【野球】秋季リーグ戦開幕前取材④ 正木智也選手 × 渡部遼人選手 〜勝利へ導く打線の核〜

野球対談

あと8日で開幕を迎える東京六大学秋季リーグ戦!慶應スポーツ新聞会では、春秋連覇へ闘志を燃やす選手たちに開幕前インタビューを行いました。

第4回は全日本選手権で大活躍を見せた2人の外野手。正木智也(政4・慶應)選手と渡部遼人(環4・桐光学園)選手です。

中学時代から仲の良い2人

ーーまずは他己紹介をお願いします

正木:遼人は中学時代から知っている仲なんですけど、一言で言ったらやる時はやる男というか、試合の大事な場面という意味でもそうですし、練習の中でもやると決めたらちゃんとやるというのがあって、実力的には守備走塁はもちろんみんな分かってると思うんですけど、ものすごいものがあって、今年の春からはバッティングでも元々持ってた力がやっと開花したかなと思っています。

渡部:正木は一言で言うと、勝負強いのかなと思います。普段は見た感じ、のほほんとしてるというか何も考えてなさそうに見えるんですけど(笑)野球一緒にやっていれば分かるんですけど、プレーの中であったり、副将もやっているので、自分のプレーだけではなくチームの事も考えていたりという面で、本当に見た目とは違うところがあるなというのは感じています。勝負強さというのはリーグ戦で見ていれば分かるんですけど、本当に打ってほしい場面で打ってくれるというところがあるので、そういうところは本当に頼りにしていますし、ラストシーズンもその勝負強さを持ちながらいってほしいなと思います。

 

ーーお互いの羨ましいと思うところを3つほど

正木:まず野球の実力的なところで言うと、僕には無い足の速さがあるので、まず足の速さは羨ましいなというのと、あとは運がいいなとすごく思っていて、何か例を上げろって言われたらパッと思い浮かばないんですけど、運がいいというか持っているというか、そういう部分は感じます。あとは、友達が多いですね(笑)

渡部:野球で言うと、バッティングは羨ましいなというのはあります。というのも、僕も今年の春は今までで一番打撃成績が良かったんですけど、年末年始とかに正木と練習して教えてもらって結果が出たというのがあるので、自分のバッティングだけではなくて教える力があるというのはすごいなと思うし、羨ましいなと思います。あとは、さっき言った勝負強さというところは、正木が僕に言ったこととも被るかもしれないですけど、そこで(打順が)回ってくる運の良さもありますし、そこで気持ちがぶれないメンタルの強さだったり。この春も勝負強さはかなりあったと思いますし、勝負強さは野球選手としては欲しい能力なので、羨ましいなと思います。

正木:まだ2つしか言っていないです!(笑)

渡部:あとはなんだろう。あ、男前なところルックスですかね(笑)

 

ーー春季リーグ戦を振り返って

正木:まずチームとしては、三浦銀二(キャ4・福岡大大濠)にノーヒットワンランをされたところから始まり、慶大は前の年からメンバーが多く残るからは強い強いと言われ続けてきての初戦のノーヒットワンランだったので、そこで自分達の弱さを再認識できたというのが、春のリーグ戦と全日本選手権を通してそこが良かったかなというのは思いましたし、そこからチームとして建て直せたというところは、このチームの強さであり、粘り強さであったと思うので、そこは良かったと思います。個人としては、本塁打の数はこれまでで一番多く打てたんですけど、打率という面に関して言えば、まだまだ物足りないところはあったので、そこは秋に向けての課題でもありますし、長打力を残したまま打率を残せるというのが自分の目標でもあるので、そこは秋に向けて追求していきたいなと思っています。

渡部:チームのことは正木が言ってくれたので個人の事だと、今までで一番バッティング面としては良いシーズンだったかなとは思っていて、打率はもう少しこだわりたい部分はあったんですけど、試合の中で強いスイングをいれることだったり、つないで後ろに回すことだったり、自分の中でのいろいろな引き出しを多く出せたのかなというのはリーグ戦を通して感じました。守備面では球際のプレーだったり自分で振り返っても良いプレーがあったので、それは秋も継続して、他の外野陣にも良いプレーというか、守備面の意識を高く持たせるようなことを続けていきたいなと思っています。

 

ーー正木選手は本塁打王、打点王、ファンが選ぶMVPに輝きました

正木:本塁打と打点は4番を打たせてもらっている以上、常に意識している部分ですし、しなければいけない部分だと思っていて、そこは春季リーグ戦を通して結果が出たので、やってきたことは合っていたのかなと思いました。ファンが選ぶMVPにも選んでもらったので、素直にそこは嬉しいです。

秋も圧倒的な打棒を発揮できるか

 

