慶戦を準備させていただける、4月18日に開催させていただけるという感謝の気持ちを毎日持ち続けてここまでやってきたので、当日もそういう感謝の気持ちを持って、國府田も言っていたように最終的には早稲田を勝たせることで感謝を皆さまに伝えていければと考えています。

弘田 私はマネージャーとして迎える早慶戦が初めてで、いろいろ緊張している部分があるんですけど、やっぱり昨年開催できなくて悔しい思いを全ての人が選手ももちろんマネージャーもそれぞれあると思うので、本番無事開催されてその思いをぶつけることができたらと思います。この後当日までまだまだ何が起こるか分からないので、本当に開催できるようにこれからも気を抜かずに頑張っていきたいなと思います。


――皆さん、ありがとうございました!対談の後半戦もよろしくお願い致します!

 

(取材・編集:慶應スポーツ新聞会 宮崎柚子・船田萌恵/早稲田スポーツ新聞会 樋本岳・湯口賢人 写真:早稲田大学漕艇部・慶應義塾大学端艇部)

 

第90回早慶レガッタは、2021年4月18日(日)に無観客オンラインで開催されます。

対談後半戦は早稲田スポーツ新聞会のサイトに掲載させていただいております。

 

♢プロフィール♢

萩原秀賢 (はぎわら・ひでたか)
1999年7月17日生まれ/慶應義塾大学商学部4年/慶應義塾高/主務

國府田美幸 (こうだ・みゆき)
1999年4月10日生まれ/早稲田大学スポーツ科学部4年/小松川高/主務

弘田千乃 (ひろた・ちの)
1999年5月10日生まれ/慶應義塾大学理工学部4年/豊島岡女子高/副務

神山幸成 (かみやま・ゆきなり)
2000年1月3日生まれ/早稲田大学先進理工学部4年/早大学院高/マネージャー

 

第88回早慶レガッタの記事はこちらから! ※第89回早慶レガッタは中止
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