ーー春季リーグ戦優勝、全日本選手権制覇を成し遂げられた要因は

渡部:僕は粘り強さかなと思います。初戦でノーヒットワンランをされて、少し勘違いしていた自分達がいた中で、ああいった結果になった事で自分達は必死にやって食らいついていかないと勝てないということを全員が分かってプレーすることができて、それをリーグ戦の2戦目から全日本選手権まで持ち続けられたことが、リーグ戦優勝と日本一につながったのかなと思うので、そこが1つの要因かなと思います。

 

ーー全日本選手権での心持ちは

正木:まずは六大学の代表として行くという事で、その名に恥じないというか、怠慢なプレーをしないようにというのと、神宮球場を使えたので地の利を生かすという部分、あとはリーグ戦と違って相手の投手や打者のデータが少ない中で、どう戦っていくかというのが1つのテーマとしてあったので、そこはデータ班なりアナリストなり、捕手の福井を中心にしっかりできた部分なのかなと思います。

 

ーー優勝が決まった瞬間の気持ちは

正木:僕は一昨年に日本一になった時はベンチからマウンドに駆け寄ったんですけど、今回は一塁から駆け寄ることができたので、また違った嬉しさというか、あとは自分達の代で優勝できたということもまた違った嬉しさでしたし、その二つの違った嬉しさがありました。

 

ーー正木選手は最高殊勲選手賞、渡部選手は首位打者賞を獲得しました

正木:準決勝が終わったくらいで、遼人にMVPを取られるのは嫌だなというのは少し思っていたので(笑)阻止できて良かったです。

渡部:言っていたな(笑)タイトルが初めてだったので嬉しかったんですけど、どうせならMVPも取りたかったなという感じです(笑)

 

ーー北海道でのキャンプでの取り組みは

渡部:冬からずっと続けていたんですけど、練習ではとにかく振り込むということを意識してやりました。成績が良かった分、過去の自分を求めがちになるので、目先の結果にとらわれないように、とにかく試合の中で振れるようにするスイングを練習から身に付けるということを意識して練習していました。

正木:僕は目標として、長打も打ててその中でも打率も残せるというのが大前提にあった中で、遼人と同じくスイング量、振り込む量を確保したというのもありますし、あとは高めに対してのスイングという部分も一つのテーマとして置いて、高めの速い球に対してしっかりスイングを入れていく、長打にするということを目標にしてやっていました。

 

ーー正木選手が外野手、一塁手でプレーをして感じたことは

正木:今年の春に外野から一塁に移ったときは難しさも感じましたし、そもそも投げ方だったり取り方が全然違うので、そこは苦戦しました。あとは、投手と近いという部分が一塁にはあったので、意識してやっていた部分はありました。秋から外野になって、改めて外野の難しさをまた感じるようになったというか、一塁をやっていたこともありますし、その前まではずっと外野をやってきたので気付けなかったこともあり、一塁をやって得たものが外野で生きているところもあり、そういう意味ではどちらにも挑戦できてやってよかったなと思います。

渡部:(正木選手に)あれあるじゃん(笑)

正木:嫌だよ(笑)えー、一番の違いはベンチからの距離が遠いという

渡部:それが面倒臭いらしいです(笑)

 

ーー隣を守って感じることは

正木:僕はやはり遼人が中堅手にいてくれることで安心感があるというか、そういう部分ではすごく大きいですし、僕も守備力はあまり変わらないので(笑)

渡部:いやいやいやいや(笑)

正木:僕が遼人をカバーできるように(笑)

渡部:まあ意気込みでね、意気込みで(笑)

正木:以上です(笑)

渡部:僕、中学時代も隣を守っていたんですけど、(正木選手の)中学時代は半径1メートルぐらいの守備範囲で、それに比べたら大学で隣を守っている時は、まあ成長したかなと感じることもあります。やはりスローイングは強い球を投げるので、それを含めたポジショニングだったり。守備範囲はちょっと何とも言えないんですけど、頑張って欲しいなとは思います(笑)

正木:昔の話です、昔!(笑)

渡部:今は半径5メートルぐらいです(笑)

 

ーー注目している下級生は

正木:僕は清原(正吾=商1・慶應)ですかね。同じ右打者の長距離砲としての魅力というのも感じるところは多いですし、何よりもすごく僕に質問してきてくれて可愛いので、頑張って欲しいなと思っています。

渡部:僕は関展里(環2・慶應)。プレーもそうですけど、やはり熱い気持ちを持っている選手なので。試合の中でも苦しい時でも声を出す選手は野球部の中でも少なくて貴重な選手ですし、野球の技術でも守備力も打撃力も持っている選手なので、活躍してAのメンバーに加わって欲しい選手です。

 

ーーこれまでの3年半を振り返って

正木:やはり3年半を過ごしてきて今でも感じるのは、寮で生活していてもっとこのメンバーと野球をやりたいな、一緒に過ごしていたいなというのは常々思うところがあって。それくらい仲良い代ですし、学年問わず仲良い部分がこのチームの良さでもあると思うので、最後は絶対に優勝して日本一を取って、自分たちの代もそうですけど1年生から4年生までみんなで喜んで終わりたいなと思います。

渡部:僕はすごく同期に恵まれたなとは感じています。野球のレベルが高い選手がいるということもそうですし、チームを作ってくれる、しっかりと考えを持っている選手というのがいるので、下級生の頃から学年ミーティングで意見を発してくれていた人だったりとか、4年生になってチーム作りに貢献してくれている同期はたくさんいて、そういった同期に恵まれたと感じているからこそ結果としてもう一回、日本一を取って最後に良い形でこのチームが終われるようにしたいなと思っています。

 

ーーこれまでの転機は

正木:僕は2年秋の明治神宮大会ですね。2年春はすごく調子が良くて打率や本塁打も打てたんですけど、最後の秋の明治神宮大会で内角攻めをされて打てなかった経験がバッティングフォームを変えようとか、考え方を変えて振らなければダメだという転機になったので、そこでの経験が大きかったのかなと思います。

渡部:僕は転機というか、堀井監督が来てから変われたかなと思います。それまでは、1年生の時からメンバーに入れてもらって試合にも少し出ていたんですけど、その中でメンバーに残りたいとか、試合に出たいという思いで目先の結果に左右されていた自分がいて。堀井監督が来てからはバッティングを根本から見てもらったりとか、かなり熱心に指導していただいて、その中で安打かアウトという結果だけでは無く内容もしっかりと見て判断してしてくれている、そこからアドバイスをくれるといった形でやってくださっているので、自分の成長という意味では大きく変われたかなと感じています。それは3年生のシーズンもそうですし、一番は3年生のシーズンが終わってから監督とはかなりバッティングについて話をしたり指導をしていただいたりしたので、そこは変われたところかなと思います。

継続的な取り組みが好成績を生んだ

 

ーーラストシーズンへの思いは

正木:やはりもう2度と大学野球は味わえないので、最大限楽しみながら野球をやりたいというか、それは自分だけでは味わえないので、周りを巻き込みながら周りと一緒に最大限野球を楽しんで、最後一番楽しいのは優勝した時だと思うので、過程も結果も楽しめたらなと思っています。

渡部:僕もやはり楽しみたいというのはあります。春季リーグ戦が1試合終わった時に負けてめちゃくちゃつまらなくて、やはり勝たないと楽しさは得られないと思うので、その勝ちに向けて自分ができることを考えながら。そういった意味では、今までと変わらずにシーズン中も取り組みたいと思いますし、あとリーグ戦まで2週間なので後悔のないようにやっていきたいなと思います。

 

ーードラフト会議も控えていますが

正木:大久保監督の時からもそうですし、堀井監督も同じようなことを言っていたんですけど、まずは大学野球を全うした上でのドラフトなので、しっかりと大学野球をやった上でドラフトの結果を待ちたいですし、それが一番良い結果になると思うので、頑張りたいです。

渡部:僕もそう思います(笑)

 

ーー秋季リーグ戦での個人目標は

正木:僕は打率3割5分以上、本塁打5本、打点10以上。三冠王でいきます!

渡部:三冠王取ってくれ!じゃあ僕は、本塁打王(笑)僕は6本で(笑)

 

ーー現在の調子は

正木:結構試行錯誤しながらやってきた中で、堀井監督から「あと2週間は自分のスイングを信じて練習していくだけだ」ということを言われたので、しっかりと自分のスイングを信じて練習していきたいと思います。

渡部:今の調子は悪くはないかなというのが正直なところで、試合の中でも自分の打席にはテーマを持って取り組めていると思うので、その段階を踏みながらリーグ戦に入っていきたいなと思っています。

 

ーー最後に、秋季リーグ戦への意気込み、そしてファンの方々へのメッセージをお願いします!

正木:もちろん1試合1試合集中して勝ちにいくのはそうですけど、やはり目標は春秋の4冠なので、そこに向けてしっかりとやっていきたいと思います。世の中は大変な状況で観戦も難しいとは思うんですけど、皆様に勇気を与えられるような野球を目指して頑張るので、応援よろしくお願いします!

渡部:春はリーグ戦優勝と日本一を取れましたけど、部員全員がその結果はもう過ぎたことだと思っているので、秋は改めてリーグ優勝と日本一を取れるように全力で一戦一戦戦っていきたいなと思っています。応援よろしくお願いします!

 

ーーお忙しい中、ありがとうございました!

※当取材は新型コロナウイルス感染拡大を受けて、8月26日にオンライン上で実施しました。

(取材:畠山 里菜子)

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